弁護士河原崎弘

刑事法の争点:強盗罪の問題点

強盗罪における暴行、脅迫
社会通念上反抗を抑圧する程度の暴行脅迫があり、たまたま、被害者が反抗を抑圧されなかった場合
憐憫の情で交付 畏怖したが、反抗の抑圧ない/喝取の結果
判例強盗既遂/被害者の具体的主観を考慮しない
強盗未遂と恐喝の観念的競合
最高裁昭和24.2.8
大阪地裁平成4.9.22
学説:団藤強盗未遂強盗未遂

ひったくり:暴行の程度(強さ)により、以下の通り、罪名が変わる
強盗致傷被害者の犯行を抑圧するに足りるもの
恐喝被害者の反抗を抑圧しない、軽い暴行
窃盗/傷害

居直り強盗
前田 財物を窃取後、さらに財物を強取、窃盗と強盗が成立し、
前の窃盗は、強盗に吸収(奪取と暴行脅迫が時間的場所的に接着ので)
前の窃盗継続中に、財物強取意思で暴行、脅迫, 全体として強盗
山口 窃取行為(当初は窃盗の意思)継続中に(まだ占有の移転がなく)、
暴行、脅迫を行った場合。
窃盗が既遂後は、2項強盗または事後強盗

当初から強盗の意思で、暴行、脅迫の前に財物取得があった場合(当初から、強盗の意思。居直り強盗は、初めは窃盗の意思) → 強盗とする
奪取と暴行が同一現場奪取の後、(完成のため)に暴行、脅迫最高裁昭和24.2.15判決
多数説
1項強盗
同上同上(先行する窃盗による占有移転前は居直り強盗、占有移転後は2項強盗)最高裁昭和61.11.18決定
山口/西田
2項強盗

居直り強盗と事後強盗の区別
居直り強盗財物窃取後発見されて、さらに財物を奪取初めの窃盗を合わせて強盗
事後強盗窃盗犯人が窃取した財物の取還を防ぐ、
逮捕を免れ、罪跡隠滅目的で暴行、脅迫
強盗

居直った後、新たな財物強取に失敗
強盗既遂全体評価事後強盗罪とのバランス広島高判昭和32年9月25日 初めから強盗の意思あり
強盗未遂窃盗既遂・強盗未遂の混合的包括一罪 東京地裁昭55年10月30日 窃盗は強盗未遂に吸収される
大塚:同趣旨、ただし、初めから強盗意思の場合は、強盗既遂

暴行後の領得意思
178条/準強姦の反対解釈失神
多数説
大阪高裁平1.3.3
新たな暴行、脅迫必要反抗抑圧状態を維持する暴行、脅迫説明可 窃盗
不要説
大阪高裁昭61.10.7
反抗抑圧状態を利用意思があればよい説明できない 強盗?

事後強盗の成否/窃盗の機会継続中の意味
目的/追跡中など接着性
時間
場所
追跡可能性11時間

強盗致傷
機会説/判例
制限機会説
手段説

強盗殺人の未遂/240条
通説/判例「よって」との文言傷害罪と同じ強盗の機会に死傷を伴うこと多い未遂
強盗致死故意ある場合は強盗罪と殺人罪の観念的競合
故意ある場合は強盗致死罪と殺人罪の観念的競合
登録 2005.12.17
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