My Work Stationgroup C量子情報科学黎明期の量子力学

         黎明期の量子力学  wpe89.jpg (15483 バイト)

        系譜と歴史的人物の流れ = 

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 トップページHot SpotMenu最新のアップロード         担当 : 塾長 / 高杉 光一 里中響子

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プロローグ    2003. 4.24  
No.1  デカルト 2003. 4.24
No.2   ニュートン 2003. 4.24
    19世紀最後の年/1900年 2003. 4.24
No.3   プランク 2003. 4.24

  

 プロローグ

 

 

 

 

 

 

「ええ、響子です...

  高杉・塾長が、ちょっと所要で遅れています。それで、私ひとり

で、近代科学の始まりについて、簡単に説明を開始します。ここで

は、量子力学の黎明期に活躍された歴史的人物の流れから、そ

の理論の系譜を追ってみたいと思います。気楽に、マイペースで進

めて行きます。どうぞ、よろしく...」

  <近代科学>  

科学的合理主義の

ルーツ

<1> デカルト

       (1596〜1650)

 フランス人

 近代哲学の祖

 解析幾何学”の創始者

 

    談: 里中響子

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「ええと...まず、デカルトですね。ルネ・デカルトは、ご存知のよう

に、フランスの哲学者です。ええ...そして、“近代哲学の祖”であ

り、“解析幾何学”創始者でもありますね...

  それから、“我思う、ゆえに我あり(/コギト・エルゴ・スム)という有名

な言葉を残しました...

  この言葉の真意は...周囲にある物質も、自らの身体も、また

自らの知覚も、とことん考えてみれば、実は絶対的なものではない

わけです...しかし、今まさに、“思惟している者”としての自らの

存在は、どうしても否定することができない...

  そこで、デカルトは、ついに“我思う、ゆえに我あり”という根本

原理に到達したのです...

  したがって、この根本原理が、デカルトがうつろいゆく“眼前のリ

アリティー”に打ち込んだ、絶対的なアンカー(碇/いかり)だったので

す。ここから、彼の合理主義精神機械論的世界観が展開して行く

わけです。

  彼は、“思惟するもの(/精神)と、“延長されたもの(/物質)は、は

っきりと分離し、物質よりも精神を確実なものとしたようです。この

カルト科学哲学が、現代科学をも含めた、科学全般思考的な

原型となっています...

  でも、デカルトのこの思想は、あくまでも“神のもと”で、“精神”

“物質”が統合されたものだったのです...」

 

「でも、近代科学文明が進展していく過程で、やがて“神”排除

れ、“精神”も遠ざけられ、“物質”のみが、科学の対象になって行

きます。そして、この片翼飛行は、自ら巨大な矛盾をはらんで行く

ことになります。

  したがって、近年では、その唯物論反動反省から、デカルト

“失われた精神”を取り戻す動きが起こっています。物から心の

時代へ、などと言われているのも、こうした流れの一環と言えま

す。

  それと、もう1つの大きな要素は、科学文明が進展し、いよいよ

“脳の科学”に、メスの尖端が動き始めたということです。人類の知

能が、その自らの“脳”“知能”に、関心が向き始めたと言うこと

です。

  しかし、これは“脳”“知能”が...その自らの“器”“認識構

造”を解明するという、自己矛盾を内包した途方もない課題でもあ

るのです。

  つまり、人間の脳が、人間の脳を超越し、それを解明できるのか

という矛盾です。また、“知能”が、“人間自身の智慧”を超越し、そ

の全貌を記述できるものなのでしょうか...

  ともかく、21世紀科学は、いよいよこうした認識の本質にメスが

入り始めたと言うことです...

<近代科学>   

デカルトの思想を体現

したニュートン物理学 

<2> ニュートン

       (1642〜1727)

 イギリス人  

 物理学者・天文学者・

 数学者

 微積分法を発明

 万有引力を発見

 談: 里中響子

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「ええ...次は、ニュートンですね...

  デカルトの準備したパラダイムを、実際に学問として完成させた

のが、このアイザック・ニュートンです...

  彼は、リンゴが木から落ちるのを見て、“万有引力”を発見したこ

とで有名です...

  リンゴが木から落ちるという、ごく当り前のことから、地球には

があることを知るわけです...うーん、普通の人は、こういう結

びつきは、なかなか想像できないわけですね...」

 

「さて、このニュートンによって理論化されていく近代科学の特徴

は、“質量”“力”です。これは、ニュートン力学3つの運動法則

の中で、キッチリと体系的に定義されていきます...

  ええと、このニュートン力学のステージは、曲率のないユークリッ

ド幾何学に基づく、“3次元空間”です。ニュートンは、これを“絶対

空間”と呼んでいました。また、この“絶対空間”の中では、過去か

ら未来へと一様に流れる時間があり、これを“絶対時間”と呼んで

いたわけです...

  それから...ニュートン力学は、この“絶対空間”“絶対時間”

の中に、万有引力の法則を、ほぼ完全に描き切るわけです。後に

説明しますが、“黒体輻射の問題”“マイケルソン=モーレイの実

験の問題”を除いては...」

 

「繰り返しの説明になるかも知れませんが、ニュートン力学パラ

ダイムとしては、このステージの器となる“絶対空間”“絶対時

間”も、絶対不変のものです。つまり、器自体は、この中で起こる

あらゆる現象に、全く影響されないということです。

  一方、相対性理論のパラダイムになると、その器自体が相対的

に変化し、空間時間も、伸びたり縮んだりします。よく言われるよ

うに、光速ロケットに乗っていて、光速度に近づいていくと、時間が

縮み空間が伸びるという、あの幾何学的解釈ですね...

  ええと...そうですねえ...20世紀の始まりと同時に、時代

量子論相対性理論の舞台になります。パラダイムが、“絶対”

なのか、相対”なのかという議論は、今後もさらに続くと言われま

す。でも、ともかく、20世紀は相対性理論の時代であり、“相対”が

優位の時代だったわけです...そしてそれは、21世紀初頭の現

在も続いています...」

 

   
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19世紀最後の年

  /1900年

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「高杉です...響子さんが、ニュートン力学まで説明してくれまし

た。ここからは、一緒に説明していきましょうか、」

「はい、よろしくお願いします」

 

「さて...」高杉が言った。「20世紀初頭というのは、物理学にと

っては、非常にエキサイティングで面白い時代でした。しかし、それ

を全部を話していたら、それこそ大変なことになってしまいます。

  そこで、ここでは、この時代に功績のあった著名な科学者を列

挙し、時系列で20世紀の量子論の風景を見渡してみようと思いま

す。じゃあ、響子さん、先ほどの続きから行きますか...」

「はい...

  19世紀最後の年/1900年...物理学にはもはや、2つの問

しか残っていないと言われていました...その、2つとは“黒体

輻射の問題”と、“マイケルソ = モーレイの実験の問題”です。この

2つの問題を残し、他のありとあらゆるものは、ニュートン物理学

よって、“説明し尽くしたと宣言”されたのです..」

「そうですね...

  そのために、物理学者にとっては、この世界の実態というもの

は、実に面白みのない、つまらない姿に変貌したと広言されまし

た。そして、当然、この2つの問題/2つの宿題も、すぐにケリがつ

くだろうと思われていました...

  それが、つまり、響子さんが言った以下の問題です。

 

   “黒体輻射の問題”

   “マイケルソン = モーレイの実験の問題”

 

  しかし、この未解決の2つの宿題が、やがてニュートン物理学

土台を揺さぶり始めて行くわけです。そして、物理学のパラダイム

が、“絶対性/...絶対時間・絶対空間”から、“相対性/...相

対時間・相対空間”へと、根本原理から変わっていくことになるの

です」

その口火を切ったのが...1900年に発表された、“プランクの

子仮説”ですね、」

「そうです...」

     <3>   wpe89.jpg (15483 バイト)

マックス・プランク

       (1858〜1947)

 ドイツ人

 理論物理学者

 量子仮説を提唱

       (/1900年)

 プランクの定数

 *ノーベル物理学賞

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「それじゃ、」響子が言った。「まず、マックス・プランクを紹介しましょ

うか?」

「そうですね。私から説明しましょう...

  マックス・プランクが解決したのは、“黒体輻射の問題”の方で

す。プランクは、原子や電子のもつエネルギーは、連続したもので

はなく、まとまった単位で交換されるものと考えたわけです。

  つまり、エネルギーには、それ以上分割できない“最小単位”

あり、大きなエネルギーとは、この単位整数倍となるとしたので

す」

「はい、」響子がうなづいた。「ええ...エネルギー振動数の関係

には、“プランクの定数”と呼ばれる“比例定数”があります。単位は

“エネルギー(×)時間”です。

  いきなりこう言われても何のことか分からないと思いますが、

“プランクの定数”という言葉は、一応覚えておいて下さい。量子力

では、しばしば出て来る言葉です」

「ええ、むもう少し説明すると...

  ニュートン力学における全ての運動は、非常に滑らかに、連続

的に変化すると考えられていたわけです。これはすなわち、時計の

針の動きのように、アナログ的な考え方です。これに対し、プランク

は、デジタル時計のような考え方をしたわけです。一定の量で、数

字がパッ、パッ、と変わっていくデジタル表示式の時計のようです」

「はい、」

「例えば、こういうことです...

  電子が持つのは、マイナス1個の電荷です。この電荷のエネル

ギーは、1個、2個、3個と整数倍で数えていくのであって、無限に

分割できる数量で測るものではないという考えです。今では、ごく

自然に受け入れられている概念ですが、当時は提唱者のプランク

自身でさえ懐疑的だったと言われています...」

「そう言えば、高杉さん...

  アインシュタインが提唱した“宇宙定数”も、アインシュタイン自身

が懐疑的だった言いますね、」

「うーむ、それも有名な話です。しかも、アインシュタインは、後に

“宇宙定数”を否定するのです。ところが、別の学者がそれを引っ

張り出してきて、今でもにぎやかな問題になっています」

「それは、どういうことでしょうか?」

「この“宇宙定数”というのは、この大宇宙を埋め尽くす、“真空のエ

ネルギー”に関係しているのです。宇宙空間が“超真空”なのは、

今では小学生でも知っています。しかし、その“超真空”“場”

のものに、“宇宙定数”からくる膨大な“真空のエネルギー”が想定

されていることは、それほど広くは知られていないかも知れませ

ん。一般的には、ですが...」

「それは、どのようなものでしょうか?」

「これは、“ビッグバン理論”や、“インフレーョン理論”という、宇宙

論の話になります。実際、我々のこの宇宙空間の曲率は、プラス

なのか、マイナスなのか。あるいは、膨張しているのか、収縮してい

るのか...

  それとも、この宇宙は、非常に微妙なバランス上で均衡し、曲率

リーマン空間ではなく、平板なユークリッド空間なのか...そうし

た問題は全て、真空のエネルギーをも含め、宇宙空間の総質量

決まってくるとということです...」

「うーん...エネルギーはイコール質量ということですよね?」

「まあ...詳しくは、当ホームページの“宇宙論”の所で詳しく説明

しています」

「はい...

「ええと、それから、高杉さん...この“量子”の考えと、“プランク

の定数”以前を、“古典物理学”と言うのでしたね?」

「はい...

  それ以後を“現代物理学”といいます。ちなみに、プランクアイ

ンシュタインも、新しいパラダイムを準備しましたが、19世紀から

20世紀へのダイナミックなパラダイムシフトは、個人の業績ではな

いと言われます...

 

  それは、まさに“量子力学”という、学問の成立全体が、パ

ラダイムを大きくシフトさせたということです...

 

  プランクが提唱し、最初アインシュタインの掌中にあった“量子力

学”も、やがて彼の手を離れ、学問そのものが一人歩きをして行っ

たのです。そして、まさに大勢の物理学者が、この量子力学の黎明

期を創出していくことになったのです...」

「はい、激動の20世紀の始まりですね、」

「そういうことです。20世紀というのは、非常に面白い時代だった

と思います。まあ、この量子力学が、やがて原子爆弾の開発に関

わっていくことになるわけですが...」

「はい...核爆弾による、恐怖の時代が幕を開けるわけですね、」

「そうです、」

   <4>    wpe89.jpg (15483 バイト) 

アルバート・

   アインシュタイン

    (1879〜1955)

 ユダヤ系ドイツ人

 理論物理学者

 光量子説

 ブラウン運動の理論

 特殊相対性理論

 一般相対性理論

 宇宙定数

 ボーズ・アインシュタ

       イン縮退

 ノーベル物理学賞

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「さて、ニュートン物理学で解決できなかったもう1つの問題、“マイ

ケルソン = モーレイの実験の問題”の方は、アインシュタインの“光

電効果に関する論文”で解決します。いわゆる“光量子説”です。

  話が前後しますが、アインシュタインは、プランクの提唱した電磁

波の量子モデルを、光に対して適用し、この“光電効果に関する論

文”を発表したわけです。

  プランク自身懐疑的だった量子モデルを、26歳アインシュタ

インが理解し、それを大胆に応用したわけです。彼は、光エネルギ

も、量子の整数倍で交換されるとし、その最小単位を“光子”

呼びました。

  また、その論文の中で、電磁波(光も電磁波に含まれます)は、“波”であ

るが、同時に“粒子”としての性質もあわせ持っていると言っていま

す。したがって、は、それ自体、真空中を進むことのできる、物理

的実在としています...」

「ふーん...」響子は、椅子の背に体を引き、両手を組んだ。

「まあ...つまり、このことが、未知の物質/“エーテル”の存在を

不要とし、“マイケルソン=モーレイの実験の問題”を、あっさりと解

決してしまったということです。詳しく知りたい方は、その方面の資

料をお読みください...」

「はい...」響子は、コクリとうなづいた。「ええ...アインシュタイン

は、その26歳の時は...スイスのベルンの特許局に勤務してい

ました。

  そして、その同じ年に、もう1つ論文を発表しています。それが、

あの有名な“特殊相対性理論”です...これは、西暦1905年

ことですね」

「はい。ちょうど、その年、日本ロシアバルチック艦隊を、対馬

海峡で迎え撃ち、これを撃滅しています。明治38年、5月27日、

本海海戦をやっていた年です...」

「それは、日露戦争でしょうか?」

「そうです。帝政ロシアの歴史的な南下政策は、地中海へ出る

海方面で阻止され、さらに中央アジアのアフガン方面でも失敗して

います。そこで、最後に、世界最強のバルチック艦隊を極東の旅順

へ回航し、極東アジアの制海権を確立しようとしたわけです...

  まあ、それを妨害していたのは大英帝国イギリスであり、日本

はその代理戦争をしていたという側面もあったと言われます。

  2005年で、ちょうど100年前の出来事ということになりますね」

「うーん...そんな年に、“特殊相対性理論”が発表 されていたわ

けですね...」

「戦争で世界中が沸騰していた中で、アインシュタインは、ニュート

ン物理学の土台をひっくり返していたわけです。まさに、騒々しい、

ドラマチックな時代だったわけです...」

「はい...激動の20世紀の幕開けだったわけですね...」

 

         <5> wpe89.jpg (15483 バイト)

アーネスト・ラザフォード (1871〜1937)

   イギリスの物理学者

   ラザフォード模型 

  *ノーベル化学賞

 

        <6> wpe89.jpg (15483 バイト)

ニールス・H・D・ボーア

   デンマークの理論物理学者

   ボーア模型

 ノーベル物理学賞