Fishing in the Bavarian Forest

- sORRY, tHIS pAGE iS oNLY iN jAPANESE. -

(写真はいましばらくお待ち下さい。)

「ドイツ パール川のつり」

7月4日(土)、ミュンヘン空港でレンタカー、オペルのコルサを借りて、チェコ国境付近、バイエルンの森を目指す。途中、頼んでおいた釣りのライセンス(1年間有効、45マルク、約3600円)を受け取るため友人宅を訪問する。ステーキ、ソーセージ、ポテト、バイスビアという昼食をごちそうになったお礼に、その家の甥っ子、12才の駆け出しフライフィッシャー クリスを1泊釣り旅行へ招待する事にした。

アウトバーンを恐る恐るドライブすること約2時間、その日の宿に到着。チェックインと共に、前もって手配を頼んでおいたパール川の2日分の釣り許可証を受け取る。(許可証 30マルク/日、約2400円、宿泊代朝食込み 40マルク、約3200円)役場や釣具店が許可証の発行をしている場合、土日に入手できない場合があるので注意が必要だ。実はこれで2年前に痛い目にあっている。今回は前もって問い合わせてもらったところ、地元の宿に泊まるならば、前金で許可証を発行し、宿に届けておいてくれるとのことで、事無きを得た。

宿で小さな釣り仲間が川までの道を聞いてくれ、そのクリスのナビで走り始める。森を抜け丘を越え、いくつかの村を通り抜けるが、川が見つからない。出発点の町へ戻り、4軒目に道を尋ねたガソリンスタンドでようやく確かな手応え。なんとか小さな流れにたどり着き、5軒目でようやく目的の川である事を確認できた。1時間ほどのロス。しかし、小さな通訳君がいなければどうなっていたことやら。

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釣り許可証で規定されている最上流部から入渓。ドイツの場合、ある川のある区間に限定して、釣りのできる期間、釣法、魚種ごとのキープ制限等が細かく規定され、許可証に川の略図入りで示されている。ちなみのこの川では、ドライ、ウエットフライ、ニンフ、ストリーマ、ブリンカー(?)、ウォブラー(?)を使い、鱒類は30センチ以上を3尾キープできる。この川の途中には私有地があるため、その区間で釣りはできないと書いてある。

パール川は期待とはうらはらに最上流部では幅1メートルほどの小川だった。しかも、前日の雨の影響でかなり濁りが入っていた。入渓点にある橋から覗いてみたが濁りのために魚の姿は見えない。

ライズ!

ミッジ以外に虫の姿は見えないので、腰まで伸びている草をかき分け土手の上からとりあえずアダムスパラシュート#14を波紋の辺りへ投げてみる。

いきなり来た。20センチほどのブラウントラウトが釣れてしまった。濁りのせいで警戒心が薄れていることに加えて、フィッシングプレッシャーが低いせいなのだろう。のっそりと出て、ぱっくりくわえてくれた。クリスの手前、最初にそれなりの腕前を披露しておかないとマズイと思っていたのだが、あっけないくらい簡単に釣れてしまった。

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針葉樹林の中をサラサラ流れる川には、流れに沿って細い散歩道が続いている。水着姿の子供達がやたらごついリール竿にでかいウキをぶら下げて、その散歩道を行ったり来たりしている。

「フィッシュ?」と聞くと、「ノー。」という返事。

クリスとその小道を釣り下って行ったのだが、川面は狭く、低い木に覆われているところが多いためロッドを出せるところが極端に限られている。川通しに下って行けばキャスティングは楽かもしれないが、チャラ瀬も多くポイントが限られ、さらに川底が泥ということもあったので、小道を歩いてポイントを選んで行く事にした。

それでもロッドを出せるちょっとした溜り、小さな巻き返し、細いながらも流芯脇等から飽きない程度に15センチから20センチ程度のブラウニーが飛び出してくれた。一方、クリスは釣り始めこそ、ブッシュや頭上の枝に四苦八苦していたが、慣れてくると魚を水面へ引き出し始め、遂に待望の1匹目をキャッチ。リリースサイズながらも、私より大きなバッハフォレーレ(ブラウントラウト)を釣った事がうれしくてたまらない様子。自分ばかりが楽しんではマズイと思っていた私も一安心だ。

それからはクリスを追い越し、追い越されして、ポイントを求めて釣り下った。とろんとした水からフライが消え波紋が残る。プルプルという小気味良い引きと共に、小さいながらも朱点の鮮やかなブラウントラウトが顔を見せる。もちろんヒレはピンとしており、今生まれたばかりように美しく輝いている。とはいえ、川幅といい、水の色といい、小鮒が釣れても納得してしまうかもしれないような流れなのだ。 2時間ほどもゆっくりと釣り下ると、小道は森を開いて作られた明るいキャンプ場へ入っていった。先ほどの子供達の姿があり、広場を囲むようにテントが張ってあった。そこより先は私有地だろうから、釣りはできないとクリスが言う。二人とも10匹以上はC&Rしていたし、ちょうど時間も7時を過ぎた頃だったので、宿へ戻って食事をとることにした。

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夜の8時ごろだったと思う。まだ太陽は高く、よく晴れていて、乾いた空気が心地良い。外へ並べられたレストランのテーブルで、シュニッツェルとポテトフライをほおばるクリスを眺めながら、バイスビアに舌鼓をうった。突然異国の地から訪れた、言葉もうまく通じないオジサンに誘われるままに、一人で1泊の釣り旅行へついて来たクリス。我が子と同い年のそんなドイツ人少年を頼もしく思い、彼の親御さん達の日ごろの躾に舌をまいた。

大きなシュニッツェルとポテトフライをたいらげるや12才の少年がオジサンに向かって、「君はゲストだから、ここは僕が払う。」と言って首から下げていた財布に手を伸ばしたんだぜ、御同輩。

深夜、雨が激しく降る音に目が覚めたが、なすすべもなく眠りに戻った。翌日は案の定、水かさが増しており、さらには釣りどころではない水色だった。クリスが張り切っているので、とにかく前日と同じ所から入り、川沿いの小道を下ってみた。下るにつれ少しづつ川幅は広がったが、水色、流勢共に良くなるどころか悪くなる一方だった。ついには雨まで降り始めてしまい、クリスも諦めてくれたので帰路についた。

帰り道、アウトバーンを途中で降り、彼は家のそばを流れる秘密のポイントを教えてくれた。川沿いの水路が30メートル程の長さだけ池のように広がっている。水草のゆれる澄んだ水を覗き込むと、そこここに体長20センチから大きいもので40センチ近いブラウンが見える。何匹かのレインボーも混じっている。彼はジャンプするのでレインボーの方が好きだと言う。

「ワーォ、ビーッグ。ルック!」とクリスが指差す。

こんな流れでも当然許可証を必要とする。残念ながら許可証を扱っている店は日曜日には閉まっていて、今日ここで釣りをする訳にはいかない。クリスと来年ここで一緒に釣りをする約束をした。私にとって2人目のドイツの釣り仲間が誕生した。

Sigge
1998.7.17
naito(a)tokyo.mail.ne.jp


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