2001年度で一番感動的だったコンサート。やはり3月24日のDeep Purple in Concertの東京公演。

第二期の初めに1969年にロンドン・フィルハーモニーと競演したDeep Purple in Concert(WPCR-864)。Ritchie Blackmoreが主導権を握ってから完全なハードロックバンドと化してからはご無沙汰だったが、Ritchie脱退、Steve Morseがメンバーとしてとけ込んでバンドも安定期に入って、John Lordも余裕が出てきたのであろう。1999年にロイヤルアルバートホールでロンドン・シンフォニーと競演して2年後、今度はこれを日本で実現するのである。1969年、1999年どちらも聴いたことがない私は非常に楽しみであった。

オーケストラのチューニングとJohn Lordが今回のコンサートの趣旨を簡単な説明(もっとも英語だが)するところは今までのロックコンサートは全く違う雰囲気だった。Ian Gillanのあまりうまくないボーカルも入るPicture Withinが終わって「今日のスペシャルゲストです」と紹介されてステージに登ってきたのはRonny James Dio。今回このような実験的なコンサートであるにも関わらず東京国際フォーラムに5000人の人が来たのは恐らくこのロック界の勇者Ronnyを見るためであろう。Love is allなど3曲を歌ったが、私個人的に圧巻だったのはRainbow In The Darkである。RonnyがメジャーになったRaiwbow時代のアルバムでのボーカルを彷彿させる力強い声、そして曲調。まさに「Rainbow」がDeep Purpleのメンバーによって復活したかのような錯覚だ。Rainbow時代、Ritchi以上にRonnyが作曲面で貢献していたのは想像に難くないが、このような力強い曲がソロアルバムにもあるのだ。

それから数ヶ月後、私はこのアルバムが入っているDIOのベスト版を買った。このRainbow In The Darkは92年の作品。サビの部分でシンセサイザーが入っていること、Rainbowの特徴でもあったハモンドオルガンがほとんど使われていないことが残念だったが、50代であることを忘れさせる衰えを知らぬ作品であった。あのステージが60歳の還暦でのステージを考えるとRonnyの日頃の努力には敬服する。RitchieがRainbowを捨て、Blackmore Nightに傾倒し、Purpleもかつてのハードロック路線から一歩退いていることを考えるとRonnyの存在は貴重である。

アンコールでSmoke On The WaterをIan Gillanとボーカルを分け合っていたが、残念ながらこちらはIanが遙かに勝っていた。これは歌の善し悪しというよりはレコーディングを行っていたホテルが放火され焼け落ちたというあまりにも劇的な事件を目撃した作者の感情移入には叶わないのだと思う。カリフォルニア・ジャムでDavid CoverdaleとGlen Hugeが同じくこの曲を歌っていたがやはりIanのような切々とした歌ではなかった。カリフォルニア・ジャムの1974年当時、Davidのボーカルは決してうまくなかったが、やはり作者の感情移入には叶わないということか?

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