SC系の内部
SCシリーズはNS社がCyrixを買収した後に開発に着手しました。 NS社はSuperI/Oを最初に開発したLSIメーカです(こちらもすでにWinbondに売却されてしまいました)。あまり知られていませんが、NS社はPicoPowerというNotePC用のチップセットを開発した会社も買収しており、Cyrix買収前から独自に486によるシングルチップLSIの開発を行っていました。このような経緯からCyrix買収後、社内の資産とCyrixのCPUを統合化し、新たなシステムLSIの開発を行いました。 当時は東芝のLiblletoなどミニノートがブームでしたが、これほどの高集積のLSIは市場にはまだありませんでした。 NS社がターゲットとしたのは実はPCではなく、いわゆる情報家電でした。そのために、CPU以外に家電で有用な機能が搭載されています。 SCシリーズは集積された機能によって4種類あります。基本的にはGX1-CPUコア、CS5530サブセット、SuperI/OサブセットにVideoプロセッサーが統合されています。 
SCシリーズはCPUがGX1コアですので性能はGX1とほぼ同じです。実際にパフォーマンスを測定するとシステム性能では5%程高くなります。 PCIバスを使わずにサウスブリッジが接続された効果と考えられます。 内部のPCIバスは66MHzで動いており、このバス上にサウスブリッジ、ビデオプロセッサー、IDEコントローラが接続されています。外部PCIバスはクロックを落としてもCPU内部のPCIバスに影響を及ぼさないためにPCI−PCIブリッジで接続しています。 バスに関してユニークなのは、PCIバスとISAバスがマルチプレクスされていることです。 SUB-ISAとはいえ、シングルチップでPCIとISAをサポートできることはシステムの構築には大きなメリットがあります。 内部にはFDDとPS2を除くほとんどPC機能が集積されており、システムの仕様とCPUの内部構造、制限事項を熟知していれば、きわめてシンプルな構成で色々な装置に組み込むことができます。 ビデオプロセッサーはCCIR656に対応したデジタルビデオキャプチャ回路、スケーラ、ミキサー、アルファブレンディング回路、Video-DAC、TFTインターフェースで構成されています。 これらの機能はデジタルTVやVideo−ON−Demando用のセットトップBOXに使用されます。 SCシリーズを用いた汎用のボードはあまり見かけませんが、小型のモジュールの形で、数社が製品化しています。 いずれも開発にノウハウの必要なCPU周辺とメモリーインターフェース、BIOSが搭載されています。これだけ集積化されていると、外部に簡単な回路を接続するだけで動きますが、その分、BIOSなど、動作条件の設定にかなりのノウハウが必要のようです。