2001年。まさに世界の激変の年。9月11日の「あの事件」以来度々メディアに登場した曲、「God Bless America」。教会でのミサでオルガンに合わせて合唱する人たち、街頭のバイオリン弾きに合わせて歌う人たち、まさに「米国の勇気と連帯」の象徴のような曲だった。

もともと平和を祈願する曲だったが、早速Celine DionがDavid Fosterのプロデュースの元、9月24日に緊急リリースし、発売と同時に大ヒットし、この曲が収録されたトリビュートアルバム「God Bless America」は瞬く間に全米No.1になったそうだ。
私もSony Musicのサイトで視聴したが、如何にもDavid Fosterらしく壮大でスケールの大きなバラードで、Celineのこれまた伸びやかなボーカルがより一層この作品を大きくし、感動を与える。もっとも如何にもDavid Fosterと書いたのは、彼がシカゴや過去のCelineの曲のプロデュースで見せたように、如何にも売れ線を狙った、人の感動を狙って「作った」作品だからである。しかしなぜカナダ人のこの2人がこの曲をという感も拭えない。しかもフランス系のCelineが。。。。  

今回の同時多発テロ、ビン・ラディンの行ったことは絶対に許せない。しかしかつてアメリカ、そしてイギリスも同じようなことを行ったではないか? 古くはアフリカでの奴隷狩り、アジア・アフリカの植民地化と略奪、近年のイスラエルを介在したパレスチナへの弾圧。湾岸戦争の時も誤爆で多くのイラク市民が亡くなったし、今回の報復でも多くの市民が空爆の巻き添えで亡くなっている。彼らはこれらの悪行に対し何ら謝罪はないのである。

80年代以降のロックもLive Aid、USA for Africaにしろ、「アメリカは善人だ」という立場だった。売れれば勝ちなのか? 1969年ウッドストックのように真摯に社会を見つめる心を失ったのだろうか? Celineの美しい歌声に聞き惚れながらふと今の米英音楽シーンに寂しさを感じた。そういえば、1969年のウッドストックにも参加し、1968年民主党大会での流血事件を題材にした作品を書くほどラジカルだったバンド、シカゴを軟弱バラード路線にしたのは、Peter CeteraとこのDavid Fosterだった。

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