自損事故を起こした従業員に対する会社の求償権/弁護士の法律相談

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2017.11.25mf
弁護士河原崎弘

相談:自損事故で求償されている

私は、32歳、大手の運送会社に勤務して 5 年になります。先日、会社の勤務としてトラックを運転中、居眠りをして、車をガードレールに衝突させてしまいました。
幸い、物損事故だけで終わりましたが、積荷の破損および会社の車の修理で280万円かかりました。このたび、会社から私に対し、修理代など全額の求償がありました。
上司は、「毎月の給料から10万円ずつ支払えばよい」と言うのですが、私に支払い義務がありますか。会社が、保険に入っていれば、済むことだから、会社にも責任があると同僚は言うのですが。
相談者は、弁護士に相談するため区役所の法律相談室を訪れました。

弁護士の回答:全額を支払う義務はない

会社は、責任ある従業員に求償できる

従業員が事故を起こし、他人に損害を与えた場合、会社は責任を負います。その場合、損害を賠償した会社は、従業員に対して、求償できます(民法715条3項)。

求償の割合

従業員に故意あった場合は、会社は、全額求償できます。 他方、裁判所は、 会社にも、事故を防止すべき責任があったとして、通常は、全額の求償は認めません。一般的に、従業員が業務遂行過程で会社に損害を与えた場合、従業員は会社に対し全部の責任を負わないのです。 従業員の負担割合を考慮する際の要素として、従業員の過失の程 度、使用者側の管理体制、従業員のおかれている状況等があります。

判例に現れたものでは、従業員の責任が、ゼロ、5%、20%、25%などがあります。従って、あなたの場合も20%くらいの損害賠償義務を果たせばよいのです。これは自損事故だけでなく、第三者に損害を与えて会社が賠償した場合も同じです。会社の求償権は制限されるのです。
ただし、従業員に大きな過失があった場合は、従業員の責任割合は大きくなります。それでも、30%くらいです(下記浦和地裁の判決)。労働者は、保護されています。
従業員に故意があった場合は、100%の責任を負います。

判例

従業員の責任を否定した判決

従業員に責任の一部を認めた判決

従業員に全額の責任を認めた判決

登録 2009.5.5