養育費の計算方法/生活保護基準方式に基づく(平成15年3月まで)

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更新2011.5.11
弁護士河原崎弘
養育費は生活保持義務に基づきます。平成15年3月まで、生活保護基準方式に基づいて養育費を計算しています。平成15年4月以降は、裁判所は、算定表を使った簡易な計算方法 を使っています。下記は生活保護基準方式の説明です。

*父親の収入が母親の収入より多いことが前提

母の基礎収入 = 収入 - ( 職業費:15% 税金等 特別費 )
母の分担余力 = 基礎収入 - 母の1類費 2類費(1人) 冬季加算額(1人)

父の基礎収入 = 父の収入 - 職業費:15% + 税金社会保険料 + 特別費 )
父の分担余力 = 基礎収入 - 父の1類費 2類費(1人) 冬季加算額(1人)

子の生活保護基準額 = ( 子の1類費 2類費(2人) 冬季加算額(2人) ) - ( 2類費(1人) + 冬季加算額(1人) )
父と子の生活保護基準額 = 父の1類費 子の1類費 2類費(2人) 冬季加算額(2人)

父と生活した場合の子の生活費 = 父の基礎収入 × 子の生活保護基準額

父と子の生活保護基準額

父の分担額 = 父と生活した場合の子の生活費 × 父の分担余力

(父の分担余力+母の分担余力)


福祉手当は、母親の収入に入れるべきか議論があります。
職業費は、収入を得るために必要な経費です:給与生活者の場合、総収入の10%-20%。職種により、割合は異なる。東京家裁では15%が多い。自営業者は原則として考慮しない。
特別費とは、家賃、地代、管理費、医療費、子の教育費などで妥当な額。
教育費については、公立小学、中学、高等学校の平均的学校教育費を特別費として入れるとよいでしょう。父親の収入が高額で、実際に私立学校に行っている場合は私立学校の教育費がこれに該当します。
東京都では下記で学校教育費の金額を見ることができます。
東京都の公立学校での学校教育費(年間) は、小学校で111,646 円、中学校で192,065円、高等学校で352,696円です。
文部科学省は、最近の学校教育費の調査報告を、有料で売っていますが、平成6年の調査では、公立学校での学校教育費(年間)は、小学校で5万9千円、中学校で13万7千円、高等学校で31万7千円です。
下記生活保護で認められている教育扶助費、小学校で2,150円、中学校で4,180円(それぞれ月額)を基に算定するのも一方法です。
冬季加算額が認められるのは11月から3月までの5か月間ですので、月平均額は下表の金額に12分の5を乗じます。
一旦養育費の額を決めても、その後の事情変更で増減請求できます。

計算例

母(29歳)の収入18万円(給与)、税金社会保険料2万円、特別費(住居費)8万円、3歳の子を養育中
父(32歳)の収入50万円(給与)、税金社会保険料6万円、特別費(住居費)9万円

母の基礎収入 = 母の収入 - 職業費:15% + 税金社会保険料 + 特別費 )
53,000 = 180,000 - ( 27,000 + 20,000 + 80,000 )
      
母の分担余力 = 基礎収入 - ( 母の1類費 2類費(1人) 冬季加算額(1人)
-32,624 = 53,000 - ( 40,410 + 43,910 1,304
(分担余力なし)

父の基礎収入 = 父の収入 - 職業費:15% + 税金社会保険料 + 特別費 )
275,000 = 500,000 - ( 75,000 + 60,000 + 90,000 )

父の分担余力 = 基礎収入 - 父の1類費 2類費(1人) 冬季加算額(1人)
189,376 = 275,000 - ( 40,410 + 43,910 1,304
(分担余力あり)

子の生活保護基準額 = ( 子の1類費 2類費(2人) 冬季加算額(2人) ) - ( 2類費(1人) + 冬季加算額(1人) )
39,608 = ( 27,250 48,600 + 1,692 ) - ( 43,910 + 1,304 )

父と子の生活保護基準額 = 父の1類費 子の1類費 2類費(2人) 冬季加算額(2人)
117,952 = 40,410 + 27,250 48,600 1,692

父と生活した場合の子の生活費 = 父の基礎収入 × 子の生活保護基準額

父と子の生活保護基準額
75,371 = 275,000 × 39,608

117,952

父の分担額 = 父と生活した場合の子の生活費 × 父の分担余力

父の分担余力 + 母の分担余力
数字を入れると
75,371 = 75,371 × 189,376

189,376 + 0

注 冬季加算額を月平均額に直す計算
(1人) 3,130 × 5 ÷ 12 = 1,304
(2人) 4,060 × 5 ÷ 12 = 1,692
(3人) 4,840 × 5 ÷ 12 = 2,017実際の計算は下記計算機で

平成15年3月までの計算方法 → 生活保護基準方式養育費計算機 若干複雑

参考資料

生活保護基準(平成14年度)

1級地ー1(東京都23区、大部分の市、大阪市、横浜市など)


居宅(第1類)

年齢区分 基準額
0歳 15,140円
1歳ー2歳 22,030円
3歳ー5歳 27,250円
6歳ー8歳 32,380円
9歳ー11歳 36,850円
12歳ー14歳 44,500円
15歳ー17歳 47,830円
18歳ー19歳 42,470円
20歳ー40歳 40,410円
41歳ー59歳 38,610円
60歳ー69歳 36,500円
70歳以上 32,690円

居宅(第2類)

基準額及び加算額 世帯人員別
1人 2人 3人 4人 5人以上1人
増すごとに
加算する額
基準額 43,910円 48,600円 53,880円 58,620円 440円
地区別冬季
加算額
(11月-3月)
T区 24,620円 31,890円 38,050円 43,150円 1,640円
U区 17,600円 22,790円 27,200円 30,840円 1,170円
V区 11,680円 15,130円 18,060円 20,480円 780円
W区 8,920円 11,550円 13,780円 15,630円 590円
X区 6,220円 8,060円 9,620円 10,910円 410円
Y区 3,130円 4,060円 4,840円 5,490円 200円
以下、省略

教育扶助 小学校 中学校
基準額 2,150円 4,180円
以下、省略

東京の23区、大阪市,横浜市などは1級地−1です。
上記表は「生活保護手帳’2002」からの引用です。発行編集は東京都千代田区霞ヶ関3丁目3番2号新霞ヶ関ビル社会福祉法人全国社会福祉協議会です。本の中味は生活保護法、施行令、施行規則など厚生省が持っている資料です。この団体の実態は知りませんが、超一流ビルに入っており、場違いな場所にあります。からくりは推測できます。日本は悲しい国です。

実際の養育費の額
決められた養育費の月総額

金額
1万円以下 1.0
1万円を超え2万円以下 6.7
2万円超え3万円以下 15.7
3万円超え4万円以下 7.8
4万円超え5万円以下 24.4
5万超え6万円以下 10.0
6万円超え7万円以下 6.7
7万円超え8万円以下 8.9
8万円超え9万円以下 1.0
9万円超え10万円以下 10.0
10万円超え15万円以下 5.6
15万円超え20万円以下 2.2

決められた養育費の1人当たり月額

金額
1万円以下 4.1
1万円を超え2万円以下 7.8
2万円超え3万円以下 31.2
3万円超え4万円以下 16.6
4万円超え5万円以下 26.0
5万超え7万円以下 5.1
7万円超え10万円以下 8.2
10万円超え15万円以下 1.0

母子家庭及び寡婦等の家庭生活及び職業生活の動向に関する事項 (厚生労働省)

参考書:金額算定

「養育費の分担額の研究」 家庭裁判月報  昭和63年第4号195頁 最高裁判所事務総局
「養育費」 法律知識ライブラリー 家族法 1994年 青林書林 
「養育費算定方法の再検討と新方式の提唱」 ケース研究217  昭和63年 家庭事件研究会
「家事調停と養育費の算定」 ケース研究258  平成11年 家庭事件研究会
登録 Oct. 31, 1998 弁護士宛メール