『あずきちゃん』ゆかりの地−都電荒川線

最終更新日: 2003/10/07

 千住のおじいちゃんの家に行くときに、都電がしばしば登場しました。 東京には以前は多くの路面電車がありましたが、今はこの荒川線を残すのみ。 なぜここだけが残っているかというと、ちょうど地下鉄やJR、私鉄のうまく通せなかった地域をつないでいるからではないでしょうか? 試しに乗ってみようとすると、外部からは意外に連絡が悪い駅ばかりです。 そのせいか、沿線には古い住宅地が立ち並び、ちょっと昔風の市街の印象を与えてくれます。 ボクが探検した日曜日も、家族連れやお年寄りが都電を利用していて、5分も隔てずに行き来する電車はいつもほぼ満員状態でした。 採算性の点から廃止になることは、当分ないのではないでしょうか。

 さて、千住のおじいちゃんと言うからには、最寄駅は南千住の「三ノ輪橋」ではないかと考えるのが普通だと思います。 実際、脚本の段階ではそう考えられていたのではないかと推測しています。 しかし、以下の写真が示すように、アニメの画面では「東尾久三丁目」付近の風景が使われています。 おそらく、三ノ輪橋付近は都電の両脇に家屋が密集していて、いい資料写真が撮れないこと、また周囲に商店街があり住宅地のイメージに合わないことなどから、東尾久三丁目の資料写真が使われたのかな、という気がします。

 ちなみに、雪室さんは路面電車がお気に入りらしく、『あずきちゃん』以外の『キテレツ大百科』や『サザエさん』(これは大阪の電車でした) でも路面電車ネタを見ることができます。 特に「鉄ちゃん」であるという情報はないのですが・・・

 都電の路線図、料金、沿線案内については、都電荒川線公式ページをご参照のこと。 また、あずきファンによる都電レポートをここここで見ることができます。(このレポートでも参考にさせていただきました。)



59話

70話

 左の画像は、59話と70話でおじいちゃんの家に行くときの最寄の停留所です。 このホームの後に立ち並ぶ四角い家と緑の屋根の家、驚くべきことに実物がありました。 ここに住んでいる人も、まさか自分の家が『あずきちゃん』に出ているとは知らないでしょう。

 アニメの画面では停留所のすぐ横に家があるように見えますが、実際には道1本の間があります。 また、70話の画像では早稲田方面の停留所が書かれていますが、こちらは実際には20mくらい離れています。


写真1: 東尾久三丁目停留所 (三ノ輪橋方面)

70話

 写真1の2軒の家の左側は右の写真のように、ちょっと離れた家並みが見えています。 この風景は左の70話の夜の場面の元になっているのではないかという感じがします。

 ちなみに70話は、あずきとだいずがおじいちゃんの家から電車通学するという話でしたね。 この画像は、あずきが通学で疲れただいずを連れて学校から帰るところです。


写真3: 東尾久三丁目停留所 (三ノ輪橋方面)

96話

 これは、ジダマがおばあちゃんを探しに、あずきのおじいちゃんの家に行く場面です。 96話の画像は、59話、70話とはかなり違っています。

 しかし、東尾久三丁目の駅のすぐ近く(写真1のすぐ右側)には、ちゃんと自然食品の店がありました。 看板はかなり違いますが、偶然で自然食品の店なんて書かないと思います。 しかし、その右側のメガネ屋さんは存在しなく、整形外科の駐車場でした。


写真2: 東尾久三丁目停留所 (三ノ輪橋方面)

59話

 写真1のかなり左側、早稲田方面停留所のすぐ前には大きいビルが建ち、その1階が「甘味処 能登屋」になっています。 (下の写真5で位置関係がわかります。) これが59話で、だいずがあんみつ、おじいちゃんが箸一本でトコロテンを食べた店に一致するというのは、あずき界では定説になっています。 まさにお話どおり、停留所前に店があるのです。 見に行った当日は、残念ながら外装工事で白い幕がかかっていました。

 はたして、この甘味処があると知ってあの話が作られたのか、偶然ここに甘味処があっただけなのか、知れば知るほど謎が謎を呼ぶアニメ『あずきちゃん』です。


写真4: 東尾久三丁目停留所 (三ノ輪橋方面)

89話

 左は89話で、同窓会に出席する父に同行してきたあずきを、おじいちゃんが迎えに来ている場面です。 右の写真は、同じホームに立って早稲田方面から来る電車を見たものです。 線路の曲がり方は似ていますが、周辺の雰囲気はかなり違いました。

 実際には低層ビルやマンションが立ち並び、かなり雑然とした東京の雰囲気です。 アニメのような住宅地は、ちょっと理想化された昭和40年代の住宅街でしょうか?


写真5: 東尾久三丁目停留所 (三ノ輪橋方面)

96話

 これは96話、おじいちゃんの家の最寄の停留所で、向かいのホームにケンとだいずを発見するシーンです。 東尾久三丁目付近には似た建物は見つかりませんでしたが、少し離れた小台停留所には、そっくりな不動産屋さんの看板がありました。 ここまで来ると偶然と言われてもしかたないかもしれませんが、停留所のひさしとの位置関係の絶妙さは偶然とはいい難いものを感じます。

 オレンジ色のビデオレンタル店は近くでは発見できませんでした。

 ちなみに、都電は上り下りの停留所が必ず少し離れていて、左の画像のように向かいのホームがある場所は実際にはないと思います。


写真6: 小台停留所 (三ノ輪橋方面)

59話

 左の画像は、電車の中から遊園地が見えるというシーンです。 この遊園地が「あらかわ遊園」であるというのはこれまた定説ですが、実際には遊園地は駅から歩いて5分くらいのところにあり、車窓からは建物に隠れて見えません

 遊園地の前まで行って同じように見える角度から写真を撮りましたが、アニメの画像は本当に何の工夫もなく(笑)、全くのそっくりそのままでした。


写真7: 荒川遊園

59話

 こちらはだいずの忘れ物探しも無事終わり、夜の遊園地に寄り道をするという場面です。 上の場面と同様、本物そっくりになっています。


写真8: 荒川遊園

59話

 左の画像は忘れ物を探しに来た都電の営業所ですが、これもそっくりそのまま実在しました。 ご苦労様なことに、電話ボックスや電柱まで本物そっくりに描いてあります。

 全景を入れるため斜めの写真になってしまいました。 アニメシーンと同じ写真を撮るには、焦点距離20mmくらいの画角が必要です。


写真9: 都電営業所 (荒川車庫前停留所)

59話

 駅の標示板ですが、これも見ての通り実物どおりです。 コメントのしようがありません・・・


写真10: 王子駅前停留所

59話

 大塚駅前停留所です。 ここはJR駅に隣接して屋根のある駅舎になっていて、ホームも2台の電車が止まれる普通より長い長さで、かつ向かい合っているという具合に、特別な造りになっています。 また、JR駅の北口と南口を結ぶ歩行者用通路にもなっていて人通りも多く、都電荒川線の停留所で一番にぎやかなところだと思います。

 標示板が人物と重なるため簡略化されていることと、時計が広告になっていること以外は、全くそのままに描かれています。 確か昔はベンチが置いてありましたが、夜間寝泊りする人が多かったためでしょうか、撤去されてしまったようです。


写真11: 大塚駅前停留所 (早稲田方面ホーム)

59話

 早稲田方面ホームの北口側です。 皮膚科の広告と言い、壁の扉と言い、もう実物を見た瞬間に笑ってしまいました。

 実は昨年一年ほど大塚に住んでいて、ここを毎日通過していました。 大塚周辺はおいしいラーメン屋さんやインド料理屋さんがあって、いいところでした。


写真12: 大塚駅前停留所 (早稲田方面ホーム)

59話

 三ノ輪橋方面ホームの南口側です。 ここでだいずがジュースを買った自動販売機がある設定になっていますが、実際には自動販売機は置かれていません。 通行人も多いので、この幅に自動販売機の設置は難しいでしょう。

 左の画像では出口の外にタクシーが止まっていますが、実際にもここはタクシー乗り場になっています。


写真13: 大塚駅前停留所 (三ノ輪橋方面ホーム)

59話

 早稲田方面ホームの南口側です。 外のビルの様子もなんとなく似た雰囲気になっています。

 ここの踏切は警報機も遮断機もないのですが、ケータイを見ながら電車の直前に突っ込む人が多く、傍から見てちょっとハラハラします。


写真14: 大塚駅前停留所 (早稲田方面ホーム)

59話

89話

 都電の進行方向にサンシャイン60が見える場所は2ヶ所あります。 1ヶ所が庚申塚から巣鴨新田の間、もう1ヶ所がこの高戸橋付近、面影橋から鬼子母神前の区間です。 手前に見えているような鉄橋があるのは高戸橋だけなので、場所がピンポイント特定できました。

 路面の起伏は確かにちょっとあるのですが、アニメではかなり強調されています。 それ以外はそっくりに描かれていると言っていいでしょう。 これも現地に行って実物を見ると感動してしまう風景です。


写真15: 高戸橋からサンシャイン60方面
(学習院下〜面影橋間)

70話

 やはり都電沿線の印象に残る風景のひとつだけあって、何回も繰り返し登場します。バンクを使わないのが偉いところです。 70話では、橋の色や線路の様子、町並みなど、やや忠実度は落ちているようです。

 鬼子母神前以南は明治通りなど大通り沿いの路線となり、他の区間とはやや雰囲気が違っています。 また、乗客の数も少ないようでした。


写真16: 高戸橋からサンシャイン60方面
(学習院下〜面影橋間)

59話

 このフラワーショップは発見することができませんでした。サンシャイン60の付近のはずなんですが。


108話

 108話、ビリーさんが大和撫子を探しに千住方面に行くこの場面ですが、さすがに東京でこのような地区はないと思います。


108話

 そして、こんな跳ねる都電は、あずきの妄想の中にしか走っていないようです。(笑)

 脚本には何て書いてあるんだろう?

撮影日: 2003/10/05


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