My Weekly Journal第1編集室時事対談時事対談・2007大艱難に備えて

                                        〔新春対談〕      

   激動の大艱難 (だいかんなん)に備えて!  house5.114.2.jpg (1340 バイト)

     《自衛隊/防人・・・武士道組織・・・サムライ文化集団》  

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プロローグ   2007. 1. 2
No.1 〔1〕自衛隊が真価を試される時 2007. 1. 2
No.2 〔2〕大艱難と自衛隊の使命 2007. 1. 2

     


  プロローグ 

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「あけまして、おめでとうございます秋月茜です

  いよいよ、“激動の2007年”がスタートしました。政治状況社会状況は、私たち

予想をはるかに越え、大混乱の度を深めています。主権者・国民のかかわらない

所で、“国家の姿が大きく変貌”して行く様相です。しかも、明らかに、迷走していく観

があります。

  高杉・塾長...大川さん...大変な年になりますが、今年もよろしくお願いしま

す!」

 

あけまして、おめでとうございます高杉光一です

  そうですね...茜さんの言うように、今年は、大変な年になます。この国は、権力

の中枢である...“立法府”“行政府”“文化・マスメディア”世界で...一体、

何が起こっているのでしょうか。“民意”や、“社会規範”から、“権力が乖離した状

態”で、何かが不気味空転しています。

  そうした中で、安倍・政権は、まさに【教育基本法】を変え、“防衛庁”“防衛省”

昇格させ、さらに【憲法9条】をさえも、この調子で変えようとしています。今年は、

方統一選挙参議院選挙があり、まさに正念場の年になります。

  しかし、相変わらず、“国民から乖離した政治”が続いています。したがって、政党

政治が、国民に“明確な選択肢”を示すことができるかどうか...それが日本復活の

カギになります。

  もはや、“小手先の青写真”では、国民の納得は得られないでしょう。“地球温暖化

問題”は、世界を大きく変貌させようとしています。政治もそれに沿った、“国家として

の中期・長期ビジョン”をもって臨(のぞ)まなければ、国民の“謗(そし)り”は免れませ

ん。

  その意味で、日本の政治はまさに正念場...あるいは土壇場(どたんば/斬罪の刑場)

に来ています...」

 

あけまして、おめでとうございます軍事・担当大川慶三郎です

  “防衛庁”が、“防衛省”へ昇格となります。これは、すでに決定してしまったことで

すが、国民的合意はあったのでしょうか。この調子で、“国民から乖離”した所で、

本の姿が大きく変貌していく様相です。非常に、気がかりです」

 

「そうですね...」茜が、鏡餅越しに、大川に言った。「では、まず、大川さんの方か

ら、今後の《自衛隊の進路》について、お願いします...」

「はい、」

  〔1〕 自衛隊の“真価”が試される時   house5.114.2.jpg (1340 バイト)  

「ええ...」大川が、椅子から立ち、作業テーブルに片手を置いた。「まさに...国家

大混乱の様相を深めています...

  そうした中で、自衛隊“政治”“行政”と同様に、“国民から乖離”した所で、

“米軍との統合”が進んで行くのでしょうか。“防衛庁”の、“防衛省”への昇格を前

に、“自衛隊と国民との乖離”を危惧しています。むろん、これが杞憂(きゆう/とりこし苦労)

であってくれることを願っています」

「はい、」茜がうなづいた。

「そもそも...」大川が、窓の方に目を移しながら言った。「こんな心配をするのも、

《自衛隊気風・文化》というものが、一般国民にはなかなか伝わってこない所に、

原因があります...

  自衛隊も、それなりに努力はしているのでしょう。しかし、もうひとつ、国民との

体感・信頼観が足りない感じです。そこに、いきなり、“防衛庁”から、“防衛省”への

昇格という話が降って来たわけです。しかも、アッという間に決定してしまいました。

  むろん、これは自衛隊が決定したことではありません...“政治”“国民から乖

離”した状態で、決定したことです。おそらく、自民党が推進したことでしょうが、与党

を形成している公明党にも、非常に大きな責任があります。

  また、野党第1党の民主党も、賛成に回りました...これは、“国民を大きく裏切っ

た行為”だと思います。“期待を裏切った”こともありますが...それ以上に、“国民と

の合意形成”のないままに、その方向へ大きく踏み出したことです。

  これは、“2005・郵政選挙”後の、“小泉・政権の行為”と同じです。政党として、

国民との約束がなく、党の意見が割れているのならば、大きく踏み出すべきではなか

ったと思います。

  これは、“この国の形”にかかわる大問題であり、“民意”を素通りできる問題では

ありません。野党第1党の民主党でも、“国民との乖離”が起こっているわけです」

「まさに、その通りです」高杉がうなづいた。「民主党のイメージを、大きく変えてしまい

ました...」

民主党は、」茜が言った。「決戦の年に、国民にどう説明するつもりでしょうか?」

「うーむ...」高杉が、首をかしげた。「自民党活断層が無数にありますが、民主党

フォッサマグナ(大きな溝/糸魚川〜静岡構造線)が顕在化してきましたねえ。

  しかし、政党というコップの中の嵐で、コップが割れたとしても、国家がどうなるもの

でもありません。“政治”が、幼稚園化しています...」

「私たちは、これでは、選びようがありませんわ...」

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「さて...」大川が言った。「私としては...

  自衛隊には、伝統的な《武士道組織》...《サムライ文化集団》として、日本の

《精神文化の支柱》になって欲しいと考えています...もっと深く、“腰を据えた存

在”に、なって欲しいと願っています...」

「軍事力としては、どうかしら?」

《自衛隊の任務》としての、《軍事的プレゼンス》の時代は、すでに“終末”が近い

と考えています...

  戦車連隊大量の大砲は、しだいに無用の長物になって行くでしょう...特に、

日本のような島国においては、そうなります。まず、“敵対するものが存在しない”

言うことです。想定する敵がいないのでは、訓練にも実が入りません。それは、無駄

以外の何者でもありません...しだいに、そうなっていくと言うことです...」

「そうですね」茜がうなづいた。「私たちは、“覇権主義の終焉”をうたっています。そ

うした戦争は、冷戦時代のものですし、次第に過去のものとなって行きますね...

  では、大川さん、今後の《自衛隊の進路》は、どういうことになるのでしょうか?」

自衛隊には、今後想定される、“大震災”“大噴火”“津波災害”“感染症のパ

ンデミック(世界的大流行)、等の“巨大災害”にシフトして欲しいと考えています。これ

は、世界展開においても同様です...

  自衛隊は、創設以来、訓練だけで、一度も実戦はしていないわけです。つまり、

は回避できますが、複合危機の方は常に需要があります。また、こうした危機は、

確実にやって来るわけです。

  また、どうしても海外へ出て国際貢献したいというなら、そういう需要は、海外にお

いても、いくらでもあると言うことです...むろん、戦車大砲を準備し、訓練を重ね

ておくことも、全て無用だと言っているのではありません...」

“防衛庁”“防衛省”への昇格は、必要だったのでしょうか?」茜が、頭をかしげ

た。

「はっきり言って...この時期に、“あえて昇格する必要なかった”と、考えています。

しかし、決まったことです...問題は中身でしょう...

  万一、自衛隊が、“国民から乖離した軍事力”となって行くなら...そこには、何

存在意味ないということです...“国民と一体/シビリアンコントロール下”

ってこそ、“最強の軍事組織”であり...《日本の防人(さきもり)だということです」

防人ですか?」

現代の防人です...

  “政治”“行政”“文化・マスメディア”汚染から、超然と自立し...《真のサム

ライ文化》を形成していけるか...また、常にその《勇姿》が、“国民を引き付けて

けるか”...まさに、《自衛隊の真価・真贋》が、試される時が来たと言えます...

  《自衛隊の大機動力》は、予想される“東海地震”“東南海地震”“南海地震”

等の、大震災対策には、不可欠のものです。また、富士山浅間山などの、大噴火

に対策も、《訓練された大機動力》は不可欠です。《軍事作戦に特化した機動部

隊》とは異なり、《危機管理・機動部隊》は、常にスタンバイの状態が必要です。

  つまり、自衛隊については、国際情勢を睨(にら)みつつ、そうした日本独自の方向

へシフトして行くべきだと言うことです...あくまでも相対的に...しかし先進的に、

組織を改変統合していくと言うことです...危機管理・任務は、自衛隊だけではあり

ませんからねえ...しかし、《訓練された大機動力》を持っているのは、自衛隊

す...」

「うーむ...」高杉が、うなづいた。「なるほど...」

「言うまでもなく...」大川が、立ったままで言った。.「そうした《武勇》だけが...

家・国民を守る道ではありません。“拝金主義”“経済至上主義”から、日本の伝

統文化・豊かな精神文化を守って行くのもまた...国家・国民を守ることだと考えま

す...

  《自衛隊の最終目的》は...“国民と一体”となり、いかに国家・国民を守り抜く

かということです...その《勇姿》が、国民を引き付けて行くのだと思います。それ

が、日本の誇る、《武士道の実践組織/サムライ文化集団》でると考えています」

「はい!」茜が言った。「そうした自衛隊なら、頼もしいですわ!」

「日本は、未曾有の混乱あります...

  自衛隊は、対外活動以上に、日本国民から、自衛隊の真価》が問われていま

す。真に国民から信頼される、《サムライ集団》脱皮して欲しいと願っています。

  塾長の言うように、“政治”も、“行政”も、“文化・マスメディア”も...惨憺たる日

本の現状す...そうした中で自衛隊だけは、毅然として、自立していて欲しいと

願っています。真に、孤高であって欲しいと、願っています」

「うーむ...」高杉が、体を揺らし、脚を組み上げた。「大川さんは、自衛隊には、思

い入れがあるわけですねえ...」

軍事・担当としては、当然でしょう...裏切られることもあるわけですが、日本の軍

事力です...

  しかし、世界情勢の中で、どうも自衛隊は、“上滑り”している感じがします。ここ

は、しっかりとした基本戦略が必要でしょう。

  ポイントとなるのは、“国民との一体感”です...そこを踏み外したり...あるい

は、ズレたりしたら...大変なことになります...しかし、逆に、そこさえ押えていれ

ば、“何をなすべきか”は、おのずと見えて来るはずです...」

「なるほど...」

 

「ええ...」茜が言った。「公共放送/NHKは...“本来任務”を放棄し、官僚化し、

組織として機能不全に陥っています...」

「うむ...」高杉がうなづいた。

「今も、国民から“浄財”を集めつつ、“国民の信頼”をなくした状態にありますわ...

それによって、【民主主義の牙城】【日本文化の守護神“重責”を、まさに放棄し

たままです...

  そのために、国民は...“民主政治の崩壊”と、“日本文化の崩壊”“慣習法の

崩壊”に直面し、途方にくれている状態です。まさに、国家が大混乱となってしまいま

した...

  〔国民の声〕の、〔発露の場〕が、何処にも存在しなくなったからです...公共放

最後の砦だと、国民は思って来ました。ところが、いざそれが必要という時に、

完全に陳腐化してることが分ったわけです。こんなはずでは、なかったと言うことです

わ。いずれ、公共放送は、国民によって解体・再編成されて行くでしょう...

  さて、一方...“国民との乖離”という点において...自衛隊には、絶対に、その

“轍を踏んで欲しくはない”ということですわ...あらゆる意味で、政治に翻弄され

ることなく、《文化的・精神的》に、“国民と一体”にあり...《サムライの立場を確

立》して、それを押し通して欲しいと思います...」

「同感ですな...」大川が、ポケットに手を突っ込み、うなづいた。

  〔2〕 “大艱難”自衛隊の使命  wpeB.jpg (27677 バイト)house5.114.2.jpg (1340 バイト)

 

「さて...」高杉が言った。「このホームページの、【基本的主張】の1つは、“覇権

主義の終焉”...“覇権主義は20世紀の遺物”と言うことです...また、“日本

独自の国際平和戦略”を持つ、ということです...

  大川さん...そのあたりの関連は、どう見ていますか?」

  茜も、大川の方を見上げた。

自衛隊の持つ...」大川が、突っ立ったまま、眼鏡に手をかけた。「大火力・機動力

で...“大戦闘”を展開する場面は...もう地球上には存在しないと言うことです。

  それは、メリカ中国ロシア等の大軍事力もそうでしょう...巨大な軍事力は、

無用の長物ということです。新たに核保有国となった、インドパキスタンも同じで

“環境破壊”や、“地球温暖化”が引き起こす近未来予測が...そうした大戦争

を許さない、深刻な状況にあると言うことです。

  それは、“家の中で爆弾を投げ合う”ようなものです。家が壊れてしまうと言うことで

す。いかなる理由があろうと、これ以上の“環境破壊”は...地球生態系が沈没して

しまうと言うことです...」

「つまり...」茜が言った。「このホームページのスタンスである、“覇権主義の終

焉”...そして、“地球政府の創設”...大軍事力は不要ということですね?」

「そうです...

  それこそ、地球を破壊してしまうと言うことです...しかし、先ほども言ったように、

現実には、いきなり無くせとはいかないでしょう...また、これから、激動の大艱難

が到来します。それなりの、大機動力が必要となります。混乱もあるでしょう...

  しかし、どう見ても、国家レベルでの核武装や、弾道ミサイル迎撃システムのような

ものは、いかにも的外れな、“陳腐な戦略”だと言っているのです...こんなものを

発・推進しているのは、そうした“軍事玩具”を作って儲かる軍需産業や、それに利権

を持つ人たちだけでしょう...」

「もう、“覇権主義”の時代ではないということですね、」茜が言った。「“文明の折り返

し”の時代に...すでに、突入しているという事ですわ、」

「そういうことですね、」高杉がうなづいた。

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“陳腐な戦略”といえば、塾長...」大川が、顎に手をかけた。「“少子化対策”もそ

うですし、“教育基本法”“憲法改正”もそうす。日本は、“疑問符のつく基本戦

略”を、幾つも抱え込んでいますな...“国家の基本政策”において、その意見とい

うものが、大きくぐらついています...

  これは、茜さんが言うように、【民主主義の牙城】というものが、存在しないからで

しょう。したがって、“真の民主主義”が育たず、古い因習の“ムラ社会”が残ってしま

ったからです。

  このことが、日本の民主政治ダメにしてしまいましたな...“世襲議員”“官僚

OB議員”が大量にはびこり、立法府が空洞化し...“政治が国民と乖離”してしま

いました...」

公共放送/NHKが...」茜が言った。「“本来の使命/設立当初の使命”を、放棄

してしまったからですわ...“莫大な浄財”で、“自分たちの好きなこと”“面白いこ

と”だけをやってきたからですわ、」

「その通りです...」大川がうなづいた。「そのために...

  “真の民主主義”が育たず、“国家の基本政策が陳腐”になり...食糧自給率が

40%というような事態に陥ってしまっているのです...くり返しますが、“少子化対

策”も、“教育基本法”も、“憲法改正”も、どれも“疑問符のつく国家基本戦略”

す。

  そんなぐらついた“国家基本戦略”だから、磐石な基盤から来る、国家の安定感

というものがないのです。そんなことだから、広く国民全体に、信頼感が醸成されな

いのです」

国民は、」茜が言った。「政治家役人が思っているほど、“単純でも愚かでもない”

と言うことですわ...」

「津田・編集長が言っていましたが...」大川が言った。「政治家役人の意識という

のは...明らかに、“時代”から遅れています。どうしてこんなことになったのでしょう

か。明確な“時代錯誤”があります...

  2世3世という“世襲議員”や、“天下り”の存在そのものが、何よりの時代錯誤

す。“NHKの官僚化”や、“マスメディアの特権意識”もそうです...“公務員の限り

ない汚職の連鎖”もそうです...

  そして今度は、そうした社会で“グループ化”を謀り、【新しい身分差別】を作り出

し、“社会を2極化”し始めたのです。“労働の2極化”“富の寡占化”も、この流れの

中にあります...これはまさに、“反・民主主義”の流れです...」

「その通りですわ!」茜が、コブシをそろえた。「公共放送/NHKの責任は、非常に

重大ですわ!解体・再編成を急ぐべきです!」

 

「うーむ...」高杉が、首をかしげた。「基本戦略がぐらついているのは、そもそも、

政治家が、50年後、100年後の、国家/社会の未来像を持っていないからで

はないでしょうか...」

「はい...」茜が、高杉にうなづいた。

「ともかく、」高杉が、コブシを口に当てた。「“文明の折り返し”は、必至です...

  そして、“文明の折り返し”“反・グローバル化”が動き出したとしても、文明社

会の大混乱は、必ずおとずれます...混乱は、おそらく...民族・宗教・地域・国家

間の紛争を越えたものになるでしょう...

  出口の無い、より深刻な、人類文明に起因する...“21世紀の大艱難”が到来し

ます...そこでは、生態系の中での、“種の防衛”が急務となって来ます...

  飢餓感染症気候変動自然災害等が、複合的に、相乗効果をもって、人類社

会に襲いかかってきます。磐石に見える文明の基盤も、非常に脆弱な側面が見えて

くるはずです...

  例えば...気候変動による世界的凶作が、容易に起こりうる状況にあります。そ

れは、飢餓を拡大し、大食糧不足を生み出します...すると、社会的活力は落ち、

食糧不足に陥った人類社会にとっては、毎年やって来るインフルエンザや、日和見

感染症さえも、莫大な犠牲者を生み出すことになります。

  こうした状況下では、高度な医療支援もなく、人間は非常にアッサリと死ぬことに

なるということです...文明の防波堤の崩れた所では、およそヒューマニズム(人道主

義)などは無縁の状況です。これが、つまり、生態系における、非常なまでの“環境圧

力”であり、“淘汰圧力”なのです...

  いずれにしても...大量の人類が、淘汰されて行くのは必至です...人口が激

し、文明社会の版図が、遅かれ早かれ、生態系と調和したサイズへの縮小を迫ら

れます...それを、いかに軟着陸させるか、まさに人類の叡智が試されています。

  幸いなことに...日本は今、急速な人口減少社会に向かっています。ここは、

家再編成の、最大のチャンスとなります。抜本的再編成のチャンスです。明治維新

越える、大変革が可能です」

「はい!」茜がうなづいた。「食糧自給率40%の国家が...“少子化対策”人口を

増やせとか、外国人労働者を導入するとかは...基本的戦略の間違った、近視眼

的な対策です...それを、ここで、はっきりと≪宣言!≫しておきますわ...

  それを主張するのは、“現在の産業構造を維持”するための“企業戦略”であって、

“国民の戦略”ではありません。日本は、憲法で保障されているように、“国民主権”

の国家です。“企業主権”の国家ではありません...

  したがって、私たちは、現在の産業構造である、大量生産・大量消費の体制をも、

変えて行く必要があるのです...まず、企業の利益があり、その“溢れた分を国民

に分け与える”、という考え方そのものが、基本的に間違っています...」

「その通りです...」高杉が言った。

日本が...今、やるべきことは...」茜が言った。「コンパクトに国家をまとめ、“大

艱難”に備えることですわ...

  “反・グローバル化”へ...ゆっくりと、大きく舵を切り...“国家の自給自足”、さ

らに、“地域社会の自給自足”を高めていくことですわ...

  その具体的方策として、私たちは、“人間の巣”の展開を提唱しています。文明種

として...生態系と調和した、〔最強の防波堤〕の構築です...地球温暖化を防

止し、環境を復元し...“文明の折り返し”を、本格的に受け入れる体制です...」

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  高杉は立ち上がり、ゆっくり窓の方へ歩いた。

弱肉強食...食物連鎖大喧騒の中で...」高杉が、窓を眺めて言った。「生まれ

てきた事そのものが...“巨大な悲劇の坩堝(るつぼ)であるような、生命の姿...

  “生きるための動因”をかけられた、“生命潮流のベクトル(力と方向)のために...

私たちは、まさに“生かされている”のでしょう...

  私は...このベクトルが、何処へ・何のために向っているのかは分りません...

“エントロピー増大”に拮抗する、“進化・構造化”のためというなら、あるいはそうかも

知れません...しかし、この“環境圧力”“淘汰圧力”“食物連鎖”野性の中か

ら...ホモサピエンスはようやく、“文明を持つに至った種族”です...

  その余裕から...優しい心野生を見つめ、〔弱者を救済〕し...〔慈悲の

心〕をもって、〔極楽浄土〕を建設るために...文明社会を築き上げてきたわけで

す。

  そして今、ようやく、“人間の巣”によって...かすかに〔極楽浄土〕が垣間見えて

来た所でしょうか...私は、そう考えています...」

「はい...」茜が、窓辺の方の高杉にうなづいた。

「しかし、その前に、“大艱難”が立ちはだかっています...

  “人類救済史ストーリイ”が...21世紀に到達した今...その科学技術文明・経

済至上主義という“バベルの塔(旧約聖書/創世記・11章)は、神の逆鱗に触れたのかも知

れません...

  “神”を忘れ...欲望の集積として、グローバル化した人類社会に、“大艱難”

訪れるというのは...あながち、間違った指摘ではないでしょう...歴史の中に、そ

して宗教の聖典の中に...確かに、そうした“教訓”はあったのでしょう...」

「そうですな...」大川が言い、ゆっくりと椅子を引いて、掛けた。

《危機管理センター》の響子さんが...どこかで言っていた、」高杉は窓を向き、寒

々とした新春の空を見上げた。「生態系は、“霜柱”のように、力強くもあり、また非常

に脆(もろ)くもあると...

  100年前まで...あれほど豊かに大繁栄していた地球生命圏が、今、急速に傾

いて来ています...生命潮流そのものは、非常に強力でしょう。しかし、1つ1つの

命は、“霜柱”のように脆いものです...」

「はい...」茜が、コクリとうなづいた。「ええ、くり返しますが...

  文明の危機は、多岐にわたっています。複合的で、私たちのスケールでは、長期

にわたるかも知れません。塾長が言われたように...

  まず、気候変動環境の崩壊...そして、さらなる人口の爆発食糧の危機が到

来します...それから、いよいよ壮大な飢餓に至ります...すでに始まっている

候変動は、人類の農業生産体系を、容易に崩壊させるでしょう。その先にあるのは、

文明社会の崩壊と、人口の激減です...

  別の側面としては...巨大地震巨大噴火...感染症...それから、科学技術

の暴走も、危機の1つとなるかも知れません...そうした、深刻な複合的危機と、異

常に膨れ上がった人類社会の欲望...そして、生態系との傲慢な軋轢などが...

まもなく、総決算に突入します...

  こうした、複合危機を乗り越えていくために、“文明の折り返し”が急務です。そし

て、その複合危機に耐えられる、頑強“人間の巣”という、新しい文明形態が必須

になります。他にも、新しい文明形態の候補はあるでしょうが、私たちは“人間の巣”

を推進しています...人類文明全体の、〔地下都市/半地下都市空間〕へのシフ

トです...」

 

「ともかく...」大川が、立ち上がり、作業テーブルに両手をついた。「こうした状況下

で...そうした様々な危機に対し...《機動力》を持って、《国家・国民を総合的に

守護》すること...それが、これからの《自衛隊の使命》と、私は考えています...

  そういう意味で、《文武両道》高度《武士道組織/サムライ文化集団》とし

て、真に国民から頼れる自衛隊になって欲しいと、願っています...」

「はい!」茜が言った。

                

「ええ、茜です...いよいよ、“激動の2007年”がスタートしました。私たちの、今年

の展開に、どうぞ、ご期待ください!」