My Weekly Journal 時事対談時代の加速

                                       時 事 対 談/時代の加速

           分析/日本の“異常事態” 

       〔1〕 構造的腐敗        〔2〕 文化の空洞化        〔3〕 民意の不在  

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  トップページHot SpotMenu最新のアップロード                      編集長 :   津田  真

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プロローグ 子供達の世代に、より良い社会を、残してやりたい 2003.08.30
No.1 〔1〕構造的腐敗 2003.08.30
No.2 〔2〕文化の空洞化    2003.09.24
No.3 〔3〕法律以前の規範/“慣習法” 2003.09.24
No.4     〔政治の加速〕 2003.09.24

  

プロローグ      index.1019.1.jpg (2310 バイト) 編集長:津田 真   

   子供達の世代に、より良い社会を、残してやりたい! 

    ***************************************************************************

 

「ええ...My Weekly Journal  編集長の津田真です...

  いよいよ、政治の加速が始まりました。時代も、大きく動いていくのを予感していま

す。政局は、9月下旬の自民党総裁選から、衆議院解散・総選挙と動いて行く様相で

す...

  さて、私たち国民の側も、忍耐の限界に達している観があります。ここで、何とか

“日本を変えて行きたい”という思いに満ちています。私も、この時代に生まれた1人

の日本人として、この現状には、非常に“重い責任”を感じています。結局、この混

乱の時代を創出してきたのもまた、まさに“私たち自身”なのですから...」

  津田は、テーブルに片肘を置き、政治部の青木昌一の方を眺めた。

「そうですねえ...」青木が、深くうなづいた。「ここで何とかしなければ、この国は、

間違いなく、ドロ舟のように沈みます...すでに、政治・経済・社会・文化の衰退が著

しく、国家が内部から崩れつつあるのが現状です...」

「しかも、その本来の任務にある、“政治”“マスメディア”も、何故か空回りをしてし

まっています...現在の日本は、“非常に大きな危機的状況”に立たされている事

を、再認識すべきです...」

「はい...

  ともかく、ここで私の思いを一言でいうなら、“子供たちの世代に、より良い社会

を、残してやりたいということですね...

  こんなモラルハザードの社会になってしまったのは、編集長の言うように、まさに

この時代の主権者である私たち自身に、“重い責任”があります。しかし、次の子供

たちの世代にまで、こんなインチキな社会構造を引き継ぐわけには行きません...」

「そういうことですね...

  全ての国民に、“平等の機会”があることが大事です。それから、しっかりとした

“国民参加型の評価システム”が必要ですね」

「まさに、その通りだと思います」

                                        

 

「ええ、星野支折です...お久しぶりです...

  それでは、青木さん...この“日本が異常事態”にあるとは、どのようなことなの

でしょうか。まず、そのあたりから、もう少し詳しく分析していただけないでしょうか?」

「そうですねえ...」青木は、眼鏡に手をかけた。「言いたいことは、山ほどありま

す。しかし、何よりもまず、国民全体が、現在の日本の状況に、非常に大きな不満

持っているということでしょう。

  実例を挙げれば、それこそきりがないほどの“不正”“不満”“インチキ”が、社

会のいたるところに転がっています。まあ、くり返しますが、社会全体が、モラルハザ

ードの状況に陥っているわけです。大国を自認する日本国家が、こんな状況に陥る

というのは、まさに尋常なことではありません...」

「はい...」

「しかし、ここでは、何故このような現象が起ったか、何故現在の“異常事態”に突入

したのか、その根本原因の方を検証したいと思います」

「はい。個々の事例ではなく、根本原因は何なのかを、検証するということですね」

「そうです。ま、いずれにしても、国民はその根本原因は、政治にあると見ているわ

けです」

「それは、当っているでしょうか?」

「当っていると思います。国民大衆というのは、その本質を見抜いているものです。し

かし、私は政治の他に、もう1つ大きな原因があると考えています」

「はい。それは何でしょうか?」

「“マスメディアの機能不全”です...そして、“文化の空洞化”です...

  その結果、現在の日本は国民不在で動いていて、“政治”も“文化”も“経済”も、

全てが“空回り”している状態です。一見、国民が全てに参加しているように見えま

すが、実際には国民との“クラッチ”が噛み合っていません。つまり、国民は取り残さ

れ、ただエンジンだけが空転している様相です...」

「うーん...何故、“エンジンが空回り”しているのでしょうか?」

「政治とマスコミが、“国民の信頼”を失ってしまっているからです。そして、国民自身

も、この時代の中に取り残されているわけです...非常に不幸なことです。馬鹿げ

たことです...」

「うーん...

  そういえは、この間、津田・編集長とマチコが、“辛口時評でやっていましたね。

“政治とマスコミは、国民との信頼関係を取り戻せ”と...」

「そうです。まさに、編集長たちが言っていたことです。“政治”も、“マスコミ”も、それ

から“官僚”もそうですが、“国民とのギア”が噛み合っていません。いずれも、民主主

義国家の主権者である国民を裏切り、信頼関係が失われ、浮き上がってしまってい

ます...

  それは、別の言い方をすれば、“官僚”も“政治”も“マスコミ”も、これまで好き勝

手なことをやり、国民を“支配・弾圧”していたとも言えるわけです。そして、そのことに

対し、いよいよ主権者である国民が、“反旗を翻し始めた”ということですね...」

「うーん...はい!

  それで、今後、私たちはどうしたらいいのでしょうか?」

「まあ...ようやく時節到来です。“時代が大きく流れ始めのを予感しています

「はい!」

「ともかく、まず政治が加速し始めます。これから、衆議院選挙、参議院選挙と政治

が激変するサイクルがやって来ています。国民は、今度こそ、真正面から政治を見据

える必要があります。そして、真に、私たち自身の社会を、変えて行かなければなり

ません。

  社会に対して不満や苦情を言う前に、まず私たち国民自身が、国や社会を変えて

いくために、立ち上がらなければならないということです」

「はい!」支折が、強くうなづいた。

「その通りだね」津田も、コクリとうなづいた。

 

                  wpe23.jpg (21694 バイト)        

 

「この国を、こんな状態にしてしまった政治とは、いったい何だったのか...」青木

は、壁面の液晶スクリーンに、データを表示した。

 

   <農業政策の破綻...“ネコの目”農政と、食糧自給率の著しい低下>

   <金融政策の破綻...護送船団方式の崩壊、税金投入、モラルハザード>

   <文化の空洞化...民意と乖離した勲章、文化全体の衰退、犯罪の多発>

   <教育の荒廃...教育現場の混乱、夢を与えることの出来ない教育>

   <医療の荒廃...対処医療から、健康志向型医療への、抜本改革の遅れ>

   .....

   .....

  

「まさに、これだけの難問が山積しています...

  しかも、これらの問題点をよく見れば、全てが政治の関与による混乱という側面が

あるわけです。いずれにしても、国家がこんな状況にあるわけであり、この大混乱の

“結果責任を取る”という意味において、“長老議員”は全員身を引くべきだと思いま

す。今回が、その身の引き際であり、“出所進退”をわきまえるべき時だと思います」

「うむ...」津田が、うなづいた。「その通りだね。国や社会をこんな状況に陥れて、

“生涯現役”などは、冗談でも許されることではないでしょう。特に、総理大臣経験者

は全員、ここで潔く身を引くべきだと思うね。それが、国家と国民のためです...

  これは、プラスとマイナスの両面が考えられるわけです。しかし、現状を見れば一

目瞭然でしょう...まさに、政治と社会の未曾有の大混乱の現状が、ここにあるわ

けであり、巨大な害を成したということです」

「はい!」支折がうなづいた。

「日本の国民全体は...」青木は、残暑の窓の外に、目を投げた。「あえて、ここで

言うまでもなく、本来非常に優秀な国民です。また、社会情勢や国際情勢に対して

も、きわめて敏感だと思います...

  一方、鈍感なのは、官僚であり、組織としての官僚機構でしょう。むろん、官僚は、

この国のエリート集団です。全てが鈍感だとは言いません。また、その本来の職務と

して、私たち以上に、この国のことを考えている人々も大勢いると思います。しかし、

“天下り”、“公団”“特殊法人”と、まさに税金の無駄遣いを象徴しているのが、

僚全体のイメージなのではないでしょうか...税金を食い物にしているという、悪役

のイメージです。どうして、こんなことになっているのでしょうか...」

「うーむ...」津田が、腕組みをした。「そうだねえ...」

「それから、官僚と並んで、さらに鈍感なのは、政治家であり、政党です。この国で、

堂々と不正やインチキを始めたのは、まさに政治家たちです...

  銀行が、国民の膨大な預金金利を吸い上げ、その一方でゼネコンの数千億円も

の借金を“棒引き”している風景は、まさに象徴的です。しかも、100兆円ともいわれ

る税金が投入され、それが回収されるかどうかも分らないというわけです...

  これらは全て、政治が作り出した巨大なインチキです。こんなインチキをして、社会

が正常に維持できると考えていたのでしょうか。政治がここまで社会に対して鈍感だ

とは、正直、私自身も想像できませんでした」

「まあ...このままでは、すまないだろうねえ...」津田が、腕組みをときながら言っ

た。「是は是、非は非として、いずれ歴史的な判断が下される時が来るわけです。む

ろん、責任も、しっかりと追及されるでしょう。

  まあ、私は、日本はそれができる国だと思っています。日本国家も日本民族も、こ

こで終ってしまうというわけではないのですから、それなりの総括をしなければならな

いということです」

「はい!」支折が、コクリとうなづいた。

「それから、」青木が言った。「マスメディアも“国民を無視”して勝手にやっている観

がありますね。ここをどうするかということも、大事です」

「うーん...何故、国民との“信頼関係”がなくなってしまったのでしょうか?」

「まあ、それには、色々あったと思います...ともかく、国民の側は、長年裏切られ

続けてきたわけです」

「はい...」

「それから...これまでの“自民党政治”では、もうこの国は動かなくなってしまった

ということがあります。その古い、いわゆる自民党的政治を打破するために、小泉政

権が誕生したわけです。しかし、予想以上に、既得権勢力の抵抗が強かったようで

すね」

「うーん...いったい、小泉内閣の評価というのは、どうなのでしょうか?」

「そうですねえ...ここまでの小泉内閣の時代というのは、サイズを小さくして眺める

と、分りやすいと思います。

  つまり、“関八州を治める代官”が、地元の“ヤクザ”に好き勝手にされている時代

劇のような印象ですね。代官が、見て見ぬ振りをしているために、宿場町の庶民が無

理難題を吹っかけられ、非常に難儀な時を過ごしている風景です...」

「その、宿場町の庶民が、国民ということですね?」

「そうです。国民は、期待しつつ、それを裏切られ、結果的に無意味なつらい時代を

過ごしています。そのことに対し、小泉・代官は、“冷たい人だ”という批判も出てき

ているわけです。まあ、その“結果責任”は、確かにあると、私も思います...」

「あの...“ヤクザが無理難題を吹っかけた”というのは、どんなことだったのでしょ

うか?」支折が、真面目な顔で、青木に聞いた。

「ヤクザが、」青木は、口元で、溜め込むように笑った。「実質的に宿場町をのっとっ

れば、どんなことになるか、分るでしょう...

  まず、宿場町は、“モラルハザード”に陥ります...それから、“金”を好き勝手に

動かし、“文化が低俗化”し、一部の人間の“インチキ”がまかり通るようになる...

これは、まさに、何処かの国の現状と似ているわけです。まず、やっていることに、

“品がない”のが特徴ですね...テレビの時代劇で、何度もやっているカラクリです」

「うーん、」支折は、にこりと笑った。「何故か、そっくりです...」

「まあ...誰がヤクザの親分で、どんな子分が暴れていたかは知りません。しかし、

こんな政治は、もう長くはないはずです」

「はい、」

「本来、政治というのは、こんな“異常事態”になる前に、国家の理想のために汗を

流し、それを一歩一歩実現していくのが仕事です。抵抗勢力などというのは、その逆

を行っているわけですね、」

「...」

「ところで、」津田が、青木の方に言った。「小泉首相にも、“非常に大きな結果責任”

があると言ったが、その通りだと思う。リーダーとして、日本丸の舵取りが万全だっ

たのかという、結果責任を再検証する必要があるだろうね」

「そうですね、」

「小泉首相は、確かに経済の再建には熱心だった。しかし、この間、日本人の精神

や日本文化は非常に荒廃してしまった。また、精神的に大きな打撃だったのは、金

融政策全般が、国民にとっては非常にインチキ臭いものだったということもある...

  まあ、宿場町が、ヤクザにのっとられていたという事なら、状況が分らんではない

が、やはり代官の責任ではあるね。いずれにしても、庶民はそれだけ難儀していた

わけだし、何とかせにゃあならんということもある...」

「はい」青木が、うなづいた。「それも、後で検証しようと思っています」

「うむ、」

 〔1〕 構造的腐敗  wpe23.jpg (21694 バイト) 青木 昌一 

       日本の3大・構造的腐敗   <公費の無駄遣い>   

             (1)官僚の天下り

             (2)公共事業の談合入札

             (3)医療費の水増し請求

 

「あの、津田・編集長は、マスコミに対する不満も、しばしば述べられていると思うの

ですが、そちらの方はどうなのでしょうか?」

「うーむ...私も、この日本の“異常事態”を招いているのは、“辛口時評でも言っ

たが、2つの流れがあると見ています。1つは、いま青木が言ったように、“政治的・

構造的な腐敗”です。そして、もう1つは、文化の空洞化です。日本の現状は、この2

つの相乗効果で、国家・民族が、ドロ舟のように沈みつつあります...そこに共通し

ているのは、“国民不在”ということですね」

「その、相乗効果ですか?」支折が言った。

「そうです...

  ええと...ここではまず、“政治的・構造的な腐敗”の方を検証してみましょう」

「はい」

「さて...その、“政治的・構造的な腐敗”というのは、すでに国民も十分承知してい

ることですが、代表的なものは、最初に上げたように、3つあります。

  1つ目は、“官僚の天下り”、2つ目は、“公共事業の談合入札”3つ目は、医療

機関が行う“レセプトの水増し請求”です。これだけで、数兆円というような税金や保

健料が無駄に使われていると言われます。まあ、実際の数字は、計算したことがな

いので分りませんが、影響範囲の大きさを考えると、その規模はさらにに大きなもの

になると思います。

  ともかく、こんなザルで水をすくっているような管理では、国民はどのような“徴税

の強化”にも、今後予想される“増税”にも、納得できないものがあるわけです。とも

かく、ここをキチンとすることですね。そうすれば、国民としても、払うものは払います

し、我慢すべきものは我慢する覚悟があるわけです...」

「あの、編集長...何故、こうした事は改善されないのでしょうか?」

「そうですねえ...

  実は、これらは、改善が叫ばれて久しいわけです。しかし、いまだに、“根絶には

ほど遠い状況にある”ということです。まあ、“自民党支配”が長く続いていた弊害

を、象徴するものではないでしょうか。これらは、いわゆる“既得権”のようになってい

るわけです。

  そして、抵抗勢力というのは、こうした様々な既得権を失うことと戦っている勢力と

いう意味です。本来、こうした所がキチッとしていれば、日本の社会も非常に透明度

が高まり、相当に明るい社会になるはずです」

「はい、」

「まずは、早急に、この“3大・構造的腐敗”を克服することです。これが、日本再生

の、最初のハードルになるでしょう。ともかく、こんなことを許しておいたのでは、国

の構造改革など、できるはずがありません。現状を変えるのは、痛みを伴うわけです

が、いずれにしても不正やインチキは、取り除いて行かなければならないわけです」

「はい!最初の、3つのハードルですね!」支折が、口元を崩した。

「そうですね、」

 

 〔2〕 文化の空洞化         

              マスメディアと国民との乖離        lobby4.1119.1.jpg (2391 バイト)

 ≪国民参加型の、評価システムの不在≫

 社会を熟成する文化の原理から、経済の原理への転落≫

 芸能ニュース・野球ニュース偏重による、メディアの空転≫

   ≪国民参加型評価システムの不在≫ index.1019.1.jpg (2310 バイト)

 

  支折が、窓の方から作業テーブルへ戻った。彼女が開けた窓から、サーッ、と秋の

風が部屋に入ってきた。空には、薄い雲がかかっていた。

  青木は、作業テーブルのパソコンに向かい、インターネットから何かのデータを収

集している。

ええ...それでは、津田・編集長...」支折が、椅子に掛けながら、津田の方に

言った。「編集長は、日頃、“文化の空洞化”について言われているわけですが、そ

れは具体的には、どのようなことなのでしょうか?」

「そうだねえ、」津田は、萩の咲いている窓辺から、作業テーブルに目を戻した。「文

化の空洞化については、確かに、言いたいことは山ほどあります...

  まず、政治と同様に、“マスメディアと国民との乖離”という問題が、限界にまで達

している気がしますこれは、いわゆる政治的な利権構造と、直接結びついている

わけではないでしょう。しかし、この国の文化全体ということで見れば、“政治と国民

との乖離”と、同じステージの上にあるわけです...」

「はい...」支折は、コクリとうなづいた。窓から吹き込んだ風が、パラパラと彼女の

髪を揺らした。

「まあ、政治と同様に、マスメディアもまた、国民との“信頼関係”の“クラッチ”が外れ

てしまっているということです。国民から浮き上ってしまい、エンジンの動力が伝わら

ず、空転してしまっているわけです...」

「はい。それは、私も感じています。原因は、何なのでしょうか?」

うーむ...

  何故、こんなことになってしまったかといえば...おそらくマスメディアの人間も、

政治家の“世襲”と同様に、人材が“コネ”“縁故”に極端に偏ってしまったからだと

思います。そして気がついてみたら、自分たち自身も愕然とするほど、実力が落ちて

いたということでしょう。

  まあ、相当に以前から、こうした実態というものは自覚していたと思いますがね、」

「何故、改めなかったのでしょうか?」

「それが、自己改革の難しさでしょう...自浄能力の問題です...

  まあ、言ってみれば、政治家の“世襲”と同じですね。重々、分ってはいても、“甘

い汁”は吸い続けていたかったということです。しかし、現在、木が枯れてしまう所ま

で来てしまい、右往左往している状況です」

「うーん...どうするつもりかしら?」

まあ、自分では、どうすることも出来ないでしょう...

  こうした傾向は、芸能界にもあります。いわゆる、“スター”が、職業として、世襲化

しているわけですから...いわゆる、“七光り”としてですがね。しかし、考えてみれ

ば、こんなバカげた話はないわけです。まあ、“厳密な意味で”ということになります

が、スターやヒーローなどというものは、その時代が生み出したものですからねえ。

  こうなって来ると、歌舞伎や狂言などの伝統芸能の世襲化が、霞んでしまいます

ね。あれも、功罪両面があり、新しく参加しようとする人たちの門戸を狭くしている面

があるわけです...」

「うーん...社会が、“既得権化”しているわけですね。何でもかんでも、既得権は絶

に離さないと、」

「まあ、そういうことです...

  マスメディアというのは、その性格からしても、“社会の公器”なのです。しかし、そ

のマスメディアでも、“コネ”や“縁故”という既得権が支配するようになったわけです。

むろん、“甘い汁”だから、“コネ”や“縁故”がはびこるのです。まあ、8割、9割がそう

だと言っている声も聞こえてきますね...

  しかし、本来は、そんな甘い世界ではないはずです。結局、実力の伴わない人た

ちがマスコミを支配してしまい、空洞化してしまったわけです...」

「テレビなどで、いい番組を作ろうにも、実力が落ちてしまったということですね?」

「そうです。これもまた、“国民参加型の評価システム”が存在しないことが、最大の

原因だと思います。そして、この“公正な評価システム”は、誰が無くしてしまったの

かといえば、それはマスメディア自身がやったことなのです...

  自分たちが“勝手に評価”し、“インチキ”を押し通し、国民にもそれがわかってしま

ったということです。しかし、“良識”がなくなってしまい、それを直そうともしないわけ

です...」

「うーん...どういうことでしょうか?」

「うーむ...もう少し、正確に分析してみようかね、」

「あ、はい!」

「まあ、あくまでも、私の推察ということですがね、」

「はい!分っています!」

 〔3〕 法律以前の規範/”慣習法”   

 

「それは、ですね...」津田は、インターネットでデータを収集している、青木を見な

がら言った。「この国が、建国以来営々と築いて来た、“社会の器”というものが、こ

れまでは機能していたということです。これは、いわゆる“慣習法的なもの”で、世界

中のどの国でも、どの社会でも、ほぼ共通して大切に保持しているものなのです。分

るかね?」

「うーん...それは、何でしょうか?」

「うむ...それは、“勇気”“努力”“勤勉”...それから“社会正義”や、“優し

さ”などといったもので構成されているものです。人間社会は、このような、いわゆる

“法律以前の規範”として、こうした“慣習法”というものを醸成しているのです。

  当然、日本の社会においても、そうした“精神的・文化的遺産”の膨大な蓄積があ

ったわけです。まあ、いわゆる、戦後から高度経済成長の時代においても、まだこう

した“慣習法”の遺産が、社会のあらゆる機構や文化の土壌を、本質的なところで支

えていたわけです。

  ところが、バブル経済時代の前後あたりから、この“慣習法”が崩れてきたように

思いますねえ...政治家が、“清濁を合わせ呑む”というようなことを、マスコミで平

気で言っていたのも、この頃のことでした。そして、おおぴらに、表舞台でも“ワル”

やり始めたわけです。“清濁を合わせ呑む”ということで...

  また、政治家は、刑務所の塀の上を歩いているようなものだ。内側に落ちたら、

犯罪者だから、落ちないようにしなけりゃいかんというようなことを、堂々とテレビで

言っている政治家もいました...それからまた、“刑務所帰りの作家”が、マスコミで

もてはやされていたのも、この頃のことでした...マスコミもまた、この“ワル”の流

れに、積極的に参加していたということです。NHKにも出ていましたしねえ...」

「うーん...これでは、道徳規範が崩れてしまいますよね、」

「マスコミは、それを承知でやっていたのでしょうね...

  ともかく、政治家が堂々と“ワル”や“悪事”を働き、マスコミがそれに追随し、一般

社会がその“清濁を合わせ呑む”という事態を鵜呑みにしてしまったわけです。まあ、

色々、意見はあるでしょう。が、私は“日本の国家規模でのモラルハザード”は、この

あたりが元凶だったと考えているわけです...」

「はい、」

「いずれにしても、国民全体で、この未曾有のモラルハザードの実体を、徹底的に解

明しなければなりません。そして、“責任”を明確にし、しっかりと“処罰”し、この現状

を克服していかなければならないわけです。

  ともかく、全てを曖昧にしていたのでは、この国家規模のモラルハザードからは、

絶対に抜け出せないということは、はっきりと言っておきます」

「はい!マスメディアも、はっきりと、そうした傾向を作り出してきたというわけです

ね?」

「一部に、そうした意図があったのは、否定できない事実でしょう。その責任もまた、

明確になければ、同じことがくり返され、許されていくということです」

「はい、」

「まあ、マスメディアに関して言えば...古代から営々と引き継がれ、尊重されてき

た“慣習法”を、新たに台頭してきたメディアの力で、壊し始めたということですね。

  その上、“コネ”や“縁故”で採用された人材には、国家や伝統文化をコントロール

していく意思も能力も、無かったということです...残念ながら...」

「うーん...それじゃ、マスメディアは、どんな規範で動いていたのでしょうか?」

「まあ、これは結果論ですが...全体としては、この現状が全てを物語っているので

はないでしょうか。むろん、現在でも、マスコミには優秀な人材も大勢いるわけです。

しかし、全体としては、社会を豊に醸成して行く“文化の原理”から、単なる“経済の

原理”へと転落させてしまったということでしょう...何故そうなったかというと、自ら

が“慣習法”を踏み潰していったからです...また、それで、平気でいられるような集

になってしまっていたというわけです。

  重ねて言いますが、マスコミ社会の全員がそうだと言うわけではありません。しか

し、それが支配的になり、結局、全体が陳腐化してしまったわけです...まあ、この

現状を見る限り、そう言わざるを得ないということですね...」

「はい...それは、分ります...」

「これと平行して、政治も民意を無視して“世襲化”“官僚のOB化”が進行したわ

けです...

  ともかく、“民意が不在”なのです...“単純なわがまま”が、構造化してしまい、

日本の国は肝硬変から肝ガンになりつつあるのが現状だと思います...とても、悠

長なことを言っていられる状態ではないでしょう...」

「NHKなどは、非常に大きな力があったと思うのですが、どうしてそうした流れを阻

止できなかったのかしら?」

「うーむ...そこも重要なポイントの1つです。しかし、実際の所、私には分らないで

すねえ...何故、動かなかったのか...むろん、彼等は、その道の専門家です。自

覚が、無いはずは無いですからねえ...」

「うーん、」支折は、首をかしげた。

「まあ...したがって...それは、NHKはじめ、マスコミ関係者に、直接聞いて欲し

いですね。何故、マスメディアは、国家のために、本来の“民主主義の守護神”とし

て、その膨大なシステムを動かさなかったのか...

  また、その動かないという戦略が、真に正しかったのかどうか、その自己分析に

ついても、示す義務があると思います...」

「はい、」

「ともかく、現在、目の前に、国家大混乱の現実があるわけです。もっとも、私が知っ

ているのは、実はこの目の前の現実だけなのですがね...」

「はい...」

                             

 

断わっておきますが、私は、マスコミ関係のことは全く知らない人間です。ただ、遠く

から、テレビの画面や新聞紙面を眺めているだけの人間です。しかし、それでも、ひ

とりでにそうしたカラクリというものが、垣間見えて来るわけです...」

「はい、分っています。でも、編集長、何故こんな事態になったのでしょうか?」

「まあ、一口に言うのは、難しいですね...

  いずれにしても、マスメディアは、“文化を支配”したつもりだったのかも知れませ

ん。しかし、結局、支配するだけの“力”“誠意”がなかったということです。何故な

ら、本来、マスメディアの役割というのは、“文化を創出”することではないからです。

  マスメディアの仕事というのは、文化を創出することではなく、広く国民の中にある

“伝統文化”や“新しい文化”を、仲介し、演出することなのです。これはつまり、“文

化の伝達者”であるということです。こうした立場で文化を支配するとなると、広い

“信頼”を集めると同時に、そのことに裏打ちされた“権威”が必要になります...」

「文化を創出するのと、文化を仲介し、演出するのは、違いますよね」

「そうです...

  最初は、その仕事をしっかりとやっていたと思うのです。しかし、次第に、そこに

がからみ、特権意識をもつようになり、全てをコントロールしていると錯覚する

ようになったのでしょう。そして、自らが気がつかないうちに、インチキを見透かされ、

大地から足が浮き上がってしまっていたわけです。これでは、“信頼”も“権威”も醸

成されません」

「そうですよね、」

“女子アナ”などと言って、アイドルを自前で作りはじめたのは、その典型でしょう。

それから、アナウンサーやニュース解説者の名前が、テレビ画面に非常に大きな文

字で出てきますね。あれなども、ごく一般的な聴視者の私などが見ていても、“イヤミ”

なものを感じます」

「アナウンサーや解説者は、普通に“節度”を持ってやっていて、いつの間にか人気

が出てくるものですよね」

「そういうことです。まあ、そんなことは全て分っていると思うのですが、その節度

保てないというのは、どういうことなのでしょうかね。一口で言えば、“品位”がなくなっ

てしまったということでしょうか。

  いずれにしても、マスメディアがそんなことだから、日本の文化全体が、“品位”が

なくなってしまったような気がします」

  支折がうなづいた。

「それで、編集長...私たちは、どうしたらいいのでしょうか?」

「今からでも、“抜本的な改革”を始めることでしょう。マスメディア全体で、“コネ”や

“縁故”の採用をやめ、優秀な人材や個性的な人材を、ドンドン採用することです。そ

うでないと、優秀な海外のマスメディアと、対等に渡り合ってはいけないでしょう。

  実際、日本のマスメディアは、海外のメディアと対等のつきあいが出来ているのか

どうか、少々不安になってきます。まあ、そんなことは無いと言うかも知れませんが、

日本の文化を、ここまで衰退させているのは事実ですからねえ...」

「うーん...」支折が、うなった。「ええと...それでは、青木さん...少し具体的な

例をあげて欲しいのですが、いいかしら?」

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「はい。そうですねえ...」青木が、パソコンの方から肩を回した。「今、北野武・監督

の...新作の“座頭市”の記事を読んでいました。このことについて、少し話しましょ

う。皆さんが、言いにくいことを、ここではあえて言いましょう...」

「あ、はい!よろしくお願いします、」

「ええ、先日...イタリアの“ベネチア国際映画祭”で、監督賞を受賞した北野武さん

の“座頭市”ですが...なんと言いますか...私はむろん、その映画を見たことは

無いわけですが、何となく全体が“インチキ臭い賞賛”のように見えますねえ...

  くり返しますが、私はその映画を見ていないのです。したがって、内容のことを言っ

ているのではありません。その評価のシステム全体が、信用できるものなのかどうか

と、肌で疑問を感じたということですね...

  まあ、国際映画祭での評価ですし、新聞も第1面で写真入で報じています。しか

も、テレビでも、NHKをはじめ、各局で大々的に報じています。しかし、マスコミ全体

が、何となく国民の信頼を失っているわけで、これも果たして、どうなのかということ

です...」

「はい!」支折が、強くうなづいた。「何となく、これも毎年くり返されてますよね...

  野球は、松井とイチロー。映画は北野武・監督...それ以外の人は、最初から無

関係という報道ですよね。一番肝心なのは、国民大衆の評価だと思うんですけど、」

「そうですね...北野監督の映画は、観客動員はあまりないと聞きます。つまり、肝

心の国民があまり支持していないのに、マスコミと国際映画祭がフィーバーしていま

す。現在の日本のマスコミを象徴しているような光景ではないでしょうか...何故

か、歯車が噛み合っていないわけですよ。そして、それで平気でいられるわけです」

「そうですね...何故こんなことになるのかしら?」

「何故かは分らないが、国民はついて行かない。しかし、マスコミの方は空転してい

て、オーバーヒートしています。つまり、信頼関係というクラッチが外れているような気

がします...

  まあ、逆に、シャガールの絵のように、ヨーロッパではあまり評価されず、日本で

は異常に高い人気があるという芸術もあるわけです...」

あ、」支折は、ニッコリとと笑った。「私は最近、上野の東京都美術館で、シャガール

の絵を見てきました。

  うーん...でも、肌が合わないというのかしら、私はあまり好きにはなれませんで

した」

「ほう、見た来ましたか...そうですねえ...まあ、私にも、あの絵はよく理解でき

ないですね」

「はい、」

「それにしても、」津田が、言った。「新作の“座頭市”は、国際映画祭で評価され、日

本のマスコミもこぞって絶賛...まあ、うらやましい限りです。

  ただし、この評価は、まだ日本の国民全体の評価ではないわけでしょう。肝心なの

は、我々国民が、どう評価するかです」

「そこですね」青木が、うなづいた。「これは“上意下達的な評価”であり、“国民不在”

ですね。まあ、国民は、これから評価すればいいわけです...しかし、権威の筋から

言われて、何となく“インチキくさい”と感じるのは、何故でしょうか...」

「全体的に、権威筋の信頼感がなくなっているということでしょう。春と秋の叙勲と同

じ構造だな...どこか、国民と乖離している...」

「それから、もうひとつ...」青木が、支折の方に言った。「プロスキーヤーの三浦雄

一郎氏が、高齢の父親と一緒に、高い山から滑り降りたという話があるでしょう、」

「はい」

「あの話も、確かに、多少の話題性はあるし、文句はつけにくいわけです。しかし、

中身がないですねえ。まあ、国民がどう評価しようが、そんなことは関係ないというこ

となら、それはそれで分りますがね...」

「うーん...はい!」

「いずれにしても、今、マスメディアへの信頼感が、相当に低下しています。日本の

政治状況、経済状況が、未曾有の大混乱に陥っているのに、マスメディアは本格的

“大討論の場”を、全く提供していませんからね。

  特に、国全体がモラルハザードに陥っている事態に関しては、マスコミに原因と責

任の一端があることです。したがって、ここはマスコミが主導して大討論を開始し、

“政治”、“経済”、“倫理”の、大軌道修正を推進していくべきだと思います...」

「そうですよね...何故、マスコミは、動かないのかしら?このままでは、益々国が

衰退して行ってしまうのに、」

「まあ、知らないわけじゃあないでしょう...すると、何らかの意図があって、そうし

ているということです。しかし、国の混乱を加速させ、国家を衰退させて、どんなメリッ

トがあるというのでしょうか。

  理解できませんねえ...特に、公共放送であるNHKには、その重い責任と義務

があると思うのですが、何故かソッポを向いている感じがします。何故、国民的な意

見を集約し、社会全体で伝統文化を復活し、新しい倫理体系を創出していく事業を

展開しないのでしょうか...」

「あの...伝統文化を、復活するのでしょうか?」

「ああ、はい...

  まあ、現在、日本の社会全体・国民全体が、アイデンティティーを失い、道に迷っ

ている状態です。道に迷った時は、分る場所まで戻るのが最も賢明なのです。

  したがって、現在の日本の社会は、私たちの理解できる“伝統文化”まで、いった

ん引き下がることです。

  例えば...ご飯と味噌汁と焼き魚の食生活に戻り、そこで生活しながら、そこか

らもう一度、21世紀の日本と世界の状況を、静かに見渡してみるということです」

「はい...」支折が、深くうなづいた。「でも...マスコミは、何故動かないのでしょう

か?」

「それが、分らんねえ...」津田が言った。「とにかく、日本の国が大混乱に陥ってい

る時に、NHKが文化の方ばかりに力を入れていたのでは、改革はいっこうに進みま

せん。文化も確かに大事ですし、NHKが日本の文化を支えている現状はよく分りま

す。

  しかし、NHKには、“本来の任務”の方も、しっかりと果たして欲しいわけです。つ

まり、この国家大混乱の折、“この国の形”をどうするかという大問題です。こっちの

方にも、真正面から取り組んで欲しいということですね。NHK運営委員会は、この問

題をどう見ているのでしょうか」

「その通りです」青木が言った。「マスメディアも、ガラス張りの運営で、日本の統治機

構を、側面からしっかりと支えて欲しいですね。今、日本はまさに沈没しつつ、必死で

生まれ変わろうとしている時ですから。

  いずれにしても、そういうわけで...NHKをはじめとする“マスメディアの大改革”

も、その一環として、是非推進していかなければならない項目の1つです」

そうですね」津田が言った。「電子技術や光技術のイノベーション(技術革新)は、凄まじ

い速度で進んでいます。年内には、テレビの地上波でのデジタル放送も開始される

ようですね。これは、衛星放送に対する地上波ということなのでしょうか。

  ともかく、その結果、どのような影響が出てくるのか、私にはよく分りませんが、す

ごいことになるようですね。テレビがデジタル化すれば、インターネットと競合してきま

すし、デジタル・ハイビジョンなども普及していくわけでしょう...」

「はい、」支折が、風で乱れた髪を、指でかき上げた。

「しかし、そうしたインフラの飛躍的な技術革新とは裏腹に、情報の内容をつかさど

るマスメディアが、国民の信頼を失っているというのでは、どうにも話になりません

ね。いわゆる、そこに流すソフトの方が問題なわけです。

  ともかく、政治・経済・社会が大動乱期に突入したこの機会に、マスメディアもまた

“革命”を起こして変って欲しいと思います。政治の世界で、これまでの社会の“重

石”となってきた長老議員がみんな引退していきます。それだけでも、時代が大きく

動いた感じがしますね。

  社会の“重石”がとれ、“閉塞感”が無くなり、非常に動きやすい明るい時代が来

たと思っています。ともかく、21世紀は、これからの若い世代が築いていく時代です。

若者が中心になって、積極的に政治に参加し、日本の“新・民主主義社会”を構築し

ていって欲しいですね」

「はい!」

〔政治の加速〕            

「ええ、最後に津田・編集長...」支折が言った。「自民党・総裁に小泉さんが再選さ

れました。そして、安部・官房副長官が、自民党・幹事長に抜擢されました。自民党

では、この安部・幹事長が、次の衆議院選挙を仕切っていくことになるわけですね」

「はい。組閣の方も、選挙向けにシフトしましたね。これからは、政治は、選挙一色で

動いていく様相ですね」

「はい。私たちは、何を見ていったらいいのでしょうか、」

「そうですね、まず、この歴史的となる総選挙を見ていく上で、重要なポイントを幾つ

か上げておきましょう。とりあえず、3つ、上げておきます。

 

<1> “こんな国”にしたのは、いったい誰なのか?

  ここ20年ほどの歴代の総理大臣をはじめ、この国を主導してきた人た

ちは、本当に真剣にこの国を導いてきたのか...

  国を動かすかたわらで、自分たちの勝手な思いで権力を乱用し、倫理

観を破壊し続けてきたのは、誰なのか。私たちは、一歩下がり、原点に立

ち返って、ここ20年ほどの歴史の流れ、“狂騒劇”全体を見渡してみること

が必要です。国家大混乱を招いた原因、失政は、全てこの20年ほどの歴

史の中に凝縮されています。

<2> この混乱を作り出した人たちは、

           真に“国民が納得する形”で、責任をとったのか?

  この人たちが、逆に現在でも“焼け太り”して、巨大な権限をもっている

ようなら、まさにそこに“この国のインチキ”の根源があります。

<3> “責任”と“処罰”を明確にし、

                      不正を排除することが第一歩

  この処理が、まず最初です。その後、“日本の21世紀の国づくり”が始

まります。今回の衆議院選挙は、まさに、この第1歩、第2歩となるわけで

す。

  これからの、21世紀の社会は、“若者”が責任をもって切り盛りしてい

かなければなりません。その肝心の若者が逃げていて、“政治に無関心”

というのでは、話になりません。いずれ、“国の全て”が、次の世代に受け

継がれていくことになるわけですから...

 

  現時点で、言っておきたいのは、このぐらいですね。ともかく、与党側、野党側と

もに、目先の人事人気ににとらわれず、その背後にある“大きな流れ”に目を向け

ていって欲しいと思います...

  個人的な好き嫌いでは計れない、大きな“歴史の潮目”がやって来ています。そ

の規模、世界への影響の大きさから言っても、“明治維新をしのぐ大変革”が、今静

かに始まろうとしています。

  最初は、不安定な、まとまりの無い、支離滅裂とも見える流れです。しかし、やが

て、これは大きな安定した流れにまとまっていきます。それが、歴史に見る、数々の

“革命の姿”です。

  しかも、民主主義社会においては、それは流血の革命ではなく、議会の中で粛々

と進行して行く革命です。そして、それに火をつけ、革命を推進していくのは、まさに

“主権者”である、我々国民1人1人なのです。国民の、純粋な、よりよい社会を形成

していくという意思が、この国を変えて行くのです...ここで、油断スキを突かれる

ということは、これまでの既得権勢力に利用されるということになります」

「はい!

  ええ...編集長からのメッセージです。よろしくお願いします...うーん...私た

ちも、これから忙しくなりますね」

「ともかく、先入観にとらわれずに、しっかりと見極め、選択して欲しいと思います」

「はい!

  あの、青木さん、最後に何か、一言、」

「そうですね...政治では、“失敗”は絶対に許さない、厳しいものだということで

す。失敗したら、“責任”をとり、“身を処す”ということです...

  特に、最近の首相経験者や長老議員は、失政があっても、“責任”もとらなけれ

ば、“身を処す”という事もしてこなかったわけです。これが、社会を大混乱に陥れた

一因になってきたと思います

 

「はい!ありがとうございました!

  今回の対談は、これで終了します。今後は、“衆議院選挙・特集”の方に移ります。

こちらの方も、どうぞご期待ください」

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