『ミラクル少女リミットちゃん』レビュー

最終更新日: 2007/09/22

脚本テロップはOPに

 主人公のリミットは飛行機事故で瀕死となり、父・西山博士がサイボーグとして命をつなぎとめたという設定になっています。 そのため、リミットは「ミラクルパワー」などの特殊な力を持っていますが、このことは父以外には秘密です。 飛行機事故のことなどはあまり表立ってストーリーに出てこないので、特殊な力を使った一種の「魔法少女もの」という側面も持っている作品ですが、普通の人間と違う体になってしまったというネガティブな側面があることがこの作品をやや特殊なものとしています。 当初の企画では、「リミット」という不吉な名前も示すように鬱展開も考えられていたらしいですが、とりあえず、このシリーズは普通の魔法少女ものと大きくは変わらない作品になりました。

 雪室さんは全25話中9話を書き、一番多数の脚本を担当していますが、第1話を書くこともなく特にメインライターというようなポジションではないようです。


第15話「学校裏門なみだ門」

なみだ門にて

ストーリー: 学校で授業中のリミットに、父が倒れたので家に帰れという連絡が来た。リミットは用務員のおじいさんに連れられて、学校の裏門から家に向かった。
しかし、家に帰ってみると倒れていたのはサイボーグ犬のグーだった。伝言の途中で誰かが間違ったようだ。グーは電源系統の故障か何かだったらしい。
お見舞いに来たクラスメートの大将は、おもちゃが壊れたようなものだと言ってバカにするが、この言葉をリミットは他人事としては聞けなかった。そして…

感想: 主人公がサイボーグになってしまった体だという悲しい設定を、見る人がイヤに感じないギリギリの線で留めたストーリーにしている。 そのために、体が機械であることを悲しむのは犬のグーにして、リミットはむしろグーを励ます立場に置いている。
メインストーリーの他にも、大将の父の自動車事故や、授業時間中に裏門からあわてて帰宅する生徒を見守る用務員のおじいさんなどをからめて、サイボーグとしての悲しみを家族や人間の絆で暖かく包みこむ作品になっている。

★これは名作★


第17話「おんどりのタマゴ」

先生が犠牲者に

ストーリー: 大将の妹の綾子ちゃんが出店で買ったピンクのヒヨコが大きくなって家では飼えなくなってしまった。雪室さん恒例の、タマゴ・ニワトリねた。(笑)

感想: 一度はニワトリを引き取ったリミットだったが、鳴き声がうるさくて飼えなくなったという展開は、「あずきちゃん」にも出てきますね。


第23話「走れラクガキ鉄道」

ラクガキの線路を追って

ストーリー: ある朝、リミットとその家族は全員が蒸気機関車の夢を見た。 不思議に思って家を出ると、そこにはラクガキの線路が。 リミットたちは、学校の始まるのも忘れて線路を追いかけていく。 同時に、警察がいたずら事件として犯人の追及に動き出す。 学校の屋上でリミットが見た、ラクガキの犯人は…

感想: サスペンス系の話なのかと思ったら、最後は意外な展開に。 この放送当時(1974年)すでに蒸気機関車は消え行くノスタルジーでした。



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