ムーンライト信州

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 仕事を終え、ムーンライト信州に乗る予定。ところが、天気はあいにくの大雨。ズボンも濡れた。悪いことに、靴に浸水し、靴下までびしょびしょに濡れてしまった。この状態で夜行電車で一晩過ごせば風邪を引いてしまう。まさか、靴を購入する訳にもいかない。今回の旅行はいさぎよく断念。あきらめも肝心である。
 新宿駅。いつも帰宅するホーム。本来なら夜行に乗る前に銭湯に入る予定だったので、替えの下着を用意してある。ふと思いつき、靴下を履き替える。靴が多少濡れていても靴下を代えれば少しは持ちこたえられる。幸い、私は夜行に乗る場合はニットスリッパを履くことにしており、持参している。コンビニで靴下を購入しさえすれば、旅行は可能ではないか!?と気づき、やはり出かけることにする。
 例によって南新宿の銭湯へ。古くさい昔ながらの銭湯。まさか自分がここの常連になるとは想像していなかった。とは言っても3回ほど来ただけであるが。
 コンビニで靴下を購入し、ムーンライト信州が発車する新宿駅5番線へ。ところが、この5番線、いくら歩いても辿り着かない。新宿駅は改装工事中のため、通路が狭い。5番線は仮移設させているようで、他のホームから非常に遠いところにある。埼京線のホームに近い場所のようだ。ギリギリで駆け込み乗車しようとしても乗り遅れてしまいそうだ。
 ホームは山に行く装備の人ばかり。みな大きなリュックサックを背負っている。私は場違いの様な気がしながらも、乗り込む。個人客はおらず、みんなグループのようだったが、山の人だからマナーが良いのか、それとも寝ておかないと翌朝つらくなるからか、車内はいたってしずかだった。
 いつの間にか眠っていた。車内アナウンスで目が覚める。松本駅の手前だった。
「急行ちくま号をご利用の方はお乗り換えです。」とのこと。
 急行ちくま号は大阪-長野。快速ムーンライト信州は新宿-信濃大町・白馬。この2つの列車は、松本で一緒になり、乗換ができる。すると、大阪-信濃大町・白馬とか、新宿-長野という経路を取れる。朝の四時台だが、乗り換え客は多い。
 また、こういうアナウンスもあった。
 「急行ちくま号からの乗換のお客さまが乗ってこられます。ご自身の指定席にお座りいただきますようお願いします」空いた席に勝手に移動している客もおり、ちくま号から乗り換えてきた客が座れないと困るので、このように言うのだ。
 またうとうとしているうちに終点の白馬。

0538白馬に着くと、下車するのは山に行く老若男女。カラフルなリュックや服装。自分は浮いている。駅前に出ると、登山前の登録(?)をしている人々がいる。山の装備を売る店もある。喫茶店もやっている。早朝の白馬は活気づいていた。
 場違いな自分は早くここを去ろうと(?)0601発の南小谷行きに乗る。0624南小谷着。この駅はJR東日本と西日本の境目の駅。南小谷以南は電化されているが、以北は非電化。ここで1時間半も待つ。
 しかし、寒い!いま、7月で夏の真っ盛り。薄手の長袖シャツを着ており、これで十分だと思っていたが、まだ寒い。さすが山の中だけある。夜行電車の布団代わりに持ってきたバスタオルを膝にかける。待合室の戸を閉め切り、自販機のホットのお茶を飲んでいると、ようやく生き返る。駅の外は川が流れ、橋があり、いい景色。
 さて、次の糸魚川行きが入ってきた。壮絶な席取りバトルに勝ち、右側窓側に座る。0755南小谷発の糸魚川行き。正面の席には同じ趣味の人が乗っている。時刻表を眺めている。旅行の仕方も人それぞれで、私は旅行に行く前は時刻表をさんざん読んで悩みまくるが、いったん旅行に出てしまうと、もう悩まない。私の場合、現地で考え込んでも、妙案は浮かんでこないからだ。0850糸魚川着。ここで2時間強の待ち時間が発生。
 ここで朝食。駅前の古びた喫茶店へ。客は5,6人いた。が、驚いたことに、テーブルがテレビゲームなのだ。昔、よくあったが、今でもこんなのが残っているとは。。。もちろん、ゲームの機能は既になく(ただ単に電源を入れていないだけかもしれないが)テーブル代わりである。椅子の位置に比して、高さが低いので食べづらい。この喫茶店で、仙台地区の大地震のニュースを見た。
 さて、まだまだ時間はある。駅前の道を海に向かって歩く。日本海が見えた。小さな展望台がある。階段を上がり、日本海を堪能。幸い天気も良く、温かくなってきた。まだ時間があるので本屋で立ち読みし、青春18きっぷパーフェクトガイドという本を購入した。
 1101の北陸本線直江津行きに乗る。この電車は、いつかxeet氏がレポートしてくださった、元特急用車両が変わり果てた姿。交直両用車の性能を買われ、無理矢理普通電車に改造されて活躍して(生きながらえて)いる。直江津までの眺めは、日本海が間近に見えるので、とてもきれい。1137直江津着。
 直江津では駅弁を購入。1154発の信越本線長野行き。正面に座ったのは若い女性だが、どうやら同じ趣味のようだ。ひとりで駅弁を食べている。私も負けじと先ほど買った駅弁を食べる。まずい。なぜこんなまずいものが1100円もするのだ。
 ひたすら信越本線を南下。急に後退。あれっどうした?と思うと、二本木という駅に着く。今や少なくなったスイッチバック駅だったのだ。てっきり地主が「うちの前に駅を作れ」と主張してこういう構造になったのかと思ったが、あとで調べると急勾配の地形で、駅を水平に作るためなのだそうだ。1325長野着。

長野に着く前に車内放送。「この電車はそのまま小諸行きになります」ラッキー。乗換の手間、かつ、座席を取る手間も省ける。発車までは25分ほどある。そういえば、コーヒーを飲みたくなってきた。窓際の席にカバンを置き、駅の外に出る。
 おお!長野駅ってでかいんだな。朝から糸魚川、直江津と見てきたが、この長野はやはり大きな町だ。喫茶店があり、デパートがあり、駅前広場があり、サラ金がありと、「大きな駅」の条件を満たしている。コーヒーを買って車内に戻ると、なんと満員、立っている人もいる。私のカバンを恨めしそうに、「ここは誰かいるのか?」という視線で見る立ち客の間をすり抜け、着席。少し気まずい。
 1351長野発。篠ノ井から「しなの鉄道」に入る。長野新幹線開業で、信越本線が第3セクター化されてしまった路線。車、バスに負けるなと、外部から社長を招き、接客向上に取り組んでいるらしい。車掌から乗車券1240円を買う。JRのままなら青春18きっぷで乗れたのに、第3セクターになったせいで痛い出費だ。
 しなの鉄道に変わっても、発車ベルはJRのと同じ。この音楽の発車ベル、旅先で聞くと興ざめという意見もある。通勤時にいつも聴く曲を、旅先でまで聞きたくないという。でも私は、むしろ遠く離れてもちゃんとレールはつながっている証のような気がして、あまり悪い気はしない。
 1518軽井沢着。駅舎移転後は初訪問。8年前に来たときの記憶を辿る。確か、この辺で機関車の取り外し作業をしていたはずだ。。。横川行きのバスの発車まで40分ほどある。小腹が空いたので、立ちソバを食べる。旧駅舎を展示してあるときいているが、どこだろう?
 ふと、これから乗るバスの乗り場を見る。なんと、行列している。バスは観光バスタイプ。立ち席はないだろう。ぐずぐずしていると、乗れないかもしれない。旧駅舎探索は断念し、横川バスに乗り込む。500円を払う。なぜか、「運賃の支払いは、軽井沢駅でのみ行う」という案内文がある。横川行きの時は前払い。軽井沢行きの時は後払いとなるのだそうだ。それについて運転士が客に尋ねられていたが、「さあ、私には詳しくは分かりませんが。。。長野県でだけお金を取って、群馬では取らないとか、なんかあるんじゃないですかね」と答えていた。
 私の後にも次々と客が乗り、補助席まで出して、あと1人しか乗れないというところまでなって発車した。
 このバスが景色がよくてお勧めと紹介しているサイトもあるそうだが、よく揺れて気持ち悪くなり、もう乗りたくないという印象しか残らなかった。
 16時半頃、横川着。鉄道ミュージアムがあるが、閉館時間が近いので入場不能。たしか、昔はここはガラス工場だったはずだが。。。
 レールの後があるが、もう列車は通らない。無惨にも信越本線は分断された。もと線路のあった場所が駐車場になっている。広々とした駐車場にレールの跡がある。もの悲しい。1654横川発高崎行き普通電車、2両編成のロングシート。眠って過ごす。
 1725高崎に着く。イコイコ氏、ななごん氏と会う約束を取り付けてある。いこいこ氏が群馬在住で、この日の高崎でのアポが取れたので、今回はこのルートを取ったのだ。携帯電話を購入したななごん氏と会う。彼は広島の可部線に乗りに行き、今朝ムーンライトながらで帰ってきたはずである。そのまま高崎まで出てくるとはタフな人である。。。
 いこいこ氏とは三年ぶり。あまり時間が取れなかったがイコイコ氏に案内してもらったスパゲティー屋に行ったのであった。

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