My Work Stationgroup F個体の死・残留人格昇華の経路プロローグ

                                                 個体の死残留人格昇華の経路

     プロローグ  

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トップページHot SpotMenu最新のアップロード     塾長 / 統括責任者 :  高杉 光一 

 

                                                             1998.4.23

   プロローグ                     

 

  “生命”とは、まさに命のことです。そして、命がどのようなものか、私たちは一応

知っています。しかし、その命には、膨大なシステムの潮流という、もう一つ別の側

面があります。医療や分子生物学等で、その複雑さはよくご存知のことと思いま

す。しかし、医療で扱っているのは、主に人体という個体のレベルです。

 では一体、その個体を超えたシステムは、どのようになっているのでしょうか。生

前と死後の意識は、どのようなシステムに織り込まれているのでしょうか。いずれ

にせよ、生命システムは全体が開放系です。つまり、生命圏は宇宙と、動物は生

態系と、DNAは生物体と相互作用しています。そしてそれらは、全体がきれいなヒ

エラルキーという階層構造をなしています。

 人は、その膨大な関係性の織物の中の、ほんの小さな花模様のようなものでしょ

うか.....つまり、その底知れない複雑系の模様の小さな1コマが、私たちには

人という“人格”に見えたり、動物の“ネコ”に見えたり、海という“原形質的楽園”に

見えたりするのでしょうか.....

 その膨大な生命潮流の中にある“私”とは、例えて言えば、大きな森の中の一枚

の木の葉のようです。しかし、その木の葉にも、個としての“死”があります。そして

それは、私たちにとっては、きわめて重大な関心事です。が...私たちは、ここで

ちょっと立ち止まって、考えてみる必要があります。木の葉が一枚枯れ落ちること

が、全ての終焉なのでしょうか。落ちた一枚の木の葉は、真に無意味な存在なの

でしょうか。またそれが、哀しむべき対象なのでしょうか。たとえ木の葉が一枚枯れ

落ちても、その上位のヒエラルキーである木も森も、まぎれもなく生きているので

す。同じように、私たちの体の中では、日々膨大な数の細胞が死に、また新たな別

の細胞が生れています。しかし、そうした生滅の激流の中で、まさに“私”という人

格は、安定して存在し続けているのです。無意識のうちに、刻々と消滅していく細

胞の死を乗り越えて.....

 一方、反対に、生命圏という立場から見た場合はどうでしょうか。私という個体

は、まさに新陳代謝していく1個の細胞のようなものです。そうした無数の個体が、

どんどん新陳代謝し続けてこそ、上位にある生態系や生命圏が脈々と存続し続け

ているわけです。

 すると...個体の死とはいったい何なのでしょうか。私たちの重大な関心事の、

“死”とはいったい何なのでしょうか。“チベットの死者の書”(バルド   ソドル ...BARDO

THODOL...密教の聖典 ) の巻頭に、以下のような文章が記されてあります。  

 

   彼の意思に反して人は死ぬ...死ぬことを学ぶことなく...

    死ぬことを学べ...そして汝は、生きることを学ぶだろう...

             死ぬことを学ばなかった者は、生きることを何も学ばないだろう...

   

              “チベットの死者の書”(バルド   ソドル ...BARDO THODOL...密教の聖典 )

                                           < おおえ  まさのり 訳編      講談社 >

 

  いずれにせよ、“死”の風景の全貌は、複雑をきわめています。おそらく、人類文

明の総力をあげても、またDNA最高モードの直感力の全てを傾注しても、その入り

口にたどり着いたのかどうかさえも分かりません。したがって、こうした全貌の解明

は、今後の21世紀の仕事になるのでしょうか。                         

 

 

                                                                              house5.114.2.jpg (1340 バイト)