最終更新日: 2007/01/07
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脚本はOPに |
シリーズの第1作のモノクロ作品です。 全65話中、雪室さんの脚本は19話。 特にメインライターという人はいないようで、雪室さんの他にも、辻真先、安藤豊弘、鈴樹三千夫の各氏が平均して多くの脚本を書いています。 だいたいの話が水木しげる氏の原作に基づいているということもあるでしょうが、どのサブタイトルも非常に面白く、脚本、演出ともにレベルの高い作品だと思います。 さすが、黄金のモノクロアニメです。
基本的には悪い妖怪を鬼太郎が退治するというものですが、悪い人間を鬼太郎がやっつけたり、人間と妖怪の共存を書いた話もあり、第2期のような社会派的作品の萌芽も感じられます。 一方で、鬼太郎と妖怪の戦い自体は、今見るとそれほどのものではありません。 鬼太郎のアイテムも髪の毛針とゲタくらいしかないし、お互いに間の抜けたやられ合いが多いです。
第20話「猫娘とネズミ男」(1968/05/19放映)
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かなり凶暴 |
ストーリー: 人間が悪事を働くと体の中にいる「三虫」が閻魔大王に報告し、閻魔大王の指令により選ばれた妖怪がその悪人を殺さなければならないという。
その役目を好んで代行しているのが「猫娘」であった。
一方で「ねずみ男」は「三虫」をネタにした新興宗教を開き、悪賢い商才を働かせる。
しかし、ねずみ男の悪事が閻魔大王にばれてしまう。暗殺の指令を受けたのは鬼太郎であった。
感想: 抜け目なく欲の張ったねずみ男と、一見かわいくてもなかなか凶暴な猫娘の対照的なキャラクターを生かし、目に見えない「三虫」を軸とした面白い話になっている。
ちなみに、第1期で猫娘の登場するのはこの話だけで、完全なゲストキャラであった。
★これは名作★
第47話「天邪鬼」(1968/11/24放映)
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視点の回る戦闘シーン |
ストーリー: 為助じいさんは戦争の特攻隊で息子を失い、それ以来幸せそうな人を見ると嫌がらせをするようなひねくれ者になってしまった。
「その幸せそうな顔を片っ端から叩き潰してくれるわ!」と、自動車事故を誘発させて死者まで出る始末である。
このじいさんが、西伊豆の山奥の神社に封印されていた妖怪、天邪鬼におびき寄せられ、封印を解く。
天邪鬼は「似たもの同志」と言ってじいさんを手下にし、嫌がらせを始めるものの、山崩れを起こして別荘地を全滅させるなどスケールが大きすぎ、じいさんはだんだん付いていけなくなってくる。
感想: ひねくれ者の為助じいさんの気持ちが、さらにひどい天邪鬼と行動を共にすることで変わっていく様子が、ほとんどセリフなしに表現されているのが見事。 冒頭の特攻シーンや、視点がぐるぐる回る鬼太郎と天邪鬼の戦闘シーンなど、勝間田具治氏による演出も見ごたえがあり、個人的には第1期ベスト作品。
★これは名作★
第59話「だるま」(1969/02/16放映)
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43号棟と44号棟 |
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観覧車からもだるま発生? (あずきちゃん104話) |
ストーリー: 4の番号が付いた下駄箱や車や電話ボックスから、妖怪の「だるま」が現れてくる。 この「だるま」達が、存在しないはずのビルの4階に住み着き、住人が逃げていってしまった。 鬼太郎はビルから妖怪を追い出すために戦う。
感想: 数字の「4」を中心に展開される導入部は、ミステリアスでとても面白い。
数字にこだわる雪室さんらしい脚本だと思います。
「あずきちゃん」で分譲住宅の当選番号が「44」で、野山一家が落選した後乗った観覧車の番号が「44」だったというネタを思い出してしまいました。
また、人間が使うのを避けていた数字の「4」と妖怪の住宅問題が絡んでくるあたりが、何とも言えず奇妙な切り口です。
★これは名作★
第60話「笠地蔵」(1969/02/23放映)
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笠地蔵の前で |
ストーリー: 岩手の山の中で、砂かけ婆が「♪ゲゲゲの鬼太郎キチガイだ」という歌声を聞く。
鬼太郎のところに行ってみると、鬼太郎は本当に頭がおかしくなり、ついには倒れて危篤になってしまう。
この病気を治すために、一行は岩手に向かう。
しかし、なぜかこの話は後半、民話の「笠地蔵」の話になってしまうのである。
感想: メインストーリーは民話の「笠地蔵」であるのだが、そこに妖怪座敷童や鬼太郎たちが関わってくる。
その不思議な構成と、民話の雰囲気を保った作品全体の印象が見事です。
この路線が後の「おんぶおばけ」につながっている、という感じがします。
★これは名作★