旨い日本酒

(2000.06/04)


 季節にかかわらず日本酒を冷やで飲むのがとても好きです。中でも暑い夏の時期、冷蔵庫で冷やしておいた吟醸酒をガラス製の猪口に注いでは、一口ずつ味わいながらやるのがとても好きです。心地よい香りと喉を通っていく際の清涼感がなんとも気持ちいいからです。

 しかし、このように楽しくなるような日本酒は、いったいどのくらいあるのでしょう・・・。

 ちょっと恰好つけた言い方をすると、最近では手垢まみれで軽薄になってしまった言葉、「技術の粋」あるいは「職人技」といった言葉の意味を自身の体験を通して理解することができるのが日本酒なのかなぁ、なんて思ったりします。と同時に、そうしたものに接する機会が少なくなっているのも日本酒の世界なのかなぁ、なんてことを思ったりします。

 私がアルコール飲料に親しむようになるのは、大学に入学して飲み会の席に顔を出すようになってからです。今の人たちの平均と比べるとこれは遅いのかもしれません。
 当時飲んでいたお酒といえばもっぱらビールで、他に飲むとすれば水割りかチューハイ、ワインといったものでして、日本酒を飲んでいたという記憶はほとんどありません。
 日本酒について覚えていることといえば嫌な臭いのする後味のわるい飲み物で、とても好きになれそうにない飲み物だということでした。今から思えば、それは正しい反応だったのかもしれません。

 大学時代だけでなく社会人になってからも日本酒を飲むことを嫌っていたわけですが、たまたま、本や漫画を通して日本酒の製法や税制に関していろいろ知ることになります。知らないことばかりで、面白さから取り付かれたかのように読みまくりました。
 それを機会に、嫌いだったはずの日本酒へ少しずつ興味が湧くようになりました。興味が湧くにつれ、数はそれほどではないものの気になる銘柄を探してきては飲むといったことを繰り返すようになり、いつのまにか日本酒に対する考え方を大きく変えることになりました。

 日本酒にはすごく旨いものがある。

 とくに訓練を積んでいるわけではないし、自分の舌の感度などたかがしれているはずなのに、ひとくち口にしただけで即座に旨いまずいの判断をしています。見方を変えれば、出回っている日本酒たちには、私でも分かるほどの大きな違いがあるということでしょう。
 探せば旨い日本酒は見つかるものです。知名度やブランドイメージを取り払っていろいろなお酒にトライするのは、とてもスリルがあって楽しいものです。ぜひお勧めします。


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