『おはよう!スパンク』レビュー

最終更新日: 2000/春ころ (2011/07/23書き直し、イタリア語版追加)


おはよう!スパンク (コミックス)

2人目の愛ちゃんイタリア語版

「なかよし」連載(1978/02月号〜1982/03月号)、講談社コミックス(全7巻)、復刊: 講談社漫画文庫(全4巻、1999年)、原作: 雪室俊一、絵: たかなししずえ

ストーリー: 愛犬パピーが亡くなった次の日に、愛子のもとにやってきた犬スパンク。
コミックス1〜4巻は森村愛子編。 最初はパピーを轢いた池上や、ヨットで遭難したという愛子の父をめぐるストーリーが中心になっています。 最後は高校に進学して「わかめっ毛」発言の塚原が登場。
コミックス5〜7巻は深町愛編。 同級生の柴田耕平との恋のストーリーです。 講談社漫画賞受賞。

感想: 現代のマンガとはひと味違う展開の濃さで、特に前半はころころ変わる展開にびっくりしました。 アニメを先に見た人は、いろいろな設定の違いに驚くでしょう。 後半の愛ちゃんもなかなかよいと思います。

イタリア語版: イタリアでも人気があるらしく、アニメだけでなく単行本も出版されています。 ストーリーはともかく、日本の少女マンガの絵がそのまま受け入れられているのが意外な感じです。 本も右開き(日本と同じ)で、反転もされていませんでした。 左開きにすると「Attenzione! Questo fumetto si legge come in originale, da destra verso sinistra. Quindi correte subito all'ultima pagina, e buon divertimento con Hello Spank!」(注意!このコミックはオリジナル通り右から左に読みます。反対側のページからHello Spankを楽しんでね)という注意書きがあります。


イタリア語DELUXE EDITION

イタリア語DELUXE EDITION: 2011年にイタリア語でコミックスが再版されています。 表紙は日本語文庫版ふうになり、作者の紹介まで出るようになりました。 イタリア語の植字も旧版とはフォントが違っているので、やり直していると思います。 本のサイズ、中身のレイアウトは、日本語の原典版である「なかよしコミックス版」に準拠しようとしているように見えます。 もはや、マンガの読み方についての注意はひと言も書かれていません。 主人公の名前だけは、初期版の「Aiko」から「Aika」に変更されていました。 イタリアでは「〜o」で終わる名前は男性名らしいので、仕方ないですね。

 全体に落ち着いた装丁になり、イタリアでも大人がマンガを読むようになってきたのかな、という感じがします。 しかし、今になって新版が出版されるなんて、アニメ版だけでなく原作も、結構イタリア人に愛されているんですね。 雪室さんの紹介文が日本語をそのまま翻訳した文章になっていて、代表作として「Memole dolce Memole」「Candy Candy」はともかく、「Sazae-san」「Kiteretsu Daihyakka」「Azuki-chan」といったイタリアで見ることはできなそうな作品がそのまま出ています。



おはよう!スパンク (アニメ)

OPは歌も絵もいい

全63話 (1981/03/07〜1982/05/29放映) 時々ANIMAXなどCSで再放送されていました。映画版もあります。DVDも出ています。

ストーリー: 雪室俊一原作のマンガのアニメ版。しかしアニメには雪室さんは参加しておらず、脚本は金子裕、篠崎好、などが数人で書いています。 ストーリー性の高い原作に対して、アニメ版は日常のドタバタを描いていて、設定もかなり違っています。原作とは全く違った作品と言っていいでしょう。

感想: 原作との最大の共通点は「スパンク」がいること。主人公の愛子ちゃんがいつも素直にスパンクに接することができるのは、スパンクが憎めないドジ犬だから。 このスパンクが動いている絵を見ると、本当にかわいいと思えるのはアニメ版のいいところです。
2011年5月に放送されたNHKの「名作ホスピタル」で「おはよう!スパンク」が取り上げられました。 テーマは「大切なものを失ったとき」で、パピーの死の悲しみをスパンクがどうやって癒していったかを取り上げていました。



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