My Weekly Journall時事対談日本・異常事態

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  トップページHot SpotMenu最新のアップロード/                        編集長:  津田 真

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プロローグ   2005. 4.25
No.1 〔1〕 “日本独自の世界平和戦略”を持つべき時 2005. 4.25
No.2 〔2〕 このままの日本では、“国連常任理事国”になる資格はない 2005. 5. 1
No.3       <常任理事国になる“資格”“資質”・・・> 2005. 5. 1
No.4      <日本の国際貢献は、“日本独自の世界平和戦略”と、

                           究極的な“地球政府”の創出!>

2005. 5. 1
No.5       <情報革命と、分水嶺の雨水の仕事・・・新しい文明の原型 2005. 5. 1
No.6    民主化のデモに学べ ・・・ ウクライナキルギス中国韓国 2005. 5.22
No.7                 行動の時 ・・・ 実力行使ゼネ・スト も視野に 2005. 5.22
No.8       ゼネ・スト/民主化運動 2005. 5.23
No.9       <人海戦術...デモ/プラカード/集会   −−−−−

                                                                                                                    

  プロローグ          

 

「ええ、秋月茜です...」茜は、緊張して、赤いメモ帳を脇に置きながら言った。それ

から、作業テーブルについている津田・編集長と響子に、頭を下げた。「現在、日本

は、“異常事態”に突入しています。今回は、緊急の“時事対談”を設定しました。

 

  ええ...国家の最高意思決定機関である国会が、全く機能しなくなり、空洞化し

ています。そして、与党・自民党の中で、郵政民営化をめぐって、大乱戦が展開して

います。政治家は、国会と国民をないがしろにし、社会状況は悪化する一方です。日

本は、ますます常識の通用しない社会になりつつあります...

 

  さて、そうした中で、中国との国際摩擦が激化しています。まさに、抜き差しならな

い状況になりました。今の、日本の政治集団に、果たして当事者能力があるのでしょ

うか。日本とアジアの安定した未来を、この政治集団に任せておけるのでしょうか。残

念ながら、非常 〜 に、不安を感じます...

 

  それに加え、公共放送・NHKの機能不全、一向に改善されないモラルハザード、

社会の不安定化、極端な労働の2極化、富の寡占、マスメディアの私物化、文化の

衰弱...等々...どれ1つとっても、依然として深刻な状況が続いています...

 

  ええ...今回は、“危機管理センター”里中響子さんに来てもらいました。

本の危機的な国家情勢について、津田・編集長と、私とともに、考察していただきま

す。響子さん、よろしくお願いします、」

「あ、こちらこそ、よろしくお願いします」響子は、しっかりと頭を下げた。「...こうした

日本の状況ですので...“公共放送・NHK”の、一刻も早い“解体・再編成”が、必

要ではないでしょうか...

  私は、“公共放送の威力”が、こんな状況の時こそ、最も必要だと考えています。

NHKが改革に対し、“ピントのズレたこと”をしている様であれは、“聴視料の保留・

不払”運動に加えて、NHKに対して“抗議のデモ行進”をかけることも、必要かも知

れません。

  事態は、そこまで切迫しています。私たちは、“民衆の直接行動の威力”というもの

を、ウクライナやキルギス、そして韓国や中国から学ぶべきです」

「はい!その通りだと思います!それが、事態を、ダイナミックに動かすかも知れま

せん!」

「NHKの“解体・再編成”を急ぐと言うのは、1つの戦略眼ですね。期待できると思い

ます」津田が言った。

「ありがとうございます...」

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  〔1〕 “日本独自の世界平和戦略” を持つべき時

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「津田・編集長...」茜が、津田の方を見た。「この状況を、どう思われますか?」

「そうですねえ...

  ともかく、日本の政治状況は、ひどすぎる。また、社会全体が、その右傾化に引っ

張られている感じがします。これは、バカらしくも、“戦前の軍靴の臭い”を感じさせる

ものです。このことは、“日本国民が最も警戒すべき事”のはずです。そのために、

和憲法を作ったのですから...

  むろん、この日本の状況に対し、韓国中国が疑念を抱くのは、被害を受けた当

事国として、当然の感情だと思います。まず、日本の側が、こうした国内の右傾化の

状況を、謙虚に反省すべきです...一度立ち止まって、冷静に、戦後を振返ってみ

るべきです...」

「国際情勢は、どうあればいいと、」茜が、頭をかしげた。

「一言でいえば、日本はアメリカ追随ではなく、“日本独自の世界平和戦略”を持つ

べきだということです。

  私は、韓国や中国の言っていることは、正しい一面があると思っています。日本

右傾化を、また、戦前への先祖がえりを、韓国や中国に言われると、素直になれ

ないというのはおかしいのです。それに反発するから、韓国や中国での、極端な反

日教育にもなるわけです。

  私は、日本は右傾化すべきではなく、国際化すべきだと思っています。敗戦後、日

本の国民は、まさにそのことを、平和憲法深く誓ったはずです。したがって、右傾

化傾向については、日本の国民が自ら反省し、軌道修正すべきです...これが、今

後の日本の、“アジア平和戦略”の第一歩です...」

「はい、」

「私としては...これは、前から言っていることですがね...ともかく、くり返します

が...

  日本は、独自の国際平和戦略を持つべきであって、アメリカにベッタリ追随という

のは良くないということです。日本は、覇権を争うアメリカと中国との平衡を取りな

がら、経済外交戦略を立て、困難な21世紀の平和の舵取りをしていくべきだという

ことです。その時、初めて、真に“平和憲法”が生きて来るような気がします」

「はい!まさに、そうかも知れません...」茜は、深い眼差しで、宙を見つめた。

「そのためには...“憲法9条”を日本の国際平和戦略の前面に押し出すことも、再

検討してみるべきではないでしょうか...もともと、そうではあったのですが、今、改

めて、再検討してみるべきです」

「そうですね、」響子が言った。「アジアで中国との対立構造を作るのではなく、“EU

のような共存共栄の道”を探るべきだと思います。

  もちろん、そのためには、極端な反日教育や多額のODA(政府開発援助)のことも含

めて、中国に言いたいことや、注文したいことも<多々あるわけです...

  まず、中国は、日本に代わって、アジアの覇権を狙っていますよね...しかも、

張主義と、軍事力経済力を持って...経済的影響力だけだった日本の状況とは、

ずいぶん違った形になると思います」

 

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「はい!」茜が言った。「ええ...そのことですが...まず、中国の核兵器が問題で

すね。この核兵器が、何のために、何処を向いているかということです。そして、高度

経済成長に伴って、凄まじい軍備の増強を行っています。何のためなのか...

  このことが、中国に対する警戒心を抱かせています。そして、その後の覇権の姿も

想像させます...なんと言っても、中国は、共産党一党独裁の国家なのです。情報

が統制され、民主化に疑問符がつく国家なのです...

  その中国が、何故、世界でただ一国だけ、軍備の増強に邁進しているのか...

その納得のいく説明が、周辺諸国に対してありません。特に外洋型の海軍の増強

が、極東アジアと東南アジアの国々に警戒心を抱かせ、アメリカ太平洋艦隊と対峙

する構図が出来つつあります。

  これに対抗できるのは、まさにアメリカの太平洋艦隊だけです。もし、日本の自衛

艦隊が対抗しようと思ったら、まず核武装しなけれなりません...そして、中国の軍

備拡張が、今後もさらに続く様なら...日本はその決断を迫られるかも知れないと

言うことです...現在の、右傾化したまま前進するならです...

  もちろん、今後のアメリカ空軍の展開も、ミサイル防衛構想の展開も、軍備増強を

進める中国が、仮想敵国となって行くわけです。しかし、こうなってくると、まさに日本

の自衛隊も、米軍と一体化せざるを得なくなるわけです。中国の本意は、いったい何

処にあるのでしょうか。

  ええ...いずれにしても、このような対立構造では、双方が困るわけです。ここ

は、対立するアメリカと中国の戦略的構造が固まる前に、日本は国家として軌道修

正が必要です。かっての、東西の冷戦構造がくり返されるのでは、困ります。それで

は、人類は歴史から何も学ばないことになります...日本は、今こそ、世界共通の

“平和戦略”を考えるべき時です。その“平和戦略の意思”を世界に発信すべき時で

す...

  ええと...こんな所かしら、」

「うむ、」津田がうなづいた。「日本は“憲法9条”を前面に押し立て...“日本独自の

世界平和戦略”を展開して行くべきだということですね、」

「はい...」

「いいと思います...

  日本の右傾化は、バカらしくも、“戦前の軍靴の臭い”を感じさせるものが、確かに

あります。地に足のついていない憲法改正論議を眺めていても、それは分ります。し

かし、それは、国民から乖離した、一部の政治家が先導しているものです。

  そこに、現状に飽き足らない国民世論が、軽く片足をかけている状態です。もし、

本格的な憲法論議に入れば、大多数の国民の、猛烈な反発に突き当たるのは確実

です...」

「はい、」響子がうなづいた。「国民は、右傾化は望んではいないということでしょう

か?」

「私は、そうだと考えています...

  “戦前への先祖がえり”のような右傾化を望んでいる国民は、ほとんどいないと思

っています。それよりもむしろ、多数の国民は、“日本独自の世界平和戦略”を持つこ

とを望んでいるのではないでしょうか。また、アメリカにしても、日本が一人前の平和

戦略を持つことを、むしろ歓迎すると思います」

「日米関係は、今、BSE(牛海綿状脳症)問題や、在日米軍の再編問題等で、冷え切って

います。大丈夫でしょうか?」

「日米関係は、それでダメになってしまうような、薄っぺらな関係ではありません。た

だ、日本の社会情勢も、まさに狂っていますが...アメリカもまた、少しおかしくなっ

て来ているのを感じます。

  BSEの問題は...アメリカの国内状況は、どうなっているのか分りません。しか

し、非常に硬直したものを感じます。それに、H2N2型のインフルエンザウイルスの

検体を、世界中に誤送した事件も発覚しました。

  アメリカは、感染症全般に対する“気のゆるみ”が起こっているのではないかと詮

索されても、仕方のない状況にあります。かってのアメリカは、もっとフェアであり、感

染症などの問題でも、もっとしっかりと対応していたと思います。

  ま、いずれにして...日米関係の方は、大丈夫だと思います。ようやく、“NO!”

と言える日米関係になったと言うことでしょう...」

「はい...」茜が言った。「ともかく、日本としては、中国と対立するのではなく...

世界で共通する“日本独自の世界平和戦略”をもち、そのルールのもとで“アジアの

平和戦略”を持つべきだと言うことですね。

  その選択肢の1つとして、“憲法9条”を日本の国際平和戦略の前面に押し出す

とも、再検討してみるべきだということですね、」

「そういうことです...

  こうした重要な外交戦略や、憲法改正問題で、日本国民の“民意が何処にあるの

か”“どのように社会を啓蒙するか”...公共放送の役割が、理想的な民主主義社

会の形成に、非常に重要になってきます。野球や娯楽番組を中心にやっている様な

ら、まさに“浄財”で支える必要もないわけです」

「はい...やはり、カギは、NHKでしょうか?」

「そうです...

  選挙でも、この国はなかなか変わって来ません...したがって、公共放送・NHK

の“解体・再編成”を急いで...ともかく“シビリアンコントロールの確立”を急ぐべき

です。そうでないと、社会が窒息してしまいます...」

「はい、」響子が、深くうなづいた。

 

  〔2〕 このままの日本では、     

      “国連常任理事国”になる資格はない

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<常任理事国になる“資格”“資質”・・・>

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「著しい文化の衰退...社会における慣習法の崩壊...未曾有のモラルハザー

ド...国民から乖離した政治...政治の世襲と、官僚の天下り天国...そして経

済の失墜 ...」茜が、指を折りながら、硬い声で言った。「公平に見て...このよう

な国家が、国連常任理事国になる“資格”があるのでしょうか?その、“資質”がある

のでしょうか?

  今の日本の政治は、最も肝心な所が...何事においても、常に抜け落ちていま

す。だから、相変わらず、政治が空転しているのです。だから、未曾有の国難の折

に、緊急でもない憲法問題などで、貴重なな時間を費やしているのです。小泉・政治

軽薄さと無責任な所です。その証拠に、かっての“良き日本の社会構造”が、日々

壊れていきます...

「うーん...そうですね...」響子が、肩を引いた。「国連分担金を、どのくらい出して

いるかとは、別の話ですね...自国の社会や文化を統治できない政治が、世界の

リーダーなれるはずはありません...茜さんは、ええと...“社会における慣習法

の崩壊”と言いましたね?」

「あ、はい、」

「うーん...その通りだと思います...

  何度も言いますけど...“慣習法”というのは、“勇気”、“努力”、“勤勉”、“優し

さ”...などを評価する、社会における法律以前の法律です。これは、人間社会の

ミニュケーションの原型に属するもので、人種・民族・国家を超えた世界共通の認識

です。いえ...人間世界を越えて、広く動物の世界でさえも、こうした“慣習法”は、

深く認識されているのが観測されます...

  ところが、日本の社会では、この“慣習法”が崩壊しています。努力、勤勉が、評価

されない...それが“抜け落ちていても当然”という身勝手な社会基準が...共通

の認識になっています。これでは、学校教育の目的や、社会の競争原理そのもの

が、その拠り所を失ってしまいます。

  だからこそ、今の日本の状況は、建国以来の最大の危機だと言われるのです。こ

の慣習法を壊してきたのは、政治家であり、官僚であり、マスメディアです。いずれ

も、今では国民から全く信用されていません。彼等は、いわゆる玉石混合ですが、ト

ータルとして、堕落しきっているという事です」

「はい、本当に、そうだと思います!」

「子供が勉強する目的を失い、社会人が努力をする意味を失いつつあります。その一

方、一部の人だけが、小さな努力を異常に高く評価される社会です。そして、その他

の人は、無きに等しいのです。これでは、“社会を形成する基本ルール”が、“社会的

連帯の土台”が、日々壊れて行くのは当然です」

「そうですね!」茜が、指で唇を押えた。「公共放送のNHKが、明らかにそうした“差

別社会を創出”している面があります!何故、野球だけを放送するのでしょうか?何

故、大リーグの松井とイチロー選手だけなのでしょうか?国民の“浄財”で支えられ

ている、“公共放送としての資質”が問われます!」

「そうだと思います...」響子が、茜にうなづいた。「このような、慣習法の崩壊して

いる国が、国連常任理事国になって、いったい何を主張しようというのでしょうか?

  日本社会が根底から崩れたのは、この4年間の小泉・政治と、長年の自民党政

が残した、負の遺産のためです。また、8割以上の国民が支持した小泉・政権の

改革が失敗したのは、民主党の責任が非常に大きいわけです。そうですね、津田さ

ん?」

「そうです...

  そういうわけですから、小泉・首相を一概に責めるのは、気の毒です。しかし、その

後のことは、まさに小泉・首相の重大な責任です。一連の右傾化と、富の寡占化、労

働の2極化、その他は、小泉・首相のやったことであり、総理大臣としての小泉さん

の責任です。モラルハザードにの問題に、一向に手をつけなかったのは、我々国民

の理解に苦しむ所です」

「はい!」茜が、コクリとうなづいた。

 

<日本の国際貢献は、“日本独自の世界平和戦略”と、

              究極的な“地球政府”の創出

                 wpe7.jpg (7162 バイト) 

「うーむ...」津田が、腕組みをした。「確かに、現在の日本の政治では...とてもで

はないが...国連常任理事国になる“資質”そのものが無いですね...国会の各

委員会は学級崩壊...そして国会全体が学校崩壊...社会全体がモラルハザー

ド...

「国民としても、」響子が、唇に微笑を浮かべて言った。「とてもではないが...推薦

できないと、」

「私たち国民が、」茜が、響子にうなづいた。「一番良く知っています」

  「うーむ...そういうことですねえ...

  与党と野党が、全体で国会という民主主義の学校を壊してしまいました...そこ

に残ったのは、特権意識だけです。確かに茜さんが言うように、自分の国や社会を

治められないような政治が、世界のリーダーになる資格はありません...

  小泉・首相は、いったい何を考えているのでしょうか...アメリカの子分になって、

国連の場で空威張りをしたいのでしょうか...憲法9条の“戦争放棄/平和主義”

空文化し、アメリカと共に紛争地域に自衛隊を派遣したいのでしょうか...

  むろん、積極的に紛争地域に介入するという、軍事的な国際貢献のやりかたもあ

ります。しかし、独自の平和憲法をもつ国家として、“日本独自の世界平和戦略”を展

開し、“平和主義の守護神”となり、“地球政府”の創出に向かって汗を流すというの

も、いいのではないでしょうか...」

「はい、」響子が言った。

「ともかく、今は、世界中が“理想”というものを失っています。21世紀の、大艱難の

時代を目前にして、“人類文明の強力な意思決定機関”が無い状態です。そうした意

味で、今はまさに緊急事態であり、危機的な状態と言えます。

  しかし、もし“地球政府”が創出されれば、パレスチナ問題をはじめ、様々な民族

紛争宗教紛争などに対しても、“究極的な調停機関”が出現することになります。

日本も、かっては武装国家乱立の対立構造でしたが、幕藩体制に変わって、明治政

府が出来てからは、国内での内乱はなくなっていきました。

  地球政府を創るとは、つまり、そういうことなのです。日本は、この方面で、世界の

リーダーになり、そのために国連常任理事国になりたいと、名乗りをあげるべきで

す。それなら、国民は誇りを持って大賛成するし、韓国や中国をはじめ、世界中の人

々も、歓迎してくれると思います」

「はい...」茜が、ようやく明るい顔でうなづいた。

「そうですね...」響子が言った。「ともかく...時代は、急速に動いています。人類

文明自体が、急速に流れ始めています...“危機管理センター”を受け持っている

者としては、“地球政府”は、是非とも早急に実現して欲しいと思います。

  尼崎市で起こったJR西日本の鉄道事故のように、小さな判断ミスが、膨大な犠牲

を出す時代なってきました。それこそ、何百万、何千万、何億しいう犠牲者が出る

事態が起こるでしょう。そんな時代が、極めて危うい時代が、少しづつ近づいてきたよ

うな気がします...そのためにも、“地球政府”は、ぜひ欲しいのです」

「うーん...危機管理センターでは...そんな感じなのでしょうか?」茜が聞いた。

「はい、」響子が、茜にコクリとうなづいた。「そうした危機の要因は、幾らでもありま

す...

  小惑星の衝突から...環境問題...確実にやって来る飢餓...それから新型

インフルエンザやエボラウイルスなどの感染症の脅威...そうそう、テロの問題もあ

りますね...ともかく、“地球に人間が溢れている”ことが、基本的に大問題なので

す...

  したがって、様々な要因で、“人口が激減”していくプロセスが始まると予想されま

す。それが、地球生態系の、バランスの復元力なのです。それは、ちょうど、私たち

の病気が治癒して行く、ホメオスタシス/恒常性の力と同じなのです。ただ、それは

今、増え過ぎたホモサピエンスとその文明からから、地球生態系を守ろうと作用し始

めている...と考えられるのです...」

「どうすればいいのかしら?」

「人類文明は、自らの文明の意思で、強力な人口調整を行っていくことです...そし

て、文明の総力で、地球環境の復元を計っていくことです。

  まず、出生率を抑えること...それから、安楽死なども認めていくことも、必要かも

知れません。いずれも、激しい議論になるかも知れませんが、地球生態系が危機的

な状態なわけです」

「はい、」

「緊急に、地球規模での強力な対策が必要です。グローバル化を、このまま進めて

いっていいものかどうか...これも真剣に議論すべきです。

  ともかく、人類として、“地球政府”が、必要な時に来ています。日本は、是非、そ

の旗振り役をして欲しいですね」

「そうですね、」茜が言った。

                           

 

「うーむ...」津田が、静かにうなづいた。「1つの時代が...ここでも、1つの時代

が...確実に、終りつつあるのかも知れません...

  20世紀後半に花開いた間接・民主主義の時代が、世界全体で緩やかに崩壊し

ているような気がします...世界中で、代議員制の間接・民主主義が、陳腐化して

います。

  高杉・塾長の言葉を借りれば...人類社会は、“文明という温室”の中で、食糧や

物が豊になり、大自然に対する深い素朴な感動を忘れてしまいました...そして、

しだいに“生態系から離脱”し始めていたのです...

  しかし、これは決していいことではありません...矛盾なのです...人類の存在

そのものが、生態系の中に織り込まれた布模様なのです。人類文明もまた、その生

態系における生命進化の上に咲いた花です。生態系を離脱することなど、そもそも不

可能なのです...」

「はい、」響子が、うなづいた。「人類は生態系からしだいに遠ざかり...何かがダメ

になってしまったわけです...大自然から離れ、生物体として、何か肝心なものを、

しだいに失っていったのです。今、ようやく、そのことに気づき始めています...

  先進国では、感染症を克服して行くのと並行して、アレルギー性疾患が増加して

いますね...ところが、まだ感染症を克服していない発展途上の地域では、不思議

とアレルギー性疾患は無いわけです。これは、何を意味しているのでしょうか?」

「大自然を離れて、人間そのものが、弱体化しているということでしょうか?」茜が、

響子に聞いた。

「私は研究者ではないので、詳しいことは分りません...ただ、そうした傾向はある

ようですね...人類文明は、いったい、何処へ流れて行くのでしょうか...」

 

                 

 

  “情報革命”と、分水嶺の雨水の仕事・・・新しい文明の原型

                       wpe8.jpg (3670 バイト) 

「偶然か、必然かは知りません...」津田が言った。「しかし、代議員制の間接・民主

主義が陳腐化していく一方で、文明の“第3の波”といわれる“情報革命”が爆発的

に進行しています。

  急速に、インターネット社会が拡大し、情報技術も凄まじい速度で成長していま

す。これも、生命進化のベクトルの上に投影された、1つの社会進化の形態になるの

だと思います」

「確かに、そうですね、」響子が言った。

「直接・民主主義と間接・民主主義の、“直・間/ハイブリットの政治形態”が、新た

に創出されて行く可能性があります。その達成の仕方によっては、民主主義の“新し

い政治形態の原型”ができると思います。情報革命によって、直接・民主主義の膨大

な情報量を、短時間で、高度に、かつ暗号技術などによって安全に、処理できるよう

になったのが大きいですね。

  これは、トヨタのハイブリット・エンジンのようなものです。エコカーのように、環境に

優しく、極めて燃費のいいシステムが創出できるかも知れません。そんなことが、高

度情報化社会の中で、可能になるということです...不安も、多々ありますがね、」

「はい...」茜は、やや首をかしげた。「間接・民主主義を残すのは、やはり政治は、

プロ集団がやるのが良いと言うことでしょうか?」

「その通りです...

  それに、全面的に直接・民主主義へ持っていくと、直接・民主主義の弊害もまた、

予想されるということです。政治はやはり、“優れたリーダー”が必要でしょう。そして、

それを実行に移す、高度の知識を持った専門家集団が必要です。それが、官僚機構

になるわけですが、今までの官僚の概念にとらわれることはありません。

  さて...その透明なシステムを、どのように構築して行くか...」

  響子がうなづいて、後ろの雨傘立て手をかけた。

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「今...まさに、情報革命の真只中にあるわけですが...“人類の叡智”が試され

ていると同時に、“時間との勝負/スピードとの勝負”になりそうです。

  人類文明が、大戦略的に...明るい未来社会を展望できるのか...それとも迷

路のような閉塞感のただよう高度情報化社会になるか...今、まさに、その基礎の

骨格が作られている時代だと思います...

  つまり、今が、“大戦略の線引の時代”であり、その大戦略の線は、おそらく後か

らは修正が出来ないでしょう...したがって、正しいと思うことを、太い線で、しっか

りと描いておくことが必要でしょう...

  よく言われるように、戦略は、絶対に間違ってはいけないものです。今、我々は、

情報革命の爆発の中で、情報ハイウェイの幹線部分を描いているわけです...信

頼性の高い、基本デザインを描いている所です...」

「はい...」響子は、津田を見つめた。

「私たちは...情報革命の技術的なことは、分りません。IT(インフォメーション・テクノロジー)

の技術者ではないですからね...私たちの仕事は、そこに走らせる、ソフト面での

大戦略を描くことです。

  情報革命が、実際に、透明で、風通しの良い、“新・民主主義”のパラダイムのも

とで進行するように、強く主張して行きたいと思います。それは、他のページでもたび

たび言っていることですが...

 

【情報公開】                 

   【国民参加型・評価システム】   

      【正しい公平な富の再配分】

 

 ...ということです。ともかく、“公開性”“国民参加”“公正・公平性”...こ

れが最も大事です。この“新・民主主義”の大原則のもとで...情報革命の新技術

の雨水を、分水嶺の尾根から、正しい方向の山々へ流すということです。その山々に

降った雨水は、細い水流となり、溝を彫刻し、一斉に下の方へ下っていきます。やが

て、細い溝は、谷川に注ぎます。谷川は、大川に合流し、やがて大河となって行くで

しょう...

  おそらく、現在の我々には想像もつかないような、“新・民主主義”の大動脈がで

きて上がって行くと思います...来るべき人類文明の版図が、そうした明るい未来

であることを願っています」

「素晴らしいですわ!」響子が言って、両手をこすり合わせた。

「でも、」茜が、言った。「今、私たちは、具体的にどうしたらいいのしょうか...私は、

弁護士ですの、」

「うーむ...まさに、それが、我々の仕事だ...」津田は、笑って、アゴを撫でた。「と

もかく...日本は、国連常任理事国になりたいのなら、まず国内問題をすみやか

に、スッキリと処理することです。モラルハザードなどで、世界中に大恥をさらしている

様では、とてもとてもその資格はありません...

  社会保険庁厚生労働省などの、一連の不祥事も、ひどいものです。様々な意味

で、改革を加速するために、NHKも、解体・再編成を急ぐべきです」

「ええ、はい...」茜が言った。「機は熟しているし、やりたいことは、山ほどあるとい

う事ですね。時代は、確実に動いていると思います、」

「あとは、“維新”の大波を引き起こす、きっかけが必要ですね」

  〔3〕 民主化のデモに学べ ・・・ wpe7.jpg (7162 バイト) 

               ウクライナキルギス中国韓国

               wpe8.jpg (3670 バイト)

         行動の時 

     実力行使ゼネ・スト も視野に

 

「日本の未曾有の大混乱も...」津田が、二人を見て、唇を引き結んだ。「いよいよこ

こに極まってきました...

  “庶民への大増税”...“富の寡占”...“労働の2極化”...“身分差別社会の

出現”...そし直そうともしない世襲・天下り”...責任ある社会の上層部から

の、モラルハザードの蔓延”...

  小泉・政権、そしてこの社会全体は今...“どのような原理”で動き、何を目指し

ているのでしょうか。堂々と“憲法違反”が行われ、“慣習法”を破壊され、“悪徳”

“不条理”が蔓延しています。

 

  そこで、私は...この政治の状況を、“ヤクザ政治”と命名してみました...“ヤク

ザの原理?”というのは、どのような原理かは、よくは知りません。しかし、それで現

在の政治状況/社会状況全般を割ってみると、竹を割ったように、スッキリと、無数

に割ることが出来ます。非常に素直に、理解できるのです。

  難解な、現在の日本の政治力学、そして、これも難解な連立政権の連立方程式

が、“ヤクザの原理?”を導入すると、非常にアッサリと解けるのに驚きました。自民

党・橋本派の、1億円献金疑惑問題はいうに及ばす... “モラルハザードの蔓延”

も、社会の右傾化も、外交問題も、難なく1つの解が得られます...

  小泉・首相は、結局、アメリカの子分になりたがっていたのです。新興勢力の“中

国という親分”に備えるため、アメリカに“尻尾”を振ったわけです。非常に単純で、粗

暴な考え方です。むろん、これは、“ヤクザの原理?”から見たわけですが...

  しかし、前にも言ったように、日本としては...アメリカにもつかず、中国にもつか

ず、“日本独自の世界平和戦略”を持つのがいいのです...憲法9条を前面に押し

立て、“平和主義”に徹し、その延長線上では、“地球政府”を創設するのです。

  かって、日本が幕藩体制から、明治政府による統一管理へ移行したように、全て

の軍事力を一元管理し、縮小して行くのです。そして、行政も一元管理し、あらゆる

紛争ごと、をなくしていくのです。その上で、あらためて、人類文明全体をデザイン

て行くわけです...」

  茜が、コクリとうなづいた。

「まあ...“ヤクザの原理?”はともかく...この国難の折に、堂々と“憲法改正”

“郵政改革”に全力投球している政治風景は、まさに為政者としての、当事者能力

が欠如しています。これは、言うまでもなく、与野党を合わせた、政治全体に言えるこ

とです...」

「うーん...」響子が、笑みを浮かべて、肩を引いた。「“ヤクザ政治”ですか...

  そうですね...“危機管理センター”の担当者の立場から見ても、これは日本の

政治の危機ですね...そして、文化・社会的な危機です...したがって、未曾有の

“国難”です...

  “あらゆるレベルで犯罪の増加”し、“大事故や大災害が多発”し、“社会不安が増

大”しています。しかも、政治/行政/マスメディアに、その当事者意識が極めて欠

如しています。これは、間違いなく、壮大な日本国家の危機です...」

「うーむ...」津田が、ゆっくりと脚を組み上げた。「どうしたものですかね...一方

で、犯罪者・加害者であり、一方では被害者になる...また、もう一方では、社会不

を訴える庶民であり、治安や文化の復活を訴える...」

「はい、そうですね...」

「全体が、大きな矛盾なのです...

  しかし、これがいわゆる“モラルハザード社会”の実態でしょう...したがって、

人1人の自覚こそが、非常に重要になってきます。まず、身の回りから、小さな矛盾

を正していくこと...それから、企業や組織は法令遵守(コンプライアンス)を徹底し、社会

規範を確立し、破壊された“慣習法”を、地道に復活させることです」

「はい...“慣習法”を復活させることは大事ですね...

  マスコミでも、あるいは文化勲章などでもそうですが...話題として取り上げる人

物や、勲章をもらえるサークルが、すでに決まっているのは、非常におかしなことで

すね。政治やスポーツにおいてもそうです。何故、こうした硬直した考え方になったの

でしょうか...」

「最近では、ニュースに、スクープというのがなくなりましたねえ。ニュースに、競争原

による取材合戦というのがなくなり、共通した話題を繰り返し流しています。これ

は、新聞よりも、テレビのニュースや話題で顕著ですね。何故、こうした硬直化が起こ

ったのでしょうか...

  このような、“既得権で囲むような評価”“競争原理の欠如”が、この国の文化全

体を、非常に無気力にしています。ともかく、日本文化の現状としては、【情報公開】

【国民参加型・評価システム】が、強く求められます」

マスメディアの姿勢も、まさに大問題ですね...当面、私たちにできることは、マス

メディアから流れてくる“気に入らないもの”は、キッパリと拒絶することしかないので

しょうか?」

「まあ、避けるしかないでしょうね...

  マスコミは、非常に低俗化しています...それから、公共放送であるNHKは、

“国民の浄財”で運営しているわけですから、これをキッチリと“シビリアンコントロー

ル”の下に置くということです。それが、公共放送の本来の役割であり、使命です。

  公共放送を、“社会正義と民主主義の牙城”として、それから“日本の文化の守護

神”として、キッチリとダイナミックに機能させて行くことが、非常に大事になってきま

した。また、それによって、低俗化している民間放送も、変ってくると思います...

  ともかく、この国の“主権者”は、“国民”であるということ...この“憲法の主旨”

を、社会全体で徹底したいですね...この国の主権者は、“企業や財界人”でもな

く、“政治家”でもなく、“官僚”でもないのです...まさに、サイレント・マジョリティー

(声なき多数)“国民”が、この国の“主権者”なのだということです」

「そうですね」

               

「忘れてはならないのは...」茜が、指を立てた。「大多数の、真面目に生きている

日本国民がいることですわ...国民がすべて、“清・濁を併せ呑んでいる”わけでは

ありません。サイレント・マジョリティー(声なき多数)の動向が、これからは非常に大事で

す」

「その通りです」津田が、うなづいた。「それら、全てを承知した上で、この国を、何と

かしなければならないという、土壇場に来ているということです。

  その“清濁を併せ呑む”という概念が、サイレントマジョリティーの“清浄な海”では

支えきれなくなった所に、社会全体の“モラルハザード”を招来したのです。地球の

海洋汚染と同じ状況です。“7つの海”も、その深海底に至るまで、人類による深刻な

汚染が進んでいるのです」

「はい、」茜は、唇をかんだ。

「ともかく、“清濁を併せ呑む”というのは、民主主義における“毒薬”なのです。それ

責任ある政治家が広言している所に、そしてマスメディアがそれを受け入れた所

、今日の未曾有の社会混乱があるのです。

  自分だけが、自分達だけが、“悪事をしても許される”と、何故考えたのでしょう

か...結局、社会全体がそれを実行し、社会全体を濁しててしまったのです...」

「編集長、“モラルハザード社会”は、起こるべくして起こったということでしょうか?」

「結局、そういうことでしょう...

  原因があり、結果があるのです。まあ、最終的には、その“毒薬”を、社会が受け

入れたわけですね。しかし、くり返しますが、その“毒薬”を、サイレント・マジョリティー

“清浄な海”では支えきれず、徐々に暴走し始めたということです。これは、必然で

すね。

  しかも、当事者の政治行政マスメディアは、それを直そうともしない状態が続

いています。その上、政治は、憲法改正や、郵政改革や、国連安保理の常任理事国

への参加問題で、大混乱を呈しています。

  これが、真に、民主主義社会における、私たちの代表なのでしょうか。政治は、ま

さに猛省すべきです」

「はい、」

  <ゼネ・スト 民主化運動  

 

「この国難に際し、」津田は、決意を込め、静かに言った。「政治が機能していないと

いうこと...日本の、間接・民主主義は、完全に破綻しています...

  国家が、“舵”を失い...ある謀略のもとに、右傾化に流れています...このまま

国民が何もしなければ...この流れは、右派・保守政権によって継承され、まさにこ

の非常にゆがんだ社会が、時間とともに定着して行きます...」

「はい、」茜が、首を斜めにして津田を見つめ、うなづいた。

「まあ、我々大多数の国民としては、“本格的な差別社会”と、“富の寡占”は、断乎

阻止しなければなりません。

  私たちが目指しているのは、21世紀型の明るい未来社会です...その1つの叩

き台として、私たちは“新・民主主義社会”を主張しているわけです。まさに、情報革

の爆発の中で、直接・民主主義の比重を高めて行こうというものです。

  また、その民主主義のテクノロジーの創出とは別に、【情報公開】、【国民参加型・

評価システム】、【正しい公平な富の再配分】を、基本戦略に設定しています。むろ

ん、これは叩き台であり、当然、変って行くものと思われます。ともかく、まず粘土を

練って、形を創り出していく事が大事です。

  こうした、“努力の報われる”“明るい透明な社会”を創るために、この国の主権

者である国民は、1人1人が立ち上がるべきです。そして、その延長線上には、大規

模な、大規模なな“ゼネ・スト”も、視野に入れるべきです。民主主義社会では、これ

に勝る力はないのです」

「はい」

“ゼネ・スト”とは、ゼネラル・ストライキのことで、全国・全産業が、一斉にストライ

キを行うことです。あるいは、1都市、1産業部門の全労働者が、大規模なストライキ

を行うことです。

  “ゼネ・スト”は本来、労働運動ですが...労働問題でも日本は深刻な状況にな

りつつあります。企業による、“賃金”“身分”“差別問題”です。つまり、正社員と、

アルバイト・派遣社員との、二重構造の問題です。

  この“憲法違反”の是正を訴え、“ゼネ・スト”に突入するという方法もあるわけで

す。そして、それ以降は、旧社会主義国の“民主化運動”にならい、大社会運動

移行していけばいいわけです。これは、“維新”の大波を引き起こし、この国を、根本

から変えて行く力になります...」

「はい!」茜が、唇を引き結んだ。「国民は、もっと、もっと、“怒る”べきですね!素直

に、率直に、政治に対して、“怒り”を表現すべきなのです!その“怒り”こそが、政治

“民意”を反映します!

  ここは、韓国や中国の民衆運動に学びたいですね。韓国や中国は、国民に、若い

エネルギーを感じます!」

「うーん...」響子が、ヒジを押えた。「そうですね...非常に大きな社会不安が、日

本の社会全体に蔓延しています...日本の国は、この社会は、いったい“何処へ向

かって進んでいるのだ”と...」

「私は、」茜が、響子に言った。「この事態は、小泉・政権の、“失政の集積”だと思い

ます!同情する所もありますが、国の“舵取り”を任された者の、大きな責任です!

私は、厳しく、その政治責任を追及したいと思います!」

「うーん...この状況では、小泉・政治の継承は、国民が承知しないでしょうね。小

泉・政治を終わりにし、小泉さんとは対角にある、“信頼性”“情”のある政治をして

欲しいですね」

「はい。もう、三世議員の世襲・総理は、コリゴリですね」

「うーん、そうですね。よほどズバ抜けた能力の持ち主なら、当然別です。ドングリの

背比べなら、世襲議員は避けたほうが賢明ですね。苦労を知らない世襲議員には、

庶民の真の苦労は、分らないでしょう。そりゃあ、形の上では、分るでしょうけど、」

「はい。その通りだと思います」

                

「さて...」津田が言った。「政治は、もはや当てには出来ません...最近のテレビ

のコンテンツと同じように、ほとんど見る気にもなりませんね。話を、真剣に聞く気にな

れない。憲法問題や郵政改革など、国民から乖離した所で、ひたすら空転していま

す。国民は、まさに“モラルハザード社会”の中で、溺れかけているんですがねえ。

  そこで、当面、“政治の権力闘争”の場を離れて...国民としては、別のルートか

ら、この社会に“シビリアンコントロール”を確立することが、急務になってきました。そ

うしないことには、社会は“信用破壊”の大パニックを起こしそうです」

「はい...」響子が、ゆっくりと首を傾けた。「“慣習法”も破壊され、“憲法違反”も放

置され、“悪事”“社会的不条理”も処理されないとあっては...私たちは、何を

会規範にし、どのように行動していいのか分らなくなります。

  “人間生活”も、“社会ネットワーク”も、いっきに“クラッシュ”してしまうのが心配で

す...」

「そうですね」茜が言った。「そんなことがあっては大変ですが、このまま社会が壊れ

ていけば、ある意味での“破局点”はあると思います」

「日本が、」津田が言った。「この未曾有の大混乱を克服して行くには...“世襲政

治”や、“官僚の天下り”や、“マスメディアを私物化”する、既存の既得権勢力を越え

る...さらに“巨大な民主勢力を結集”しなければなりません。それは、“国民主権の

戦略的運用”以外には、無いように思います...

  まず、公共放送・NHKを、“シビリアンコントロール”のもとに取り戻すこと...そし

て、“国民主権の戦略的運用”で、社会全般にわたり、“未来型の新秩序”を創出す

ること。それが、いわゆる“維新”になります...」

「はい!」

大規模な“ゼネ・スト”も視野に入れてもいいでしょう...明治維新に匹敵するよう

革命を引き起こすわけですから、このぐらいのことは必要でしょう。そして、“正しい

平な富の再配分”を実現する必要があります...

  こうした“維新”が具体化する段階で、ようやく“新憲法の起草”を国民全体で考

慮しても良いのではないでしょうか...“新憲法”は、夢と理想の膨らむ、国民自身

“正しい社会の器”でなければなりません。社会が崩壊して行く、大混乱の中で議

論すべきのではありません。

  また、現在のように、まさに“穢れた手”で、“国民から乖離した政治家”たちが、

勝手に進めていいものではありません...その時が来れば、憲法改正もまた、容

易に実現します」

「はい、」

      人海戦術 wpe8B.jpg (16795 バイト)

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