最終更新日: 2004/06/13 (2007/10/28 リスト修正)
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DVDにテロップは入らず |
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右から国松、おチャラ |
1966〜67年に放送された、ちばてつや原作の作品です。ちばてつや原作では初のアニメ化だそうです。 スポーツ万能な石田国松が主人公のスポーツものという雰囲気で始まっていますが、スポーツ以外の話も多くなり、学園アニメの原型と言える作品になっています。
行方不明だった原版が見つかったとのことで、2004年5月〜9月にかけてDVD全10巻が発売されました。 残念なことは、当時のテロップが失われて全く入っていないことで、各話のスタッフが誰なのか不明なことです。 DVDのパッケージにも各話別のスタッフは記載されていなく、「原版以外の資料等が全く現存しないため、サブタイトル、スタッフ等一部表記が放映時と異なる可能性がございます。」と断り書きがあります。 脚本は山崎忠昭さんがメインで、雪室さんは8話から参加してその後はほぼ半数を書いていて、ほぼ二人で全70話を書いています。 というのがDVDパッケージの情報でしたが、山崎忠昭さんの遺稿集「日活アクション無頼帖」の資料によれば藤川圭介、山崎晴也の二氏も(本数は少ないと思いますが)脚本を書いているようです。 本書の雪室さんのインタビューから、第1話と最終話が山崎忠昭さんということは確認できました。
雪室さんにとっては、ちばてつや原作に衝撃を受けた作品というだけあって、ストーリーの密度の濃さやアイディアは雪室さんの創作のベースとなるものであるように感じました。 後の作品、特に学園ものである「キテレツ大百科」や「あずきちゃん」につながるアイディアが散りばめられているのが、今見るとはっきりとわかります。
8話「マンガ戦争」
ストーリー: 1日50冊のマンガを読み「マンガの王様」と呼ばれるアー坊の友だちが、ひき逃げに遭い入院する。 友だちには、「マンガX」と名乗る者から、マンガを読まないようにという脅迫状が届く。 国松はひき逃げ犯を追って、街の自動車修理工場を探し回る。
感想: 雪室さんはコラムで「最初は原作を読まないで適当に書いた」ということを白状していますが、暴れん坊ものとしては面白い作品になっていると思います。
ただ、国松たちの人間関係はやはり希薄です。
マンガを(当時にあって)否定的に扱っていない点や、マンガと自動車事故の組み合わせという点では、同時期の「魔法使いサリー」の怪作「東京マンガ通り」にもつながる作品と言えるでしょう。
23話「国松最後の日」
ストーリー: 国松が学校の健康診断を受けて再検査となる。 大学病院で再検査を受けて全く問題ないと言われるが、そこで医師と岩波先生が「手遅れです」と密談しているのを聞いてしまう。 自分の死期を悟った国松は、「死んでせいせいした」と言われないように、よい子になることを決意する。
感想: このネタは後に「キテレツ」や「あずきちゃん」で何度も使われることになりますが、病気だと思ったきっかけにしろ、その後の行動にしろ、キャラクターそれぞれで違った話になっているので、それぞれに別の楽しい話になっているのはさすがです。
34話「雪の国から来た少女」
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犯人を連行 |
ストーリー: スキーの映画を見た国松はスキーに夢中になり、デパートでスキーを買おうと思うが、値段(8000円)が高くてとても買えない。
アルバイトを探そうとしてひと騒動あり、見かねた岩波先生があるアルバイトを紹介する。
それは、横断歩道に用意してある黄色い旗の泥棒をつかまえるというものでした。
霧の中、白い服を着た少女が現れ、旗を持ち去ろうとするが、国松は少女をつかまえる。
しかし、少女は雪の国から来たと言って、国松にスキーをさせてあげると約束する。
感想: 国松と謎の少女の会話がみごと。 霧や雪につつまれた幻想的な演出とあいまって、ふしぎな作品になっています。 同じようなモチーフは、「メグちゃん」の「霧の中の朝刊太郎」にも引き継がれ、原点となっていると思います。
★これは名作★
53話「アメラグの卵」
ストーリー: 弟のアー坊は「怪人アメラグ」、国松は「怪獣ゴドラ」とTVのチャンネル争いが起きる。 国松は「アメラグ」を怪獣としか思っていなかったが、同級生の小沢がアメラグ(当時アメフトのことを言った)の大ファンであることを知り、アメラグ部を新設しようと動き出す。
感想: 「アメラグ」は死語らしいです。 アメフトのボールと怪獣の卵の形が似ているというネタを、おそらくスタートにしていると思うのですが、こんな話になってしまうのはなかなか驚きです。
雪室さんの書いている話は全部で30話あり、脚本の担当は以下の通りであることが確認できました。 脚本が不明なサブタイトルの多くは山崎忠昭さんらしく、一部、藤川圭介さん、山崎晴也さんが書いているようです。
話数 | サブタイトル | 脚本 |
第1話 | ハリケーン小僧のお通りだい | 山崎忠昭 |
第2話 | ケンカとメシはおれにまかせろ | |
第3話 | 正義の味方を知らねえか | |
第4話 | がむしゃら名投手誕生 | |
第5話 | 武士はあいみたがい | |
第6話 | 餓死寸前 | |
第7話 | チューリップ大使あらわる | |
第8話 | マンガ戦争 | 雪室俊一 |
第9話 | へんな外人 | 雪室俊一 |
第10話 | やると思えばどこまでやるぞ! | 雪室俊一 |
第11話 | オンボロボートでぶっとばせ! | |
第12話 | 特ダネ作戦 | 雪室俊一 |
第13話 | チビの中のチビ一匹 | |
第14話 | 岩波、国松をきたえる | |
第15話 | よらばきるぞ、えーいっ! | |
第16話 | 国松の友情 | |
第17話 | おれは決闘にいく! | |
第18話 | 山男よくきけよ | |
第19話 | 旅ガラスがやって来た | |
第20話 | 走れ!一万メートル | 雪室俊一 |
第21話 | 弱虫くん今日は | |
第22話 | ヒマラヤは俺のもの | |
第23話 | 国松最後の日 | 雪室俊一 |
第24話 | 必殺の背負い投げ | |
第25話 | あくたれメガネ | 雪室俊一 |
第26話 | とんだアルバイト | |
第27話 | ノーベル賞は俺のもの | 雪室俊一 |
第28話 | ガリベン対ガリスポ | 雪室俊一 |
第29話 | 星の王子さま | |
第30話 | おれにまかせておけ | |
第31話 | 俺は天下のパイロット | |
第32話 | 四拍子で踊ろう | 雪室俊一 |
第33話 | シュプールNo.25 | 雪室俊一 |
第34話 | 雪の国から来た少女 | 雪室俊一 |
第35話 | 国松の火の用心 | |
第36話 | 春だ飛び出せ暴れん坊 | 雪室俊一 |
第37話 | 正義の味方は俺一人 | 雪室俊一 |
第38話 | 新拳闘部だどんとこい | |
第39話 | とぶぞ鉄拳うなるぞパンチ | |
第40話 | 城山の決闘 | |
第41話 | 補欠部員全員集合 | 雪室俊一 |
第42話 | 盲目の剣士(前編) | |
第43話 | 盲目の剣士(後編) | |
第44話 | みんな坊主になれ | 雪室俊一 |
第45話 | 国松火山の爆発だい | 雪室俊一 |
第46話 | これが合気道だ | |
第47話 | 危うし!ハリス学園 | |
第48話 | アニキ商売は楽じゃない | 雪室俊一 |
第49話 | おれは秀才だ | |
第50話 | ひとりぼっちの国松 | 雪室俊一 |
第51話 | 国松いつ帰る | 雪室俊一 |
第52話 | おれはハリス学園に帰るんだ | |
第53話 | アメラグの卵 | 雪室俊一 |
第54話 | タッチ・ダウン作戦 | |
第55話 | 俺は挑戦する | |
第56話 | 国松剣法ハエタタキ | |
第57話 | ピカピカの心 | 雪室俊一 |
第58話 | しごかれる国松 | |
第59話 | 国松・オチャラの交換日記 | 雪室俊一 |
第60話 | 大阪行超特急 | 雪室俊一 |
第61話 | 国松と名犬ロンリー | |
第62話 | がんばれメガトン | 雪室俊一 |
第63話 | 友情のRHマイナス | 雪室俊一 |
第64話 | サボテンX | 雪室俊一 |
第65話 | 金髪のジェニー | |
第66話 | おれは蒸発する | 雪室俊一 |
第67話 | さようならロンリー | |
第68話 | 黄金の優勝杯 | 雪室俊一 |
第69話 | サハーラ東郷登場す | 雪室俊一 |
第70話 | サヨウナラ!! 石田国松 | 山崎忠昭 |