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<考察・第2段階・・・
文明の第3ステージ

             人間の巣社会形態       

   <21世紀型/未来都市 ・・・ 独立都市/連合体>

    
   wpe4F.jpg (12230 バイト)        wpe74.jpg (13742 バイト)   index.1019.1.jpg (2310 バイト)   wpeB.jpg (27677 バイト)    

 トップページHot SpotMenu最新のアップロード                     担当 : 堀内 秀雄 

    INDEX                                                wpe8B.jpg (16795 バイト)

プロローグ       ・・・・・ 社会的大変動の前夜 2006. 7.30
No.1 〔1〕 自給自足型単純な社会形態 2006. 7.30
No.2 〔2〕 基本的生存権完全保障・・・ 所得格差10倍以内・・・ 2006. 7.30
No.3 〔3〕 21世紀型独立都市連合体 2006. 7.30
No.4 〔4〕 強固なアイデンティティー独立都市性 2006. 7.30

      

    プロローグ         wpe4F.jpg (12230 バイト)  index.1019.1.jpg (2310 バイト) 

                                      <秋月 茜>    <星野 支折>   <津田 真>

ええ、“文芸”担当の、星野支折です...

  “脱・車社会”、そして“人間の巣の創設”に続き、今回はそのソフト面とも言うべ

“社会システムの構成”や、そのあり方を中心に考察します。こうした作業を経て、

知恵を出し合い、全体のスケッチが固めて行きます」

 

“My Weekly Journal”編集長の津田真です...

  日本は、“急激な少子高齢化”と共に、社会的にも大激動の時代に突入していま

す。まさに、明治維新に匹敵するか、それをも凌ぐ“国家の大変動”が胎動していま

す。

  私たちは、この“維新を完遂”しなければ、“心豊かな社会”を獲得し、それを子孫

に引き渡す事ができません。それには、この国の“主権者/サイレントマジョリティー

(声なき多数)が立ち上がる事が不可欠です。また、獲得した“心豊かな社会”を、維持運

していくのも、まさに“私たち主権者”なのです...“主権者の決起”が、全てのカギ

になります。

  さて、政治は、国民の信頼を失って久しくなります...その政治も、この2006年・

夏以降“国民の怒り”と共に、激動が予想されます。現在、ダムの堰が切れる前夜

のような様相を呈しています。その堰の切れた水が、良い方向へ導かれていく事を、

私たちは祈っています。

  また、私たちも、その水先のガイド地図として、“根本的な解決策”の1つを提示し

ています。それが、21世紀型・未来社会の器である“人間の巣”の創設です。これ

は、“文明のターニングポイント”にも対応した、“地球規模の構想”と連動します。日

本の問題も、その“根本的な解決”地球全体の視野が不可欠です...

  1つの選択肢として、是非、検討してみてください...これが、21世紀から22世

へ続く、“人類文明の流れ”になる事を、期待しています。その時、日本は“文明の

ターニングポイント”の、水先案内を務めることになります...」

 

【理論研究員】の、秋月茜です...

  ええ...津田・編集長の言うように、まさに日本は、“国家・大変動”が胎動してい

ます。しかしまだ、戦争前夜のように、非常に静かな状態です...やがて、ここか

ら、“人類文明の折り返し”の、“大激流”となって行くことは確実です。私たちは、そ

れを確信しています。

  もし...そうした流れにならないなら、考えたくはないことですが...“車社会”

“覇権主義の時代”がさらに続き、アジア大陸でモータリーぜーションが爆発的に進

します。そして、“地球温暖化”“海洋の酸性化”にも、歯止がかからなくなります。

  そうした事態は...“気候の大変動”を引き起こし、“海洋の相転移”をもたらし、

“生態系の激変”が顕在化していくことです。日本の“国家・大変動”が、“文明の折り

返し”という、“正しい水口”を選択し、“人間の巣”へ移行する事を、私たちは祈って

います...」

   wpe74.jpg (13742 バイト) <堀内 秀雄> wpeB.jpg (27677 バイト) <高杉 光一> wpe4F.jpg (12230 バイト)<支折>

 

「ええ...」支折が、もう1つの作業テーブルの方を振り返った。「堀内さんも、一言お

願いします!」

「いえ...皆さんの言葉で、言い尽くされています!」堀内が、頭を下げた。

「高杉・塾長も、よろしいでしょうか?」

「ああ!」

「では...」支折は、椅子を直した。「始めたいと思います...茜さん、お願いします」

「はい」

 

  〔1〕 自給自足型単純な社会形態wpe8B.jpg (16795 バイト)

                === 低コスト・完全保障社会 ===

              wpe4F.jpg (12230 バイト)  

 

「まず、」茜が言った。「概況を説明します...

  “人間の巣”は、それが完成してしまえば、“社会的コスト”がほとんどかからなくな

ります。自然災害からは強固に守られ...治山治水橋梁の整備道路の整備や

補修も皆無になります。そうしたものは、全て大自然の懐に還されます。私達は、“人

間の巣”と、その周辺の自給自足・農地だけを管理します。“社会的コスト”は非常に

軽くなります。

  また、“脱・グローバル化”により、莫大な輸送コストもなくなります。感染症対策も、

衛生管理も、都市空間に限定され、“脱・車社会”“脱・冷暖房”で、標準の農業型都

市では、バイオマスクリーン・エネルギーで、エネルギー需要はまかなえます...」

「茜さん...居住空間では、住宅建設の必要はなくなるのでしょうか?」

「一応、そうですね。従来のような住宅建設は、なくなると思います...そこで、都市プ

ランナーや、都市デザイナーが、どのようなシステムを組み込むかです。それによって

異なってくるでしょう。

  いずれにしても、“社会的コスト”は、“人間の巣”の管理に限定され、非常に低く抑

えられるということですね。これは、何を意味するかというと、“豊かな社会”“低い

労働力で維持される”ということです。これで、争い事さえなければ、まさに“極楽浄土”

が展開できるかも知れません...」

「そうですね、」支折が言った。

 

「さて、」茜は、ノートパソコンに両手を添え、素早くキーボードを打ち始めた。「現下の

状況から、話を進めましょう...

  “コンパクトな中核都市”の建設と、その近郊における“自給自足型・農業”の展開で

す...これは機械化農業ではなく、労働集約型・農業を考えています...

  人間もまた、他の生物種と同列に、可能な限り生態系と同調 していくのが良いと

考えるからです。また、人間も、適度な運動を必要とている、生物体だということです

ね。コンパクトな労働...コンパクトな社会...そして、多様性の受け入れ...こう

したレベルが、いわゆる“生態系と同調”のできるサイクルなのかも知れません...

  それを超えると、文明の傲慢となり...結局、これまでのくり返しになってしうの

ではないでしょうか...私たちは、大自然の深遠なる叡智/深遠なる秩序というも

のを、超えることはできないものと、十分に認識したわけですから...」

「そうですね、」支折が、うなづいた。「それで、自給自足型・農業のレベル”が、“人

間の巣”を展開する上でも、まさにカギになるのでしょうか?」

「そうですね...それを、試します...

  生物体である以上は、まず“衣・食・住”の確保です。“文化”は、その余裕から、お

のずと備わってくるものです」

「はい」

“衣”は非常に個人的で、文化的な問題です...でも、“食・住”は社会でしっかりと

基盤整備をし、非常時の備えも大事になります...

  つまり、食糧の確保備蓄...そして、社会の安定のために大事なのは、居住環

です。それが、“人間の巣”の創設ということになります。自然災害気候変動、そ

れから染症等の、あらゆる環境圧力から、社会を守らなければなりません」

「はい」

あとはの空間は、人間が手を加えるべきではありません。川は自然の氾濫に任せ、

森林は悠久の原始林に返すわけですね」

「そうですね...」支折が、自分のノートパソコンに目を落した。「そこは、動物や植物

たちの領分ですよね...」

「都市をつなぐ鉄道道路も、最小限に抑えるべきでしょう...技術的に可能なら、

環境への影響の少ないトンネルチューブで結ぶ方がいいでしょうね。この“人間の

巣”ができれば、感染症はもちろん、短期・長期の気候変動にも十分に対応できます」

彗星の地球への衝突のような、物理的衝撃に対しても、強固かしら?」

直撃さえしなければ、防御力は十分でしょう...

  それよりも、地震津波の方が、現実的ですね。そうした、災害に対する“社会的コ

スト”は非常に低く押えられます。その分、“人間の巣”に住む人間は、豊かに楽な労

働力で安心して、暮らしていけるということです」

「楽しく、自分にとって有意義な一生であれば...それでいいわけですよね...私

“文芸”担当ですから、そういうことで、大いに活発になればいいと思っています」

「そうですね...

  生物体は、生まれてきた以上は、“生き続けること/存続し続けること”が、強力な

自己目的なります...私たちの意識脳機能生理現象も、まさにその方向で、

“強力な動因”がかかっているのです」

そうでないと...生命現象は、それ自体が崩壊してしまいますね」

「うーん、そうなのです...でも、とは、実に不思議です...私たちの、こうした努

力も、全てが“そうした動因ベクトル上”で展開しているのです...」

「その上を、」高杉が、作業テーブルのそばを通りながら言った。「“人間原理ストーリ

イ”が流れて行きます...」

「はい...」茜が、高杉の方を見上げた。

 

地方の過疎化は、」津田が、壁面スクリーンを動かしながら言った。「すでに、相当に

進んでいます...また、地方都市の経済的破壊も、深刻です...」

「本当に、相当に深刻のようですよね」支折が、フワリと髪を揺らし、津田の方に体をか

しげた。

「相当に、深刻です!

  地方・行政当局が、積極的に、“コンパクトな中核都市”の建設に、着手していく時

かも知れません。“コンパクトな中核都市/人間の巣”を建設できる“立地条件”と、

“自給自足型・都市近郊農業”を展開できる農地があれば、“未来志向の人々”は十

分に集まって来るでしょう。 

  まず、都市建設の仕事があり農場建設の仕事もあります。建設後は、その都市

入って、先駆的に“自給自足型・未来都市”を運営していけばいいわけです」

「そうですね、」茜が言った。「すでに、“具体的行動”に着手する時が来ていると思い

ます」

「ええと...」支折が、ノートパソコンに両手を下ろした。「では...そのことは、別の

ページで着手したいと思います...次の段階として、ページを準備しておきます」

「うーむ...」津田が、首をかしげた。「私が準備しましょう。すぐに取り掛かります」

「あ、お願いします...」支折が、顔を崩した。「それでは、私たちは、とりあえずこの

ページを進めます」

「うむ...」

  津田は、立ち上がった。向こうの作業テーブルへ行き、高杉と何か話し始めた。そこ

に、堀内と、ポン助が加わり、なにかを検討しはじめた。

          wpe4F.jpg (12230 バイト)

「ええと、話を進めます...」支折が、向こうのテーブルを眺めながら言った。「ともか

く、“コンパクトな中核都市”の建設ですね。これは、どのようになるのでしょうか?」

「ここで、重要なテーマは、とりあえず2つです...

  “脱・車社会への移行...そして、穏やかな“自給自足型農業”の確立です。“少

子高齢化社会”の進行で、“脱・車社会”はおのずと進行していきますわ...

  そこで、この“脱・車”を、都市システムの中に、積極的に取り入れて行くことがテー

マになります。いわゆる、“車サイズ”ではなく、“自転車サイズ”...“人間サイズ”

ンパクトな都市システム確立です」

「うーん...“自転車サイズ/人間サイズ”の、“コンパクトな中核都市”ですね」

「そうです...

  それから、“自給自足型社会”ですが...まず、“食糧の自給自足”です。都市単

での、“食糧の自給自足”を、“都市近郊農業”で確立します。野菜類は100%近く

まで自給したいですね。穀物類も、畜産も徐々に自給率を高めたいと思います」

肉食は、様々な理由から敬遠したい所ですよね。それは、都市のデザインに任せる

のでしょうか?」

「そうですねえ...

  “人間の理想郷”が、家畜にとっては“DNAまで操作される地獄”というのでは、“霊

的な平安/進化”が妨げられます...牛の肉骨粉を、牛に与えたことにより、BSE

(牛海綿状脳症)が発生しているのは、事実です。科学的解明はどうであれ、こんなことは

生命倫理的に許されるものではありません...」

「では、はっきりと、その方向を打ち出すと?」

「ふーん...難しい問題ですね...やはり今は、価値観の“多様性”の中に入れて

おきましょうか...」

「はい...

  それで、ええと...“人間の巣”“自立性”を、高めて行く方向ですね。理想とし

ては、自給自足ということですね」

「そうです...

  それから、果物類スパイス調味料などの加工食品もそうですが...それが難

しい場合は、広域エリア内での自給体制を育てたいですね...逆に言えば、世界中

ら取り寄せるのではなく、地域の中で生産・消費する方向ということです

「はい...それは、“反・グローバル化”の流れと、一致していますね」

「そうです」

産業的には...1次産業農耕型ということでしょうか?」

「私は、それが理想的な人間社会の風景と考えています...

  “文明の曙”があり...人類が農耕生活にシフトした頃は、そうだったのでしょう。

むろん、これだけ発達した科学技術文明ですから、高度な工業製品は必要不可欠で

しょう。一方で、身近な道具類は、手工業都市の中で生産される方向ですね。

  当面は、高度な工業製品手工業2極化し、それらが組み合わされた“ハイブ

ッド会”になると考えられます...」

「うーん...楽しそうな社会ですね。それで、うまくいくのでしょうか?」

「うまく行くと思います!」茜が、強くうなづいた。「とりあえず、私たちは、“人間の巣”

創設し、“未来社会の原型”を創り、それを“未来への遺産”として子孫に引き渡し

ます...その後の事は、その時代の人たちが考えればいい事です...」

            wpe8B.jpg (16795 バイト)  wpe4F.jpg (12230 バイト)

「そうですね...」支折が言った。「“戦争”が、人類社会の全歴史を席巻しています

し...“産業革命”が起こって、物質的な豊さを享受できたけど...私たちは“極楽

浄土”には到達できませんでしたよね...どこで、道を誤ったのでしょうか?」

「そうですね...

  現在は、非常にダイナミックな社会ですが、誰もが全力疾走で走っているような

会です...止ったら、ドロップ・アウト...止ったら、社会からの落ちこぼれ...こん

な社会では、が休まりません...

  誰が一体、こんな社会を望んだのでしょうか...誰も、望んでいなかったと思いま

す...そう、支折さんの言う通りです...どこで、道を誤ったのでしょうか?」

うーん...世界中が、みんな一緒にかき混ぜられてしまいましたわね...“文化が

灰色の絵具”のように、混ざってしまいました...世界中が、ハリウッドの映画を見、

日本の漫画を見、パソコンゲームで遊ぶようになってしまいました...」

「そうですね」

トップランナーは、必要もないのに世界中の街をウロついてます...モデルチェンジ

のたびに携帯電話を買い替えて...」

そして、ついには、何となく離婚し、再婚を繰り返す...全てが非常に虚しい、ベル

トコンベアに載っているような社会です」

大量生産・大量消費の影響ですね」

「そうですね...それが、地球環境を急速に破壊しています...

  トップランナーたちは、自らが意識しているいないに関わらず、大量生産・大量消費

社会を支えています...このような社会よりは、非効率でのんびりとした、スローライ

農耕型社会がいいと、人々はとっくに気付き始めていますわ...これは、そう簡

逆流する事はないでしょう」

産業的には停滞型ですね...でも、スローライでも、文化まで停滞しているわけで

はありませんね...そこでの、修行研鑚はあると思うのですが...」

「そうですわ...

  “人間の巣”で...人が豊かに暮らして行ければ、それでいいのではないでしょ

うか。季節の収穫物を食べ、祭りをやり、文化を楽しみ、生きていく上での様々な苦

を経験し、人としての一生を終えていく...それで、いいのではないかしら...」

「そう思います...

  そうした、農耕型生活の中で...人間が新陳代謝していく...それが、私たちの

“極楽浄土”なのではないかしら、」

「私たちは...“人間の巣”ではまず、最も基本的な“自給自足型・農業型社会”

基盤を置いてみました...それ以後のことは、そこで暮らす人々が、それぞれに考

えればいいことですわ」

「そうですね... 

  くり返しになりますが、農業生産においても機械化には否定的なわけですね。全く

機械を取り入れないというのではなく、健康的な汗を流す労働が必要ということです

ね」

「そうです...

  これは、都市の内部でも同じです。“楽チン/便利/豊かさ”の追求だけでは、人

間の生理作用が錆(さび)付いてしまいます。“コンパクトな中核都市/人間の巣”

は、原則として歩くこと、階段を使うことを私たちは主張します。

  乗物エレベーターは、特別な場合か、それが困難な人が使用します。そういう

慣習法を育てて行く方向ですね」

「はい」

                    wpe8B.jpg (16795 バイト)  

「これは、標準的・都市レベルの話です...」茜が言った。「広域レベル・国家レベル・

地球レベルバランスは、別途考察して行きます...

  文明の第3ステージは、“情報革命”の時代です。そして、“価値観の多様化”の時

代です。おのずと高度な多重構造になります。どのような価値観を持つ都市に住む

かということは、重要な選択肢になりますね...」

鉄製品木工品衣類なども...相当な部分が自給自足が可能ですが、このあた

りのレベルも、産業的な流通には頼らないのでしょうか?」

陶磁器ガラス工芸品も、自前でいいものが出来れば、それはいいことだと思いま

す。流通で、経済を発展させ、誰かが儲かる必要はないわけです。創造性芸術性

を、楽しんで欲しいと思います。そこから、豊かな文化多様性が育ってきます...」

「都市として、それが楽しい生活なら、それでいいわけですね」

「そうですね...手が回らないなら、あるいは良い物が欲しいなら、外部から高級品

を取り寄せるのもいいでしょうね...生活スタイルは、自由です...

  ただ、何に関しても、“自給自足を楽しむ文化”は、育てていきたいですね。これは、

“人間の巣”の、基本的政策の1つですから...」

芸術や、芸能や、スポーツとかの...様々なヒーローも...それぞれの都市の中

で育てるわけですね。自分たちで評価し、育てればいいわけですよね」

「そうですね、」

全国的にメジャー芸術家育てるのも、都市がバックアップすればいいわけですよ

ね。それは、楽しいですね。人口30万人規模の都市なら、個人の意見が、相当に反

映しますよね。それに、様々な事をやりたい人が出てきますよね。その可能性が開け

ますよね」

「そうですね...

  いずれにしても、社会形態については、さらに研究が必要でしょう。私たちは、1つ

都市単位30万人としましたが、それも決まったものではありません。第1、どの都

市も、同じ人口規模である必要もないわけです...

  小さな都市でもいいわけです。ただ、あまり小さく分裂するのはどうでしょうか。同じ

価値観をもつ都市の中で、“小さな集団”を作る方向がいいと思います。“人間の巣”

は、ある程度まとまらなければ本来の意味を失います...」

「はい...」

〔2 基本的生存権 完全保障   

         所得格差 10倍以内  

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基本的・社会形態としては...

  都市単位での、“原始共同体/原始共産体”を、1つの例として想定してみました。

これは文字通り、原始時代単純明快な社会組織です。生産手段の私有や、階級的

な支配関係がなく、血縁的に結合により形成された、1つの理想的な共同体です」

原始共産主義の社会ですね?」

「そうです...人間が最初に作り上げた、最も民主的な、“慣習法的社会”とでも言

のでしょうか...“家族の延長”とでも言うのでしょうか...全てが、“透明で見える

範囲の社会”です...これが、“人間サイズの原型”なのでしょう...

  しかし、都市人口を30万人と想定すると...原始社会のような単純明快さには限

があります...したがって、原始共同体を、“発展進化させた社会形態”を想定し

います。“情報革命”情報器材を使えば、この“新・民主主義社会”の実現は、比

較的容易だと思います」

「はい。それだけ、文明が進化したわけですね、

そうです...“人類文明の第3ステージ”にふさわしい“情報テクノロジー社会”

いう、“人間の巣”もう1つの側面が浮かび上がってきます...」

「そうですね...」

「それから...」茜が、ノートパソコンに目を落した。「技術系・学術系・芸術系でも、

当に深度の深い社会です...それなりの信頼性の高い評価システム要求されま

す。これは、広域レベル国家レベルでの対応となるでしょう...

  さらに、もう1つ...都市の解放システムの領域...都市間の連携や、国家との

関係...“地球政府”と関係...があります。それはまた、別途、考えることにしま

ます...」

「はい」支折が、うなずいた。「それは、“文明のデザイン”レベルの問題ですよね」

「そうです...さて... 

 

   “人間の巣”での“所得格差”は、最大で“10倍以内”を想定してみました。

  基本的生存権は、“人間の巣”ですから、全て保障します。住居食糧医療

    福祉等は、どのような形態をとるにせよ、完全保障します。

  基準以上の家族生活などでは、“所得”が反映されることになります。それか

    ら、所得以外の評価として、“慣習法”を育てることが重要と考えます。

  具体的には...“様々な賞”“名誉市民”“一時的権利”“生涯権利”等を

    創設します。都市住民全体で形成する、評価するシステムです。資本主義社会

    のように、全て“資産で評価”するのではなく、【市民参加型・評価システム】

    による、金銭以外の“慣習法的な評価”です。

 

  資本主義社会では、“悪銭”正当に評価されます。それが助長され、今の日本の

ように、“壮大なモラルハザード社会”ができてしまう事例もあります...あらゆる社

会システムは“一長一短”はありますが、【市民参加型・評価システム】によって、より

理想的なものにはできるはずです...

  かって、津田・編集長が言っていました...“市民・国民が覚醒”している限り、全

員参加型の民主主義が、“安心・安定なシステム”だと...私達は、あらめて考える

ことはないのですが、重要な指摘です...こうしたシステムは、“慣習法”によって支

えられるのです...

  “慣習法”は、一朝一夕に出来上がるものではありません。“人間の巣”における

新しい価値システムや、共通の価値観は、長い時間をかけて育んでいく必要があり

ます。例えば、ーベル賞のように、時代を超えて高く評価されるような、誰もが納得

する立派な価値観を創りたいですね...」

「はい!」支折が、大きくうなづいた。「ところで、茜さん...“原始共同体”いうこと

は、文明が原始時代に退化する...ということでは、ないのでしょうか?」

単純明快で、純水な社会形態ということでしょう...

  それに、文明は退化はしませんわ...それが、私の意見です...確かに、退化

しているように見えることもあります。でも、それは、スパイラル状に進化しているので

す。歴史は、繰り返しつつ前進しているのです。高杉さんなどは、“世界の歴史性”

“この世”というものを、もう少し複雑にとらえているようですが...」

「うーん...はい、そんな所がありますよね、」

 

  支折は、向こうの作業テーブルに目を投げた。高杉と堀内が、何かを指差し示し、

首を振り、さかんに議論している。ポン助も椅子の上に立ち、その画像を覗いていた。

しかし、津田・編集長の姿は見えなかった。かわりに、いつの間にかブラッキーが来て

いて、ボンヤリとタバコを吹かしている...

  ハイパー回線のゲートに、コッコちゃんが姿をあらわした。ミミちゃんも一緒だ。ゲー

トの上の点滅表示が、“クラブ須弥山”になっている...

  コッコちゃんは、ワゴンを押しながら、“クラブ須弥山”から、“未来工学/地下都

市へのシフト”の編集作業室に入って来た...

  支折が立ち上がった。ゲートの方へ歩いていった。壁面スクリーンの時計表示を見

上げる。デジタル表示が、15:00を示していた。

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「コッコちゃん、ミミちゃん、ご苦労様!」支折が言った。「コーヒーが来ましたわ!お茶

にしましょう!ポンちゃん、手伝って!」

「おう!」ポン助が、椅子から跳び下りた。

〔3〕 21世紀型独立都市連合体  

 wpe74.jpg (13742 バイト)    wpeB.jpg (27677 バイト)  wpe4F.jpg (12230 バイト)    

「ええと...」茜が、最初にコーヒーを飲み干し、コーヒーカップをコトリとテーブルに

戻した。「少し...くり返します...」

「うむ、」高杉が、コーヒーカップを口に当てながら、うなづいた。

“都市・共同体”での、最大所得格差10倍以内...それが、社会のダイナミズ

ムを失わないレベル...と私達は想定してみました...」

10倍以内ですか...」高杉がつぶやいた。「つまり...最低の賃金と、最高の賃

金の格差10倍ですか...」

「どうでしょうか?」茜が、首をかしげた。

「うーむ...」

10倍でも、」支折が言った。「相当な格差がありますよね...」

10倍上限です...」茜が言った。「実際には、10倍もらう人は、少ないと思い

ます。ですが...やはり、力した人には、それなりに報いなければ、逆の意味で不

公平になります」

「そうですね、」支折が、髪を揺らした。

「何とも言えませんねえ...動かしてみないことには...」

「はい...

  個人的な資産形成は、貯金個人的収蔵物になると思います。居住空間は、都市

の所有物ですが、コーディネートはするのは個人ということになるでしょう...個人的

は限られたものになりますね。かわりに、都市の資産収蔵物、それから様々な

備蓄は、巨大なものになると思います」

“人間の巣”は、家族や血族についで、」支折が、高杉に言った。「非常にアイデンティ

ティーの強い存在になるわけです」

「うーむ...」

「それから、」茜が言った。「“食糧の備蓄”は都市で行います...

  エネルギーや水の確保衛生管理保安管理施設・システム管理等は、全て都

市で行います。高機能都市空間の総合管理ですが、コストはかからないと思います

し、犯罪発生率も非常に低いと思います。

  火災等都市内部での災害も、システム的に頑丈であれば、非常に低レベルで抑

えられるはずです。それらに関しても、早急に“システムの研究開発”に着手して欲し

いと思います」

「うーむ...」高杉が、腕組みをした。「まあ...いいのではないですかね。こういう

巨大システムは、いずれにしても実際に動かし、試行錯誤しながら、育てていくこ

とになるでしょう...」

「はい...ええ...次に、少しまとめをしておきます...」

  支折が、手元のキーボードで、そのまとめたものを表示した。

「ええと...」茜が、壁面スクリーンの方を眺め、また自分のノートパソコンに目を落し

た。「まず...

 

    “人間の巣”は、“原始共同体/原始共産体”“進化型”を、社会形態モデル

    としています。

  広域的には、“共産主義体制”と間違うかも知れませんが、実質的には“共産

    主義体制”でも“資本主義体制”でもありません。これは、“21世紀型/独立

   都市・連合体制”です。

  “人間の巣”が、それぞれに、強いアイデンティティーを持ち、“独立性/多様

    性/自給自足性”を有し、“広域連合体”を形成していきます。これを、国家

    “地球政府”が、統合的に見守り、管理して行きます。

  国際的物流は非常に縮小します。そして、それは、クリーン・エネルギーの船舶

    チューブ型・鉄道輸送になるでしょう。それらは、国家“地球政府”の管理と

    なるかも知れません。

  パレスチナイスラエルの武力紛争は、現在も繰り返されていますが...中東

    の紛争地域も、国家という枠を捨て、“人間の巣”細分化することで、紛争は

    解消して行くと考えます。今までとは逆転した発想になりますが、細分化し国家

    という枠を無くして行きます。

  パレスチナの地に、“人間の巣”が点在し、パレスチナ人ユダヤ人は、それ

    れ別々に“人間の巣”を形成します。余った土地は、大自然へ還します。また、

    競合する聖地は、“地球政府”の管理とします。

 

  ...ええ、以上ですが、どうでしょうか...単純明快な解決策です。こういうことは、

単純で、分りやすい形が良いのです...」

「うーむ...」高杉は、スクリーンに表示された項目を見つめた。「なかなか、ユニー

クな検討をしてあると思います。“叩き台”にはなるかも知れません。パレスチナ紛争

対する、“人間の巣”の対応ですか...いいと思います...」

「はい!」支折が、強くうなづいた。

 

「世界の紛争地域が...」茜が、ノートパソコンの両端に、手を添えた。「2極対立の

になり...あらゆる細かな紛を抑止してきたのが、“東西の対立”の時代です。

いわゆる、20世紀末期“核戦略体制下の冷戦構造”の時代です

「そうです!」高杉が言った。「ついこの間のことですが...この時代は世界のあら

ゆる紛争が、この“東西の対立”の中に放り込まれ、抑止されてきたわけです...こ

の体制が終結すると共に、世界中の紛争が芽を吹きかえし、いわゆる“平和の配当”

も、何処かへ消し飛んでしまいました」

「はい、」茜がうなづいた。

「現在、“アメリカの1極支配構造”になっていますが、“アメリカ1国”では支配しきれ

ないのが現実です。そこで、イギリスに続き、日本にもその“覇権主義の片棒”を担が

せようというのが、米軍のトランスフォーメーションです。在日米軍基地の再編は、ある

意味では日本に対する“踏絵”となっているのです」

「それで、」支折が言った。「アメリカは、どう見ているのでしょうか?」

「まあ、それは現在進行形のことでしょう...さしあたり、アメリカの日本に対する“信

頼”は、“揺らぎ始めている?”のではないでしょうか、」

「どうしてかしら?」支折が聞いた。「牛肉問題かしら?BSE(牛海綿状脳症)対策の、“全

頭検査”の問題かしら?」

「いや、それよりも、在日米軍基地の再編で、もたついている事が大きいでしょう。そし

て、その背景として、日本が“独自の世界平和戦略”を模索し始めているということ

があります...

  ま、いずれにしても日本は、“覇権”を主張する2つの大国、中国とアメリカの“中間

の位置”に立つべきです...もはや、かっての2極構造に立ち返ることは許されない

でしょう...日本が“独自の世界平和戦略”を打ち出すことは、正しい選択です。

  そして、“文明のターニングポイント”を実現しなければなりません。“反・グローバル

化”を実現しなければなりません。それが、人類文明の生き残る道でしょう...」

「そうですね!」支折が言った。

“覇権主義”は、」茜が言った。「確かに、“20世紀の遺物”ですわ。21世紀には、無

用のものです...」

「うむ...」高杉は、窓に目をやった。昼下がりの真夏の陽光の中で、百日紅(さるすべり)

の赤い花が咲き誇っていた。

 

“ターニング・ポイントの中で...」茜が言った。「私たちは、“多様性”“独立性”

“自給自足性”を持つ、“人間の巣”を創設することを提案しています。“地球政府”

管理下で、それを達成できないかと考えています...

  宗教も、民族も、文化も、あらゆるレベルの多様性を、“人間の巣”を形成する事

で、実現して行こうというものです...中東地域の紛争も、“人間の巣”を展開するこ

とにより、基本的な問題は解決されると思います...」

「いいのではないかな、」高杉は茜を見、それから支折を見て、うなづいた。

「はい!」茜が、唇を固く引き締めた。

「ええと...」支折が言った。「津田・編集長は、日本の現状の打開/コンパクトな中

核都市の推進で、構想準備を急いでいますが...“人間の巣”の世界戦略的展開

についても、徐々に構想を広げ、別途ページを立ち上げていきたいと思います...」

「いいですね、」高杉が、うなづいた。

  〔4〕 強固なアイデンティティー  wpe74.jpg (13742 バイト)

             都市の独立性

    wpe4F.jpg (12230 バイト)

 

「ええ、話を戻します...」茜が言った。「世界全体、そして日本は...

  “人間の巣”を展開し、“21世紀型/独立都市・連合体制”をとるということです

ね。非常に“強固なアイデンティティー”を主張する、“墳丘墓型・半地下都市”

“自給自足的”に散在することになります...それ以外の大地は、“文明の支配”

離れ、“原始の地球の姿”に還ることになります...

  “人間の巣”における“様々な基準”は、“都市単位の多様な価値観”に任せ

す。それを、地域レベルが調整します。また、“地球政府”暴走逸脱を監視し、

災害等に対処し、見守って行きます...」

 

「原則的に、自給自足/独立独歩の体制ということですね?」支折が言った。「可能

でしょうか?」

「昔は、みんなそうやって、町や都市を形成してきたのです...立地条件の良い場

所に、“人間の巣”を展開すれば、それは幾らでも可能なはずです...

  場所の選定は、“十分な水や農地の確保”“自然災害の防御”“住み易さ”の観

点からも、非常に重要になります...高原がいいか、臨海がいいか、河川の氾濫は大

丈夫か...火山地震の活断層は大丈夫か、等です...」

「うーん...

  “交易”“物流”というものを、どの程度にするかということも、重要だと思います

が...」

「それは、“文明のデザイン”にかかわることですね...大局的な視点が必要です。

他にも、検討すべき課題は山ほどあります」

「そうですね、」

都市の運営でも、様々なスタイルが出て来るでしょう...

  技術系・学術系・芸術系・スポーツ系の評価でも、それぞれ都市単位得意とする

分野が出て来るのも、大歓迎かも知れません...

  例えば、日本一音楽が盛んな都市...日本一スポーツが盛んな都市...という

のも、夢が広がります...そういう方面での“競争”は、歓迎されます。また、リゾート

などは、それなりの対応が必要です。様々な海や山の特産地や、産業、工芸品の

重点地域などもそうですね...

  他に、宗教都市や、学園都市芸術都市アミューズメント都市、それから先進工

業都市や、国家中枢など、非常に“多様性”も高まると思います...

  ともかく、私たちは、“文明をデザインしていく時代”を推進して行きます」

「はい!」

全員参加型の、“慣習法”のしっかりとした社会を創出していくつもりです」

                  wpe8B.jpg (16795 バイト) 

「現在、日本は資本主義体制ですよね、」支折が言った。「そこから、“コンパクトな

核都市/人間の巣”に移行して、急に“農業型都市/原始共同体”へ移行できるも

のでしょうか?」

「そうですね...それは津田・編集長が、具体的な考察を進めていると思いますが、

いくつかの基本的問題があると思います...

  でも、これは、老人ホームへ入るのと似ているかも知れません...人間の個体

は、いずれは死んでいくものです。そうした意味では、人間は覚悟はできていると思

います。30年50年100年と...子孫の世代のことを考えて、“人間の巣”を建

設していかなければなりません。

  当面の、小さな既得権よりも、“理想とする社会形態/人間の巣”へシフトする方

が、未来への大きな遺産なります...現在の富・現在の快適性にしがみつき、

球環境を激変させてしまうようでは、“人類文明は何の意味もない”ということになり

ます。これでは、文明を持たない動物以下の存在です...」

「そうですね、」

“文明の理想の姿”を...」高杉が、口を開いた。「社会工学の方面からも、しっかり

と提示して欲しいと思います。

  どの程度の人口規模で、どのような都市、どのような“社会形態”が可能なの

か...“学問的な精華”を、全て“人間の巣”に投入して欲しいと思います...私達

は、生態系と調和した、“人類の理想郷”を建設していこうというわけですから...」

「そうですねえ、」堀内が、高杉にうなづいた。「“人間の巣”こそ、全ての精華を実践

する場所だと思います。都市プランナーも、都市デザイナーも、全ての学問も...“人

類文明の叡智”の全てを、結集して欲しいと思います」

“文明をデザインしていく時代”ですから、」高杉が言った。「これから、長い“試行錯

誤の時代”が始まって行くものと思います。そうした中で、人類文明はまさに、“最

の試練の時代”を迎えることになりそうです」

「そうだと思います...」堀内が言った。

             wpe74.jpg (13742 バイト)    

「さて、次に...」茜が言った。「現在、多額の資産を持っている人ですが...それは

貯金に変えて、“人間の巣”に持ち込むことは可能でしょう。ただし、それを資産とし

て、資本主義的に運用できるかどうかは分りませんね...

  私たちは、“新しい共同体”では、原則的に“資本による支配”というものに否定的

です。何故なら、人間新陳代謝し、生まれ変わって行くのに、“資本”はそのまま生

き残っていくからです。これが、生まれながらの“貧豊の差”を作り出す原因になりま

す。生れた時は、“人間は平等”であるというのは、“人間の巣”の原則です。

  ただ、そこにも、“多様な価値観”があっていいと思います。それなりに、プラスの側

マイナスの側面を持つからです。したがって、“資本の原理”を定めた“都市・共同

体”においてなら、それは可能です...“多様性”こそ、私たちが自然の生態系か

学ぶべき事なのです」

「はい...」支折が言った。「くり返しになりますが...“基本的な居住空間”いうも

のは、保障されるのでしょうか?」

「はい...それは、最も大事な所です...

  “アリの巣”“ハチの巣”に見る社会性でもそうですが...“人間の巣”において

も、“運命共同体”として、“基本的生存権”完全保障”します...【食糧・福祉・

医療・基本的人権】など、全てに及びます...

  動物の社会では、“弱者”は切り捨てられますが、“人間の巣”における“文明社

会”では、切り捨てる事はしません。病院療養施設等で、徹底看護します。これが、

文明を持たない動物と、文明を持った人間社会との、最も違う所でしょう...

  “文明の力”は、環境圧力に対し、十分な防御力を持っているからです。それに対

し、動物は基本的に自分の体は自分で守らなければなりません。社会性を持ったアリ

ハチでも、弱者を守りきる力はありません...

  “病気”“ケガ”は、常に誰にでも起こりうる可能性があり...“先天性の病気”

も、“先天性の病気を発症する因子”も、一定の割合で存在します。これに対処する

“医療の発達”は、“文明の最大の成果”と言えるかも知れません...

  こうした意味から、“弱者を守る”のも、“人間の巣”の重要な使命になります。“強

者”“簒奪(さんだつ)者”のための“人間の巣”ではありません。人類のための、“理想

郷/極楽浄土”が、その目標とする所です」

「はい、」

“細かなルール作り”は、“都市単位でデザイン”して行くことになります。むろん、そ

こには、基本的人権民主主義という枠がかかります。行き過ぎには、広域・都市連

国家から...そして“地球政府”から、強力なブレーキがかけられることになり

ます」

「そうですね。広域・都市連と、国家及び“地球政府”の関係は、その事態的な政

治形態の推移と関連しますね、」

「そうです...

  そして、文明規模で、“地下都市/人間の巣”へシフトするとなると、“地球政府”

“強力な指導力・推進力”不可欠でしょう...特に、発展途上国貧困地域

“人間の巣”の建設には、資本力技術力の投入が必要です」

「はい、」

「しかし、それも、“人間の巣”量産体制には入れは、それは比較的容易でしょう。

また、“自給自足型農業”が始動すれば、後は“独自文化”を展開して行けるはずで

す。そうなれば、発展途上国貧困地域という差別もなくなりますね...」

「うーん...本来、そんなものは存在しないですよね」

「そうですね...

  国際援助も、それ以後は必要なくなります。もちろん、“自給自足型農地”を確保で

きれば、それ以外の土地は大自然に還します。戦争をして、領地を取り合う必要はな

いのです。生態系と調和し、文化を楽しみ、穏やかに生きて行く価値観が重要になり

ます。

  “人間の巣”が展開して、初めてそうしたことが可能になります...」

「はい!」

地球レベルで、“文明が地下都市へシフト”し...“脱・車社会/脱・航空機社会”

実現し、“文明の折り返し”本格的に始動して...それでようやく、“地球温暖化”

“海洋の酸性化”に、強力なブレーキがかかるでしょう」

「はい」

「堀内さん...」茜が言った。「それは、はたして、間に合うのでしょうか?地球の

生態系/地球生命圏は...このテンポで、“復元”できるのでしょうか?

「ウーム...」堀内が、ゆっくりと首をかしげた。「分りませんね...ともかく、早急

対策が必要だということです。私達は、全力で、それを遂行するということですね」

「うーん...」支折が、椅子の背に体を反らし、腕組みをした。「それほど...進行

ているのでしょうか?」

「そうです」堀内が、眉間にシワを作った。「それほど、深刻になっています...

  一般的には、まだまだ危機感が無ですねえ。それどころか、今だに、トヨタGM

は、自動車を大量供給する事に奔走しています...ロシア中国インドで、まさ

モータリゼーション爆発させようと企んでいます...アジア大陸を、車で溢れ返ら

せようとしています...“地球を破壊”してしまうつもりなのでしょうか...」

「車を...」茜が言った。「CO(二酸化炭素)の排出を抑えた、ハイブリッド(複合型)クリー

ン・エネルギーに替えるだけでは、ダメなのですわ...自然を切り開き、道路を作り、

そこに文明を持ち込むこと事態が、生態系を壊しているのです。そのことが、“生物種

の絶滅”を拡大しているのです」

「そうですね...」堀内が言った。「それに、クリーン・エネルギーであれなんであれ、

生み出された“熱エネルギー”そのものは、熱量として蓄積し、“地球温暖化”につな

がっているのです。

  そのことは、大都市圏のヒートアイランド現象で、よく理解できると思います。ヒート

アイランド現象は、都市気候を変動させるほど、巨大な熱量になっているのです。それ

はまさに、1台1台の車のエンジンの熱量も、エアコンやストーブの熱量も、同じ意味

なのです」

「うーん...」支折が言った。「これを解決するには、エネルギー消費そのものを抑え

るということですね?」

「そうです、」茜がうなづいた。「それには、“脱・車社会”であり、“脱・冷暖房”です...

つまり、“文明を地下都市空間/人間の巣”へシフトすることです...

  それを、現在、人類が急いで実現したとして...それで、大丈夫かと聞いているわ

けです」

「うーむ...」堀内は、ゆっくりと体を揺らした。「できるだけのことは、全てやってみる

ということでしょう...しかし、一方で、トヨタGMは大量に車を作り続け、環境を破

し、それで大儲けしているわけです...まあ、淋しい話ですねえ...」

“地球政府”ができないと、」支折が、両手を握りしめた。「難しいのでしょうか?」

「ともかく、“文明の折り返し”が必要なのです...」茜が、ボンヤリと宙を見つめた。

                wpe89.jpg (15483 バイト)

「これまで地球の生態系は...」堀内が言った。「5度の大量絶滅を経験しています。

  先カンブリア時代“全球凍結(地球が雪ダルマのように、全てが凍りついたという学説)の頃に、さ

らに大きな絶滅の危機があったのかも知れませんが...ともかく、“種の大量絶滅”

というのは、大自然のサイクルでも起こりうる事なのです。

  その“種の大量絶滅”という、大自然のサイクルもまた、生命進化“巨大な新陳

代謝”とも言えるでしょう...ところが、“人類文明による環境破壊”は、この“大自然

による新陳代謝”の範疇には、入らないと言われます...」

「何故でしょうか?」茜が、ボンヤリと顔を向けた。

「つまり...

  文明による環境破壊は、生物的破壊とは大きく異なるからです。極端な例になりま

すが...もし核戦争による破壊だったら...放射能汚染は延々と続きます...そ

間、空きニッチ(空いている生態系地位)に対する生物の爆発的な展開ど、あり得ないわけ

でしょう...

  これが、現実には、大自然には存在しない“化学物質による汚染”であり、“文明の

ゴミによる汚染”なのです。地球生態系が復元できるかどうかは、これらの除去に掛

かっているのでしょう」

「はい!」支折がうなづいた。

「しかし、まずは、“脱・車社会”の推進です。それには、“人間の巣”の創設です。“文

明のステージ”が、確実に変わったことを、人類全体が認識する事が大事です」

「そうですね、」茜が、口にコブシを当てた。「ともかく、日本が先鞭をつけなければなり

ません...時代は、非常にし始めています。のんびりと構えていることは、許さ

れません」

「そうです」堀内が言った。「日本は過疎化都市集中化が、すでに相当に進んで来

ています。実際に、各地で、中核都市化も、着実に胎動しています。徒歩自転車で行

ける範囲の、“コンパクトな中核都市/人間の巣”の基盤整備は、急速に必要性

高まってきています!」

          wpe4F.jpg (12230 バイト) wpe89.jpg (15483 バイト)  

「はい!」支折がうなづいた。「ええ、このページは、これで終ります。どうぞ、次の展

開にご期待ください!」

 

 

                        

                                                             生協の宅配パルシステム

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