環境.資源.未来工学人類文明の新しい形態文明の多様性を育む

     index.1102.1.jpg (3137 バイト)  人類文明の多様性を育む wpe74.jpg (13742 バイト)  

           wpeD.jpg (8229 バイト)   テロと・・・対立を超えて                 

                          独立性の高い、コンパクトな巨大地下都市の展開・・・ 

            長とグローバル化から、多様性と安定性の世紀へ・・・ 

 トップページHot SpotMenu最新のアップロード             担当 : 堀内 秀雄 / 白石 夏美 

  wpe89.jpg (15483 バイト) INDEX                         wpeA6.jpg (14454 バイト) house5.114.2.jpg (1340 バイト)<ゲスト/高杉 光一>  wpeB.jpg (27677 バイト)     

プロローグ   2001.10. 1
No.1 グローバル化による文明の衝突 2001.10. 1
No.2 1つの、巨大な“運命共同体”の脆弱性(ぜいじゃくせい)  2001.10. 1
No.3 成長とグローバル化から、多様性と安定性の世紀へ  

   

   プロローグ       wpeA6.jpg (14454 バイト) index.1102.1.jpg (3137 バイト)             

                       <チーコちゃん> <白石 夏美>

「お久しぶりです。白石夏美です...

  前回の、未来都市/“新世紀・日本列島改造論” を考察していた頃は、入梅時

でした。そして、もう夏も過ぎ、すっかり秋の様相です...

  さて、その秋に入った月11日、未曾有の大テロ事件が発生しました。アメリカ

合衆国の中枢に対する同時多発テロ です。このテロ事件と、国際社会の緊急対

応は、まさに現在進行中です...

 

  ええ...そこで、ここでは、人類文明の“グローバル化の危険性”と、その“巨大

な単一性が作り出す脆弱性”について考察して行きます。

  なお、この“人類文明の新しい形態”のページは、人類文明全体を、独立性の

高い、コンパクトな、巨大地下都市空間へのシフト...ということをテーマとしてい

ます。そこで、まず、これまでの文脈を幾つか引用し、再度全体の流れを簡単に整理

しておきます...」

 

<1>

「居住空間のほとんど全てを、コンパクトな、巨大地下都市に置くべきでは

ないかと思う。地上は大自然の原野のまま残せたら理想的だと思うね。も

ちろん、スポーツ施設や、レジャー施設、農業施設等は、大いに地上に作

ればいい。」

 

<2>

独立性の高い、それぞれ特色のある、高機能な巨大地下都市が点在し

ているのがいいと思う。そして、通常はその地下都市空間の中で生活すべ

きだと思う。地下都市の規模としては、数十万人がいいのか、数万の単位

が連合して、数百万人にするのか...」

 

<3>

  人類社会はこれまで、交通や輸送、情報技術の発達で、巨大な単一社

へ向かってきした。もちろん、現在もこの状況下にあります。しかし、これ

はある意味では非常に危険なことです。また、ある側面では、非常に脆弱

でもあります。例えば、

 

  あらゆるレベルでの、バイオハザード、テロ、情報テロ...

       あらゆるレベルでの、人類の構築した巨大システムの危機...

 

  その他、あらゆる犯罪に対しても、則、人類全体の危機に直面してしま

います。これは、決していいことではないでしょう。人類社会全体として、

機を分散する基本システムを、再度しっかりと組み込む必要があります。

 

<4>

  戦争や偏った民族主義は困るわけですが、それぞれの地域や社会単

位で、“独立性”“多様性”を高めるということは、今後の人類文明にとっ

て重要なテーマになってくると思います。

  交通や物資輸送、情報の面で、たとえ不便ではあっても、居住空間の

地下都市へのシフトを機に、是非、基本システムとしてひと工夫する必要

があります。

 

狭くなった地球の、相対的空間を広く...   

             あまりにも細かく切り刻んでしまった時間を、   

             もとの緩やかな時の流れに戻す...      

 

これが、今、人類文明として最も必要なことではないでしょうか。

 

<5>

  あのHIVウイルス(エイズウイルス)が、一気に世界中に蔓延したのは、記憶に

新しいと思います。それから、最強最悪のエボラ出血熱(アフリカの猿から、)や、

パウイルス(マレーシアの豚から、)の危機もありました。100年前なら、こんなもの

はニュースにもならないような、ごく限定的な地域の風土病だったでしょう。

  しかし、グローバル化が進んだ今、こうしたウイルスの1つ1つが、その

対応に失敗すれば、人類全体の危機に直面するのです。

 

***************************************************

「ええ、大体こんなところでしょうか、塾長?」夏美が、ゆっくりと顔を上げ、高杉の方

を見た。「引用した文章は、多少分りやすく修正してあります」

「うーむ、そうだね...いいだろう」高杉は、小さくうなづいた。

 

            wpeB.jpg (27677 バイト)      wpe7D.jpg (18556 バイト)       house5.114.2.jpg (1340 バイト)      

              <塾長:高杉 光一>                              

  <1> グローバル化による、文明の衝突     wpe74.jpg (13742 バイト) <堀内 秀雄>

        house5.114.2.jpg (1340 バイト)       wpeD.jpg (8229 バイト)         house5.114.2.jpg (1340 バイト)

「ええ...さて...高杉・塾長...」堀内秀雄が、椅子に掛け、テーブルに両手をつ

いた。「いま、夏美さんがサッとおさらいしたように、HIVウイルスエボラ出血熱、そ

れからニパウイルスの問題は、人類文明のグローバル化に伴う、“バイオハザード”

面の危機でした」

「はい...」高杉も、ゆっくりとテーブルの椅子に掛け、脚を組み上げた。

「それから高杉さんは、“進化の袋小路”による、“種”の危機のことを言っておられま

した。それは、どのようなことでしたか?」

「はい...

  ええ、それには...“生物学的な進化の袋小路”と、“文明的な進化の袋小路”

あると言ってきました。“生物学的な進化の袋小路は、いわゆるDNAレベルの問題

です。そして、“文明的な進化の袋小路”の方は、例えば冷戦時代のような核戦争

で、人類が絶滅するようなケースです。それから、環境破壊による地球生態系への

圧迫も、文明的な進化の袋小路の1つだと思います。そのために、私たちはここで、

エネルギー消費量を自然エネルギーでまかなえる、コンパクトな、巨大地下都市

へのシフトを提唱しているわけです。

  そして、今まさに問題なのが、人類社会のグローバル化による、“文明の衝突”

す。それから、まだあまり問題になっていないようですが、その文明の衝突後に生ま

れる、“文明の融合”があります。これは、人類文明の単一化単調化であり、“多様

性の喪失”になります。

  これは、つまり、世界中がハリウッド映画一色になり、ミステリー文学一色になり、

ディズニー・ランド一色になるようなことです。現在、すでに、だいぶこの傾向が進んで

います...

  まあ、今はパックスアメリカーナの時代であり、これらは確かに面白いのです。しか

し、世界中がこれだけになってしまっては、“文明的な進化の袋小路”に入ってしまう

わけです...そこで、当然、そろそろ、文明の衝突が目撃されるようになる...

「なるほど...」堀内が、うなづいた。「サミュエル・ハンティントン教授の“文明の衝突

説”が、まさに現実味を帯びてきましたねえ...西洋文明とイスラム文明の“血まみ

れの境界線”が顕在化してきているわけですか...

  世界の三大宗教で言うと、キリスト教文化圏と、イスラム教文化圏と、仏教文化圏

になるわけですが、これらがまさに衝突しながら世界の都市で融合し始めているわ

けですね。しかし、勢いがあり、妥協しないのが、イスラム文化ということでしょう

か...

「そうですねえ...」高杉は、組み上げた脚の上に手をかけた。「我々日本人にとっ

ても、キリスト教というのは江戸時代以前から伝わってきていました。ところが、イスラ

ム教やイスラム文化というのは、日本史を見ても分るように、歴史には全く記述がな

いのです。すぐそこの、インドネシアまでは来ているというのに...

「うーむ...なるほど。確かにそうですねえ。イスラムの民族とは、戦ったことすらな

いわけですか...」

「そういうことです。歴史的には、遠い国の夢の様な世界でした。脅威の対象ですら

なかった...“文明の多様性を育む”ということを考える上で、ここに1つのヒントが

あるのではないでしょうか。つまり、互いに干渉しない、独立性の高い、文化文明圏

を建設するということで...」

「うーん、なるほど、なるほど...グローバル化/アメリカン・スタンダードで、1つの

巨大文明に持っていこうとするから、覇権と摩擦が起こると...」

「はい。しかし、まあ、それも歴史のひとコマであり、文明の摩擦が全くないというのも

不自然ですがね、」

「うーむ...」

「それぞれ、互いに尊重される文化圏を形成し、その上で緩やかな感動や、カルチャ

ーショック個人レベルでの摩擦は、良い文化の土壌になります...」

「なるほど、」

 <2> 1つの、巨大な運命共同体”の脆弱性  index.1102.1.jpg (3137 バイト)wpe89.jpg (15483 バイト)   

 

「ええと、高杉塾長...」白石夏美が言った。「21世紀の人類社会は、このままグロ

ーバル化が進行していくのでしょうか?つまり、人類全体が、1つの融合した巨大な

社会形態へ統合されていくのでしょうか?」

「現在のパラダイムで行けば、グローバル化は、ますます加速していくだろうね...

交通手段によるグローバル化、金融のグローバル化、インターネットによる情報のグ

ローバル化。それらの総合としての、経済や社会全体のグローバル化...そして人

類文明全体が、1つの巨大な“運命共同体”になっていく...」

「はい...」

「問題は、これでいいのかということです...バイオハザードテロ情報テロで、簡

単にパニックになってしまう側面を持つことになる。

  そうした一方で、科学技術は加速度的に進む...核兵器は小型化し、生物化学

兵器は誰でも生産でき、遺伝子兵が見えない形で自在に展開していく。さらに、

生物のゲノム解読も進み、クローン技術が人間の欲望と簡単に結びついていく...

  いったい、この地球という惑星に発現した知的生命体として、本当にこんなことで

いいのか、ということです。“知的生命体としての、真の智慧の道”というものがある

のではないでしょうか。そのために、“36億年の彼”(詳しくは、こちらへどうぞ)が育んできた、

“命の本質の流れ”というものが...

  まあ...これは皮肉な結果と言えるかも知れないが...今回のアメリカの中枢に

対する同時多発テロは、航空機や旅客機というものが、狂暴な凶器になりうるという

ことを証明した。これで、旅客機や貨物機という、高速の輸送交通ネットワークが縮

小していく様であれば、人類文明のグローバル化に、初めて歯止めがかかることに

なりますねえ...

  これは、地球表面の空間が、相対的に広くなったことを意味するわけです。今回の

テロは、“歴史の分岐点”になる、としばしば言わていますが、こうした意味からも、重

要な“文明のターニング・ポイント”になるのかも知れません。まあ、私は、飛行機の

旅よりも、船の旅ぐらいが、丁度いいんじゃないかと思うがね、」

「はい、」白石夏美は、コクリとうなづいた。「“歴史の分岐点”であり、“文明のターニ

ング・ポイント”ですか...」

「うむ、」高杉は、深くうなづいた。

「すると、高杉さんは、今回のテロは、ある意味ではいいことだったと?」

「もちろん、テロがいいことであるはずがない。ただ、あの同時多発テロから、何かい

いことを引き出してやらなければ、犠牲者は、あまりにもかわいそうだ。そういう意味

からも、このテロ事件が、文明のグローバル化に対する、“ターニング・ポイント”に

きればいいと思う...

「はい」夏美は、コクリとうなづいた。

「いずれにしても、文明のグローバル化、単一化という傾向は、人類という“種”にとっ

て、この上なく危険な状態だと思います。たとえば、エボラ出血熱の“新種”で、数十

億の人類が半減するような事態も、実際にあり得るということです...」

「そうです!まさに、その通りです!」堀内が、パンと手を打った。「繰り返しになりま

すが、私達は運良HIVウイルスエボラ出血熱等の“バイオハザード”から、人類

の危機を回避してきました。

  しかし、これをまともに喰らったら、地質年代的に見て、ホモサピエンスの時代は

突然終焉した、などとなるやも知れません。“単一の運命共同体社会”というのは、

それほど危険で恐いものです。一見、強大そうに見えますが、未知の脅威に対して

は、きわめて脆弱です」

「うーん、恐いですねえ...」夏美が、頬に手を当てた。「堀内さんは、それでは、どう

したらいいとお考えでしょうか?」

「うーむ、」堀内は、うなった。「...何故、地球上には、こんなに数百万種とも言われ

る生物種が存在するのか...

  そもそも、この惑星の原始地球の時代に、酸素が蓄積され、それが“パスツール・

ポイント”を超えた時、生物種は爆発的に増えだしました。それが、この惑星に発現

した“生命”の基本戦略だったのではなかったでしょうか。つまり、数百万種という生

物種の多様性の爆発です...この複雑系の迷宮が、生物それ自体の安定性を作り

出しているのだと思います」

「はい...」夏美が、顔を斜めにしてうなづいた。「ええと...ミミちゃん...“パスツ

ール・ポイント”について説明してくれる?」

「うん!」ミミちゃんが、長いミミを揺らし、うなづいた。「前にも説明したことがあった

わね!」

「そうかしら?」

「うん...」

wpe89.jpg (15483 バイト)ミミちゃんガイド                          house5.114.2.jpg (1340 バイト)     

パスツール・ポイント   

「ええと、地球の大気中の酸素濃度が1%の時をいいます...

  デンプンに酵母を加えると“アルコール発酵”を起こし、デンプンはアル

コールに変わります。ただし、この“アルコール発酵”は、大気中の酸素濃度

が1%以下でないと起こりません。最初の頃の地球の生命体は、このアルコ

ール発酵のエネルギーで活動していました。

  それから、太古の海水中のシアノバクテリアが、どんどん酸素を蓄積して

いきます。そして、大気中の酸素が1%以上になるとどうなるかと言うと、ア

ルコール発酵は起こらなくなります。そして、デンプンは二酸化炭素と水に

分解されるようになります。

  この酸素濃度/パスツール・ポイントが、なぜ重要かと言うと、“アルコー

ル発酵”の時に得られるエネルギーよりも、二酸化炭素と水に分解される時

のエネルギーの方が、19倍も大きいということです。

  つまり、地球大気の酸素濃度が1%を超えた時、生命体はそれまでのア

ルコール発酵型のエネルギー源よりも、19倍も強力な酸素型エネルギー源

を獲得したということです。これによって、生命体は爆発的に進化していきま

す。

  ここで地球生命体は、爆発的な飛躍をするわけですが、このパスツール・

ポイントが、いつであるかは、学者の意見が分かれると言います。つまり、

  21億年前の、原核生物から真核生物が出現した時期か...それとも5億

7000万年前の、カンブリア紀の生物の大爆発の時期か...」

                                              

 

「はい。ミミちゃん、ありがとうございました。久しぶりの“ミミちゃんガイド”だったの

で、ずいぶんとくわしい説明だったわね、」

「うん!」ミミちゃんは、大きな耳を揺らした。

「うーむ...どうですか、高杉さん?」堀内が言った。

「そうですねえ...」高杉は、首を斜めにした。「生命体の、爆発的な進化というの

は、まさに面白い視点です。私は、“36億年の彼”という概念を提唱しているわけで

すが、多様性こそが、安定性と見ていいと思います。

  まあ、とりあえず、それしか見えていないわけですから...ゲノムやタンパク質の

解明が急速に進んでいますが、生命の本質的領域である、“自己複製の揺らぎ”や、

“進化のベクトル”“多様性の発現”までは、なかなか見えては来ないでしょうね。

あ、実に、巧妙に、コントロールされています」

「高杉さん、それは、何だと思われますか?」堀内は、体を乗り出すようにして聞い

た。「その、根源は?」

「私の見解は、“命”は、“宇宙の初期条件”であり...より本質的なものは、“意識”

だと思っています」

「ふーむ...“意識”ですか...なるほど、意識ですかあ...」堀内は、ゆっくりと天

井を見上げた。

「ええ、今回はここまでとします。次の展開にご期待ください!」  index.1102.1.jpg (3137 バイト)  wpe89.jpg (15483 バイト)

 

 <3> 成長とグローバル化から、多様化と安定性の世紀へ