2001年一番印象に残った曲、月並みだけどEnyaのOnly Timeです。

癒しの音楽と言われますが、電子楽器をほとんど(あるいは全く)使わず、アコースティックなピアノやバイオリン、ヴォーカルだけであれだけの表現力のある曲を書け、そして演奏できる人は珍しいと思います。

しかも癒しと言ってもリゲインの宣伝で使用された坂本龍一氏のピアノ曲(これに似たアーティストでGeorge Winston)とは違い、物悲しさがなく、人の心を温める、今までとは違ったタイプの癒しの音楽だと思います。過去、飢餓や人口の3分の2が移民となって国外に脱出した暗い歴史、また長年にわたって英国の支配に苦しんだ苦難の歴史を持つアイルランド人の別の側面を見たような気がします。もっともCORRSなど最近のアイルランド人の曲は結構明るい曲が多いのですが。
 

今年くらいEnyaが注目された年もないでしょう。ついにフジテレビの日曜深夜の報道番組にまで特集で取り上げられました。が日本での人気はその美しい旋律と歌声とは別にやはり、映画やCM、ドラマとのタイアップの影響が大きいのではないでしょうか?

日本での洋楽のヒットの要因というと、70年代は純粋にレコードの売上、ライブ、ラジオ、そしてこれらを元にした口コミが大きかったと思います。私の中高校生時代は友人同士でレコードを貸し借りするのがはやり、これで好きになったアーティストもたくさんいます。この代表がBeatles、Deep Purple、Led Zeppelin、CHICAGO、EL&P、Queen、ABBA。これが

80年代になるとBest Hit USAやMTVによるテレビの影響を多大に受けるようになり、a-haやStyle Council、Phil Collinsなどそのいい例だと思います。

そして90年代、FM雑誌が相次いで休刊し、MTVやBest Hit USAも放送終了し、日本での洋楽人気は下火になりました。70年代のように本当に好きな人がCDを買い、聴く時代になりましたが、それでもあるメディアの影響で爆発的にヒットすることがあります。映画、CM、ドラマなどテレビとのタイアップです。Aero Smithが日本で爆発的に人気を得たのは映画あってこそです。80年代中期からFlash Dance、Footloose、Karate Kids、竹取物語など映画がヒット曲を生みました。CMでは十六茶に取り上げられたオリビア・ニュートン・ジョンがリバイバルヒット、ドラマでは今年ドラマ「ストロベリー・オン・ザ・ショートケーキ」でABBAが見直され、日本だけのオリジナルベストが初回出荷で100万枚を記録しました。Enyaの曲も映画「冷静と情熱のあいだ」とそのCMで感化されてCDを買う人が多いようです。
 

どのような形でもいい音楽が紹介され普段洋楽に無関心の日本の方々に受け入れられるのは嬉しいことですが、もう少し、ラジオやテレビでもいい音楽は積極的に取り入れられてもいいのではないかと思っています。きのうBest Hit USAがリバイバルしましたが、一回限りの企画物で終わりそうで非常に残念です。洋楽も懐メロだけでなく今でもいい曲を書き演奏するアーティストはたくさんいるのですが。

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