My Weekly Journal “新世紀・ルネッサンス”の提唱 新時代の、戦争責任の考察

  〔新世紀・ルネッサンスの提唱                  【緊急課題/No.2】 

        新時代の 戦争責任の考察   

             あの戦争は何故起ったのか?

     何故、内外でアレほどまでの犠牲者を出してしまったのか ?

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 トップページHot SpotMenu最新のアップロード         編集長 :   津田  真 / 高杉 光一

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プロローグ 2001. 9. 7
No.1 日本は今こそ、中国や韓国の言うことに、真摯に耳を傾けるべき時... 2001. 9. 7
No.2 新時代における、歴史としての戦争処理      2001. 9. 7
No.3 国際軍事法廷 “東京裁判”とは...   ****

 

プロローグ                

 

暑い日が続いています。My Weekly Journal 編集長の、津田真です。

  ええ、21世紀最初の終戦記念日(8月15日)は、小泉首相の靖国神社参拝問題

に端を発し、内外共に荒れ模様でした。その夏も過ぎ、はや9月になりましたが...

高杉・塾長、いったい何が問題だったのでしょうか?今、ここで、冷静に考えてみたい

と思うのですが、」

「うーむ...

  最大の問題は、日本があの戦争全般を、総括していないということでしょう。あの太

平洋戦争と日中戦争は、何が間違いだったのか?何故、起こったのか?また、敗戦

がすでに決定的となってから、何故、さらに何百万人もの膨大な犠牲者を出さなけれ

ばならなかったのか。純・軍事学的に考えても、何故歯止めが掛からなかったのかと

思いますね。日本は、ニ度と同じ過ちを繰り返さないために、ここをしっかりと研究し、

自国の歴史として総括しておくべきです。

  これは、戦後の日本という国家を形成する上で、是非やっておかなければならな

かった基礎工事でした。それを怠ったために、いまだに屋台骨がガタガタとしている

のです。これは言い換えれば、あの戦争に対して、日本人自身のケジメが、いまだ

につけられていないと言う事なのです。」

「そうですねえ...何となく“1億総懺悔(ざんげ)というようなことになってしまって...」

「ドイツでは、ヒトラーやナチス党がしっかりと批判され、また戦争そのものも、しっかり

と総括されていると思います。だから、あれだけの迷惑をかけながらも、現在では再

び近隣諸国の信頼を得ています。

  まあ、あのような陸続きの国では、歴史的に何度も何度も、互いにこうした紛争を

繰り返しているわけですが...」

「しかし、それにしても、日本の場合は、反省が甘すぎるということですか...」

「いや...今も言ったように、反省が甘すぎるというよりは、自分の国の歴史に対し

て、日本人自身のケジメがついていないと言う事です。したがって、近隣諸国に対し

ても、形の上では戦後処理がなされていますが、そこに精神が伴っていないと言う事

です。これは、我々自身にも、非常に良くない事だということです...」

「ドイツでは、ナチスの犯罪を暴いた自国の裁判が、あまりにも自虐的だ、などという

意見もあると聞きます。もう、過去の恥を暴いたりせずに、そっとしておいて欲しいと

...」

「いや...それはやはり、ドイツには必要だったのだと思います。その当時の指導者

が、しっかりとそう判断したのですから。そして、周辺諸国やイスラエルも、それを評

価しています。

  しかし、日本の場合、あの戦争に対するケジメの無さが、逆に日本の国家的精神

を、ダメにしたのではないでしょうか。“武士道”だけが、日本人の精神的ルーツとは

思いませんが、そうした日本人の良き内面性さえも、一切、葬り去ってしまったので

す。

  むろん、それには理由もあり、それなりの意味と時間経過もありました。そこで今こ

そ、一切のタブーを排し、あの戦争と、戦後について、歴史的総括を行うべき、絶好

の時期だと思うのです...」

「はい...ええ、それではさっそく、本論の方に入って行きたいと思います...」

 

 

 (1) 日本は今こそ、中国や韓国の言うことに、

                        真摯に耳を傾けるべき時・・・

 

「高杉さん、今、戦争に対する日本人自身のケジメがつけられていないと言われまし

たが、そのあたりをもう少し詳しく話していただけるでしょうか、」

「はい。まず...

 

  私たち日本人は、中国や韓国が、“靖国神社”や“教科書問題”で、何故あれほど

激しく抗議するのか、彼等の言っていることに、真摯に耳を傾けてみるべきだと思い

ます。ただ、

 

   「聞きたくない...!」                    

 

と突っ張るのではなく...そこに中国や韓国の政治的な意図があると疑うのではな

く...まず“武士道精神”で、真正面から向き合って、話を聞いて欲しいのです。

 

  例えば、ドイツの周辺諸国で、毎年こんな抗議が起きているでしょうか...ところ

が、日本では、事あるごとにこうした問題が噴出してきます。つまり、どこかに火種が

残っているからです。」

「確かに...戦後生まれの私たちには、こうした歴史的事実は、過去形で、すでにあ

ったことでした。したがって、私たちに責任がどうのと言われても困りますが、私たち

はやはり、この負の遺産は背負い続けて行かなければならないのでしょうねえ...」

「はい。そういう事だと思います...

  しかし、一方、1億2000万の日本人には、もう1つ、被害者としての側面もあるわ

けですよ。つまり、310万人もの犠牲者(一般人をも含めた日本人の犠牲者)を出した戦争被害

者として、あの戦争を指揮した責任者を特定し、自国の歴史として総括する義務が

あるのです。また、あの戦争で甚大な被害を受けた国の人々も、真に求めているの

は、ソレなのではないでしょうか。つまり、日本人自身のケジメです。

  津田は何も言わず、かたわらの団扇(うちわ)を取り上げた。

「まあ...いくら謝られても、戦争はすでに終わってしまったこと...」津田は、ゆっく

りと団扇を使いながら言った。「...後は、ニ度と再び、こうした戦争を起こさないよう

に、日本という国家と日本人に、しっかりと反省してもらう以外にはないわけですね。

犯罪の被害者が、よくそう発言するように...」

「そういうことでしょうね」高杉も、団扇を拾い上げて、顔を煽(あお)った。

ところが...日本では、そのあたりが、実に曖昧模糊としているわけですか...つ

まり、ケジメが無い。戦争が、総括されていない...スポーツの試合で負けたみたい

に、“1億総懺悔(ざんげ)という事で、“整列して、一礼...”というようなことをしてい

る。これでは、被害者の側は、疑心暗鬼に陥るでしょうな...」

「その通りです...」高杉は、団扇をスッと縦に振った。「これでは、釈然としないで

しょう。賠償金を払えばすむという問題ではない。被害を受けた国にしてみれば、日

本はまた、同じことをやるのではないかと、不安になるわけです...日本人自身の

ケジメがついていないわけですから...

  まあ、長い人類の歴史の中で、日本やドイツだけが戦争の加害者というわけでは

ありません。また、民主主義という概念も、戦後世界のパラダイムです。あの当時は

まだ、植民地主義帝国主義が幅を利かせていた時代だったということもあります。

まあ、それが世界の趨勢だったわけです...」

「はい、」

「つまり、日本の側にも、色々と言い分はあると思います...しかし、まずは...

  1億2000万の日本人自身が、あの戦争を公正に分析し、指導者の歴史的な責

任を考察し、二度とあのような戦争を起こさないように、しっかりと総括しておくという

ことでしょう...全てをひっくるめて、あの時代を、歴史として考察するということで

す。これは、憲法9条を闇雲に擁護するよりも、さらに大事な事ではないでしょうか、」

「しかし、高杉さん...1兵士や1指揮官には、やはり戦争責任は無かったでしょう。

それから、天皇陛下にも、戦争責任が無いというのも、よく分る気がします。確かに、

象徴ではありましたが、天皇陛下が戦争を指導したのかとなると、首を傾げてしまい

ます。このあたりは、国民的合意が、すでにあると思います。

  では、実質的に、あの戦争は、どのように遂行されたのかということです...

「うーむ...現在の日本では、口に出して言いにくい雰囲気にありますねえ。しか

し、この暗黙の不快感...触れることへの国民総意的な拒否感...これこそが、こ

の問題で、もっとも国益を損ねてきたのではないでしょうか...」

「うーん、高杉さん...歯切れが良くないですねえ、」津田は、顔をくずした。パタパタ

と団扇で顔を煽った。

「まあ...」高杉は、笑って天井を見た。「我々も...このあたりのことは、歴史の教

科書では習わなかったわけです。マスコミも、何故か、あえて積極的に報道してこな

かった。そして、何となく“1億総懺悔(ざんげ)というようなことになっていたわけです。

  しかし、このような、誰も責任をとらないような戦争処理は、よくないことです。やは

り、あの巨大な悲劇となった、戦争へ続く誤った道を分析し、当時の指導者の責任

を、しっかりと明確にすべきです。その上で、ニ度と再び同じ過ちを起こさないような

システムを、私たちの手で作り上げていかなければならないということです。」

「それで、高杉さん、具体的にどうしたらいいのでしょうか。あの戦争は、やはり、次

第に遠いものになって行きますが...」

「あの戦争について、戦勝国側が行った国際軍事法廷“東京裁判”が、参考になる

でしょう...正式には、“極東国際軍事裁判”というのですかね...」

「ははあ...」

 

   (2) 新時代における、歴史としての戦争処理 

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「ええ...星野支折です...

  第2次世界大戦が終わってから、すでに半世紀以上が過ぎました。日本でも、戦

後生まれの人が、この国の圧倒的多数になりつつあります。そして、戦争はいまだ

風化せず、なおかつ歴史としての評価を待っています...

  あの戦後処理における、国際軍事法廷“東京裁判”、“国体護持”、“A級戦犯”。

そして、今も心に残る“特攻隊...”“ひめゆりの塔...”、広島と長崎に投下され

“2つの原子爆弾...”

  それから半世紀を越え、21世紀に入った今、私たちはあの戦争を歴史として評価

する、絶好の時期に来ているのではないでしょうか。社会が安定し、忌まわしい記憶

も過去のものとなり、ようやく冷静に議論できる時期が来たと思います...」

 

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「そうですねえ...」高杉は、茶碗を両手でしっかりと握りしめた。「いまさら“国体護

持”などと言わなくても、この国はビクともするものではないでしょう。そして、国民は、

日本の歴史の中で脈々と続いてきた、天皇の地位と言うものを、深く敬愛していま

す。」

「はい、」支折は、コクリとうなづいた。

「問題は、真の戦争責任者です。このあたりから本音で議論を始め、新しい自主憲法

制定へ持っていって欲しいですね。あのような戦争でも、いずれは全てが公開され、

歴史的な評価が下されるのだと言うことが、大きな歯止めの1つになると思うからで

す。」

「はい。あの戦争の日本人自身によるケジメ...歴史としての評価...そして、自

主憲法の制定で、ようやく日本の戦後処理が完成するということでしょうか?」

「そうですね。まあ、その過程で...日本人の誠意というものを取り戻し、謝罪すべ

きものはしっかりと謝罪すべきです。その上で、21世紀の未来型社会を構築してい

って欲しいですね」

「はい」支折は、コクリとうなづいた。