のと鉄道

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1/7(金)
 本来は、急行能登や寝台特急北陸で行きたかったのだが、新潟中越地震の影響で両列車とも運休のため、上越新幹線とき+北越急行経由の特急はくたかで行くことにした。使うのは北陸フリーきっぷグリーン車用24000円である。
 7:12MAXたにがわ305号で越後湯沢へ。グリーン車ということで期待したが、確かに席は広々としているが、「こまち」のようなドリンクサービスもなく、プラスアルファの料金を払う価値があるかは微妙なところと感じた。リクライニングも昼行列車なのでさほど深くなく、かつての165系電車時代の快速ムーンライトえちごや、急行はまなすのドリームカーなどに比べると見劣りする。ムーンライトえちごは走行音が異常なほどうるさかったので、良いことばかりではなかったが。
 越後湯沢は8:24着。ここ数年、妙に越後湯沢には縁がある。8:32北越急行ほくほく線の特急はくたか2号に乗る。はくたかのグリーン車は三列シート。2列シートと1列シートの間に通路がある。一人客は1列シートを割り当てられ。隣に見知らぬ客が来ないで済む。
 おしぼりのサービスがあった。検札が来る。直江津まではJR東日本、直江津からはJR西日本の乗務員が乗る。北越急行の社員が運転するのは各駅停車のみである。
 ほとんど眠ったまま、11:00金沢着。今回の目的の1つ、北陸鉄道浅野川線に乗る。北鉄金沢駅は地図で見ると金沢のすぐそばなのだが、場所が分からず人に聞いてしまった。地下駅だった。車両は、なんと井の頭線の車両。11:32金沢発、終点内灘着は11:49。住宅街の中を、家の壁すれすれに走る様は京王時代と似ている。折り返し11:56発の北鉄金沢行きとなるが、なんと急行電車である。ローカル私鉄の急行というのも面白い。終点の北鉄金沢着は12:10。
 昼食にカツカレーとコーヒーのセットを食べ、いよいよ能登半島へ。大阪からの特急サンダーバード15号に乗る。この列車、けっこう乗車率が良いので、座れるか不安だった。座れなければ後続の普通電車に乗るつもりだったが、座ることができた。14:05七尾で降りた。雨が降っていたが、徒歩10分の能登食祭市場に行く。海が見えて気持ちがよいところなのだろうが、大雨のため早々に退散した。
 七尾発15:15の蛸島行きに乗る。津幡-七尾はJR七尾線、七尾-穴水はのと鉄道七尾線、穴水-蛸島はのと鉄道能登線である。3月で廃止になるのはこの能登線(穴水以北)である。なぜ同じのと鉄道なのに穴水で路線名が変わるのか不思議だったが、昔は穴水から輪島までも線路が延びており、輪島までが七尾線だったのである。穴水-輪島は既に廃止されている。
 列車に乗り込むやいなや、見るからに鉄道マニアという男から「あのー、鉄道マニアの方ですか?」と話しかけられた。とっさに「いや、別に・・・」というと離れていった。危ない危ない、下手に「はい」などと言おう物ならそばに座ってずーっと蘊蓄をしゃべっていそうなタイプだった。
 邪魔者を追い払い(?)、雪景色を見ながら乗車。九十九湾小木着は17:05。 
 これから行く能登漁火ユースホステルは03年11月にも行ったのだが、今回はもう周りが暗くて以前の時とは様子が違い、多少迷ってしまった。駅から徒歩20分とかなり遠い上、暗く雪もありむちゃくちゃに寒く、歩いて不安になったが、無事にたどり着けた。
 今回はtt氏と一緒に泊まるのだが、tt氏は私とは別ルートで、快速ムーンライトながらで米原から北陸本線で来る。寄り道するため私よりも到着が遅い。ユースホステルとはふつうは相部屋にするものだと思っていたが、今回は私とtt氏で一部屋占有できるらしい。tt氏がまだ来ないので、私一人で部屋を独占する。
 ペアレント氏に風呂にはいるように言われて入る。しぬほどお湯が熱く、水でうめた。風呂を上がり、18:30頃夕食となった。こことペアレントさんが漁師で、捕ってきた魚が食卓にあがる。新鮮な魚がおいしいのである。2回もお代わりしてしまった。食べ終わった頃、遅れてきたttさんが登場。ペアレントさんが、「にいちゃん飯は食ったのか?」と聞き、食べていないと分かると余り物を差し入れてくれた。(たまたま今回だけで、いつもこのようなサービスがあるわけではないはずなので、誤解なきように願います。一応お約束の注意書きでした)談話室で12時頃までおしゃべり。ここのヘルパーさんがまた気さくな方で、旅人の相手をしてくれている。ビールなど飲みながら話していたがさすがに12時には疲れて、みな自室に戻り寝ることになった。
 1/8(土)
朝食を食べる。発車まで時間があるので、郵便局でtt氏がお金をおろす。スーパーを見物。ここの魚も取れたて新鮮でおいしいそうだ。九十九湾小木駅でのと1日のんびりきっぷ1700円という乗り放題の券を買う。元が取れるのか分からないが、記念に買った。9:54九十九湾小木発の蛸島行き。一両なので混んでいる。恋路着10:06。駅ノートにはラブラブカップルのあつあつ書込や、失恋した人の「次は恋人と来るぞ!」といった書込など、おもしろい。「01年はa子、02年はb子、03年はc子、04年はd子と来た。05年は誰と???」なんて書いている男もいた。「aくんと、去年も今年も来た。来年は結婚だね。ふたりで幸せになろうね!」なんて書込もあった。ここだからこそ書ける、ここでしか書けないノートである。のと鉄道がなくなると、来る人はいるのだろうか。。。ノートに何を書いても良いが、駅舎に落書きも見受けられる。
 海岸を降りる。以前読んだ西村京太郎の「のと恋路号殺人事件」を思い出す。喫茶店や像、鐘、宿など観光地らしいが、人っ子1人いない。時々車が通るだけ。いずれにしても、私とttさんは男二人組で来るところではなさそうだ。10:37の七尾行きで引き返す。これは、なんとロングシート編成。せっかくの良い車窓が台無しだ。。。10:53縄文真脇着。ここで温泉に入る。以前来たときに、同行したホステラーに車で連れてきた貰ったところだ。色々な露天風呂があって面白い。ここで昼食も済ませた。雪が降り始め、雪の中を駅まで歩いた。12:32縄文真脇発の蛸島行き。終点の蛸島まで乗る。蛸島着は13:12。おととし来たときは何もない駅だったが、廃止前の所為か、少し賑わっていた。てっちゃんが写真を撮ったりしていた。昔はなかった売店ができたいた。掲示によると、市民団体がボランティアでやっているとのこと。晴れていたので、徒歩25分の珠洲ビーチホテルまで歩く。珠洲焼という焼き物があり、それの資料館と販売店を見学。記念に湯飲みを1つ買った。ホテルの喫茶店でケーキセットを食べる。海が見えてとても良い喫茶店。店員のおばさんが妙に低姿勢だ。
 ここでttさんと分かれ、私は一人で珠洲の湯という温泉に入った。ここは温泉というよりは健康ランドという感じ。1100円でタオルも付き、てぶらで入れる。できれば半日くらいゆっくりしたいが、40分くらいで済ませて出る。ttさんと合流し、蛸島駅に戻る。16:26蛸島発七尾行きに乗る。珠洲では、なんと車庫の中にのと恋路号の車両を発見!今は走っていないので廃車になったのかと思ってたが、こんな所にあったのか。もう登板することはないのだろうか。こんなところに置いて置くくらいなら、急行つやまに使わせてあげて欲しい、なんちゃって。
17:05九十九湾小木着。おいしい夕食を食べる。
 イカの刺身が出たが、他のホステラーさんが曽々木海岸で発見した物らしい。この方は写真が趣味で、カメラを持っていたところ、イカがうちあげられているを見つけ、拾い上げてビニール袋に入れて、雪をかき集めて入れて冷やしてユースホステルに持って帰ってきたとのこと。歯ごたえがあり甘くておいしいイカだ。ご馳走様でした。
 談話室で話すと面白い話を聞いた。ここのユースホステルの風呂の水は地下水をボイラーで温めているそうだが、切り傷がすぐに治ってしまうそうである。温度が足りないので「温泉」とは名乗れない。成分を調べれば「鉱泉」は名乗れるかも知れないが、あえてそこまではしていないとのこと。最近ふしぎな水の話題に触れることが多いなあ。
1/9(日)
ttさんは私が寝ているうちに出ていった。乗りつぶしのために朝食を食べずに出発。私も朝食を食べると早々に宿を出て、8:49九十九湾小木発の七尾行きに乗る。七尾は10:57着。すぐに七尾発11:15の金沢行き普通電車に乗る。途中、自意識の固まりのような高校生集団が乗ってきて、携帯電話で音楽を鑑賞(?)し始めたので、ちらっと見てから違う車両に写る。(こういうのを人によっては「ガンを付けた」と因縁付けてくるんだろうな・・・)金沢着は12:53。
 昼食の豚カツを食べ、隣の西金沢へ行くのだが、ここで誤算。14:03金沢発の福井行き各駅停車に乗る予定が、特急サンダーバードが遅れている関係で、発車が遅れた。特急が行ってからの発車ということで、20分ほど遅れてしまった。しまった、昼飯をゆっくり食べ過ぎた。もっと早いのにするべきだった。北陸鉄道石川線に乗りたいのに。。。西金沢では、なんとか予定通りの14:28新西金沢発の野町行きに乗れた。終点野町着は14:33。乗ってきた折り返し電車は途中の鶴来止まりの準急となる。おもしろいのは、この石川線は準急しかなく、昨日乗った浅野川線は急行だけがあるのだ。確かに、通過のし具合は浅野川線の方が多いので、こちらを急行とするのは分かるが、石川線も優等列車はこれだけなのだから、急行を名乗っても良いと思うのだが。なかなか奥ゆかしい。急行がないのに「特急」を名乗りたがる鉄道会社が多い中、少し気に入った。
 伊豆急行や北越急行みたいに、直通先の名称のために特急を名乗るのは良いのだが、富士急行や山陽電鉄みたいなことを言っているのである。
 15:06野町発の各駅停車加賀一の宮行きに乗る。ふつう、優等列車は長距離を走り、各駅停車は短距離を走るものだが、この北陸鉄道石川線では、終点の加賀一の宮に行くのは各駅停車だけなのだ。電車はもの凄く揺れ、雪景色の中を進み、加賀一の宮着は15:40。この駅は古くさい、なんとも良い感じの駅だ。15:44加賀一の宮発の野町行き、新西金沢着は16:13。西金沢16:37発の元583系の改造電車、通称「食パン電車」で金沢着が16:41。
 さて、お土産や駅弁など買い、17:33金沢発特急はくたか19号越後湯沢行きに乗る。北越急行所有の車両。北陸新幹線全通後はこの車両はお払い箱になるはず。ふと、この列車が急行能登になって、またその時に乗るような気がした。
 列車は少しずつ遅れていく。越後湯沢に着くはずの20:16に、まだ十日町である。接続する上越新幹線MAXとき338の越後湯沢発は20:27。その時間でもまだ六日町。接続に関しての放送はなく、ただ「20分遅れております」の一言だけ。不安になってくる。何人かが車掌室の前に集まり、ノックする。なんと、とき338号は、接続するはくたかを置いてきぼりにしてもう発車してしまった後だという。「指定席はどうなるの?」とか、「あとの列車の席は確保できるの?」などつめよるが、車掌は「ここではどうにもできないので駅で聞いて下さい」とおろおろするばかり。乗客のおやじが「放送しろよ!」と怒鳴る。「はい、申し訳ありません」と泣きそうになっていた。まあ確かにこの人は直江津から乗車したわけで、乗った時点で既に電車は遅れていたし、少しかわいそうではあるのだが。。。
 結局次のとき340号越後湯沢発21:19まで待つしかないことになった。指定はどうなるの?と聞いても、「この列車の指定は取れない、乗ってから車掌に聞いてくれ」と言われた。
 みどりの窓口に行って乗車変更しようとしたが、このとき340号はもう指定をできないことになってしまったそうだ。「その後にたにがわ458号があり、そちらは越後湯沢始発なので確実に座れる」とのこと。私はせっかくのグリーン車用きっぷなので、たにがわ458号に乗車変更した。東京着23:04なので、ぎりぎり帰宅は可能だ。
 ところが、ここで追い打ちをかける事態が発生。新潟県でまた地震が発生し、とき340号が遅れるというのだ。たにがわ458号はとき340号が出てから発車する。たにがわ458号が23:04にちゃんと付いてくれないと、東京に着いたはいいが、そこからうちに帰れないという事態になりかねない。結局、極寒の越後湯沢駅ホームでとき340号の自由席を狙うことにした。10分遅れで到着、なんとか自由席をゲット。でも、せっかくのグリーン車用なのに、なんと無駄なことを。。。車内放送によると、「とき338号の指定券を持っている人は、このとき340号の指定席の空いている所に座っても構わない」とのこと。「ただし、正当な指定券を持った人が来れば席を替わって欲しい」とのことだった。そうか、グリーン車が満席になることはなさそうなのだから、下手に乗車変更などせず、この340号に堂々と乗ってしまえば良かったのか。。。でも、そのような案内は、駅ではなかったぞ。。。
 結局東京には22:48着。ぶじに家に帰れた。
 やはり、深夜に帰宅するようなスケジューリングは、何か事故があったときに困るので避けるべきだった。今後は気を付けたい。
 しかし、今回のことで、北陸新幹線推進派の気持ちが少しわかった。とき+はくたかが金沢へ行く最速のルートで、これがあれば新幹線などいらないではないかと思っていたが、事故の場合に接続しないのであれば、非常に心許ないルートである。これならば東京への直通が欲しいというのも分かる。
 北越急行は最速時速160キロとはいっても、単線のためどうしてもいったん遅れ始めると対向列車の行き違いなどでどんどん遅れていく。そして、定時運行が第一の新幹線、あとは所詮北越急行は他社ということもあるかも知れないが、はくたかを待たずにときは行ってしまうのである。普段ローカル線の旅ばかりしているが、このようなことは初経験だ。ローカル線の場合は、一本逃すと次は3時間後だったりするので、たいていは接続列車は待っていてくれるものだが。
 やはり、みんな自分に都合の良いことしか言わないんだな・・・新幹線推進派が在来線の今後について言及しないように、はくたかの広告でも、「ときと接続」と言うだけで「はくたかが遅れたらときは待ってあげません」とは言わないもんなあ。。。まあ、雪国を冬場に旅行するわけだから、そのくらいは覚悟しておけということでしょうか。

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