愛犬が噛み殺された。慰謝料はどのくらい請求できますか
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2015.6.16mf
弁護士河原崎弘
相談
私が、犬(チワワ)を連れて散歩していました。日本犬の雑種を連れていたおばさんとすれ違った際、相手の犬が、私の犬に噛みつきました。私は、犬を引き離した際、手をかまれましたが、すぐ、動物病院に連れて行きましたが、犬は死にました。
事故の原因は、相手のおばさんが、犬を放してしまったからです。
私は、ショックで毎日泣いています。相手に慰謝料などの損害賠償を請求できますか。請求できるとすると、いくらくらいでしょうか。
相談者は、弁護士会の電話法律相談 で相談しました。
回答
(過失の有無)
相手の犬は飼主から放たれて、あなたの犬を噛んだのですから、相手に過失があります。
(損害の認定)
損害賠償請求できますが。損害賠償金は、あなたの手の治療費、通院慰謝料、犬を買った価格の半分くらい(減価償却します)は認められます。
(慰謝料)
問題は、慰謝料です。法律の世界では、犬は物です。物を失った場合の慰謝料は、原則として認められません。しかし、例外として、ペットの場合は、慰謝料が認められます。
犬が(噛まれたり、交通事故で)死んだことの慰謝料は10万円から30万円くらいです。最近、慰謝料50万円(噛まれた飼主の通院慰謝料を含め)を認めた判例もあります。
参考判例(日付だけの判例は追って内容を追記します)
- 名古屋地裁平成22年3月5日判決
事故で盲導犬が死亡ケースでは、盲導犬の客観的価値は、育成費用と、盲導犬としての活動期間を10年とみた場合の残余活動期間の割合に応じて減じた価値とするものとし、5年余の残余期間があった盲導犬の客観的な価値を260万円と算定した。
- 名古屋地方裁判所平成21年2月25日判決
飼い犬が死んだのは獣医師の輸血の準備不足が原因であるなどとして,獣医師に対し,損害賠償を請求している事案で,診療契約などに基づく,説明義務違反と犬の死亡との間の相当因果関係を認め,債務不履行に基づく,損害賠償請求(うち、慰謝料は21万円)を一部認めた。
- 名古屋高裁平成20年9月30日判決
交通事故によりペットである犬が負傷した場合において、治療費、慰謝料等を損害として53万2850円を認めた。
- 大阪地裁平成18年3月22日判決
犬の飼主に過失責任を認めたが、パピオンの価値を15万円、死亡による慰謝料を10万円、火葬費用2万2千円を認めている。
- 名古屋地裁平成18年3月15日判決
認めた損害賠償は、犬の代金の1/3の5万円、犬の診療代金1万4900円、死亡診断書作成費8000円、火葬代金1万7850円、噛まれた飼主の治療費1万9100円、慰謝料合計50万円(加療2週間を要する通院慰謝料を含む)、弁護士費用は1割。
- 東京地裁平成18年1月24日判決
- 千葉地方裁判所平成17年2月28日判決
犬のブリーダー(繁殖を目的として飼育を行う者)がペ ットホテルの経営者に犬の飼育管理を委託したが、経営者の寄託契約上の債務不履行により犬が死亡したとして損害賠償を求めた事件につき、犬の死亡による財産的損害の額を80万円(5頭)民訴法248条を適用して認定し,犬の死亡による精神的苦痛につき慰謝料を70万円(5頭)と認めた
- 東京高裁平成16年2月26日判決
- 大阪地裁平成15年7月30日判決
- 東京地方裁判所昭和44年3月1日判決
飼犬を負傷させられた者から加害犬の所有者に対する慰藉料1万5千円の請求が認められた。
東京都港区虎ノ門3−18−12−301 弁護士河原崎弘 03-3431-7161
登録 2006.9.17