最終更新日: 2021/07/25
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日本初の深夜ワイドショーである『11PM』に雪室さんが関わられていたという情報はあったのですが、時代も不明、再放送やメディア化の可能性も無しであきらめていました。 しかし、日本脚本アーカイブズ推進コンソーシアムの脚本データベースで台本冊子の一部データにアクセスできることがわかりました。
『11PM』は2局(日本テレビ(月水金)と読売テレビ(火木))が分担制作していましたが、 雪室さんが担当したのは金曜版で、1966年5月20日〜67年2月24日の間の「構成」を担当していました。 ラジオインタビューでは元内弟子先輩の石郷岡さんから紹介してもらったと言っていました。 台本表紙に「構成」として名前が出る前から、雪室さんは『11PM』の仕事をされていたようなので、そこでの仕事が認められて、金曜版への起用が決まったと推測しています。 大橋巨泉が司会する金曜日は花形でしたでしょうから、雪室さんが番組の看板を背負って立っていたと言えましょう。 番組の内容は、右の表紙に手書きされているような感じ(数字はおそらく台本のページ)で、映画、麻雀、ドライブ、釣り、ボーリングといったものだったようです。 どれくらい自分で書くのかはわかりませんが、ドライブは趣味に合っていたと思います。 「VTRタイム」というのが、『プレイハウス5'』のことだと思われますが、詳細は不明です。
雪室さんはアニメに目覚めた『ハリスの旋風』も担当していた頃ですので、何でもやってやろうという感じだったのでしょう。 65年11月に始まった『11PM』は最初は不振で、66年4月から大橋巨泉を司会に起用して立て直そうという時期にも重なり、長寿番組『11PM』の礎を築いた一人であったのだと思います。 ラジオ番組のインタビューで「野球は巨人、司会は巨泉」の有名なキャッチフレーズは自分が書いたと言っていました。 降板したのは『ハリスの旋風』と『魔法使いサリー』で忙しくなったためか、大橋巨泉とケンカしたためかは定かではありません。 今から考えるとアニメや子供向け作品に向いた作風と思ってしまいますが、こんなところにもしっかり足跡を残しているのは驚くばかりです。
脚本データベースから確認できた、作品一覧を以下にまとめました。 担当期間中、金曜日レギュラーだったため、放送回数は5ずつ増えていてほぼ毎週担当されていることがわかります。 No. 229は台本に名前が出ていなく、おそらく他の人が担当してます。 No. 309はデータベースに掲載されていませんでしたが、担当されている可能性は高いと思います。 66/05/20以前も書かれているらしいですが、表紙に名前が出ていないので担当回は不明です。
放送回数 | 構成 | 放送日 | 備考 |
139 | 雪室俊一 | 66/05/20 | |
144 | 雪室俊一 | 66/05/27 | |
149 | 雪室俊一 | 66/06/03 | |
154 | 雪室俊一 | 66/06/10 | |
159 | 雪室俊一 | 66/06/17 | |
164 | 雪室俊一 | 66/06/24 | |
169 | 雪室俊一 | 66/07/01 | |
174 | 雪室俊一 | 66/07/08 | |
179 | 雪室俊一 | 66/07/15 | |
184 | 雪室俊一 | 66/07/22 | |
189 | 雪室俊一 | 66/07/29 | |
194 | 雪室俊一 | 66/08/05 | |
199 | 雪室俊一 | 66/08/12 | |
204 | 雪室俊一 | 66/08/19 | |
209 | 雪室俊一 | 66/08/26 | |
214 | 雪室俊一 | 66/09/02 | |
219 | 雪室俊一 | 66/09/09 | |
224 | 雪室俊一 | 66/09/16 | |
229 | 66/09/23 | 構成空欄 | |
234 | 雪室俊一 | 66/09/30 | |
239 | 雪室俊一 | 66/10/07 | |
244 | 雪室俊一 | 66/10/14 | |
249 | 雪室俊一 | 66/10/21 | |
254 | 雪室俊一 | 66/10/28 | |
259 | 雪室俊一 | 66/11/04 | |
264 | 雪室俊一 | 66/11/11 | 一周年記念いれぶんまつり 読売テレビと共同制作 |
269 | 雪室俊一 | 66/11/18 | |
274 | 雪室俊一 | 66/11/25 | |
279 | 雪室俊一 | 66/12/02 | 毎週星期五深更放波超群番組好々視聴 |
284 | 雪室俊一 | 66/12/09 | |
289 | 雪室俊一 | 66/12/16 | |
294 | 雪室俊一 | 66/12/23 | 聖主生誕記念期日人民好々鯨飲馬食 |
299 | 雪室俊一 | 66/12/30 | |
304 | 雪室俊一 | 67/01/06 | |
309? | ? | 67/01/13? | データ無し |
314 | 雪室俊一 | 67/01/20 | |
319 | 雪室俊一 | 67/01/27 | |
324 | 雪室俊一 | 67/02/03 | |
329 | 雪室俊一 | 67/02/10 | |
334 | 雪室俊一 | 67/02/17 | |
339 | 雪室俊一 | 67/02/24 |
こちらも脚本データベースでようやく存在が確認できたタイトルです。 最後のアポストロフィは「分」の意味で、表紙に「PM11:35〜PM11:40」と書かれている通り、『11PM』の放送内の5分枠のミニドラマです。 脚本データベースでは放送年月日は不明となっていますが、台本表紙にある11PMの放送時間が「PM11:00〜AM0:00」となっており、この時間枠でやっていたのは65年〜66年だけですので、番組初年度のものであることがわかります。 脚本データベースには雪室さんの作品は残念ながらありませんでしたが、古本屋で脚本冊子を見つけてゲットしました。 書いた本数は全部で4本あるようです。
まずは、『11PM』本編とは独立した台本であることがわかります。 入手した雪室さん脚本作品はNO. 144と145で、日本テレビ版で日替わりで放送(週3本)されていたとすると48週目で、66年10月くらいの放送ではないかと思われます。 ちょうど雪室さんが『11PM』で本編の構成をしていた頃と重なります。 しかし、1本1本の時間は短いとはいえ、週に3本独立したドラマを撮影するのはものすごく大変なのではないでしょうか。
No. 144は「パートナー」という作品で、駅で待ち人に会えないまま伝言板に書き置きを残して帰る和服の女性と、ナンパしようとする男性の話。 No. 145の「小犬のワルツ」は、つきあっている若い男女と、素行不良を心配した親が手配した私立探偵の話。 どちらの話も、ややコメディー調ながら深夜番組らしい少々アダルトな内容で、予想もつかない結末に飛んでいきます。 内容こそ子供も見るアニメ作品とは大きく異なっていますが、作風は今も変わっていないように見えます。
なかなかの貴重品と思いますので、脚本の1ページ目だけ載せておきます。 「パートナー」は10ページ、「小犬のワルツ」は11ページの作品で、他の作品(倉本聰脚本など)も合わせて10本の合本になっています。 雪室さん以外の作品も、ややアダルト風味のコメディー調といったところで、ホラー系あり、SF系ありで、毎日違う作品が見られるのはかなりぜいたくですね。