VT−25(10)
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オーディオ

8012、A2

シングルA2の比較

カソードチョーク式A2ドライブの検証を何でやろうか考えていたところ、M氏より宿題つきでGEのVT−25(10)を6本頂いた。この球は1925年ころに開発された210を改名したもので、日本初の国際的なスパイ事件であるゾルゲ事件にも使われたそうである。その無線機を復元した人もいる。モール信号なので出力20Wクラスでもウラジオストックまで届く。言ってみれば歴史的な古典管という事になる。

もちろん頂いたものはダルマ管ではなくてST管で、球には10と言う刻印があって、ベースと箱にはVT−25とあるので、民生用の10を検査の上軍用のVT−25に転用したものと思われる。このVT−25(10)は210、10、10Y、VT−25、VT−25A、更にP電圧を600Vまで強化された801、801A、VT−62まで含めれば、長期にわたって色んな会社から色んなバリエーションが小型無線機の送信管として作り続けられた、かなりの部分が第2次世界大戦の戦時特需と思われる。

このVT−25はRCAのデーターによるとGのマイナス領域でドライブして、P電圧250Vで0.4W、350Vで0.9W、最大規格の425Vでも1.6Wしか出ない。かといってGのプラス領域を使うダイナミックカップルでも、さほど出力は増えないらしくネットで検索しても例が見当たらない。出力が取れなくて、内部抵抗が多いいために14KΩの出力トランスが必要となって、オーディオ用としては使いにくい球。

宍戸氏イントラ反転の試行錯誤にVT−62(801A)を使ったので、こちらのほうは人気があるが、それでも歪率5%で約5W。

また別の例ではVT−62(801A)のパラシングルに550Vをかけてやっと6Wを出している。

理由はGのプラス領域とマイナス領域がほぼ対称で、余り広くないと言うことになる。

カソードチョーク式A2ドライブの検証には絶好の球と言うことになる。カソードチョーク式A2ドライブではG電圧をドライバー管のP電圧を調節して、出力管の自己バイアスの抵抗値を調節して、定額内でオシロの波形が上下同時に潰れる様にすれば(カットオフとクリップが同時に起きるようにすれば)、最大出力が得られる。

ドライバー管(5687)の電圧降下用の抵抗7.6KΩ、出力管(VT−25)の自己バイアスの抵抗値を2KΩで約1Wを得て、数回のトライアンドエラーでドライバー管の電圧降下用の抵抗5.6KΩ、出力管の自己バイアスの抵抗値470Ω、VT−25のプレート損失13.2Wと僅かに最大規格12Wをオーバーするところで無歪最大出力5.2Wを得た。このときの出力管のP電圧は298V。5.2Wと言うのはRCAのデーターの300Vで0.65W(推定)の驚く無かれ8倍になる。

回路は8012カソードチョークA2に基本的に同じ。電流が減ってB電圧が上がりすぎるのでタップを280Vから250Vに変更して、VT−25のカソードに470Ωと100μFを入れてある。、VT−25のカソードは当初2KΩとし、少しずつ抵抗値を下げてゆくと言う試行錯誤をやった。VT−25のK電位とG電位が同じで実質ゼロバイアスになっている。

VY−25(10)は、低電圧(規格の425V以下)で使う限りVT−25(10)のP損失は801A(VT−62)並に20Wまで使えると言う説があるが、ここまで使えば7〜8Wは出るはず。

出力トランスは本来10〜14KΩを使うべきだが、電流を流してインピーダンスを下げていると言うことにして、手持ちのXE−20Sで我慢する。今のところ5KΩでNFBを5dB位かけたところが良さそう。

あと弄るとしたら、カソフォロドライブ管はこの方が馬力のある音がすると大型出力管の三結(EL−34、6L6)または大型三極管(300B)そのものを使っている例が見られるが、そこまでやら無くても6EW7(P損失13W)あたりに交換してみる手がある。

とりあえずはトリタンの縦にジグザクに配置された煌々と輝くフィラメントを眺めながら、レコードを聴くのも乙なもの。