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国 宝/天 目 茶 碗
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《ボスの日記帳》 より・・・ <2024年・・・ 7月9日 > ☆☆☆☆☆ < 1 ~ 234 >
【国宝/天目茶碗】 (1)
特集/美を科学する 鮮烈な青みを帯びた輝きは、どのようにして生み出されているのか 半世紀以上に及ぶ研究によって、その謎が解けつつある 中島林彦 (編集部) 協力 小林仁 (大阪市立東洋陶磁美術館) 阿部善也 (東京電機大学) 海老塚昇 (理化学研究所) ★★★/ボスの日記帳は・・・ボス/岡田が1人称です/ ★★★
ええ… 現在、<国宝の・・・茶碗> は8点ありますが、その内の5点が <天目茶碗> です。
《 ボスの日記帳・・・7月9日》
【 国宝/天目茶碗 】 (2)
謎めいた光彩のメカニズムが、最先端科学によって、解き明かされつつある様です。 黒っぽい茶碗の中から、淡い青い光が放たれている様に見えます。覗き込むと、油滴(ゆてき) になぞらえられる、金属光沢を帯びた、大小多数の…
《 ボスの日記帳・・・7月9日》
【 国宝/天目茶碗 】 (3)
光で、ボンヤリと包まれている様な、印象だそうです。見れば見るほど、不思議な光景の様 です。 この茶碗は、安土桃山時代に、関白/…
《 ボスの日記帳・・・7月9日》
【 国宝/天目茶碗 】 (4)
姓に復氏して、名を秀次と改名。豊臣姓も下賜された。) が、手にしていたと、伝えられています。 この… <● 大阪/藤田美術館所蔵の・・・
《 ボスの日記帳・・・7月9日》
【 国宝/天目茶碗 】 (5)
焼き上げる過程で黒釉 (こくゆう/…鉄分の多い黒色に発色する釉薬。釉薬とは、素焼きの段階の陶磁器の表面に塗っ ておく薬品。焼成によってガラス質となり、水の浸透を防ぎ、つやが出る。) が変化して、斑紋が生じているのが…
《 ボスの日記帳・・・7月9日》
【 国宝/天目茶碗 】 (6)
<● 東京・千代田区/静嘉堂文庫美術館・所蔵の・・・国宝/曜変天目茶碗>
は… 徳川将軍家・所蔵であったものが…
《 ボスの日記帳・・・7月9日》
【 国宝/天目茶碗 】 (7)
経て、後に淀藩主(よどはんしゅ)となる、稲葉家へ伝えられた、とされています。 ちなみに…
<7月 11日> ☆☆☆☆☆
《 ボスの日記帳・・・7月11日》
【 国宝/天目茶碗 】 (8)
目茶碗> ですね。 静嘉堂の “稲葉天目(いなば・てんもく)” は… 3代将軍/徳川家光が、乳母の春日局(かすがの・つぼね)のために贈り…
![]() (/ネットより画像借用)
《 ボスの日記帳・・・7月11日》
【 国宝/天目茶碗 】 (9)
薬湯を飲まなかったとも伝えられます。つまり、天目茶碗も使用しなかったという事。この辺りは不明で、歴史のロマン、…
《 ボスの日記帳・・・7月11日》
【 国宝/天目茶碗 】 (10)
…そして、天目茶碗は彼女ゆかりの、稲葉家に伝わったものを… 三菱の第4代社長/岩崎小彌太(いわさき・こやた/…三菱財閥の4代目総帥) が、入手したものです (/ …静嘉堂・談) と、いう事です。
《 ボスの日記帳・・・7月11日》
【 国宝/天目茶碗 】 (11)
両天目茶碗は茶会などで使うことはなく、大切に愛蔵して来た…と伝えられています。 現在… 世界中で現存する、<● 曜変天目茶碗の・・・完形品・・・> は、日本にある3碗のみです。 その、<● 3碗全てが・・・国宝に指定・・・> されています。
《 ボスの日記帳・・・7月11日》
【 国宝/天目茶碗 】 (12)
ええ… くり返しますが… <曜変天目茶碗が、真作と認められ・・・かつ完品の個体は・・・日本に現存する、3碗 のみ・・・> です。
《 ボスの日記帳・・・7月11日》
【 国宝/天目茶碗 】 (13)
これ等が製作された中国にも、そして西欧や米国の美術館にも、存在しません。この歴史的 変遷については、後で考察します。
《 ボスの日記帳・・・7月11日》
【 国宝/天目茶碗 】 (14)
<天目茶碗(/元は・・・茶葉の産地だった中国の天目山一帯の寺院に於いて用いられた天目山産の茶道具で、天目釉と 呼ばれる鉄釉をかけて焼かれた、陶器製の茶碗のこと。)のうち・・・最上級・・・> と、されるものです。 <曜変天目> とも略称され、「曜変」 は 「耀変」 と、書かれることもある様です。曜には、 星や、光り輝く、という意味があるそうです。 また… 陶磁器を焼成する際に、予期せぬ変化を…
《 ボスの日記帳・・・7月11日》
【 国宝/天目茶碗 】 (15)
い色や、文様に変わること。)」 にも、通じる様です。この紋様が意図的に作り出されたものか、偶然 によるものかは、議論が分かれる様です。
《 ボスの日記帳・・・7月11日》
【 国宝/天目茶碗 】 (16)
<曜変天目茶碗> の歴史的経緯を、少し説明して置きます。 まず、「曜変」 「天目」 は、日本で作られた言葉です。中国の文献には出て来ないと言います。 <曜変天目茶碗> は… 中国/南宋時代の作品ですが、日本で曜変という言葉が使われた…
《 ボスの日記帳・・・7月11日》
【 国宝/天目茶碗 】 (17)
次の使用例は、『君台観左右帳記(くんだいかん・そうちょうき/・・・室町時代、足利義政・東山御殿内の装飾に関 して、能阿弥や相阿弥が記録したものの伝書。)』 と言われます。 12~13世紀… 中国で飲茶が盛んな時期に、黒色の黒釉(こくゆう/黒いうわぐすり)茶碗の生産地が、中国/福建 省にあました。その中で、<建窯(けんよう/・・・中国、福建省建陽県水吉鎮にあった陶窯。唐代の創始といわれ、 最盛期は南宋時代。広義には、建盞(けんさん)(=天目茶碗)を焼造した、福建省を中心とする周辺一帯の古窯を指します。 )> の黒釉茶碗の生産は、北宋・中期に始まっています。
《 ボスの日記帳・・・7月11日》
【 国宝/天目茶碗 】 (18)
絶頂期は、西暦1200年頃で、日本にも輸出された様です。 そして… 中国/明代の初期から… 飲茶法の変化があり、14世紀・前半には、<建窯> の生産が絶えて、程なくして、福建省 の天目窯…
《 ボスの日記帳・・・7月11日》
【 国宝/天目茶碗 】 (19)
ところが、天目茶碗の生産終了後に、日本では茶の湯が盛んとなり、 <黒釉茶碗は・・・日 本/国産窯でも・・・焼かれた> 様ですね。 いずれにしても… 中国/南宋のある時期に… <建窯でも・・・数えるほどわずかな・・・曜変天目茶碗が焼かれて・・・それから2度と ・・・
《 ボスの日記帳・・・7月11日》
【 国宝/天目茶碗 】 (20)
及ぶ・・・歴史的な、謎の光彩のミステリー・・・> と、なっています。 生産された中国では… <欠けている・・・完全でない状態の陶片・・・> が、杭州/杭州市(/・・・南宋の首都)で、出 土品として、発見されています。<何故・・・日本にある完品か・・・伝来品として残ってい
ないのか?> は、大きな謎となっている様子です。
《 ボスの日記帳・・・7月11日》
【 国宝/天目茶碗 】 (21)
<★ 中国では・・・曜変天目は、不吉の前兆として忌み嫌われ・・・ すぐに破棄されたために現存せず・・・わずかに、破壊の手を逃れたものが、密かに日 本に伝来した・・・> …とする説も、唱えられている様です。 また… 中国での陶片の出土状況から、南宋時代の…
<7月 12日> ☆☆☆☆☆
《 ボスの日記帳・・・7月12日》
【 国宝/天目茶碗 】 (22)
< ※ 申し訳ありません・・・天目茶碗の碗が、椀になっている所があります。 椀 → 碗 ○> さて…
《 ボスの日記帳・・・7月12日》
【 国宝/天目茶碗 】 (23)
それは… <● 大阪市立東洋陶磁美術館・所蔵・・・油滴天目茶碗> です。 ええ… 鉄釉 (てつゆう)の中の金属成分が、焼成中に釉表面に斑文として…
《 ボスの日記帳・・・7月12日》
【 国宝/天目茶碗 】 (24)
らに斑文が虹色に輝く場合は、「曜変」 と、呼ぶ様です。 少し離れて… 低い位置から、<● 国宝/油滴天目茶碗> を、眺めてみると…
《 ボスの日記帳・・・7月12日》
【 国宝/天目茶碗 】 (25)
淡い青い光が放たれている様に見える。であれば、茶碗内面の地肌が、青色になって いそうなものだが、そうはなっていない。 近寄って、茶碗を覗き込むと・・・
《 ボスの日記帳・・・7月12日》
【 国宝/天目茶碗 】 (26)
埋め尽くしており・・・ 器の内面のかなりの部分が、青みを帯びた光で、ボンヤリと包まれている様な印象を 受ける。不思議な光景だ・・・> … “参考文献” より…
<7月 13日 > ☆☆☆☆☆
《 ボスの日記帳・・・7月12日》
【 国宝/天目茶碗 】 (27)
展示の説明文では…重さは349g… 手に持つと…安定感のある、心地よい重みが伝わる… 関白・豊臣秀次が所持し、のち西本願寺、京都三井家、若狭酒井家に伝来…という事です。
<7月 14日> ☆☆☆☆☆
《 ボスの日記帳・・・7月14日》 【 国宝/天目茶碗 】 (28)
2つ所蔵されている、<国宝/天目茶碗> は…
<●
大阪市立/東洋陶磁美術館・所蔵・・・油滴天目茶碗 豊臣秀次・所持> です。
《 ボスの日記帳・・・7月14日》 【 国宝/天目茶碗 】 (29)
<★ 曜変天目茶碗は・・・X線などを用いた・・・物質分析> が行われ… <★ 油滴天目茶碗は・・・光学シミュレーションによる・・・アプローチ> だった、という事 です。
研究結果は、いずれの天目の光彩も…
《 ボスの日記帳・・・7月14日》 【 国宝/天目茶碗 】 (30)
文様に変わること。)> によって、<★ 茶碗表層に生じた・・・微細構造による・・・発色> とし ています。 つまり… <★ 構造色に・・・由来・・・> する…
《 ボスの日記帳・・・7月14日》 【 国宝/天目茶碗 】 (31)
では、<★ 構造色とは・・・何者なのか?・・・> という事です。 そもそも、になりますが… <色 = 色彩(/…色彩は、狭義には色の配置具合。)> とは… 目に感じる波長/0.4~0.8μm (マイクロメートル/1μm = 1/1000mm ) の…
《 ボスの日記帳・・・7月14日》 【 国宝/天目茶碗 】 (32)
わさったものが、白色の太陽光です。照明光も、これらが適度に混合されています。 太陽光や… 照明光が物体に当たると、物体の表面を構成する物質の種類に応じて…
<7月 15日> ☆☆☆☆☆
《 ボスの日記帳・・・7月15日》 【 国宝/天目茶碗 】 (34)
反射光が私たちの目に入り、物体の色として認識されるわけです。 ちなみに… 郵便ポストが赤く見えるのは、ポストに塗られたペンキが、赤色以外の太陽光の波長を…
《 ボスの日記帳・・・7月15日》 【 国宝/天目茶碗 】 (35)
ポストは黒く見えるコトになります。 ただし… 物体の色は、別の仕組みでも生じます。 それは、<★ 物体の表面に・・・可視光の波長スケールの、構造が存在・・・
《 ボスの日記帳・・・7月15日》 【 国宝/天目茶碗 】 (36)
例えば… <厚みが・・・0.1~0.8μm(マイクロメートル/・・・1μm = 1000分の1mm ) 程度の、透明な板のよう な層が、積み重なっついる場合・・・> や… <同スケールの刻み幅を持つ・・・凹凸パターンが形成されている場合・・・> です。 これは… 髪の毛(/50~100μm ) と、比べても…
《 ボスの日記帳・・・7月15日》 【 国宝/天目茶碗 】 (37)
視光の、波としての振る舞いに、大きな変化が起こるのです。 この… <● 構造色・・・> は… 具体的には、物体の表面に透明な板のような層があると…
《 ボスの日記帳・・・7月15日》 【 国宝/天目茶碗 】 (38)
間で・・・波の重ね合わせ/・・・光の干渉・・・> が、起こります。 同様に… <★ 物体表面で、光が反射するさい・・・そこに凹凸が並んだパターンがあると・・・そ れぞれの凹凸の所で・・・
《 ボスの日記帳・・・7月15日》 【 国宝/天目茶碗 】 (39)
が、起こります。そして、<扇状に広がった・・・光同士で・・・光の干渉・・・> が起こりま す。 そして、さらに… <★ 透明な、板のような層の表面に・・・凹凸のパターンが、刻み込まれている・・・場 合・・・> は…
《 ボスの日記帳・・・7月15日》 【 国宝/天目茶碗 】 (40)
透過した光が、板の裏面で反射し・・・板の表面凹凸パターンを、再び通り抜けるさいに
も・・・同様の、回折と干渉・・・> が、起こるわけです。 このような光学的な変化が、物体表面の微細構造で…
《 ボスの日記帳・・・7月15日》 【 国宝/天目茶碗 】 (41)
<★ 特定波長の光だけが・・・強められて反射され・・・鮮やかな色が、発色されるよう な事が起こる・・・> 様ですねえ。 また… <★ 微細構造に・・・光がどの様な角度で入射するかによって・・・光の受ける影響が 異なるので・・・物体への光の当たり・・・
《 ボスの日記帳・・・7月15日》 【 国宝/天目茶碗 】 (42)
子が変わるコト・・・> に、なる様です。 こうした… 微細構造による発色が、<● いわゆる・・・構造色・・・> という事す。 自然界には、この <構造色> をまとっているものが、多く存在しています。
《 ボスの日記帳・・・7月15日》 【 国宝/天目茶碗 】 (43)
います。鳩の首まわりの虹色の光彩も、同様の仕組みです。モルフォ蝶の瑠璃色は、鱗粉 表面の凹凸によるものです。
<7月 16日> ☆☆☆☆☆
《 ボスの日記帳・・・7月16日》 【 国宝/天目茶碗 】 (44)
タマムシがまとう玉虫色や、熱帯魚/ネオンテトラの青光りするストライプは、体表面に形成 された多層膜構造に由来するという事です。 ええと、それから…
宝石/オパールの虹色の輝きは、球状の微粒子が積層した構造によって…
《 ボスの日記帳・・・7月16日》 【 国宝/天目茶碗 】 (45)
人工物でも… <構造色> は見られます。コンパクトディスクは、見る角度や光の当たり方によって、虹色 に光ります。これは、情報が微細な凹凸パターンとして、ディスクの反射層に…
《 ボスの日記帳・・・7月16日》 【 国宝/天目茶碗 】 (46)
あとは… 水溜りに浮かんだ油膜や、シャボン玉もありますね。これは膜の表面と、膜の裏面で、反射し た光の間で、<光の干渉> が生じているからです。
<● 構造色のリスト・・・>
に…
《 ボスの日記帳・・・7月16日》 【 国宝/天目茶碗 】 (47)
上前の事に、なると言います。 それ以降、研究が続けられて… 最初に述べた様に、昨年/2023年に、<2つの論文> が発表された様です。そして、こ の不思議な…
<7月 17日> ☆☆☆☆☆
《 ボスの日記帳・・・7月17日》
【 国宝/天目茶碗 】 (48)
【そもそも…天目茶碗とは】
緯を、再度考察して置きます。
《 ボスの日記帳・・・7月17日》
【 国宝/天目茶碗 】 (49)
中国大陸の、長江/揚子江の河口の南に広がる浙江省 (せっこうしょう)の、省都/杭州の西方にある、風光明媚(ふうこうめいび)な天目山にちなむ、という事です。
渓谷を挟んで、東天目山と西天目山が向かい合い…
《 ボスの日記帳・・・7月17日》
【 国宝/天目茶碗 】 (50)
名が付いたと言われます。 そして… 両天目山には、古来より禅宗/臨済宗の有力寺院があり、宋~元の時代には、日本から多 くの学僧が修行に訪れています。
《 ボスの日記帳・・・7月17日》
【 国宝/天目茶碗 】 (51)
入宋沙門(にっそう・しゃもん/・・・中国/宋に留学した仏教の修行僧。)である <道元禅師> は、<日本 曹洞宗の・・・開祖> ですが、<天童山の・・・天童如浄(てんどう・にょじょう)> を師としていま す。 道元は入宋し… 先輩格の <栄西禅師> の足跡を頼り、訪れていますが…
《 ボスの日記帳・・・7月17日》
【 国宝/天目茶碗 】 (52)
この辺りの関係は、微妙ですが… 彼等が修行したのは、<天台山(/浙江省/天台県の北方2kmにある霊山。最高峰は華頂峰で標高1,138m )>だったのでしょうか。
《 ボスの日記帳・・・7月17日》
【 国宝/天目茶碗 】 (53)
くうかい/・・・真言宗の開祖。弘法大師(こうぼう・だいし))>の時代の、“天台宗の大本山/・・・発祥の地” ですね。 この頃は… 中国は唐の時代であり、初祖/菩提達磨以来の禅宗が、中国文化の中に大輪の花を咲か
せていた…
《 ボスの日記帳・・・7月17日》
【 国宝/天目茶碗 】 (54)
インド大陸の体臭の抜けた、”中国文化圏で・・・生まれ、育った・・・仏教” なのです。 一方…
同時代/唐時代には、<訳経僧/玄奘三蔵(げんじょう・さんぞう)>が…
<7月 18日> ☆☆☆☆☆
《 ボスの日記帳・・・7月18日》
【 国宝/天目茶碗 】 (55)
ンドでは、仏教は絶頂期を、やや過ぎていた頃と言われます。それもあって、彼は歓待され、
大量の仏教経典類が彼に託され、シルクロードを経て…
《 ボスの日記帳・・・7月18日》
【 国宝/天目茶碗 】 (56)
上の画像は、シルクロードの<敦煌(とんこう)/莫高窟(ばっこうくつ)> の壁画です。<第17窟
> には、封蔵されていた数万点の古文献/『敦煌文書(とんこうもんじょ)』
が…
《 ボスの日記帳・・・7月18日》
【 国宝/天目茶碗 】 (57)
す。 天竺(てんじく/インドの古称) から持ち帰った経典の漢訳は、三蔵/= 訳経僧である、彼自身が中 心になって行われました。国禁を破って…
《 ボスの日記帳・・・7月18日》
【 国宝/天目茶碗 】 (58)
します。 そして、ここで開花した <密教> 、<空海/弘法大師(こうぼう・だいし)> により、シルクロー ドの終着点である、日本にももたらされました。<空海は・・・高野山を、開山>する…
《 ボスの日記帳・・・7月18日》
【 国宝/天目茶碗 】 (59)
一方、<最澄/伝教大師(でんぎょう・だいし)> の方は、前に言ったように、<日本天台宗の ・・・開祖であり、比叡山を開山> しています。空海と最澄は、平安時代・前期の学僧であ り、この時代は遣唐使船で入唐(にっとう)しています。 <阿倍仲麻呂/阿倍仲麿> も…
《 ボスの日記帳・・・7月18日》
【 国宝/天目茶碗 】 (60)
598年 - 1905年/隋~清の時代まで、約1300年間にわたって行われた、官僚登用試験。)> に合格し、<唐王朝
の第6代/玄宗皇帝(げんそう・こうてい)>に仕えています。そして、ついに…
《 ボスの日記帳・・・7月18日》
【 国宝/天目茶碗 】 (61)
楊貴妃(ようきひ)/傾国の美女(/国家元首が寵愛にかまけて政治を疎かにしたため、その国家が崩壊に至った女 性をいう。)> でも、歴史に名を残しています。 しかし… ”唐の時代/・・・日本の平安時代” には… <★ 禅宗> は、日本には、あまり伝わらなかった様子です。禅宗が、日本に本格的に伝来 するのは…
《 ボスの日記帳・・・7月18日》
【 国宝/天目茶碗 】 (62)
開花> からです。
そして、<喫茶や・・・天目茶碗が・・・伝来・・・> するのも、その代時です。
《 ボスの日記帳・・・7月18日》
【 国宝/天目茶碗 】 (63)
『無門関/第一則・・・趙 州 狗 子(
じょうしゅう・くし)/趙州無字(/・・・無の公案)』
の、禅師です。 話が、逸れてしまいましたが… <天目山> の方は、調べてみると、浙江省/杭州市/臨安区の北西に位置する山です。 西天目山(1506m)と…
《 ボスの日記帳・・・7月18日》
【 国宝/天目茶碗 】 (64)
由来するとあります。 道元は、渡宋/入宋(にっそう)するに当たり… まず、京都/建仁寺に入っています。漢文/漢語の素養はあっても…
《 ボスの日記帳・・・7月18日》
【 国宝/天目茶碗 】 (65)
作法は、最低限必要となります。 さて、この折に… 栄西との出会いが、実際にあったかとなると、ニアミスだったと思います。偉大な人物の邂 逅()(かいこう/…
《 ボスの日記帳・・・7月18日》
【 国宝/天目茶碗 】 (66)
だからこそ… “ 一期一会(いちご・いちえ/・・・ 一生に一度きりの機会) ” などと、言うわけですね。 いずれにしても… 道元は、京都/建仁寺から出発して、博多から入宋しています。
<7月 19日> ☆☆☆☆☆
《 ボスの日記帳・・・7月19日》
【 国宝/天目茶碗 】 (67)
の建仁寺を離れた直後に、執筆を開始している様です。 ええと… 1233年… 京都/深草の庵(/興聖寺)に転居し、『正法眼蔵の…初巻/現成公案』 を、執筆しています。
《 ボスの日記帳・・・7月19日》
【 国宝/天目茶碗 】 (68)
道元の最初の弟子/<孤雲懐奘(こうん・えじょう)> が入門します。語呂合わせの良い年なの で、たまたま記憶していました。 懐奘は… 道元よりも年上ですが、建仁寺で道元に論破されています。その直後に、懐奘は弟子入りを 申し出ますが…
《 ボスの日記帳・・・7月19日》
【 国宝/天目茶碗 】 (69)
そして… ようやく、自分の小さな庵を持ち、道元は懐奘の弟子入を許可しています。それから福井県 に、<永平寺/・・・日本曹洞宗の大本山> を開山するわけですが、道元は54歳弱で早 世/入寂しています。
《 ボスの日記帳・・・7月19日》
【 国宝/天目茶碗 】 (70)
<源頼朝/鎌倉幕府開闢(かいびゃく)>の、追討を受けた、<源義経・武蔵坊弁慶らの一 行> が、日本海コースで奥州/平泉に到着した時代に、鎌倉を通り…
《 ボスの日記帳・・・7月19日》
【 国宝/天目茶碗 】 (71)
この歴史上の… 2人の重要人物が、大戦前夜の奥州/平泉で、出会っていたかどうかも、歴史的ニアミスの、 大ロマンです。もし、2人が平泉で出会っていたとすれば、平安時代と…
《 ボスの日記帳・・・7月19日》
【 国宝/天目茶碗 】 (72)
学史を書き変えるほどの、大事件になります。 ええと… 栄西と、道元のケースでは… 道元が、建仁寺に入った時、栄西が健在だったかどうかです。ええ…
《 ボスの日記帳・・・7月19日》
【 国宝/天目茶碗 】 (73)
明全は、数名の学僧を引き連れていた様です。学僧ですから国費で、留学年数も決まってい ます。 道元は… “宋で入寂(にゅうじゃく/…僧の死亡) した、明全の…
《 ボスの日記帳・・・7月19日》
【 国宝/天目茶碗 】 (74)
ですね。 ええ… 話を戻しますが… 義経・弁慶一行の方は、日本海側/…安宅の関(あたかのせき/…石川県小松市の、日本海側にある安宅 に、守護・富樫氏が…
《 ボスの日記帳・・・7月19日》
【 国宝/天目茶碗 】 (75)
『歌舞伎/勧進帳 (かんじんちょう/…寺の寄付を募る願いが書いてある…巻物)』 で、表現される様な事件を
展開しながら…頼朝の追討を逃れ…芭蕉の
『奥の細道』 とは逆コースで…
《 ボスの日記帳・・・7月19日》
【 国宝/天目茶碗 】 (76) …奥州/平泉に到着しています。 この義経と… 歌人/西行が、会っていたかどうかは…素人ながら…それは、無かった様な気がします。 会っていれば、西行は歌や文字に、必ず残していたと思われます。西行はおそらく、鎌倉/ 頼朝の大軍勢が…
《 ボスの日記帳・・・7月19日》
【 国宝/天目茶碗 】 (77)
そして、頼朝は… 戦前夜の奥州/平泉に、西行法師が訪問する事を、直接、許可を与えているわけですね。 その西行から、平泉の館の内部の様子を、必ず、聞き出しているはずです。
<7月 20日> ☆☆☆☆☆
《 ボスの日記帳・・・7月20日》
【 国宝/天目茶碗 】 (78)
再度、源頼朝と謁見する事はなくても、西行の情報は頼朝の耳にも届いていたはずです。西 行が平泉を離れた時が、奥州総攻撃の合図となっていたかも知れません。 そして… 平家滅亡で大活躍した、<実弟/義経・・・当時の、軍事のカリスマ> の動静には…
《 ボスの日記帳・・・7月20日》
【 国宝/天目茶碗 】 (79)
奥州/平泉側につき、散在する軍事力を糾合すれば、それこそ一大事です。 しかし… 歴史が示している様に… 奥州/藤原3代(/…清衡・基衡・秀衡) を誇った藤原氏は…
《 ボスの日記帳・・・7月20日》
【 国宝/天目茶碗 】 (80)
父/秀衡は死の直前… 源頼朝との対立に備え、平氏滅亡後に頼朝と対立している義経を大将軍とし、国務せしめよ、 と遺言していました。その義経が、ついに…
《 ボスの日記帳・・・7月20日》
【 国宝/天目茶碗 】 (81)
しかし… 泰衡は頼朝の策略に堕ち… 父/秀衡の遺言を破り、義経・弁慶に兵を差し向ける事になります。義経は味方の兵に攻め
られて、反撃もならず討ち死にします。
《 ボスの日記帳・・・7月20日》
【 国宝/天目茶碗 】 (82)
そして… 頼朝は平家を滅亡させ、奥州を平定し… <★ 鎌倉幕府を・・・開闢> します。以後、日本は王朝制から、<武家/征夷大将軍によ る・・・幕府統治> の時代に、移行ます。
《 ボスの日記帳・・・7月20日》
【 国宝/天目茶碗 】 (83)
秀吉の・・・安土桃山時代> <★徳川幕府/江戸幕府・・・260年間に及ぶ安定した幕 藩体制> …と続き… <★明治維新で・・・王政復古> となるまで、武家の時代が数百年も、続いたわけです。
<7月 22日> ☆☆☆☆☆
《 ボスの日記帳・・・7月22日》
【 国宝/天目茶碗 】 (84)
余計な考察を、長々と言ってしまいました。 ともかく、<天目山> とは、栄西や道元、そして明全などが身を寄せた禅宗の寺とは、違う 様ですね。<天台山> は、別にあるわけです。 しかし… 禅宗は、喫茶と深いつながりがあり、入宋した修行僧/…
《 ボスの日記帳・・・7月22日》
【 国宝/天目茶碗 】 (85)
ね。それは、日本では鎌倉時代から室町時代だった様です。そして、戦国武将たちにも愛さ れた様です。 ええ… 前に述べた 『君台観左右帳記(くんだいかん・そう…
《 ボスの日記帳・・・7月22日》
【 国宝/天目茶碗 】 (86)
天目の中でも、特に希少で美しい <曜変天目> を、「世上に無きもの」 と、最も高く評価し ています。実際に、現存する <曜変天目> は、日本における<国宝の・・・3碗のみ・・・> です。 ちなみに… <★ 重要文化財の・・・曜変天目が1碗> …
《 ボスの日記帳・・・7月22日》
【 国宝/天目茶碗 】 (87)
くり返しになりますが、少し別角度から再度説明します。 <曜変天目・・・3碗> は、瑠璃色 (るりいろ)の光彩をまとった黒い斑紋は…
《 ボスの日記帳・・・7月22日》
【 国宝/天目茶碗 】 (88)
<● 東京/静嘉堂文庫美術館・所蔵の曜変天目・・・稲葉天目> は… 江戸時代・初期に、3代将軍/家光が、乳母/春日局が病に倒れた際に…
《 ボスの日記帳・・・7月22日》
【 国宝/天目茶碗 】 (89)
<● 大阪/藤田美術館・所蔵の曜変天目・・・徳川家康が所持> は… 筋状の模様はオーロラに見立てられ、極域の星空の様な風景…
《 ボスの日記帳・・・7月22日》
【 国宝/天目茶碗 】 (90)
そして、3つ目の… <● 京都/大徳寺龍光院・所蔵の・・・曜変天目/・・・江戸時代の初めから現在まで、
400年間所持> は…
《 ボスの日記帳・・・7月22日》
【 国宝/天目茶碗 】 (91)
「その光彩は・・・ 国宝3碗の中でも1見、最も控えめな印象を受けるが、銀河のごとき光彩が、一瞬にして 浮かび上がってくる迫力に、圧倒される・・・」 という事です。
<7月 23日> ☆☆☆☆☆
《 ボスの日記帳・・・7月23日》
【 国宝/天目茶碗 】 (92)
<○ 足利義政が所持 → 後に、織田信長が愛用の・・・曜変天目> は… “☆ 現存の・・・国宝/3碗を上回る見事さ・・・” と、評されていますが、“☆ 本能寺の変で・・・ 信長と運命を共にした” と、されています。 あと… <★ 油滴天目> については…
《 ボスの日記帳・・・7月23日》
【 国宝/天目茶碗 】 (93)
としています。
<● 大阪/東洋陶磁美術館・所蔵・・・国宝/油滴天目> は… 前に詳しく…
《 ボスの日記帳・・・7月23日》
【 国宝/天目茶碗 】 (94)
う事です。
こうした、<曜変天目> や<油滴天目> に比べて、はるかに数が多いのが… <黒い地肌に・・・茶色や銀色の細かい縦筋が・・・
《 ボスの日記帳・・・7月23日》
【 国宝/天目茶碗 】 (95)
縦筋の模様が、稲や麦の穂先の細い毛、禾(のぎ)に見立てられ、<★ 禾目天目(のぎめ・てんもく)
>
と、呼ばれている様です。中国/宋の宮廷などでは…
<7月 24日> ☆☆☆☆☆
《 ボスの日記帳・・・7月24日》
【 国宝/天目茶碗 】 (96)
これまでの研究によれば… <曜変天目> や <油滴天目> は、当時、上質の <禾(のぎ)目天目> を作ろうとする過 程で、僥倖(ぎょうこう/偶然に得る幸せ)…
《 ボスの日記帳・・・7月24日》
【 国宝/天目茶碗 】 (97)
<藤田美術館・所蔵・・・曜変天目> に見られる、オーロラの様な筋は、紋様としては、< 禾目天目> の縦筋と、かなり似ている、という事です。 <油滴天目> の斑紋も、<禾目天目> の縦筋に当たる構造…
《 ボスの日記帳・・・7月24日》
【 国宝/天目茶碗 】 (98)
ともかく… <天目> が作られたのは… 天目山から南西に約400km の、福建省の山中にある、<★ 建窯(けんよう)>という所です。 ここは、中国/宋の時代(10~13世紀)に、<天目/・・・黒釉(こくゆう)を用いた・・・
《 ボスの日記帳・・・7月24日》
【 国宝/天目茶碗 】 (99)
まず、ロクロを使って茶碗を成形し、液状の釉(うわぐすり)をかけて、乾燥させます。これを匣鉢 (さや) と呼ばれる、耐火粘土製の容器に、1つずつ…
《 ボスの日記帳・・・7月24日》
【 国宝/天目茶碗 】 (100)
成した、と考えられています。 さて… <天目> の大きな特徴は、釉(うわぐすり)です。 釉は焼成すると、溶けてガラス化し、茶碗表面を薄く覆います。これによって…
《 ボスの日記帳・・・7月24日》
【 国宝/天目茶碗 】 (101)
<天目> では… 釉として、焼成すると黒く発色する、鉄分が多い黒釉(こくゆう)が用いられました。黒釉は焼成の 仕方によっては、緑味を帯びた茶色になり、それらは…
《 ボスの日記帳・・・7月24日》
【 国宝/天目茶碗 】 (102)
蓼(たで)は、薬味などに使われる植物ですね。“蓼食う虫も好き好き” の、諺(ことわざ)で有名な蓼
です。“・・・辛い蓼を食う虫があるように・・・
《 ボスの日記帳・・・7月24日》
【 国宝/天目茶碗 】 (103)
余計な事ですが… この有名な諺の蓼は、タデ科植物のヤナギタデ類のことで…刺身のツマに付いている、赤や
緑色の小さい二葉の芽(かいわれ)がそれです。
その葉は辛く、虫だって敬遠…
《 ボスの日記帳・・・7月24日》
【 国宝/天目茶碗 】 (104)
<★建窯の窯跡(けんようの・かまあと)> を踏査し、最初に発表したのは… プラマー (James M. Plumer/・・・米ミシガン大学教授) で、戦前/1935年の事です。
プラマーは…
《 ボスの日記帳・・・7月24日》
【 国宝/天目茶碗 】 (105)
ハーバード大学の学生時代に東洋美術に魅せられて、当時は上海の税関に勤めながら、中 国各地を調査して歩いたそうです。そして終戦後は、占領軍の美術関連の担当官として来日 しています。 その時に、小山富士夫らとも親交を結んだという事です。
《 ボスの日記帳・・・7月24日》
【 国宝/天目茶碗 】 (106)
それ以来… 現在までに、10基を超える窯跡が確認されている、という事です。 <傾斜地に建設された・・・細長い窯/★ 登り窯(のぼりがま)> で、大きなものでは全長 135m にも、達するものがある様です。そうした窯では、一度に…
<7月 25日> ☆☆☆☆☆
《 ボスの日記帳・・・7月25日》
【 国宝/天目茶碗 】 (107)
最盛期は… 中国/宋時代・後半/= 南宋時代・・・12世紀・末~13世紀・初め頃で、<● 日本に現存 の・・・国宝/天目茶碗> 、この頃に作られたと、推定されています。
《 ボスの日記帳・・・7月25日》
【 国宝/天目茶碗 】 (108)
ます。 彼によれば…
焼成が不十分だったり、歪みが生じたりして、廃棄された天目の…
《 ボスの日記帳・・・7月25日》
【 国宝/天目茶碗 】 (109)
「文字通り、山になっていた」 と、語っています。 これまでの…
調査報告を見ると、廃棄された天目の…
《 ボスの日記帳・・・7月25日》
【 国宝/天目茶碗 】 (110)
滴天目とみられる破片が得られていますが、曜変天目と確認できる破片は、発見されていな いという事です。
<天目> は、量産されていたわけですが…
《 ボスの日記帳・・・7月25日》
【 国宝/天目茶碗 】 (111)
茶碗の成形も同様です。 また… 仕上がりに、大きな影響を及ぼす、”窯の温度 ・ 酸素濃度” は… <窯内部の場所> によっても、<薪の入れ具合> や…
《 ボスの日記帳・・・7月25日》
【 国宝/天目茶碗 】 (112)
ものが、失敗作の山という事です。 しかし… その一方で… 製造プロセスの、揺らぎがあったからこそ、数十万個に1個にも満たない頻度では…
《 ボスの日記帳・・・7月25日》
【 国宝/天目茶碗 】 (113)
のかも知れない、と推定されています。
<7月 26日> ☆☆☆☆☆
《 ボスの日記帳・・・7月26日》
【 国宝/天目茶碗 】 (114)
【★★
曜変の・・・秘密を探る! 】 さあ… 長々と、<天目> や、その周辺のことを説明して来ましたが… いよいよ本題の、<曜変の秘密に・・・現代科学で迫る> 事にしましょう。 <★ 曜変天目の・・・光彩に関わる科学的な研究> は… 終戦後間もない、1950年代に、名古屋大学/山崎一雄・教授 によって始められました。 山崎教授は… 化学の専門家として、正倉院の…
《 ボスの日記帳・・・7月26日》
【 国宝/天目茶碗 】 (115)
的研究のパイオニアとして、知られている人物です。 ええ… 先述した様に… <★ 建窯の窯跡> では、曜変天目の破片は見つかっていませんが、実は…
《 ボスの日記帳・・・7月26日》
【 国宝/天目茶碗 】 (116)
ガン大学教授/プラマーが、採集しています。若い頃、ハーバード大学の学生の頃ですね。 シルクロードの敦煌(とんこう)/莫高窟(ばっこうくつ)
《 ボスの日記帳・・・7月26日》
【 国宝/天目茶碗 】 (117)
アヘン戦争以来、中国は混乱期に入っています。中国の貴重な文化財が、どんどん海外へ 流失していた時期です。莫高窟には、日本からも大谷探検隊が調査に出かけ、遺物を日本 に持ち帰っています。戦前の帝国時代のことですね。
《 ボスの日記帳・・・7月26日》
【 国宝/天目茶碗 】 (118)
シルクロード探検の黄金時代であり… 特に、最初の20年間は、多くの国際探検隊が中国/西北地区の奥地に入り、考古学研究、 宝探し、冒険をくり広げた様です。その中に、日本の大谷探検隊 (/…大谷光瑞(1876-1948年)は…
《 ボスの日記帳・・・7月26日》
【 国宝/天目茶碗 】 (119)
米ミシガン大学教授/プラマーも… そうしたブームの中で、東洋美術にひかれ、傾倒して行ったのでしょうか。当時は、先述した 様にハーバード大学の…
《 ボスの日記帳・・・7月26日》
【 国宝/天目茶碗 】 (120)
もかく、そうした時代だったわけです。 中国の… 考古学的遺物や貴重な美術品は、この時代に多くが海外へ流失したわけです。日本でも、明 治維新や敗戦直後…
《 ボスの日記帳・・・7月26日》
【 国宝/天目茶碗 】 (121)
が、海外の美術館に展示、されたりしていますね。 しかし… 中国にも存在しない… 日本の国宝/… <● 曜変天目> や <● 油滴天目> は、混乱期に乗じて…
《 ボスの日記帳・・・7月26日》
【 国宝/天目茶碗 】 (122)
伝来したものです。 まあ… そうではあっても、中国としては、面白くない感情があるかも知れません。それは理解するべ きです。しかし、日本でも、そうした至宝…
《 ボスの日記帳・・・7月26日》
【 国宝/天目茶碗 】 (123)
話を進めますが… 米ミシガン大学教授/プラマーは、<曜変天目に類似した・・・青紫色の光彩を放つ陶片 ・・・> を、採集していたという事ですね。 そして、占領軍の美術担当として来日…
<7月 27日> ☆☆☆☆☆
《 ボスの日記帳・・・7月27日》
【 国宝/天目茶碗 】 (124)
1部を・・・小山富士夫に贈った” 様です。 さらに… 名古屋大学/山崎一雄・教授は…
そうした陶片を、小山富士夫の協力を得て分析…
《 ボスの日記帳・・・7月27日》
【 国宝/天目茶碗 】 (125)
鏡などで、詳しく調べた様です。
<・・・その陶片・・・> の、胎土(たいど/…茶碗の…
《 ボスの日記帳・・・7月27日》
【 国宝/天目茶碗 】 (126)
です。そしてこれは、<曜変天目が・・・建窯由来である・・・> ことを、山崎教授に確信させ た、という事ですね。 それから… 拡大鏡を用いて観察した曜変天目の…
《 ボスの日記帳・・・7月27日》
【 国宝/天目茶碗 】 (127)
光彩…つまり、薄膜による光の干渉がもたらしている、と考えられた、という事です。 実際に… ”現代では、鮮やかな光彩を陶磁器に与えるために、鉛、亜鉛、錫(すず)…
《 ボスの日記帳・・・7月27日》
【 国宝/天目茶碗 】 (128)
の干渉によって <構造色を・・・生み出す手法> が、広く用いられています。 まあ、具体的には… 重金属を釉に添加したり、焼成した釉の表面に、重金属を含む絵の具を…
《 ボスの日記帳・・・7月27日》
【 国宝/天目茶碗 】 (129)
通常… ”天目の黒釉には・・・こうした重金属は、含まれていない” と、考えられています。しかし、”曜 変天目の様な、光彩を与えたい場合は・・・特別に、重金属を用いていた、可能性がある” そ うです。
《 ボスの日記帳・・・7月27日》
【 国宝/天目茶碗 】 (130)
山崎教授は、先述の、プラマーの採集した陶片の釉に、重金属が含まれていないか、注意深 く分析したそうです。しかし、”重金属は・・・検出されなかった”、という事です。 以上の経緯から… 山崎教授は、”1つの仮説” を、提唱しました。
《 ボスの日記帳・・・7月27日》
【 国宝/天目茶碗 】 (131)
重金属を含む特別な釉による発色ではなく・・・窯変によって、通常の黒釉に生じた・・・ 薄膜による構造色に・・・由来する・・・>
もっとも… 山崎教授が分析した陶片は、<曜変天目そのものの・・・破片> では、ありません。
《 ボスの日記帳・・・7月27日》
【 国宝/天目茶碗 】 (132)
<●国宝・・・曜変天目> の調査には、制約があり、“山崎教授が考えた様な…薄膜が存 在するかどうかを、調べられなかった” ために、確実なことは言えなかった、という事ですね。
大きな進展があったのが、それから半世紀後/2010年代初めの、事でした。
<7月 28日> ☆☆☆☆☆
《 ボスの日記帳・・・7月28日》
【 国宝/天目茶碗 】 (133)
山崎教授も後年… 米ミシガン大学教授/プラマーと親交を結び、<建窯の窯跡にあった・・・複数の陶片> を 贈られています。しかし、教授自身が、詳しく調べることは、無かった様です。 教授は現役を退き… <・・・それらの陶片・・・> を…
《 ボスの日記帳・・・7月28日》
【 国宝/天目茶碗 】 (134)
に、その子息/九代・長江惣吉へと受け継がれた、という事です。時代が大きく流れていま す。 山崎一雄・教授は… 2010年4月10日、長逝 (ちょうせい/永眠・・・99歳) しています。
《 ボスの日記帳・・・7月28日》
【 国宝/天目茶碗 】 (135)
代替わりした、半世紀後の… 九代・長江惣吉も、曜変天目の再現に意欲を燃やしています。彼は、豊田中央研究所にいた、 材料科学者/福嶋喜章と協力します。 そして… 山崎教授から譲られた陶片…
《 ボスの日記帳・・・7月28日》
【 国宝/天目茶碗 】 (136)
析装置などを使って調べ、その研究成果を論文発表しました。中国/宋時代の技術に、現代 科学のメスが入ったわけです。 結果は… 非常に興味深い…
《 ボスの日記帳・・・7月28日》
【 国宝/天目茶碗 】 (137)
たところ、<・・・山岳地帯の・・・航空写真を連想させる様な画像・・・> が、得られたとい う事です。 その正体は…
<7月 29日> ☆☆☆☆☆
《 ボスの日記帳・・・7月29日》
【 国宝/天目茶碗 】 (138)
0.1 μm の凹凸が、無数に連なり、表面全体に広がっていました。 また… シワの断面を、調べると… ガラス化した、釉(うわぐすり)の層の上に、釉とは組成が異なる…
《 ボスの日記帳・・・7月29日》
【 国宝/天目茶碗 】 (139)
山崎教授が… 陶片を調べた半世紀前には、電子顕微鏡は普及していなかったので、技術進歩が生み出し た新しい知見、という事ですね。
《 ボスの日記帳・・・7月29日》
【 国宝/天目茶碗 】 (140)
観測された凹凸パターンの、刻み幅/0.7 ~ 0.8μm は… 可視光の波長スケールです。つまり、構造色をもたらす要因の1つである、可視光の回折が 起きるサイズ、という事です。 これに対し… 釉の表面に形成された、多結晶の薄膜層の厚さ/…
《 ボスの日記帳・・・7月29日》
【 国宝/天目茶碗 】 (141)
じない、という事ですねえ。構造色には、直接的な関係は無い様だ、という事です。 ええ、また… 成分分析の結果… 釉のガラス層にも、多結晶の層にも… 曜変天目…
《 ボスの日記帳・・・7月29日》
【 国宝/天目茶碗 】 (142)
こうした事から… 九代・長江惣吉と、福嶋喜章は… この陶片に見られる、曜変天目に似た光彩は… <★ 窯変により・・・釉の表面に形成されたシワによって・・・光が散乱や、回折・・・
《 ボスの日記帳・・・7月29日》
【 国宝/天目茶碗 】 (143)
これは… <★ 薄膜による・・・構造色の可能性・・・> を考えた、山崎教授とは、異なる見解です。 しかし、そもそも、調べた陶片が異なり、天目にも様々なタイプがあるので…
《 ボスの日記帳・・・7月29日》
【 国宝/天目茶碗 】 (144) まあ… 結論が、異なるというのも、益々、興味津々 (きょうみしんしん) になります。中国/宋時代の陶芸 技術が、今なお、歴史の波濤 (はとう/うねる大波) を越えて…
《 ボスの日記帳・・・7月29日》
【 国宝/天目茶碗 】 (145)
九代・長江惣吉と、福嶋喜章が調べた陶片は… <・・・建窯のモノ・・・> ではありますが、山崎教授が調べた陶片と同様に、<・・・曜変天 目そのものの・・・破片ではない> と、いう事ですねえ。つまり、本物ではない…
<7月 30日> ☆☆☆☆☆
《 ボスの日記帳・・・7月30日》
【 国宝/天目茶碗 】 (146)
<● 国宝の・・・曜変天目や、油滴天目> の… 光彩の謎を、解き明かすには、やはり、それらの組成や表面の様子を、直接詳しく調べなけ
れば、確度の高いコトは、言えないわけです。
《 ボスの日記帳・・・7月30日》
【 国宝/天目茶碗 】 (147)
ところが… 2000年代の末に、別の所で、思いがけない出来事が起こりました。それは中国/杭州市で の出来事で、曜変天目の謎に迫る、新たな道が開けて来ました。
《 ボスの日記帳・・・7月30日》
【 国宝/天目茶碗 】 (148)
かねてから、大きな謎が、つきまとっていました。 いかに希少とはいえ、日本には、<● 国宝の・・・3碗> が残存しているのに、これが生産 された中国には、破片すらも、発見されていない事です。
《 ボスの日記帳・・・7月30日》
【 国宝/天目茶碗 】 (149)
説明するために… 「曜変天目に見られる・・・斑紋や光彩などの窯変が・・・不吉の兆しとして、忌み嫌われ ていたからではないのか・・・?」 …という説さえ、唱えられていました。
中国/南宋時代の…首都/杭州市で…
《 ボスの日記帳・・・7月30日》
【 国宝/天目茶碗 】 (150)
都市開発の現場から、<★ 曜変天目の・・・破片が出土> しました。そして、その 『概要を・・・ 明らかにした論文』 が、2012年に中国で発表され、大ニュースとなりました。 ちなみに… 杭州に何度も赴いていた、小林仁(/“参考文献” の協力者の1人。
《 ボスの日記帳・・・7月30日》
【 国宝/天目茶碗 】 (151)
ていました。その彼の言葉です。
「★ 全体の、3割ほどが失われていたが・・・ 国宝3碗に通じる独特な斑紋と、見る角度によって変わる鮮烈な・・・
《 ボスの日記帳・・・7月30日》
【 国宝/天目茶碗 】 (152)
南宋時代に、外国からの使節を歓待する迎賓館や皇后の邸宅のあった場所で、曜変天
目の破片と共に、宮廷用の様々な磁器の破片・・・
《 ボスの日記帳・・・7月30日》
【 国宝/天目茶碗 】 (153)
られている、高貴な茶碗であった可能性が、非常に高いことが明らかになった。 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
<7月 31日> ☆☆☆☆☆ 154~160 が欠損 (7月31日分・・・回復不可能でした。) (● 改めて、書き直しました/・・・2025年3月4日)
宋/南宋 (/首都は、杭州市)が滅亡して、元の時代になると、喫茶の好みが大きく変わります。<天目> は、顧みられなくなり、<建窯の繁栄> は、終わりを迎えます。 一方… 日本では、鎌倉幕府から室町幕府にかけて、逆に、<天目> の評価は高まっています。当 時の中国では骨董品になった <天目> が、日本に盛んに輸出されるようになった様です。 そして、それに関連しているのが、<新安沈船 (しんあん・ちんせん)> のエピソードです。これは… 鎌倉時代末/・・・元時代の中頃になりますが… 京都/東福寺再建の、財源を得る目的で、中国/元に交易船が派遣されました。ところが、 買い付けた産品を満載した帰路の船が、博多に戻る途中、<朝鮮半島の・・・新安沖で沈 没> しました。これが、いわゆる <新安沈船> です。 この、難破船が… 1970年代になって… 約800年ぶりに発見されています。そして、この難破船から、中国陶磁器が約2万点も、引 き上げられた様です。その中には、”★ 使用された痕跡のある・・・建窯の天目が・・・70点近 くあった” という事です。これは、中国/杭州の発掘と同様に、新たな資料になります。
<● 日本の国宝/・・・ 曜変天目・油滴天目> が、いつ頃、どのような事情で、日本に伝 来したのかは、分かっていないと言います。いわゆる、<歴史ミステリー> なのです。 ただ… 中国の、<元時代> の次の、<明時代> に… <第3代皇帝/永楽帝 (えいらくてい)> が、日本の <室町幕府・第3代将軍/足利義満(あしかが・よしみつ/・・・ 1378年に 「花の御所 (はなのごしょ)」 をつくる。1392年、南北朝を一つにまとめ、太政大臣となる。 1397年に、京都北山に 「金閣寺/鹿苑寺(ろくおんじ)」 を建てる。中国/明との貿易を行う。)> に、”建盞(けんさん/ ・・・建窯産の天目のこと)10碗を下賜した” との、記録がある、という事です。これは、中国側の記 録ですね。 ここで、もし… 日本と同様に、中国/宋においても、<曜変天目・油滴天目が・・・その希少性と美しさか ら・・・特別な評価を受けていた・・・・> としたら、どうなるでしょうか。これらの10碗は、宋 ・ 元 ・ 明という、王朝交代の、荒波を乗り越えていたとしたら。 つまり… これらは、<宋の宮廷が所蔵していた・・・天目の生き残りであり・・・その中に、曜変天 目・油滴天目も、含まれていた> …
<8月 1日> ☆☆☆☆☆
《 ボスの日記帳・・・8月 1日》
【 国宝/天目茶碗 】 (161)
それらが… 中国皇帝からの贈り物として… 足利将軍家の御物となり、戦国時代になると時々の天下人の手に渡り、さらに時を経て、近 代日本の、<国宝> や <重要文化財> になった…
《 ボスの日記帳・・・8月 1日》
【 国宝/天目茶碗 】 (162)
日本/室町幕府は… <第3代将軍/足利義満> ですか。彼は、<鹿苑寺(ろくおんじ)/金閣寺> を建立し、< 北山文化> を開花させ、室町時代の政治・経済・文化の、最盛期を築いた人物ですね。
《 ボスの日記帳・・・8月 1日》
【 国宝/天目茶碗 】 (163)
小林仁 (ひとし…/大阪市立・東洋陶磁美術館) は、杭州市で <曜変天目の・・・破片> と出会った事で、<国費での・・・曜変天目の、研究プロジェクト> を、本格的に、進め始めたという事 です。 中国/杭州の、<第4(/・・・4番目の、新しい資料)の・・・曜変天目の破片> を、国内の…
《 ボスの日記帳・・・8月 1日》
【 国宝/天目茶碗 】 (164)
る、という事ですねえ。 まあ… 浙江省/杭州市で展示されている… <中国が保有する・・・曜変天目の破片> ですが…
《 ボスの日記帳・・・8月 1日》
【 国宝/天目茶碗 】 (165)
て行く可能性はあるわけです。また、顕微鏡観察も容易という事です。 実際… 小林は、すでに破片を観察していて、強い印象を受けたと言っています。
《 ボスの日記帳・・・8月 1日》
【 国宝/天目茶碗 】 (166)
曜変天目には・・・宇宙や生命の如き神秘さが、宿っている様だ・・・」
…と。 2017年には… 杭州市の <曜変天目の・・・破片> が、見つかった現場(/・・・近くと見られる場所) から、<★ もう1点・・・曜変天目の破片が・・・発見> …
《 ボスの日記帳・・・8月 1日》
【 国宝/天目茶碗 】 (167)
これも… 実際に見た、小林によれば…
曜変天目の特徴である・・・大小の斑点や、青色の光彩が認められる・・・」
<最初に見つかった・・・曜変天目の破片は、国宝3碗の・・・
《 ボスの日記帳・・・8月 1日》
【 国宝/天目茶碗 】 (168)
の方は・・・大徳寺/龍光院・所蔵のものと・・・似た印象を受ける> と、いう事ですねえ。 ちなみに… <★ 最初に発見された・・・曜変天目の破片> については、セラミック…
《 ボスの日記帳・・・8月 1日》
【 国宝/天目茶碗 】 (169)
る様です。 <★ 2つ目の方は・・・曜変天目の破片> の方は… 小林が所属する、<大阪市立・東洋陶磁美術館> と、さらに姉妹関係にある <台湾/ 國立故宮博物院> が、研究を進めています。
《 ボスの日記帳・・・8月 1日》
【 国宝/天目茶碗 】 (170)
【★ 国宝/天目茶碗に・・・迫る! 】
中国/杭州市の… <★ 新発見の・・・曜変天目の破片> の研究と並行して、日本国内の <● 国宝・・・天 目茶碗> の、研究も進んでいます。 調査に当たって… 曜変天目の研究プロジェクトの、小林仁(ひとし/・・・
<8月 2日> ☆☆☆☆☆
《 ボスの日記帳・・・8月 2日》
【 国宝/天目茶碗 】 (171)
です。 中井・教授も… 名古屋大学/山崎・教授と同様に、化学の専門家として、古文化財の…
《 ボスの日記帳・・・8月 2日》
【 国宝/天目茶碗 】 (172)
カーと共同開発した、<持ち運び可能な・・・Ⅹ線分析装置> や、<反射光の分析装置 > などです。 中井教授の研究グループは…
《 ボスの日記帳・・・8月 2日》
【 国宝/天目茶碗 】 (173)
品のある所在地にも赴いていました。活躍の場は、海外にまで及んでいました。 古代エジプトの遺跡では → 壁画や土器、石材など… トルコの発掘現場では →
《 ボスの日記帳・・・8月 2日》
【 国宝/天目茶碗 】 (174)
地を巡って、様々な時代のガラスビーズなども調べている様です。 日本国内では… <● 国宝/東大寺不空羂索観音・立像の・・・宝冠のガラス> <● 国宝/・・・
《 ボスの日記帳・・・8月 2日》
【 国宝/天目茶碗 】 (175)
れらの調査リストに、<新たに・・・天目茶碗> が、加わる事になったわけです。
昨年発表したのは…
《 ボスの日記帳・・・8月 2日》
【 国宝/天目茶碗 】 (176)
天目> に対して、Ⅹ線や反射光などを用いた、釉の分析が試みられたのは、今回が初めて という事です。
かなり複雑な、立体形状の試料でも分析できる、持ち運び型…
《 ボスの日記帳・・・8月 2日》
【 国宝/天目茶碗 】 (177)
る様になりました。これも、電子顕微鏡と同様に、技術進歩によって得られた、新たな知見で す。 調査は… 藤田美術館の全面協力で、2016年に実施されています。概要は…
<8月 3日> ☆☆☆☆☆
《 ボスの日記帳・・・8月 3日》
【 国宝/天目茶碗 】 (178)
た、という事です。 現在は… 東京理科大学/中井泉・教授は… 現役を退き、中井の研究グループの若手だった、阿部善也 (/…“参考文献” の協力者の1人。・・・
《 ボスの日記帳・・・8月 3日》
【 国宝/天目茶碗 】 (179)
です。
<曜変天目> は… 斑紋と、その周りの青色の光彩が特徴ですね。デジタル顕微鏡(/デジタルカメラで・・・
《 ボスの日記帳・・・8月 3日》
【 国宝/天目茶碗 】 (180)
満たないサイズの斑紋が、多数散財しているのが、見えるそうです。
そうした斑紋の周囲には…
《 ボスの日記帳・・・8月 3日》
【 国宝/天目茶碗 】 (181)
水が沸騰すると… 水中に大小の泡が出来てはつぶれますが、それと似た状況が、高温の溶融状態の釉で生 じ、斑紋などが形成された可能性が高い、という事です。この様な微細な…
《 ボスの日記帳・・・8月 3日》
【 国宝/天目茶碗 】 (182)
それでは… <曜変天目の・・・青色> は、どんな物質が、生み出しているのでしょうか。一般的には、 青色の着色剤としては、コバルトや銅が用いられます。 しかし、<曜変・・・
《 ボスの日記帳・・・8月 3日》
【 国宝/天目茶碗 】 (183)
光の分析結果を、総合的に判断すると、“銅が関与している・・・可能性も低い” 、という事で す。それから、鮮やかな光沢をもたらす ”重金属も・・・認められません” でした。
《 ボスの日記帳・・・8月 3日》
【 国宝/天目茶碗 】 (184)
九代・長江惣吉と福嶋喜章による、<建窯の陶片/・・・半世紀前に、プラマーが採集し、 山崎教授に、譲り渡したもの> に、関わる考察を踏まえ、<● この曜変天目/・・・藤田 美術館・所蔵の曜変・・・
《 ボスの日記帳・・・8月 3日》
【 国宝/天目茶碗 】 (185)
い、と論文では結論付けています。 それから… 分析によって得られた、釉の組成は… 山崎・教授や、中国の研究者が分析した、<建窯の陶片の・・・釉> と、よく対応している という事です。
《 ボスの日記帳・・・8月 3日》
【 国宝/天目茶碗 】 (186)
<● 藤田美術館・所蔵の曜変天目> は、<★ 建窯由来の・・・天目茶碗> と見て、ま ず、間違いは無い、という事も、明らかにしました。 ええ… <● 国宝/曜変天目> そのもので、こうした知見が得られたのは、大きな前進だという事 です。
<8月 4日> ☆☆☆☆☆
《 ボスの日記帳・・・8月 4日》
【 国宝/天目茶碗 】 (187)
話が複雑になってしまったので、少し整理しておきます。 これまで… <★ 国宝・・・3つの、曜変天目(茶碗)> と、<★ 国宝・・・1つの、油滴天目(茶碗)> を 考察してきました。それは…
《 ボスの日記帳・・・8月 4日》
【 国宝/天目茶碗 】 (188)
<● 大阪/藤田美術館・所蔵の・・・曜変天目/・・・徳川家康が所持> <● 東京/静嘉堂文庫美術館・所蔵の・・・曜変天目/・・・春日局ゆかりの稲葉 天目>
《 ボスの日記帳・・・8月 4日》
【 国宝/天目茶碗 】 (189)
い> <国宝/油滴天目> <● 大阪市立・東洋陶磁美術館・所蔵の・・・油滴天目>
《 ボスの日記帳・・・8月 4日》
【 国宝/天目茶碗 】 (190)
戦前に、プラマーが採集した… <★ 建窯の陶片/・・・曜変天目の破片はなく・・・
《 ボスの日記帳・・・8月 4日》
【 国宝/天目茶碗 】 (191)
前/1935年に論文発表。> それから… <2009年以降、南宋時代の首都/杭州市の都市開発現場から出土した・・・
《 ボスの日記帳・・・8月 4日》
【 国宝/天目茶碗 】 (192)
名古屋大学/山崎一雄・教授は… <★ 曜変天目の光彩は、重金属を含む・・・
《 ボスの日記帳・・・8月 4日》
【 国宝/天目茶碗 】 (193)
構造色に由来するもの・・・> との、仮説を提唱。 <仮説・・・2> 九代/長江惣吉と、福嶋喜章は… およそ半世紀を経て、建窯由来の <蓼冷汁(たで・ひやじる)天目の・・・破片> を…
《 ボスの日記帳・・・8月 4日》
【 国宝/天目茶碗 】 (194)
曜変天目に似た光彩は・・・窯変によって、釉の表面に形成されたシワによって・・・光 が散乱や回折を起こすことで生じる・・・構造色に、由来する・・・>
《 ボスの日記帳・・・8月 4日》
【 国宝/天目茶碗 】 (195)
中国/浙江省/杭州市の都市開発現場から、<★ 曜変天目の・・・破片> が、出土して 来るわけですね。
さて、話を戻して… 【国宝/油滴天目の・・・研究も・・・前進!】 している、という事です。この話に移ります。
<8月 5日> ☆☆☆☆☆
《 ボスの日記帳・・・8月 5日》
【 国宝/天目茶碗 】 (196)
昨年/2023年、前進が見られたという事ですねえ。 発端は… 小林仁 (ひとし/・・・大阪市立・東洋陶磁美術館/学芸課/課長代理・・・国宝の油滴天目を所蔵。) が、油滴天目が、本来持つ色合いや、質感を引き出そうと考えて…
《 ボスの日記帳・・・8月 5日》
【 国宝/天目茶碗 】 (197)
カメラと照明、撮影手法を工夫し、<露光時間が異なる・・・複数枚の画像を・・・合成した > という事です。そこに、天目茶碗を1見 しただけでは分からない、”色合の・・・微妙な移り
《 ボスの日記帳・・・8月 5日》
【 国宝/天目茶碗 】 (198)
小林は… <構造色に由来する、光彩を放つ・・・天目茶碗の特質を理解するのに、役立つ・・・> と、考えていたわけですが… 海老塚昇(えびづか・のぼる/“参考文献” の、協力者の1人・・・理化学研究所) らは…
《 ボスの日記帳・・・8月 5日》
【 国宝/天目茶碗 】 (199)
少し、説明を加えると… そもそも、海老塚の専門は、天体からの光を分光する、分光素子の開発だったという事です。 天体から放射される…
《 ボスの日記帳・・・8月 5日》
【 国宝/天目茶碗 】 (200)
て波長ごとに分けます。 そして… 波長ごとの光の、強度分布を調べると、その天体の組成や、温度などが分かります。また、 特定の、原子や分子が放つ光について…
《 ボスの日記帳・・・8月 5日》
【 国宝/天目茶碗 】 (201)
天体の質量や、地球までの距離も、分かるのだそうです。 太陽光を、7色に分けるプリズムは、光の屈折現象を利用した分光素子です。天文学の最 先端では…
《 ボスの日記帳・・・8月 5日》
【 国宝/天目茶碗 】 (202)
混ざった光(白色光)を波長ごとにわける(/分散)光学素子。)> が、使われています。 あ、もう少し、別の説明すると… <回折格子とは・・・可視光の波長スケールの・・・刻み幅で作った・・・凹凸の連なり・・・ > です。構造としては、九代/長江惣吉と福嶋喜章が…
《 ボスの日記帳・・・8月 5日》
【 国宝/天目茶碗 】 (203)
そして… <陶片の・・・微細なシワ・・・> は、窯変によって生じた、<天然の・・・回折格子> と、 見ることが出来る、という事です。ここで、最先端・天文学の…
《 ボスの日記帳・・・8月 5日》
【 国宝/天目茶碗 】 (204)
…分光素子と、<曜変天目の・・・構造色に由来する・・・微細なシワ・・・> が、出会うこ とに、なった様です。 くり返しますが… 海老塚昇は、陶磁器は全くの、専門外のコトであり… 天目の研究プロジェクトに、参加しているわけでもありません。しかし、縁が…
<8月 7日> ☆☆☆☆☆
《 ボスの日記帳・・・8月 7日》
【 国宝/天目茶碗 】 (205)
回折格子によって生じる・・・色の配列と同じことに・・・すぐ気付いた!
」 すばる望遠鏡や、次世代の超大型望遠鏡、…
《 ボスの日記帳・・・8月 7日》
【 国宝/天目茶碗 】 (206)
天目茶碗> にも、興味が湧いたそうです。それで、天目の研究の歴史を調べ、“長江惣吉 と、福嶋喜章の・・・論文” も、読んだそうです。 それから…
海老塚は、<油滴天目>
を…
《 ボスの日記帳・・・8月 7日》
【 国宝/天目茶碗 】 (207)
わせた様です。さらに、”照明光の情報・・・もメーカーから収集” しました。 そして… 理化学研究所の同僚/岡本隆之の協力も得て… <★ どの様なシワが・・・油滴天目の表面に・・・
《 ボスの日記帳・・・8月 7日》
【 国宝/天目茶碗 】 (208)
出されるのか?> を、科学的に、探ったそうです。 シミュレーション研究の、結果… <★ 刻み幅が約 0.9μm 、高低差が約 0.05~0.1μm シワが出来ていれば・・・写 真の様な構造色が・・・
《 ボスの日記帳・・・8月 7日》
【 国宝/天目茶碗 】 (209)
<曜変天目> とは、光彩の様相が異なります。しかし、やはり <油滴天目> も、<微細 なシワによる・・・構造色・・・である可能性が、かなり高そうだ> と、いう事です。 小林仁や、阿部善也…
《 ボスの日記帳・・・8月 7日》
【 国宝/天目茶碗 】 (210)
”★ 天目の研究プロジェクト” では… <油滴天目> も、持ち運び型の分析装置を使って、詳しく分析する予定…と言います。 さらに… 海老塚昇の様な、光学の専門家の知見をも踏まえて調査すれば、<油滴天目> の研究 が、さらに大きく前進…
《 ボスの日記帳・・・8月 7日》
【 国宝/天目茶碗 】 (211)
一方… 海老塚は、<曜変天目> の光彩にも、関心を持っていると言います。 海老塚によれば… 茶碗の同じ場所に、様々な角度から光を当てて反射光を分析すれば、どの様なタイプの微 細構造が、形成されているのか…
《 ボスの日記帳・・・8月 7日》
【 国宝/天目茶碗 】 (212)
”★ 天目の研究プロジェクト” による、<曜変天目> のさらなる調査分析が、期待されてい ます。
<8月 8日> ☆☆☆☆☆
《 ボスの日記帳・・・8月 8日》
【 国宝/天目茶碗 】 (213)
<曜変天目/・・・天目茶碗の研究> は、これから、本格化して行く様相です。 研究の、始まりは… 戦前/1935年の、プラマー (James M. Plumer/ミシガン・・・
《 ボスの日記帳・・・8月 8日》
【 国宝/天目茶碗 】 (214)
んよう)の窯跡(かまあと)を調査しました。 当時は… 上海(シャンハイ)の税関に勤めながら、中国各地を踏査していた…
《 ボスの日記帳・・・8月 8日》
【 国宝/天目茶碗 】 (215)
ームとなっていた、時代ですね。 敦煌(とんこう)/莫高窟(ばっこうくつ)での、膨大な “敦煌文書(とんこう・もんじょ/・・・ 第17窟(くつ) に 封蔵されていた・・・
《 ボスの日記帳・・・8月 8日》
【 国宝/天目茶碗 】 (216)
に興味を持ち、調査していた様です。 それから… 終戦後は、占領軍の美術関連の担当官として来日していました。その頃に、小山富士夫(/ 中国陶磁器研究・・・
《 ボスの日記帳・・・8月 8日》
【 国宝/天目茶碗 】 (217)
その陶片を… 名古屋大学/山崎一雄・教授が、分析を開始しました。山崎・教授は、古文化財の科学研 究のパイオニア(pioneer/先駆者。開拓者。)として知られる人物です。 そして… 山崎が、別途、プラマー…
《 ボスの日記帳・・・8月 8日》
【 国宝/天目茶碗 】 (218)
”曜変天目の・・・再現に挑む・・・八代/長江惣吉(ながえ・そうきち)” に託され…さらに、”九代/ 長江惣吉と、福嶋喜章” とに、研究世代が移りました。 ここで、電子顕微鏡が用いられる様になり、<釉(うわぐすり)の表面の・・・微細なシワ> が、 見えて来る…
《 ボスの日記帳・・・8月 8日》
【 国宝/天目茶碗 】 (219)
その後… “油滴博士/小林仁(こばやし・ひとし/大阪市立・東洋陶磁美術館)” が… 中国/杭州市で、<曜変天目の・・・陶片・・・> と出会ったことで、<★ 国費を得て・・・ 曜変天目の・・・研究プロジェクト> を、本格始動させます。 日本の…
《 ボスの日記帳・・・8月 8日》
【 国宝/天目茶碗 】 (220)
<★ 曜変天目の・・・破片・・・が、浙江省/杭州市で発見> され、新しい展開が開けて 来ます。 また… ポータブル分析装置/…Ⅹ線分析装置・反射光分析装置などを携えて、東京理科大学/中 井泉・教授が登場して来ます。
<8月 9日> ☆☆☆☆☆
《 ボスの日記帳・・・8月 9日》
【 国宝/天目茶碗 】 (221)
それから… 写真家/西川茂が、加わり…さらに、分光素子の専門家/海老塚昇 (/理化学研究所) も、参加して来るわけですね。 何か…
《 ボスの日記帳・・・8月 9日》
【 国宝/天目茶碗 】 (222)
的な、メスが入れられて行く・・・> という、雲行の様相です。
具体的には… ここ数年、コロナ禍/下 で、停滞していた中国での調査が再開する、という新事情が…
《 ボスの日記帳・・・8月 9日》
【 国宝/天目茶碗 】 (223)
そして、日本側としては、<建窯の窯跡を・・・現地で調べている・・・福建省/考古学研 究との、共同研究> が、あります。 小林仁は、こう話しています…
その中から、適切な陶片を選び出して調べ・・・
《 ボスの日記帳・・・8月 9日》
【 国宝/天目茶碗 】 (224)
私たちとしては、国内の多数の試料を分析しているのと同じ機械を使って、データベー スを作りたい・・・」
産地の基本データが整えば、日本に伝来した天目を…
《 ボスの日記帳・・・8月 9日》
【 国宝/天目茶碗 】 (225)
小林によれば… コロナ下で、海外での調査が停滞した反面、国内での天目の調査は、かなり進展した様で す。今後、その成果が、順次報告される見通し、だと言います。 <曜変天目>の… ”研究プロジェクト” には…
<8月 10日> ☆☆☆☆☆
《 ボスの日記帳・・・8月10日》
【 国宝/天目茶碗 】 (226)
する研究も、進められている・・・> という事です。 まあ、<謎の光彩が・・・再現されて・・・実証・・・> と、いう事なのでしょうか。
《 ボスの日記帳・・・8月10日》
【 国宝/天目茶碗 】 (227)
韓国には、先に述べた、 <★ 新安沈船(/・・・東福寺再建のため元に派遣された、日本の貿易船)から、引き上げられた天目茶碗 > が、あります。そして、かつて存在した、<★ 高麗の遺跡から出土した・・・天目茶碗> も…
《 ボスの日記帳・・・8月10日》
【 国宝/天目茶碗 】 (228)
これらは韓国側と共同で、調査する計画だという事です。 ええ、そして… かつての南宋の首都/杭州市で出土した… <★ 第4の・・・曜変天目の陶片/破片> については、上海硅酸塩研究所での調査が…
《 ボスの日記帳・・・8月10日》
【 国宝/天目茶碗 】 (229)
現地で… 出版された、報告書によれば… 日本に伝来した天目では、“★ 未検出の・・・鉛と銀が検出された” という、事ですねえ。この 事実を、受け入れるならば、<曜変天目には・・・重金属を用いて、光彩を与える手法> も、あった…
《 ボスの日記帳・・・8月10日》
【 国宝/天目茶碗 】 (230)
ええ… 小林仁や、阿部善也らは… ともかく、中国へ渡航し、<自前の分析装置を使って・・・その第4の曜変天目の破片を ・・・分析する計画> を、立てている様です。 いずれにしても… <天目> は、中国/福建省/建窯 (/・・・福建省・・・
《 ボスの日記帳・・・8月10日》
【 国宝/天目茶碗 】 (231)
という事でしょう。 <● 日本の国宝/・・・曜変天目 ・ 油滴天目が・・・ この世に出現して、約800年> が…
《 ボスの日記帳・・・8月10日》
【 国宝/天目茶碗 】 (232)
その光彩の、謎をめぐって… 科学分析が、”人間原理空間/人間原理ストーリー” の中で、いよいよ本格化して行く様相 です。謎は、玉ねぎの皮を剥く(むく)ように、意外と、奥が深い様です。これから、さらに1皮、 2皮と、剥けて行くのでしょうか…? くり返しますが…
《 ボスの日記帳・・・8月10日》
【 国宝/天目茶碗 】 (233)
ょう。すでに、かなりの域に到達している様ですが、”同じ手法で・・・実現” する、という事で すね。今後、続々と、試されてくる、のだと思います。
《 ボスの日記帳・・・8月10日》
【 国宝/天目茶碗 】 (234)
益々、物騒な時代になって来ていますが… ここは、<歴史的・・・謎の光彩ミステリー/・・・純粋学問と、技巧のロマン・・・> になり ます。
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