『キテレツ大百科』レビュー

最終更新日: 2002/09/08 (2004/10/24 その他面白かった作品を追加)

 原作の基本は「ドラえもん」とあまり変わらないかもしれない。登場人物も「キテレツ:のび太」「ブタゴリラ:ジャイアン」「みよちゃん:しずかちゃん」「トンガリ:スネ夫」と言っていいだろう。 違う点としては、「ドラえもん」が未来のグッズに頼っているのに対して、「キテレツ」ではご先祖の発明家「奇天烈斎さま」が残した発明本を見てキテレツが自分でグッズを作るというところである。

 発明が作品の軸であることは確かなのですが、これを肉付けていくストーリーは決して平面的ではなく、登場人物の心理や人間関係をからませた複雑なものになっています。 『ドラえもん』的バックグラウンドの上とはいえ、十分に「雪室節」が発揮されていて、『キテレツ大百科』が単なる面白い発明ストーリーに終わっていない大きな理由になっていると思います。 また、サブキャラ達が存在感を発揮して生き生きと動いているのも、作品が長期にわたって人気を持続できた大きな要因でしょう。


第156話「ブタゴリラもウルウル!黒板の中のママ」(1991/12/15放映)

はじめてのチュー

ストーリー: ブタゴリラの家の「八百八」で、買い物をしたときお金を払いすぎた子供がいた。お金を返そうとして子供を探そうとするブタゴリラ達であったが...

感想: 初期作品が「発明」を中心としたストーリーだったのに対し、この時期はサブキャラが生き生きと動き出し、ブタゴリラが主役級のキャラクターになっている。 結構驚きの展開だが、雪室氏らしい話が多くなった。
この話もストーリー展開の意外さで見ている人を引きつける。そして、発明は結局役に立たない。ストーリーは必ずしも似ていないが、アイディアとしては『魔法使いサリー(初代)』の『東京マンガ通り』との共通性を強く感じる。
個人的には「航時機」が出てくるとパラドックス問題が気になってしまうのだが、一応名作と言ってよいと思う。

★これは名作★

第162話「ブタゴリラでもスターになれる!丸案鬼・・・」(1992/01/26放映)

ストーリー: 勉三さんが...!?

感想: うわーびっくりした!この話は一度見ただけではわからないよ。ずいぶん冒険的...というか実験的な脚本だな〜。雪室氏、こんなこともやっちゃうんですね。

第182話「超ふしぎ!?タナバタ 竹の子 ノーベル賞」(1992/07/11放映)

ストーリー: ブタゴリラが竹の子を持って新潟の妙子ちゃんの所へ行きたいと言い出す。キテレツは潜地球を使って新潟に向かうが、定員が少ないためにトンガリとミヨちゃんをおいていく。 置いてけぼりを食ったことを知った二人は、勉三さんの車で新潟へ向かう。一方のキテレツ達も国境の地下水脈に引っかかってしまい、大変なことに...

感想: 同じ目的地に複数の交通手段で向かうという雪室氏の得意技。複線のストーリーと目的地での大団円を効果的に演出する、黄金パターンである。 『あずきちゃん』劇場版、ぶどう狩り、仙台編、そして『みんな大好き!』種子島編など、多くの傑作が思い出されるのに、全くワンパターンに陥らない豊かさは見事です。 そして、『タナバタ 竹の子 ノーベル賞』もこのパターンで書かれた傑作です。
遠距離恋愛のブタゴリラとタイコちゃんを七夕ネタにするのは普通としても、それにノーベル賞が絡んでくるのが面白い! さらに、地下水脈のトラブル、トンガリの幽霊ネタなどが複雑に絡み合い、30分に詰め込めるマキシマムとも言える内容です。さすが!

★これは名作★



☆その他面白かった作品☆ (感想ぬきですみません)

第96話「お金のなる木! キュリー夫人とにんじん」(1990/07/01放映)

第99話「ツルの折れない人 この指とまれ!」(1990/08/05放映)

★これは名作★

第135話「ハダカの思い出! さくらの湯ものがたり」(1991/06/16放映)

★これは名作★

第140話「むかしの常識!? 堂々封切総天然色三本立」(1991/08/04放映)

★これは名作★


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