雇用か、請負か
会社が倒産した場合の給料は、失業保険は
弁護士河原崎法律事務所ホーム > 労働事件 > 会社が倒産した場合の給料は、失業保険は
Last updated 2024.12.1mf
相談:勤務していた会社が倒産
勤めていた会社が倒産しました。雇用保険もない会社だったので、失業保険ももらえません。給料日が3月10日に払われるはずなのですが4分の1も貰っていません。雇用形態も請負という形です。労働基準局に聞いたところ、泣き寝入りするしかないぐらいのことまで言われた。
私は精神的に完璧にまいってしまい、うつ状態です。この場合働いた分の給料は取れるのでしょうか。
もともと雇用体系は入社時は社員契約でしたが、半年ぐらい前に請負となりました。従業員は支店も含め20人弱です。どのような処置を取れば給料はもらえますか。
相談者は、弁護士事務所を尋ねました。
回答:雇用契約の可能性がある
請負(業務委託)契約か雇用契約かは、名前(名目)ではなく、実質で判断します。相談者の場合、雇用である可能性があります。雇い主から、直接、
指揮命令されて働くなら、雇用契約です。仕事の出来高に応じて報酬を支払うのが請負です。作業時間が決められているなら、雇用契約です。
下記判決も、指揮命令があったことを重要視して請負と認定しています。
名称 | 重要ではない |
指揮命令 | 有る | 雇用 |
無 | 請負 |
勤務時間 | 有る | 雇用 |
無 | 請負 |
雇用なら給料ですから、失業保険ももらえますし、未払い賃金の立替え払い制度があります。請負ならこれらの制度は利用できません。
もう一度、職安と労働基準監督署と交渉してください。
失業保険手続きは、職安で尋ねて下さい。
未払い賃金の立替えは、労働者が労働基準監督署に対して手続きします(賃金の支払い確保等に関する法律7条)。
判決
- さいたま地方裁判所平成27年3月25日判決
そこで,以下においては,まず,原告の上記主張から検討を加えることとする。
(2) 本件雇用契約及び本件各業務委託契約の有効性について
ア 請負契約においては,請負人は注文者に対して仕事完成義務を負うが,請負人に雇用されている労働者に対する具体的な作業の指揮命令は専ら請負人に委ね
られている。したがって,請負人による労働者に対する指揮命令がなく,注文者がその場屋内において労働者に直接具体的な指揮命令をして作業を行わせているような
場合には,たとえ請負人と注文者との間において請負契約という法形式が採られていたとしても,これを請負契約と評価することはできない。
そして,上記の場合にお
いて,注文者と労働者との間に雇用契約が締結されていないのであれば,上記3者間の関係は,労働者派遣法2条1号にいう労働者派遣に該当すると解すべきである。
そして,このような労働者派遣も,それが労働者派遣である以上は,職安法4条6項にいう労働者供給に該当する余地はないものというべきである(最高裁平成21年
12月8日第二小法廷判決・民集63巻10号2754頁参照)。
これに対し,注文者,元請負人,下請負人,下請負人の雇用する労働者の4者の関係において,下請負人による労働者に対する指揮命令がなく,注文者がそ
の場屋内において労働者に直接具体的な指揮命令をして作業を行わせているような場合には,たとえ注文者と元請負人との間で請負契約という法形式が採られ,かつ,
元請負人と下請負人との間で下請契約という法形式が採られていたとしても,これらを請負契約と評価することはできず,この場合において,注文者と労働者との間及
び元請負人と労働者との間にそれぞれ雇用契約が締結されていないのであれば,元請負人は,自己が雇用していない下請負人の雇用する労働者をさらに業として注文者
に派遣していることとなるというべきであり,そうすると,上記4者間の関係は労働者派遣法2条1号にいう労働者派遣に該当せず,職安法4条6項にいう労働者供給
を業として行うものとして,職安法44条に違反することとなり,当該労働者が就業するのに介入して利益を得ることは労基法6条に違反することとなるものと解され
る。
登録 2006.4.20