道 場 開 設 の 言 葉  

　

　 ここでは、私が独学してきた経験と見解を展開していきます。この道場の価値

は、俗世間の未熟者の私が、公案を頼りに、この無門関峠を歩んで行くところにあ

ります。

　 師も知らず、師資相伝（師と弟子の体験が完全に一致する事）も知らず、たった一人で禅の道

を歩んでいる私は、歴史の重みというものを知りません。しかし、だからこそ、この

無門関峠に、私たちの世代の私たちの新ルートを切り開いて行けるかも知れませ

ん。私には、不足しているもの、いいかげんなものは山ほどありますが、とりあえず

道場を開設し、歩き始めてみます。

　

　 さあ、峠からは、西の茜雲の下に、かすかに“悟り”の世界が見え始めていま

す．．．

　

　禅は仏道であり、宗教です。哲学的にこれらの意味を解釈したとしても、それはほん

の入り口にすぎません。私たちはその解釈を足がかりに、実践修行に入っていかなけ

ればなりません。

　 また、禅の修業といえば、座禅ということになりますが、こちらの方はその方面の専

門書をお読みください。この無門関峠の道場では、無門関峠を一人で越えて行く、私の

試行錯誤の経験と見解を伝えていきます。