妻がいるのに独身を装い結婚を約束する男との交際
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2015.12.6mf
弁護士河原崎弘
相談
私(21歳)は、学生の起業支援グループのスタッフに来ていた彼(39歳)と知り合い、2か月の交際の後、親密な関係になり、半年ほどになります。
彼は、1人でマンションに住んでおり、「妻とは離婚した」と言っていました。私と彼は、幾度となく、結婚の話をし、私が「大学を卒業したら、結婚しよう」と約束しました。
私は、郷里の両親に紹介するために、先月、一緒に静岡に行く約束をしました。ところが、その日、東京駅で新幹線に乗る直前、彼は、「実は、妻が離婚に同意しないのだ。子どももいる」と話したのです。奥さんとは、私と知り合う頃に別居したのだそうです。結局、私の実家には行きませんでした。
私は、このとき、妊娠したことがわかりました。彼の話を聞いて、私は、先週、子どもをおろしました。病院の費用25万円は彼が出しました。
私は、彼に慰謝料請求できますか。金額はいくらくらいですか。彼は銀行員で、年収は1500万円です。
相談者は、区役所の法律相談室を訪れ、弁護士に相談しました。
回答
離婚したと騙して、結婚の約束をしたのですから、彼の行為は、不法行為です。あなたは彼に対し、慰謝料請求できます。金額は、200万円から、300万円くらいでしょう。
ところが、真実は、彼と奥さんの関係が単なる別居であり、婚姻していると言うことですね。婚姻が破綻しているのなら問題はありません。別居していると、婚姻は破綻している場合が多いですが、必ず、破綻とは言えません。金額は小さいですが、別居中の人と交際 と交際して者に、奥さんに対して慰謝料支払い義務を認めた判決もあります。
あなたは、彼に妻がいることを知ったのですから、
彼の婚姻が完全に破綻したのでない限り、以後は、交際を続けると、それは、妻に対する不法行為となる可能性があります。
あなたが、奥さんから、慰謝料を請求される可能性があります。
判決
- 東京地方裁判所平成27年1月7日判決(出典:判例秘書)
そこで本件不法行為による原告の慰謝料について検討するに,被告が原告と交際中に妻との関係を修復しながら,原告からの別れ話に対しては,あたかも
原告との将来の生活を考えているかのようなメールを送って原告の心を引き止め,妻からのメールも妹からのメールであると虚偽の事実を告げるなどして,原告との関
係を維持しようとするなど不誠実かつ身勝手な態度をとっていたことその他の本件に現れた一切の事情を考慮すると,本件不法行為により原告が受けた精神的損害を慰
謝するための慰謝料としては,100万円が相当であり,本件不法行為と相当因果関係のある弁護士報酬相当の損害は10万円をもって相当と認める。
2005.1.2
港区虎ノ門3丁目18-12-301(神谷町駅1分)河原崎法律事務所弁護士河原崎弘 03-3431-7161