2004年9月9日−10日 三菱重工長崎造船所 地球深部探査船「ちきゅう」見学



 宇宙作家クラブの取材と言うことで三菱重工長崎造船所で艤装中の地球深部探査船「ちきゅう」を見学できることになり、参加してきた。前日まで台風の影響なども心配されていたが、飛行機が欠航することもなく長崎に入る。建造されているのは香焼工場で初日は長崎市内からタクシーで、翌日は埠頭からフェリーで造船所内に移動した。

 
 いささかアバウトだが、「ちきゅう」と「JOIDES Resolution」をほぼ同一縮尺で比較してみる。二隻の船の大きさの違いは、このようなものになるだろう。JRもけっこう大きな船だと思っていたのだが、「ちきゅう」と比べるとかなりコンパクトな船であったという印象を受ける。ただ乗員は船の大きさほどの違いはなく、JRは研究者50名を含めて122名ほど、対する「ちきゅう」は研究者75名を含めて150名となるという。もっとも掘削作業には特殊な技能の持ち主が要求される他、使用する機材関係のメーカーの人なども作業のために乗り込んだりするらしい。船舶の具体的な数字データは、

船名全長(m)全幅(m)深さ(m)喫水(m)船底からの高さ(m)トン数
ちきゅう2103816.29.211657500
JOIDES Resolution143219.87.56218600

 なおトン数については目安程度に考えて欲しい。必ずしも算出方法が同じとは限らないためである。

 
 船首部分と船尾部分から「ちきゅう」を観てみる。「JOIDES Resolution」などとはヘリポートなどの配置が逆になっている。「ちきゅう」は掘削作業がはじまれば定点で長期間滞在(半年が井戸を掘る標準期間らしい)することを余儀なくされる。このため食料や機材などは船舶(サプライボート)で外部から輸送する。だいたい2週間間隔で補給は行われる。船のデリックの主な用途は、この時の物資の移動であるらしい。
 また人員に関してはヘリコプターで15人ほどの単位で外部と行き来することになる。一ヶ月勤務の一ヶ月休暇というのが標準とか。一応、「ちきゅう」には医者−−はっきりしなかったがたぶん外科中心か?−−と保健師が常駐するという。ヘリコプターの行動範囲内に陸があることも、運用面の一つの考慮すべき要素らしい。



 艤装現場の見学と言うことで、見学者はヘルメット、上着、手ぬぐい、軍手などを着用する。客船の火災事故などもあったためか、安全管理には非常に気を使っていたようだ。



 地球深部探査船「ちきゅう」はライザー掘削を行う。掘削にはライザー方式とライザーレス掘削の二種類がある。簡単にいえば、ドリルによる掘削で生じる削り屑(カッティングス)の処理をどうするかの違いだ。ライザー掘削とはドリルパイプのまわりにライザー管というパイプによる二重構造を設けて、その中に比重2前後の泥水という特殊な流体を循環させカッティングスを取り除くと同時に、孔内圧力・地層圧とのギャップを緩和し掘削壁面を保持するという機能がある。
 この泥水はそれぞれのメーカーのノウハウの固まりで、組成は秘密。また土壌の状態や圧力、深度によってその調合も変わるという。従って掘削現場には泥水のメーカの人も立ち会うらしい。こういう泥の専門家をマッド(MUD)サイエンティストと呼ぶという。ちなみに泥水と書いてはいるが、サプライボートにより運ばれるときは粉末状で運ばれるという。
 この泥水は掘削壁面の保持とカッティングスの排除だけが目的なら別に循環させる必要はないらしい。しかし、海底に無頓着に放出していれば泥水のコストも馬鹿にならないし、環境汚染の問題もある。このため泥水は循環させられる。


   
 船上からデリックの詳細な全景など入りきらないので、分割して。左の写真はデリックの上部。このデリックの頂部には固定滑車(クラウン・ブロック)があり、そこから移動滑車(トラベリング・ロック)が吊り下げられている。右の写真の黄色い滑車がそれ。移動滑車の数は観てわかるように8枚。つまりケーブルへかかる荷重(フックロード)は1/16となる。この移動滑車で吊り下げ可能な荷重は約1200トン(11768kN)であるという。
 右の写真では移動滑車の下に何か吊り下げられているが、これがドリルストリングスに回転を与えるモーター、パワースイベルである。このドリルストリングスは、パワースイベル・移動滑車・動滑車を介してワイヤーで吊されると言う構造になっている。
 なお右と左の写真は撮影した日にちが異なるので、移動滑車の位置が異なる。左の写真では、中央やや上に見える黄色い装置が移動滑車とパワースイベルである。右の写真ではそれが下の方に移動している。

 
 さて、デリックの基部からのびている黄色い2本の構造物。なにやら腕のような物も見えているが、これは一種のロボットハンドであるパイプ・ラッキング・システム(商品名はハイドラ・ラッカー)である。デリックの内部には1本のドリルパイプを4本つなげたものが何十本と並んでいる。これらをハンドリングするのが、この装置の役割。このドリルパイプは1本で9mあるから、4本で36mとなる。
 この装置はノルウェーの企業のもので、理屈の上では人間の手を介さないで完全自動でパイプ交換・結合などが行えるという。ただこの全自動という部分に関しては日本側は懐疑的な部分もあるらしい。装置の問題ではなく、これは完全に文化の問題だろう。なお左側の写真中央下に金網とガラスで囲まれた温室のような一画が見えるが、これが制御装置のある区画であるそうだ。


 
 左側の写真の矩形のプールのような物は、見たままプールである。つまり「ちきゅう」の形状はトポロジー的に言えばドーナツ型。このプールからドリルパイプなどを降ろすのだが、名前をムーンプールという。これも石油掘削時代からの符丁らしく、ムーンプールと呼ぶのは、このプールに月が写るからとも言われる。しかし、じつは「JOIDES Resolution」にもムーンプールはあって、そちらは円形。そしてムーンプールと呼ぶ理由は、月のように丸いからとのことだった。どちらが本来の語源なのだろう。
 左の写真ではムーンパイプの上で何か黄色い物が何本かぶら下がっているのがわかる。右の写真がその部分の拡大。後述するダイバーターはドリルフロアの裏にあり、その下にライザー管がぶら下がる格好となる。そのライザー管を支えるというか、吊り下げるシリンダー(ライザーテンショナー)がこれである。ライザーテンショナーは6本あり、名前の通りトルクなどに対するバッファーとして機能しているらしい。



 実際の海底掘削ではもう少し仕掛けがいる。海底下を数百メートルほど掘り進んだ段階で、掘削孔が崩れ無いようにケーシングパイプで保持を行い、海底面にウエルヘッドを置き、その上に暴噴防止装置としてBOP(Blow Out Preventer)を置く。海底掘削の場合、ライザー掘削をはじめてからガス層につき当たるとガスの上昇による影響で、デリックやパイプに甚大な被害を被ることがある。通常は戻ってくる泥水のモニターなどを行い泥水の比重を調整するなど然るべき対応をする。それでもガス・泥水の急上昇(ブローアウト)があった場合には、ドリルフロアー下にあるダイバーターという弁でガスを船外に放出するほか、BOPでドリルパイプを切断し、ガスの上昇を遮断する。泥水の比重と上昇速度により生じる反動は、最悪の場合には船に甚大な被害を与えるから、こうした機構はどうしても必要になる。写真がそのBOPで、これだけで重量380トンある。

 
 地球深部探査船「ちきゅう」が掘削作業を行うのは、一言でいって地中のサンプルを回収するためだ。このためヘリコプターデッキとデリック間には船上構造物としてコア研究ラボラトリーが設けられている。それらは全体で四層からなる。最上階のラボルーフデッキはドリルフロアーと同じ階層にある。左側がドリルフロアーのキャットウォークであり、そこから右側のコア切断エリアに移動する。キャットウォークというほど狭い場所ではないのだが、石油掘削の符丁としてそう呼ばれるのであるという。
 全長9メートルの棒状のサンプルはここで1.5m単位で切断され、バーコードで管理される。この両サイドにはコアを保存するための20ft冷蔵コンテナがある。
 切断と一言でいうが対象がサンプルということで、これはそう簡単な問題ではないという。浅い所のサンプルはたいていは泥なので、ピアノ線でも切断できる。しかし、深い所の岩状のサンプルはダイヤモンドカッターか何かで切断することになる。ただ切断という行為によってサンプルが変性する可能性があり、決定打はないらしい。レーザー切断という意見さえあるという。

 
 ラボルーフデッキに運ばれたサンプルが実際に分析されるのは、その下にある三層目のコアプロセスデッキとその下にある二層目のラボストリートデッキである。この二枚の写真はコアプロセスデッキの分析機器の一部。左がX線CTスキャナ、右はラボ全体の様子と蛍光X線地核コアロガー。奥の方にある青いビニールで包まれているのがそれ。
 X線CTスキャナは非破壊検査を行うための物。これは古磁気ラボや蛍光X線コアロガーも同様。CTスキャナは病院の物とよく似ているが、ハードウエア的には同じ物で、コアサンプル用にソフトウエアを書き換えてあるらしい。だからソフトを変えれば人間にも使える。

 そういえば思い出したこと。まだ俺が医療従事者だった頃に、某ME器機メーカーのプロパーがCTスキャンを売り込みに来ていたことがあった。プロパー氏曰く、

 「これですね、じつはマニュアルには書いてませんが、ここをこういう風にいてコマンドを入れると、このトラックボールを使ってホッケーゲームができるようになっているんですよ。ソフトによってはTVテニスもできます」

 という話をしていたのだが、それがかれこれ十数年前の話。いまどきのCTスキャンのコンピュータの実力なら、コアの分析を可能とするくらいの汎用性があってもおかしくないだろう。
 なおラボストリートデッキも見学しましたが、まだ機械類の搬入がほとんど行われていない空き部屋でした。部屋の雰囲気はコアプロセスデッキとそれほど変わらない。


 
  同じく三層目のコアプロセスデッキ。写真は嫌気性グローブボックス。採取された微生物の培養分離過程に持ち込めるように、必要な機材が揃っている。滅菌処理用のオートクレーブ、培地などへの培養過程に用いるクリーンベンチ、培地に移した微生物を培養するためのインキュベーターなど。必要な作業がすべてできるようになっている。右の写真も同じフロアの別の場所だが、こちらにもPCや顕微鏡などが置かれるようだ。
 このフロアには窒素や二酸化炭素、アルゴンなどのガスを導く導管も設置されていた。それぞれの導管は色分けされており、色で区別できるようになっていた。これも嫌気性培養のための装備らしい。

 
 ここで比較のために「JOIDES Resolution」のラボの様子も見てみよう。写真は99年に横須賀に寄港したときの一般公開の時に撮影したもの。地質的分析や、化学、生物学などについての分析が行われる場所がここ。この時にはそれほど感じなかったが、「ちきゅう」と比べると、ラボの床面積の狭さを痛感する。通路も大人がすれ違うのに気を使うほどの幅しかなかった。端末であるパソコンの密集ぶりでも狭さがわかるのではなかろうか。容積があると言うことは、研究施設としての「ちきゅう」のラボ部分が研究者にとって恵まれた環境にあると言うことだろう。容積に余裕が在れば、スタッフを拡充したり、機材の増設も可能だ。この部分が充実していなければ、深部掘削を行う意味も半減しよう。


 「ちきゅう」のコンピュータルーム。これも「JOIDES Resolution」のコンピュータルームより一回り広い。JRもそうであったが、船内のPCはLANで結ばれている。このため幾つかの会議室を結んでTV会議のようなことも可能であるらしい。また別途サーバーも置かれているようだ。
 さて、昨今のこうしたLANではセキュリティの問題を忘れるわけにはいかない。特にウイルスなどの感染の問題は「ちきゅう」においても無視できない。このため−−竣工後の実際の運用ではどうなるか未知数の部分もあるが−−基本的に私物のノートPCなどは持ち込ませず、船内の備品であるノートPCを個々の研究者に貸与することが検討されているという。これにより外部からウイルスに感染したPCがLANに接続されるのを防ごうというわけだ。
 ただこうした貸与PCによる運用にも問題があるという。一つは「ちきゅう」は洋上の研究施設である。研究施設では研究者が自分のPCでデータ解析などの専用ソフトの開発を行うと言うことが珍しくない。そうして開発したソフトをどうするのかという問題がある。ソースだけ持ち込んで、貸与PCでコンパイルすればいいのかもしれないが、開発環境の移行はなかなか簡単にはいかないだろう。
 もう一つの問題は、「ちきゅう」もまた衛星などを介してインターネット接続が可能であるため、PCを貸与したとしても、外部からの汚染を完璧に防止はできないことである。このため「ちきゅう」には専任のシステム管理者が乗り込むらしい。またインターネット回線を意図的に細くすることも検討されているそうだ。これは単純にセキュリティの問題だけでなく、通信コストのかねあいもある。

 
 食堂はカフェテリア方式となっている。一度に75名というから乗員の半数を収容できる大きさがある。ただ食堂が最大の部屋と言うことは、乗組員全員を収容できる部屋はないと言うことでもある。全体集会みたいことを行うには、イスとテーブルを移動させるか何かする必要があるだろう。つまり船の運用としては、そういう集会が必要となるような状況は想定していないと思われる。
 食堂がカフェテリア方式なのは、国際協力で運用するためだ。宗教上の理由で食べられない食材−−豚肉とか牛肉、あるいは肉そのものなど−−があるわけで、それに合わせていては食事のメニューに大きな制約が課せられる。だからカフェテリア方式で、自分が食べられるものを選ばせると言う方式がとられるわけだ。これでメニューが単調になる問題も避けられる。
 ちなみに「ちきゅう」に食堂はここしかない。軍艦などでは、士官食堂や下士官食堂、兵員食堂などというように階級や職により食堂が分けられる。しかし、この船ではそのようなことはなく、平の研究員も船長も中間管理職もこの食堂で食事をする。ただ船長などの指定席が自然に生まれることはあるだろうとのこと。
 他の艦船を見学すると、食堂などは、イスやテーブルに動揺防止の工夫がされている。基本的にテーブルは床に固定されており、イスはそのテーブルを中心に可動式になっているか、そうでなくてもテーブルに固定できるようになっていることが多い。が、この「ちきゅう」の食堂は、普通のイスとテーブルだ。掘削作業を安定して行う船であるため、他の船ほど動揺を考えなくても良いと言うことだろう。
 ちなみに艤装中であるため、船内のイスやテーブル、床などにはビニールシートがかぶせられている。艤装中の船というのは、こういう状態で工事が進められるのですね。


 
 厨房とアイスクリーム製造器。掘削作業がはじまると船は24時間二交代で稼働する。休憩時間もあるものの、基本的には12時間勤務。この辺は船舶の直とは異なるようだ。食事はこうしたことから1日4回、6時間間隔で製造される。食事に関しては1日3食なのだが、あまりうるさいことは言われないらしく、4食とることもできるらしい。確実に太るだろうが。
 また宗教的な問題から食事に制限が課せられる人もいるため、厨房で働く人々は料理人としてかなりの腕を要求されると言う。まぁ、こういう船では料理の質が現場の志気を左右するという話は確かに耳にする。前に原子力潜水艦の船医だったという人から聞いたのだが、数ヶ月間一度も浮上しない艦内では、料理だけが楽しみで、それだけに艦内の食事はかなり豪華なものであったそうだ。それと同様の問題だろう。
 右側のアイスクリーム製造器だが、実を言うとこういう機械は微生物の繁殖の問題などもあり、メンテナンスはけっこう手間がかかるのだという。それでもこれを持ち込むのはアメリカ人などアイスクリームがないと暴れるような人々がいるためらしい。国際協力では、そういうことも考えなければならないのだろう。まぁ、確かにアメリカ人は戦争中でも潜水艦にアイスクリーム製造器載せていたからなぁ。


 たぶん船長というかキャプテンの椅子。床のレールにより自由に移動できるようになっているらしい。



 ブリッジの全景。最近流行のグラスブリッジという奴。船を操るというより、システムを適切に制御するというのが実状に近いのだろう。いわゆる舵輪さえもない。ハンドルはあるけどね。

 
 ブリッジのコンソールの一つ。エンジンなどの制御用と思われる。


 日本の船なら南極観測船にもイージス艦にもある神棚。「ちきゅう」にもありました。祀ってあるのは金比羅さん。日本人が建造すると恒星間宇宙船にも祀るのか、金比羅さん?


 通信室。最近は技術が進歩しているので、巨大な通信装置などと言う物はない。ラックの隅にたたずむ程度の大きさで間に合ってしまう。無線の受け手は、昼の当直はラジオ・オフィサー/パーサー。夜の当直はサード・オフィサー(サードッサー)。普通の石油リグにはパーサーという職名はなく、ラジオ・オフィサーがいるだけ。「ちきゅう」上ではパーサーがラジオ・オフィサーを兼務しているのだという。


 地球深部探査船「ちきゅう」はDPS(自動船位保持装置:Dynamic Positioning System)によりほぼ定点に留まることを可能とする。このため船首と船尾の下に6個のアジマススラスタが−−これとは別に船首トンネルスラスタもあるが−−置かれている。スクリューと一体となったアジマススラスタは360度回転し、船の外力による移動をキャンセルするように推進ベクトルを与えることが可能となる。このため「ちきゅう」には舵と言う物が存在しない。DPSによりだいたい15m程度しか定点からずれないらしい。深い海ならパイプの長さの5%まで大丈夫という話もある。ただ浅い海でのポジショニングは長いパイプをのばすという構造上難しく、「ちきゅう」は深度500m以上の海で運用されることとなる。
 スラスターシステムはディーゼルエンジンにより発電機を稼働し、その電力によりモーターを駆動するという構造になっている。いわゆる電気推進によるポッド方式。この方式が設計上有利なのは、通常の船舶のようにプロペラシャフトのことを考えなくて良いことだ。シャフトが存在するために推進装置のレイアウトはかなり限られることになる。対してポッド式ではポッドと発電機構のレイアウトを自由にできる。極端な話、発電器を甲板の上に持ってくることさえ可能だ。まぁ、そういうレイアウトの話はあまり聞いたことはありませんが。ともかく船体中央に開口部とデリックを設けなければならない「ちきゅう」のような船にとって、レイアウトの自由度が大きいことは重要な意味を持つ。
 アジマススラスターとディーゼルエンジンの数は共に6基。ただし1つのエンジンが1つのアジマススラスターに対応しているわけではなく、全体で発電された電力は1つとなって、それが必要に応じてそれぞれのスラスターに供給される構造になっている。

 ちなみにディーゼルエンジンは三井のADD型エンジン7170馬力が6基、これと連結される主発電器は5000kwの物が同じく6基である。発電器には他にも予備の2500kwの物が2基用意されている。アジマススラスターは出力4200kwでユニット1基の重量は160トン、うち20トンがモーターの重量であるという。


 救助艇。これは船首付近のものだが、船尾には艇長がもっと短い救助艇が置かれている。救助艇の上を走るパイプは手すりではなく、非常時にはここから水を流すことで、艇の表面を冷却する。火災などを想定したものだ。


 これはヘリコプター用の燃料タンク。安全のためヘリコプターデッキからはやや離れた場所に置かれている。


 レクリエーション室の一画には茶室が造られていた。小さな庭にはシシオドシまで設えてある。設えるからには、茶の心得のある人がスタッフにいるんでしょうね。


 風呂場はジャグジーになっている。ただ中心となるのはやはりシャワーのようだ。ちなみにラボの廊下にもシャワーが設えてあるが、こちらは有害物質などに触れた場合の洗浄用。このためラボのそれは、単なるシャワーではなく、目を洗浄する装置も併設されていた。同様のものは他の観測船などでも観ることができる。そういう意味では一般的な装備だろう。


 CAPTAINS OFFICE、いわゆる船長室。これは執務室であり、私室は別にある。対外的な応接室という所か。ちなみに船員のトップはマニュアルではマスターとなっているそうだ。ただ現場ではやはりキャプテンと呼ばれるだろうとのこと。
 現場を説明してくださった西村氏の情報によると、
「石油リグではOIM(オペレーション・インステレーション・マネージャー)と呼ぶ。「ちきゅう」では掘削作業員も船員と扱われる。これまでのジャッキアップ・リグでは船員ではなく「その他の定員」扱いだった。掘削部門の最高責任者はドリリングスーパー(Drilling Superintendent。ただし「ちきゅう」ではドリリング・デパートメント・リーダーと呼ぶが)。掘削チーム(昼夜2組)のヘッドはツールプッシャー。
  船主であるJAMSTEC側の科学掘削運用の最高責任者はOSI(オペレーション・スーパー・インテンデント)。サイト調査、坑井計画(Well Plan:ケーシング計画、泥水計画、ビット計画など)を作る。したがってブローアウトなど地層に関することはよく知っている。船員組織には入らない。」とのこと。