岩の中に玉石?

 岩手県沿岸北部の某所で、砂岩をボーリングしたときのことです。ここの砂岩は軟岩で、N値は50を超えますが、ボーリングコアは砂状に採取されるため、コアだけ見れば砂層と誤解されそうな層です。棒状に採取された部分も手で容易に砕くことのできる程度の固結度でした(棒状といっても掘削時エネルギーで乱れていたのかもしれませんが)
 ところが、ある地点では、軟岩の中に中硬岩なみに硬い「塊」が混入していました。硬質な部分のコア長は30cmから70cm程で、ハンマーで相当強く打撃しなければ割ることが困難な硬さです。ここの砂岩は比較的均等な粒度の砂粒子からなり、礫の混入はまったく見られません。従って、「玉石」なみの礫の混入は考えられない層です。「なんじゃこりゃ」と思い、よくよくその塊を観察してみると、「軟岩」部分と同じ粒径の砂粒子(※見た目)が確認できました。軟岩部分との違いは、砂粒子間を白っぽい色の細粒分が充填していることです。当初、この塊が何なのかわからなかったのですが、仕事の合間に現場近くの海岸を散策し、その正体がわかりした。砂岩の露頭面から丸みを帯びた塊が所々突き出ています。ノジュールです。後日、確認のためコアの塊部分に塩酸をたらしてみると、泡が出ました。(※ノジュールの組成が石灰分とは限らない)


海岸の露頭。


解説付き写真

 翌年、掘削工事をしていたお兄ちゃんと話をする機会があった。お兄ちゃん曰く「砂岩は掘れるけど、中にある玉石はなかなか掘るのが大変なんだよネ」。砂岩の中にあるというその「玉石」もノジュールの事でしょう。

ところで、ノジュールの径って予測できないんでしょうかネ