裁判で、メールにはどの程度の証明力がありますか

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2015.5.15mf更新
弁護士河原崎弘

相談

メールを証拠として裁判所に提出することを考えています。
裁判で、メールは、どの程度証明力があるのですか。

弁護士からの回答

裁判で、メールが証拠として提出されることが多くなりました。 民事裁判に限ってお答えします。
通常、メールはプリントして書証として提出します。携帯メールは写真に撮り写真として提出したり、パソコンに転送してプリントして提出することもあります。民事裁判では、証拠を提出した場合、相手は、その証拠について、成立が真正であるかを認否します。すなわち、証拠が偽造されたかどうかです。メールの場合も、相手がメールの存在が真正なもの(偽造されていない)と認めた場合は、問題がありません。メールには証明力があります。
相手が、メールは偽造されたものであるとして、メールの存在自体を争った場合は、メールを証拠として提出した側は、メールが真正なものであることを証明しないと、メールの証拠価値はないでしょう。証明方法としては、当事者尋問、メールの作成者(送信者)の証人尋問があります。
でも、一番確実な証明方法は、プロバイダーや、携帯電話会社に対する調査嘱託で、メールを取り寄せる方法です。ところが、時間が経過すると、プロバイダーや、電話会社は、メールを消してしまっていることが多いです。プロバイダーは6か月、携帯電話会社は、もっと早いです(どのくらいの期間経過で消すかは企業秘密で教えてくれません)。
メールの存在が争われ、その存在について確実な証拠がないと、メールの証拠価値は、裁判所が判断することになります。メールは、デジタル性があるので、全く同じものが作成可能だからです。パソコンの時間設定を変えれば、同じメールは作成できるのです。
その場合は、法廷にパソコンを持ち込むとよいですね。

コメント

最近、次のような新聞記事を読みました。これが事実なら、メールが証拠として使えます。

「XP以降のOSは自動的に内部時計を調整して正確な日時になるような機能を有しています。・・・素人がいじった位じゃプロの目はごまかせません」
実際、パソコンの日付を変えるのではなく、特殊のソフトを使って、ファイルの日付を変えることができます。その場合は、やはり特殊のソフトを使って、変更した日付がわかるようです。
そうなると、メールは、原則として証拠として使えそうです。

判決

  • 大阪高等裁判所平成21年5月15日判決  
    ところで,電子記録はその性質上改ざんしやすいものであるから,これを証拠資料として採用するためには,その記録が作成者本人によって作成され,かつ, 作成後に改ざんされていないことを確認する必要がある。しかるに,上記メールについては,I1教授の陳述書に添付されたもので,独立の文書(書証)として提出さ れたものでなく,その作成については認否の対象ともなっていないし,その作成についてF1自身の陳述は得られていない。そして,その内容には,氏名部分を「○○」 等に変更し,また注釈を入れたような部分もあり,明らかに,事後に変更が加えられている。一審被告らは,当審において,E2の陳述書(乙53)を提出し,これに は,E2が平成14年10月26日に上記メールと同内容のメールをF1から受け取ったこと,そのメールでは上記メールの「○○」の部分は「E2」となっていたこ となどを記載しているが,同陳述書によれば,E2もI1教授の指導を受けた関係にあり,同教授の支持者として行動していることが認められるところ,これからすれ ば,これをもって,上記メールについて,作成者がF1であり,何らの改ざんもされていないと断定することは困難である。また,一審被告らは,当審に至って,同訴 訟代理人作成の報告書にF1氏名の抹消されていないものを添付して提出したが,これによっても,上記メールについて,作成者がF1であり,何らの改ざんもされて いないと断定することは困難である。
  • 登録 2010.7. 1
    東京都港区虎ノ門3丁目18-12-301(神谷町駅1分)弁護士河原崎法律事務所 電話 3431-7161