政治家のお仕事は？　 　     

　　　　　ＶＳ　　　　　　

　

「ええ．．．」マチコが言った。「今回の“真剣勝負”は．．．＜政治家のお仕事

は？＞というテーマです。ええ、現在のトレンド／動向を、ズバリと言い切って

下さい！それで、勝敗を決めます！」

　 少し考え、ブラッキーとポン助が、同時に手を上げた。

「うーん．．．」マチコが頭を揺らした。「ブラッキーが、少し早かったかしら。ブラ

ッキーからどうぞ、」

「オウ！」ブラッキーが、天井を向いた。「ヤクザがよう、こぼしてたぜ！政治家

が、“ヤクザのナワバリ”にまで、首を突っ込んで来るとよう！」

「うーん．．．」マチコが腕組みをした。「そうかあ．．．分るわねえ．．．

　 地方の現場では、政治は“ヤクザのお仕事”とよく似ているわよね．．．日本

の戦後・民主主義はさあ、ムラ社会を越えられなかったわね。その果てが、現

在のモラルハザード社会よね」

「“ヤクザ稼業”の方が、古いわけよ、」ブラッキーが言った。「そこに、政治権

力をもった、新興勢力が乗り込んで来たぜ．．．

　 オレの“友達の友達”がよう．．．こんなのが、“政治家の仕事”かとこぼして

たぜ．．．ヤツ等はドスは使わないが、法律をよく知っているとよ．．．」

「うーん．．．

　 “ヤクザさん”は、職域を荒らされているというわけね．．．あまり、感心しな

い職域だけど．．．ええと．．．ポンちゃんの方は？」

「政治家はよう．．．」ポン助が言った。「最近は、“お笑い系”に進出している

よな．．．“ヤクザ稼業”は昔の話だぞ．．．今の政治家のトレンド（動向）は、“お

笑い芸人”だよな！」

＜勝 負・・・＞  　　　　　　　　　　

　

「うーん．．．」マチコが感心して、大きくうなづいた。「政治家のトレンドは、“ヤ

クザさん”か、“お笑い芸人”かという勝負ね．．．ええ、津田・編集長．．．どう

なのかしら？」

「さて、ねえ．．．」津田が、笑って脚を組み上げた。「どっちかといわれても、難

しいねえ．．．

　 政治家は、確かに“国家の将来設計”の仕事を忘れてしまったようだねえ。

かわりに、“過去の不祥事”にばかり関心があるようだ．．．」

「膨大な犯罪が、日常的に行われている世界よね．．．官僚組織も含めて、」

「うーむ．．．

　 そうだねえ．．．厚生労働省も、防衛省も、農林水産省も．．．そして、ひと

頃に前は、外務省だったし．．．教育行政や、文化行政もメチャメチャだし．．．

いったい、何を考えているのかねえ．．．」

「“天下り”を考えているんじゃないかしら？」マチコが言った。

「うーむ．．．これでは、日本丸は難破してしまう．．．」

「そうよね．．．」マチコが、ポン助の方を眺めた。

　

「最近はよう．．．」ポン助が言った。「ナベツネも、“漫才トリオ”で売り出してる

ぞ！“ズッコケ漫才トリオ”で、大々的にデビューしてるよな！トレンドは、“お笑

い系”だよな！」

「ナベツネは、マスコミのドンだろう．．．政治家じゃあない」

「しかし、政治の舞台だよな！」

「まあ、そうだが．．．トリオというと、あと二人は誰だい？」津田が聞いた。

「怖くて言えないよな．．．“ズッコケ３羽ガラス”だよな！」

「おいおい．．．」津田がズッコケて、組んでいる脚を下ろした。

「うーん．．．」マチコが首をかしげた。「自民党と民主党の．．．“大連合の仕

掛人”のコトを言っているのかしら？」

「そうだよな．．．あの、親分たちだよな．．．

　 あれは大仕掛けな、“掛合い漫才”だぞ．．．“漫才の台本”で考えると、よく

理解できるよな．．．“親分・漫才トリオ”のデビューだよな．．．舞台スケールも

でかいぞ！」

「うーむ．．．」津田が、アゴに手を当てた。「なるほどねえ．．．

　 どうも“理解できない大騒動”だったが．．．“掛合い漫才”と考えれば、理解

できるわけか．．．それで、方程式が解けるわけか．．．」

「うーん．．．

　 アインシュタインはさあ．．．宇宙論に“宇宙常数（／真空エネルギーと考えられる）”を

導入したり引っ込めたりして迷ったと言われるけど．．．今の日本の政治は、

“漫才常数”を導入すれば．．．スッキリと理解ができるのかしら．．．？」

「そうだよな．．．」

「ウーム．．．」津田がうなった。「吉本興業（／寄席経営）が．．．大阪から東京に

進出してだいぶたつが．．．いよいよ政治も、本気で“お笑い系”に進出しして

いるのかも知れないねえ．．．政治をネタにした大笑いは、さすがにド迫力が

あるなあ．．．

　　何といっても本物の政治家が．．．政党レベルで．．．“突っ込み”と“ボケ”

をやっているわけだからねえ．．．しかも、負けた方は、落選と、議席数の敗北

があるわけだ．．．ともかく、真剣にやってるわけだな、」

「負けた方は、刑務所もあるわよね．．．」

「うむ．．．その迫力だな．．．犯罪発生率も高い」

「そうだよな．．．」ポン助が、ミミちゃんの肩に手を置いた。「今回の、政党・大

連合を仕掛けた台本もよう、“突っ込み”と“ボケ”がきいてるよな．．．登場人

物も大物だぞ．．．舞台スケールもでかいぞ．．．」

「ウーム．．．」津田が、コクコクとなづいた。「そういう視点があったとはな．．．

　 まさに、ポン助の炯眼（けいがん／眼力の鋭いこと）だなあ．．．時代に対するヨミが

深い．．．大局を見ているねえ、ポン助は．．．」

「おう．．．」

「オザワさんの“プッツン”もさあ．．．」マチコが言った。「あれは、最高のオチ

じゃないかしら．．．“プッツン”もカワイイわよね！」

「あれは、“ハマった”ぞ！」ポン助が言った。「オザワはあれで、一躍、脇役か

ら主役に昇格だよな！オザワのキャラクター性が光ったよな！」

「さすがにさあ．．．オザワさんは大物タレントよね．．．

　 “ズッコケ３羽ガラス”より、光ってるんじゃないかしら．．．“ズッコケ変動値”

の大きさだけでなく．．．そのコケの、偏光度の効果が大きいのかしら．．．」

「難しいよな．．．」ポン助が、頭をひねった。

      　　

「オウオウ．．．ちょっと待ってくれい．．．」ブラッキーが、タバコを持った手でさ

えぎった。「人数じゃあ．．．．“お笑い芸人”よりは、“ゴロマキ”の方が圧倒的

に多いと思うぜ．．．第一、犯罪発生率のグラフを見てもよう、“ゴロマキ”の方

に分があるぜ！」

「うん．．．」マチコがうなづいた。「ブラッキーの言うことも、一理あるわよね」

　 ブラッキーがうなづいて、細いタバコの煙を吐いた。

「国家のことを考えなくなった．．．」ブラッキーが言った。「政治家の風景は、

“お笑い芸人”よりは、“ゴロマキ”の方が近いぜ．．．モラルハザード国家を作

り出した功績は．．．政治家の堕落があってこその傑作だぜ．．．」

「うん．．．」マチコが、頭を斜めにしてうなづいた。「モラルハザードは．．．政

治家のトレンド（動向）も含んでいるわねえ．．．」

「オウよ！」

「うーん．．．難しい所よね．．．」マチコが、津田の方を見た。「それでは．．．

編集長．．．行司の、軍配の方をお願いします．．．」

　　　　　　　　　　　　　　　　　

「うーむ．．．そうだねえ．．．

　 ポン助の“大物漫才トリオ”はいいねえ．．．まあ、最近売り出し中ということ

で．．．今回は、ポン助の“お笑い芸人”という事にしようか．．．確かに、政治

家は新しい仕事として、笑い系に進出しているようだ」

「はい！」マチコがうなづいた。「国政をスッポかして、笑い転げているし．．．

真剣なバトル（戦闘）を展開しているし．．．それが受けているのかしら？」

「うーむ．．．」津田が、軍配で肩をたたいた。「“金太郎飴”みたいな、既存の

“笑い芸人”よりは．．．よほど迫力と勢いがあるねえ．．．声の鍛え方が違う

し、実戦で鍛えた迫力がある．．．それに、ネタが尽きないのもいいねえ．．．

　 石川五右衛門（／安土桃山時代の大泥棒）の、釜ゆでの刑になった時の辞世の句

に．．．

　

　　　石川や　浜の真砂は　尽きるとも　世に盗人の　種は尽きまじ

　

　　．．．というのがあるが．．．まさに、政治や行政組織には、トラブルの種が

尽きないしねえ．．．“官”と“平民”の身分格差を残したのが．．．戦後・民主

主義の失敗だったようだ．．．」

「しかし、よう．．．」ブラッキーが、プカリと、ドーナツ型の煙を吐いた。「“お笑

い系”も、そう長くはないぜ．．．最近は、ただの阿呆共／ただのタワケ共にな

ってきたぜ．．．」

「うーん．．．」マチコがうなづいた。「それは、あるわねえ．．．

　 それに比べると、“ズッコケ３羽ガラス”はさあ、新しい芸風の舞台を開拓し

たのじゃないかしら．．．ナガタチョウを中心にしてさあ．．．そこを舞台にして、

ものすごい大型漫才劇場が始まっているのじゃないかしら．．．赤坂のギイン

シュクシャもさあ、面白い回り舞台だけど．．．」

「ウーム．．．」津田が、苦りきった顔をした。「それで．．．日本は、いったい、

どうなるのかねえ．．．生活できなくなった国民は、どうなるのかねえ．．．“地

球温暖化”はどうなるのかねえ．．．」

「うーん．．．そこが問題よね．．．

　 ええと．．．ともかく．．．今回は、ポンちゃんの勝ちとします！」

「おう！」ポン助が、両手を握りしめた。