My Weekly Journal  /第1編集室 /維新・戦略ルビコンを渡る市場の戦略化戦略会議

               サイは投げられた        

           【富の正しい公平な再配分】 サイレント・マジョリティー(声なき多数)の戦略

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トップページHot SpotMenu最新のアップロード                                  担当:  津田 真    

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プロローグ          ...膨大な借金財政 2005.11.24
No.1 〔1〕 トヨタ、キリンの次は...キャノン  2005.11.24
No.2     “サイは投げられた 2005.11.24

   

  プロローグ              

「秋月茜です...

  いよいよ秋も深まってきました...日本の改革も、各方面で動き出しているようで

す。ところが...小泉・政権の改革は、国民生活とは乖離(かいり)しているように感じま

す。政府系の金融機関の統廃合なども、必要なことは理解します。でも、もう一方で、

肝心の生活観が見えてきません。国民生活が、一向にラクになる感じがしません。

  “十分に豊な日本の国”でありながら、国民生活の面では“格差社会が拡大深

化”しつつあります。私たちは、“真に国民主権の国家”“真に国民主権の社会”

創出するために、“新たな革の座標軸”を提示しています。

  それが、この国に、“主権者”による“真のシビリアンコントロール”を確立する、“維

新・戦略”です。まず、日本丸の羅針盤を、大企業中心から、国民中心に修正して

行きます。今後の展開に、ご期待ください!」

  〔1〕 トヨタキリンの次は    キャノン  

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  マチコは、プリントアウト/拡大した一覧表を、作業テーブルの上に広げた。

「うーん...大企業も、結構いっぱいあるわねえ...」マチコは、横を向いて、コーヒ

ーを飲みながら眺めた。

「100社ぐらいは、あるのかしら、」弥生が、タバコを持った手を立て、のぞき込んだ。

「自動車はトヨタ...ビールはキリン...同じ業界から、ターゲットを2つ選ぶわけに

は行かないわよね、」

「そうでしょうね...」弥生が、タバコを口にくわえ、細い煙を吐いた。

GNP(国民総生産)とか、GDP(国内総生産)とかに、影響はないのかしら?」岩清水千春

が、マチコの顔をのぞき込んだ。

「うーん...かわりに、ホンダを買えば同じじゃないかしら...ビールだってそうよ。

キリンは、我慢しなきゃならないけど、」

「そうかあ...景気回復には、関係ないわけか...」千春が、言った。「名前だけ見

ていても、何をやっている会社か分らないわね、」

「うん...」マチコが腕組みをした。「要するに、そうなのよね...やっぱり、サイコロ

で行こうか...」

カエサルは、よっぽどサイコロが好きだったのかしら。ルビコン川を渡る時、よくそん

なことが言えたと思うよ」

「古代ローマ時代にも...」弥生が言った。「サイコロがあったんですのね。日本のサ

イコロとは、ルーツが違うのかしら?」

「あ、私はさ、」千春が言った。「八角形のサイコロ、見たことあるよ」

「あら、そんなのがあるの?」弥生が言った。

「うん...8面体も、12面体もあった」

「ふーん...でも、普通は、6面体ね...」

「そうよね、」マチコが言った。

「もし、カエサルの振ったサイコロがあったら、」弥生が微笑んだ。「すごいお宝になり

ますわね」

「うん!」千春がうなづいた。

「オーイ、ポンちゃん!」マチコが、ポン助の方に声をかけた。「サイコロ!サイコロ!」

「オウ...」ポン助は、剣菱(酒の銘柄/辛口)の杯を、グイと飲み干した。ブラッキーの肩

越しに、作業テーブルの方を見ながら立ち上がった。

  ブラッキーも、ゆっくりとタバコをもみ潰し、椅子から立ちあがった。

 

 “サイは投げられた” 

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  マチコが、拡大した大企業の一覧表を、テーブルの真中にずらした。

「それじゃ、ポンちゃん...カエサルになったつもりで、サイコロを振ってもらいます。

あ、椅子の上にあがっちょうだい...」

「よし、」ポン助は、椅子の上にのぼり、その上に立った。「こうかよ、」

「うーん...そうね。そこから“サイは投げられた!”と言って、この一覧表の上に、

サイコロを投げてちょうだい...サイコロは、2つ持っているわね?」

「おう、2つあるよな、」

「トヨタ、キリンに続き、大企業を2社選びます...では、始めます...

  厳かにするために、1分間黙祷(もくとう)します。それから、“サイは投げられた!”

言って、投げて下さい。他に何かあるかしら?」マチコは、津田・編集長の方を見た。

「うむ、そんな所で、いいでしょう...

  まあ、“ミッション・コーディネーター”は、マチコさんの任務の1つです。“生態系

監視衛星/ガイア・21”の打ち上げも、成功していますからね。今回も、頑張ってく

ださい」

「はい!」マチコは、目を閉じ、コクリとうなづいた。「しっかりと、頑張ります!」

「うむ!これは、“維新・戦略”の上でも、非常に重要な決断になります。しっかりやっ

てください」

「はい!

  ええ、では、静粛にして下さい...それでは、始めます...

  1分間黙祷....................................... 

  はい...それでは、ポンちゃん、“サイは投げられた!”と言って、サイコロを投げ

て下さい」

「おう!」ポン助は、サイコロを2つ握りしめ、両手を合わせてかざした。そして、「“サイ

は投げられた!”」と言い、ポイと上へ放り上げた。

  サイコロは、一覧表の上で、コーン、コーン、跳ね返った。1つが、チャポン、とマチ

コのコーヒーカップの中に入った。コーヒーが、回りに飛び散った。もう1つは、弥生の

腕に当り、一覧表の端の方に転がって行った。

                  

「うーん...」マチコが、スプーンでコーヒーの中を掻き回した。

  カラカラとサイコロに触れる音がした。それを、そっとスプーンで端の方から引き上

げた。受け皿に、カランと落した。弥生が、ササッ、と汚れた所をナプキンで拭いた。

「もう1つは、」弥生が、ナプキンをワゴンに放りながら言った。「キリンビールの上で、

Bの目が出ていますわ...3つ、進むのかしら?」

「うん...そうよね」マチコが言った。「キリンビールは、もう決まっているし、」

「3つ、先は...キャノンね...」

キャノン...聞いたことがあるよ、」千春が言った。

「カメラのメーカーですわ...多分、」

カメラかあ...」マチコが、首をかしげた。「値段的には...ビール自動車の間よ

ね...」

「そうですね、」茜が、両手の指を組みながら言った。「値段的には、いいんじゃないか

しら」

「ウーム...」津田が、野太い声でうなった。「キャノンが出たか...ウーム...」

  津田は、それから腕組みをして考え込んだ。

「コーヒーの中に入っちゃったしさあ、」マチコが言った。「もう一度振った方がいいかし

ら?」

「いや、いい...」津田が言った。「こういうものは、二度、三度とやるものじゃない。

意味がなくなってしまう」

「キャノンに...」弥生が、首を傾げた「どんな意味がありますの?」

「ウム...キャノンの目が出たのなら...それでいいのだろう...

  ちなみに、キャノンの御手洗(みたらい)富士夫・社長は、経団連・副会長だ。そして、

次期・会長に内定している。もっとも、我々にとっては、この一覧表の企業の内、どれ

が当ってもいいわけだ。結果は同じだからねえ...

  我々は、“富の寡占化”“労働の二重構造化”“新しい身分別の出現”、という

3点セットを創り出した小泉・政権は、非常に危険だと、以前から警告をして来まし

た...

  もっとも、最初は強く支持しました。しかし、小泉・首相が国民の期待を裏切り、

傾化に舵を切った時点から、小泉・政権は、一刻も早く終らせるべきだと警告してき

たわけです。

  ところが、逆に“奥田・経団連会長”は、“国民の弾圧者”に変貌した小泉・政権

を、非常に高く評価し始めたわけです。経団連は、“財界の総本山”とも言われます。

つまり、財界が“国民の弾圧者”に変貌したわけです。

  生産性が上がっていないのに、大企業は空前の黒字を出しています。この冬のボ

ーナスも、空前のものだと言います。つまりそれは、“労働の二重構造化”...低賃

金のパート・派遣労働者の賃金から搾取したものです。そして、その潤沢な資金の一

部を、小泉・自民党に献金したわけです。そして、小泉・自民党は圧勝...一方、国

民は、ますます痩せ細って行くばかりです...

  さて...この、“奥田・体制の経団連”を、キャノンの御手洗(みたらい)次期会長は、

“継承”すると宣言しています。“継承”という事は、到底“逆向き”ではないということ

です。財界による国民の弾圧は、続ける宣言したわけです...」

「はい...」弥生がうなづいた。

「我々は、“戦略的な買い控え”で、大企業支配の日本を変えると宣言しています。そ

れは、経済に関連した国民弾圧の3点セットばかりではありません。衰退してしまった

日本文化や、社会的活力をも復活させようと言うものです...」

「ともかく、」茜が、言った。「要するに...トヨタキリンに続くターゲットが、キャノン

だということですね、」

「簡単に言えば、そうですね」津田は、口元で笑った。

「サイコロが、それを示した...それで、いいのではないでしょうか。非常に、正しい

選択が出来たような気がしますわ。ただ...非常に立派な社長だと聞いていますけ

ど、」

「分っています...」津田は、口に手を当てた。「こうした競争社会で、トップに来るよ

うな人は、誰もが、並みの人ではありません...

  しかし、我々は、“市場原理”“新しいパワー”を導入しようとしているわけです。

資本主義市場に“シビリアン・コントロール”を導入し、国民・消費者によって、“資本

義市場を戦略化”しようとしているのです。トップの人物が、どうこうという問題では

ないのです」

「はい」茜が、うなづいた。

「したがって、“奥田・体制”の継承を宣言している“御手洗・新体制”とも、当然、全面

衝突とならざるを得ないわけです。“経団連”そのもの、“大企業の支配体制”そのも

のに、終止符を打つためです。

  結局、“富は、誰のものか!”ということなのです。それを証明するために、システ

ムの一部に、“サイレント・マジョリティー(声なき多数)が戦略的に介入するということで

す。産業構造を、国民の理想とする姿に、“シビリアンコントロール”で変えていくわけ

です。この国の主権者である国民には、その“権利”“力”があります...」

「つまり...【富の正しい公平な再配分】、ということですね、」

「そうです。我々は、“ルビコン川の渡河”を開始しました。もう、引き返せないし、むろ

ん引き返すつもりもないわけです...

  それが、トヨタキリンキャノン、の“戦略的な買い控です。これによって、現

在の日本の社会体制は、確実に変わって行きます...」

「はい」茜が、もう一度うなづいた。

「私たちは、その選択肢を、ここに提示しまとた...

  実行するのは、この国の“清浄”な、“サイレント・マジョリティー(声なき多数)です。トヨ

タ、キリン、キャノン、はいずれもトップ企業です。正直に言って、私たちの好きな商品

ばかりです。“安心、便利、速い、豊かさ”の追求では、群を抜いています。

  しかし、その“飽くなき欲望の追求という価値観”が、今後も必要なのかどうか...

そうした欲望の追求と現実化が、人類に“極楽浄土”のような幸福な社会をもたらし

たでしょうか。つまり、この“戦略的な買い控え”は、そうした“既存の価値観に対する

疑問符”をも内包したものになるということです...

  つまり、その先に見えてくるのは、“欲望型の価値観の終焉”ということであり、“資

本主義的価値観の終焉”ということかも知れません。このことは、今後、考察して行く

課題になります...」

                     

「うーん...」マチコが言った。「もっと悪質な、“国民の敵No.1”のような、“銀行”

んかがあるんじゃないかしら。“貸ししぶり”をしたり、“貸し剥がし”をしたり、“預金金

利”をみんな吸い上げたりさあ、」

「そうですねえ...」津田が、ゆっくりとうなづいた。「銀行は、バブルが崩壊してから、

いいイメージはないですね。“一罰百戒”...メガバンクの1つぐらいは、戦略的に潰

しておくことも、必要かもしれません。

  いずれにしても、“サイレント・マジョリティー”が、精力的に選別し、社会秩序を再

構成することは急務です。談合繰り返している大企業などは、その白黒や理由付け

は抜きにして、単純にサイコロで選別していくことも、いいのではないでしょうか...

  “サイレント・マジョリティー”が、市場で“シビリアンコントロール”を確立するというこ

とは、そういう力を持つということなのです。今回の、キャノンの選択は、そういうこと

を意味しているのです...」

                                                   

                  

「ええ、マチコです!」マチコは、めずらしく、メモを読み上げた。

「ええ...

  徹底的した、“戦略的な買い控え”は...消費者による、“資本主義市場の戦略

化”に、道を開きます。圧倒的多数の“サイレント・マジョリティー(声なき多数)が、市場で

動き、そこで“主権を強力に発動”します。

  これは、経済原理で動いてきた市場に、“シビリンコントロール”という“新しいパワ

ー”を導入します...談合、不正は、強力な手段で、市場から排除して行きます。どう

ぞ、今後の展開にご期待ください...」