自衛艦の艦内編成

2002/04/16作成

 宇宙船のことを考える場合、まず問題となるのはその宇宙船が建造される目的である。宇宙船そのものは多くの場合、目的達成の手段であるからだ。手段であるから方法論として効率の問題などが生まれる。
 そしてそれに伴い重要になってくるのが、宇宙船内部の組織形態だ。宇宙船が社会の産物である以上、それを無視しては宇宙船の姿は描けない。ここでは一つの参考として、自衛艦の艦内編制についてまとめてみた。この艦内編制が宇宙船にも適用される普遍の原理ではないだろう。しかし、船には目的を持って組織なり構造なりが存在することは理解できるはずである。

編成と編制

 艦内編制を考える場合、まず編制編成の意味の違いをはっきりさせねばならない。編制とは任務遂行に適応するように部隊の指揮監督関係および任務分担を系統立てること、またはこのようにして系統立てられた部隊の態様であって、部隊編成の基準として定型化されたものを言う。これにたいして編成は、部隊を集団として区分すること、または集団として区分されたものをいい、法令によって定められたものを固有編成という。海上自衛隊ではこのように定義されているらしい。
 この違いを具体的に言えば、護衛艦むらさめは僚艦と共に第一護衛隊に編成され、その内部は艦長、副長、砲雷科、船務科、航海科、飛行科、機関科、補給科、衛生科により編制されているわけである。


科と所掌業務

 艦内編制における各科は、それぞれの所掌に応じた業務がある。従って、艦艇の種類によっては艦内編制も異なる。例えば潜水艦に飛行科があるわけがなく、逆に敷設科などは敷設艦にしかないわけだ。
 また同じ呼称の科であっても艦によって所掌業務は違って来る。例えば船務科は情報や通信などを扱うが、航空機搭載艦では航空管制が加わり、潜水艦では航空管制が無い代わりに水測が加わります。このように科と所掌業務は対象となる艦船の性格によって、必ずしも同じとは限りません。

 個々の艦艇に関する艦内編制については海上自衛隊の「自衛艦の艦内編制等に関する訓令」により定められているようです。
  護衛艦 潜水艦 輸送艦 補給艦 掃海艇 掃海母艦 海洋観測艦 砕氷艦 潜水艦救難艦
船務科  ○  ○  ○  ○  ○  ○
航海科  ○  ○  ○  ○     ○
観測科                  
砲雷科  ○                     
水雷科     ○                  
運用科        ○  ○      
掃海科              ○  ○       
潜水科                   
飛行科  ○                   
機関科  ○  ○  ○  ○  ○  ○
補給科  ○  ○  ○  ○  ○  ○
衛生科  ○  ○  ○  ○     ○

各科の業務内容
 各科の具体的な業務内容は下記の通り。ただしここでの記述はヘリコプター搭載護衛艦の場合である、他の艦船の場合は先にも延べたように業務内容に若干の違いがあるかも知れない。
砲雷科
 基本的に艦の各種武器を所掌しているのがここ。砲熕兵器やミサイル等の運用の他にもサーチライトの照射なども行うという。また砲雷科というくらいですから、対潜作戦で重要な水測についても扱います。さらに艦を動かす上で不可欠な錨や索、短艇、クレーンの操作なども出入港の際の甲板作業も砲雷科だという。私はずううっと、それは船務科だろうと思ってました(^^;)
 砲雷長の下には砲術長、砲術士、水雷士という士官がいるそうです。
船務科
 情報・電測・船体消磁・通信・暗号・航空管制・電子機器整備等が基本的な業務内容。このように所掌業務が多岐に渡るので士官の数も多く、それぞれの士官が担当する業務を行う。
 船務長の下には船務士・通信士・航空管制士・電整士の士官がいる。船務士の担当は情報・電測・船体消磁。通信士の担当は名前の通り通信・暗号であるが、航海中は艦橋にあって航海長を補佐するという。航空管制士は航空管制を、電整士は艦内の電子機器の整備に関することを行う。ただし電整士の場合、ヘリコプターの電子機器は航海科の専門の整備士が行うので関係はないそうです。
航海科
 名前の通り航行・信号・見張・操舵に関することを扱うのが航海科です。護衛艦の艦橋なんかに張ってあるプレートを見ると見張りは左右両舷と後方で行っているようです。
 航海長の下には気象を担当する気象長と呼ばれる人しか士官はいないそうです。
機関科
 エンジン・補機・電気などの運用管理を担当するのはもちろんですが、ダメージコントロールもここが中心となり行います。
 機関長の下に機関士・応急長・応急士と呼ばれる士官がおりますが、ダメージコントロールを担当するのが応急長であります。応急長の職務は平時・戦闘時を通じて船体のの破損や火災などに対して応急の対処をすることで被害を限局し、艦の運動と安全を確保するところにあります。潜水作業や機械工作も応急長の所掌だそうです。
補給科
 一言でいえば旧海軍で主計科と呼ばれていた部局。俸給などの経費・物品の取扱・給食・福利厚生・庶務・文書・人事事務などを扱います。食事を作るのも補給科です。
 補給科では補給長の下に補給士がいます。
衛生科
 保健衛生・診療ならびに衛生機材の取扱を担当します。衛生長と言う人が配員されることになっているそうですが、実際には補給長などが兼務し、衛生課員が一人くらいしかいないような事もあるそうです。
飛行科
 飛行科には飛行長の下に飛行士、整備長、整備士などの士官がいます。ただ艦内編制でも飛行科はいささか特殊な存在であるようです。例えば第121航空隊は館山航空基地の部隊ですが、横須賀の第1護衛隊群のヘリコプター部隊でもあります。ですから彼らが護衛艦に飛来すると第121航空隊として飛行長の下につくことになります。ですから飛行長だけは自分の艦と飛来して来た部隊の面倒も見なければなりません。整備員は場合によってはヘリコプターとともに陸上に派遣され、整備の支援を行うこともあるそうですが、同時に艦上で大掛かりな整備を行うような場合は陸上基地からも整備員の支援などを受けることもあるそうです。


部署と分隊

 部署とは戦闘および業務の処理を行うための手続きや人員配置を定めたものを言う。旧海軍の部署は「軍艦部署標準」などにより詳細に――これだけで本一冊分あります――定められていたが、海上自衛隊の部署も同様で大きく分けて三つに大別される。つまり戦闘部署緊急部署作業部署である。
 戦闘部署はさらにその内容により幾つかに分類される。海上自衛隊の性格上、これは当然のことであろう。まず会敵が予想される場合に、臨戦準備などを行う合戦準備部署、狭い意味での戦闘部署、長期の作戦行動においてふいの敵襲にも対処できる艦内哨戒部署などが基本的なものである。これ以外にも航空戦当部署や短艇武装部署など幾つかの部署があるらしい。これら戦闘部署は指揮系統が明確にされており、各員の就く場所など編制については細かく規定されているようです。
 緊急部署もまた幾つかの部署に分類される。大きなものでは防火部署、防水部署、応急操舵部署、溺者救助部署などがある。
 作業部署は戦闘・緊急両部署に関する作業をはじめ、この他の主要な作業を円滑に行うためのものである。やはり幾つもの部署があり出入港部署や航海保安部署などが代表的なもの。
 部署という言葉が誤解を招くかもしれないので念の為に付け加えるならば、同じ人間であってもその時の部署によって決められている配置は異なる。砲雷科が主砲などを操作するのは戦闘部署のときであって、同じ人間でも作業部署のときは錨や索の操作をするのである。つまり部署とは言うものの、日常生活の言葉で表現すれば部署とは状態となるかもしれない。もちろんいくぶん乱暴なくくり方だが。
 ちなみに分隊については、
分隊とは?
 護衛艦の艦内編制は、仕事の編制である科と生活の編制である分隊とに分かれている。科と分隊は必ずしもイコールではないが、深い関係を持っている。
第一分隊
 第一分隊は砲雷科からなります。各種兵器を所掌する他、甲板作業なども第一分隊の仕事です。ソナーの取り扱いもここです。
第二分隊
 第二分隊は船務科と航海科からなります。船務科はレーダーや無線通信など扱います。ヘリコプターの航空管制士もここ。航海科は名前の通り航行に関する事を扱います。気象観測や信号、見張もここの担当。
第三分隊
 第三分隊は機関科からなります。主機や電気を扱うのはもちろんですが、非常時の応急を担当するのもこの部署です。
第四分隊
 第四分隊は補給科と衛生科からなります。補給科は経費・物品の取り扱いだけではなく、食事も担当します。衛生科は乗組員の健康管理や衛生を担当します。
第五分隊
 航空機を搭載している護衛艦では第五分隊は飛行科となります。飛行科からなります。ヘリコプターの運用・整備などを担当します。なお潜水母艦などでは潜水科が第五分隊に相当し、潜水、DSRVに分かれるそうです。たぶん第五分隊に関しては艦種により異なるものと思われます。