『母をたずねて三千里』(書籍版) レビュー

最終更新日: 2004/07/11


イラストはアニメ版ですが

初版不明、1975年12月25日(改訂版) 朝日ソノラマ発行、世界名作ものがたり 9、原作: アミーチス、絵: 木村光雄

ストーリー: イタリアのジェノバに住むマルコの母は、借金返済のためアルゼンチンに出稼ぎに出るが、突然便りが途絶えてしまう。 マルコは一人、母を探してアルゼンチンに向かう。 様々な事情でアルゼンチンを転々とした母の跡を追い旅を続ける少年マルコと、旅先で出会う人々との出会いを描いた物語。

感想: 表紙の絵や挿絵はアニメのものですが、おそらくこれは76年のアニメ放映に合わせ改訂版を出した際のものでしょう。 この朝日ソノラマ版の初版はアニメ化以前に原作の『クオレ』をベースに書かれたもので、当然マスコット猿もフィオリーナも出てくることはありません。 そんなわけで、作品中のマルコはアニメ版のちょっと子供っぽ過ぎるイラストのマルコとはちょっとイメージが違うような気がします。ワイン飲んだりしてますし。(^^;
そして、非常に短いエピソードである原作を反映して、この話も本の2/3程度で終わってしまいます。 残る1/3は、同じ原作『クオレ』の中から『なんぱ船』が選ばれて書かれています。
文章は確かに小学生向きに平易に書き直されていますが、内容は(おそらく)原作の感動を損なうことのないもので、現在大人になった自分が読んでも鑑賞に耐えるものだと思います。 また、この話は後年のオリジナル作品である『若草のシャルロット』などの創作のヒントになったのではと感じました。



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