『あずきちゃん』アフレコ台本

最終更新日: 2007/04/08

 某所で手に入れた『あずきちゃん』のアフレコ台本。ちなみに、表紙は第1話はグレーですが、各話で色が違います。中身はわら半紙のような紙で、長持ちしそうにはありません。



アフレコ台本表紙


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 せっかくですので、実際に放送された内容と比較してみて、変わっている場所をメモしてみます。 本当はオリジナルの脚本と比較してみたいところですが、今までその存在すら目にしたことがありません。 画像は、アフレコ台本が縦書きのため、90度回転して示しています。 ちなみに、頭に付いているカットNo.(?)は作画で使われているもの(セル画やカット袋に書かれている番号)とはおそらく違い、1話300番程度に細かく分かれています。

 『あずきちゃん』の冒頭を飾る、勇之助の記念すべき第一声はこのようになるはずでした。 実際の放送では「ほんとにあずき色なの?」なので、「パンツ」と言わなかったわけです。 確かに勇之助がいくら鈍感な奴とはいえ、いきなり初対面の女の子に「パンツ」とは言わないような気がします。 ちなみに、(off)というのは、画面に出ていないけどセリフがあるという意味のようです。

 原作を見てみると、「ほんとにあずき色なの?」「えっ」「パンツ ほんとうにあずき色なの?」となってますね。

 これが第1話で最も衝撃的なところです。 勇之助の趣味は「サッカーとテレビゲーム」かと思っていたら、元は違ったんですね。

 ラジコンと言うと10年くらい前までは趣味と言えるくらい、趣味性があったと思いますが、今はラジコン自体安くなってしまったりして、ただのオモチャに成り下がってしまった感があります。 ラジコン飛行機やラジコンヘリだと趣味になるでしょうが、それなら「ラジコン飛行機」って言うでしょうしね。

 一方で「テレビゲーム」が趣味と言えるかどうかも疑問です。 確かにここは、放送を聞いてやや違和感があったところでした。

 このセリフは後々の内容に関わる重要なものですから、声優のアドリブではなく監督決定だと推測しています。

 このカット64は編集で切られてしまったのではないでしょうか。 勇之助が生徒たちの方に視線を動かして、あずきの存在に気がつくというきっかけを提示しているので、脚本としては書きたい一言だったと思います。 ただ、なければないで、スピーディーな展開を感じるのも事実ですね。 面白いです。

 ここはセリフだけ無言になっています。 このあずきのモノローグも、すでに席替えのシーンで充分見ている人に伝わっているので、あえて言う必要はないとも言えます。 また、次に続く、だいずが急にドアを開けるシーンとの対比という面からも、無言にして静→動という展開を図ったとも感じます。

 このカット188も切られています。 ここはあずき想像シーンとのつなぎの問題でしょうね。 ちなみに、(M)というのは、心の中で思うセリフ(モノローグ?)のようです。

 かおるちゃんの「かわいい…」何のぬいぐるみだったのか不明でしたが、クマでした。

 これも驚きました。 てっきりジダマの驚き声「おば、おば…」は脚本に書いてあるのかと思ってましたが、声優(松本梨香さん)のアドリブだったんですね。 ジダマのおばあちゃんっ子ネタは第3話(わたしの好きな人)が初出のはずなので、第1話にしてジダマになりきっている、このアドリブはみごとです。

 通して見てみると、第1話(から10話前後まで?)は、声優が演じているイメージを全く見ることなしに脚本や絵コンテが作られているわけで、台本と声との間に微妙な雰囲気の違いを感じます。 これがだんだん収束していく様子を、これから感じていくことができるのではないでしょうか。


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