弁護士河原崎弘

無銭飲食後の支払いを免れるための暴行脅迫

質問
無銭飲食後の支払いを免れるための暴行脅迫をした場合に、別に財産犯が成立しますか。

弁護士の回答
先行する無銭飲食は、詐欺罪であり、保護法益は、(サービスを含んだ)財物であり、後行の暴行脅迫についての保護法益には、飲食代金請求権が保護法益と考えることができる。後行の暴行脅迫は、飲食代金請求権の行使を事実上不可能にしたと言える。従って、先行する犯罪と後行する犯罪では保護法益は異なります。
これについては、下記のように3つの考え方があります。

大分地裁昭和52年9月26日判決詐欺と強盗の併合罪保護法益を異にするから、2罪成立
最高裁昭和61年11月18日決定
神戸地裁昭和34年9月25日判決
2罪成立し、混合的包括一罪として強盗罪が成立社会事象として一罪
大審院大正2年10月30日判決
神戸地裁昭和34年9月25日判決
詐欺と殺人の併合罪
財産犯は成立しない
傷害が成立する。
財産犯は、財物騙取の不可罰的事後行為。
登録 2006.7.7
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