最終更新日: 2009/07/12
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TV用のシリーズ作品ですが、主人公だけが同じで毎回独立した設定の60分枠オリジナル作品という、変わった構成のシリーズです。 単発作品に分類していましたが、一応シリーズ作品であることがわかりましたので、分類変更します。 当初、渥美清の単独主演でしたが、さすがに一人でこのシリーズを収録するのは大変だったようで、途中から青島幸男主演の回と交互で放送されるようになったそうです。
渥美清シリーズが「メイン」とすれば、青島幸男シリーズは急遽追加された作品という背景もあって、ほとんど新人だった雪室さんが起用されたようです。 その頃の雪室さんは、映画のデビュー作を1本書いて、アニメでは『ジャングル大帝』『ハリスの旋風』を書いていた時期だと思います。
現在DVD化は渥美清シリーズだけという状況で、雪室さんの作品(青島幸男主演)は収録されていませんが、数年前にCSで再放送があった後、今年になって東京MXテレビでも再放送があり、見ることができました。
第?話『ハイ、電報です』(1966年11月13日放映、60分枠)
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主演の青島幸男 |
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電報用タイプライター |
ストーリー: 台風のため危篤の電報の配達が遅れ、東京の学校へ行っていた主人公・井田健太は父の死に目に会えなかった。
電報局の対応を恨む井田であったが、なぜか彼は電報局に就職し、電報配達を担当することになる。
彼は配属早々「電報の使命は、一にスピード、二にスピード、遅い電報などはネズミを捕らないネコと同じ…」と演説をぶち、先輩の局員をあきれさせる。
配達の苦労や夜勤、交通事故による配達中の同僚の死、ストーリーは電報をめぐる様々なドラマを展開する。
感想: 雪室さんはエッセイで電報配達のアルバイトをしていたことを書かれていましたが、この作品はかなり実体験をベースに書かれた内容で、実際に体験していないと知らないようなエピソードを多数織り交ぜた作品になっています。
子供一人しかいない家に、家族の危篤電報を配達するといった、エッセイに書かれていたそのままの内容もありました。
まだ携帯はおろか、固定電話すら普及していない頃に、電報というシステムが社会の中で様々な情報を伝えていた様子が、今見ると記録映画的な意味でとても面白いです。
当時から「誕生日おめでとう」のような携帯メール的な使い方もあったのは意外でした。
とはいえ配達に人が関わっていたのが、電報の大きく違うところで、特にバイクの配達員の交通事故というのが、この作品でも一つの大きなテーマになっています。
主人公が青島幸男ということもあって、あまりにも「直球バカ」的な性格設定は古さを感じさせますが、多数のエピソードをこれでもかと織り込んだストーリー展開はまさに雪室節の原点を見るようでした。
同時代のアニメ『ハリスの旋風』と重なるものがあるように感じます。
また、『泣いてたまるか』というタイトルの割には、苦しいことよりは楽しいことが多いのも、雪室さんの実体験を反映しているのかもしれません。
雪室さんの初期作品という観点、電報の歴史という観点、普通に当時の若者のドラマという観点、いずれから見ても楽しめる作品だと思います。
プロデューサー | 山内静夫 |
脚本 | 雪室俊一 |
撮影 | 小原治夫 |
録音 | 小林英男 |
美術 | 浦山芳郎 |
照明 | 本橋昭一 |
編集 | 北見精一 |
助監督 | 広瀬 穣 |
制作主任 | 末松昭太郎 |
装置 | 伊藤政義 |
装飾 | 小谷恒義 |
記録 | 長谷川幸子 |
結髪 | 細井栄子 |
進行 | 斉藤 稔 |
調音 | 松竹録音スタジオ |
衣装 | 松竹衣装 |
現像 | 東洋現像所 |
出版 | 東北新社 |
音楽 | 木下忠司 |
主題歌 | 「泣いてたまるか」 |
作詞 | 良池まもる |
作曲 | 木下忠司 |
唄 | 青島幸男 |
出演 |
青島幸男 |
佐々木愛 |
嘉手納清美 |
坊屋三郎 |
なべおさみ |
青山 宏 |
瀬戸 明 |
浅見比呂志 |
吉野憲司 |
渚 健二 |
大牧護良 |
滝 雅男 |
高木信夫 |
角田雅生 |
海野かつお |
若宮忠三郎 |
菅井きん |
水木涼子 |
堀越節子 |
大辻伺郎 |
大坂志郎 |
監督 |
松野宏軌 |
制作 |
松竹テレビ室 |
TBS |