7月3日(火)熱帯ジャズ楽団/芝・メルパルクホール

 すでに梅雨が明けてしまっているのではないかという疑念を晴らすには、後日の気象
庁発表というふやけたニュースを待たなければならなかったものの、気分はすっかり夏
にゆだりながら、東京タワーを間近に見上げる芝のメルパルクホールへとダクダクの汗
をかきながら近づいていく。南北線と都営三田線が乗り入れたおかげて、旧郵便貯金ホ
ール時代とはアクセスが便利になったものの、ホールで一休みする間もなく開演時間が
近づいたので客席へと入ろうとしたその瞬間――。そこにはめくるめくダンス・ホール
の世界が再現されていることに、まず度肝を抜かれてしまった。天井から下げられたミ
ラーボールに当たる照明がまんべんなく場内を照らしている。みんな、「ウッ!」と声
を詰まらせているが、考えてみればこの「ウッ!」こそサルサをはじめとするラテン音
楽のかけ声の基本である。いまだステージには誰も登場せぬままに、この極意を観客か
ら自然発生させるとは、さすが「恐るべし熱帯ジャズ楽団!」なのである。
 「Alma eterna」でスタートし、「El morro」などを挟んでラテン・スタンダードの
エッセンスを惜しげもなく伝えながら、その一方では「Getaway」などのファンキーな
ナンバーをアレンジの妙で楽しませてくれる。熱帯ジャズ楽団の“アレンジの妙”とは
すなわち、ラテン遺伝子とジャズ・オーケストラ遺伝子の融合、突然変異スパイラルが
もたらす“音の斬新さ”に尽きると思う。だからこそ、「11pmのテーマ」をプレイして
も、ただの思い付き一発芸ではなく、対する人の五感をチクリチクリと刺激するワザが
繰り出され、それらがトータルでハッキリとした熱帯ジャズ楽団としてのイメージを作
り上げることに成功するのだ。
 と、こんなコムズカシイことを考えていると、突然ステージ壇上にはダンサーズが登
場。まさに「今夜はドント・ストップ」状態でダンス&サウンズのラッシュとなってし
まった。