サーキット走行のすすめ

(2001.01/01)


【意外と敷居は低かったりするもの】
 初めてサーキットを走ったときのことは今でも覚えていますが、とても情けなかったです。あらかじめグループ分けはされていて1コマが20分くらいの走行枠でした。
 学生時代から750ccや1,100CCの大型バイクに乗っていることだし、スピードと加速には馴染んでいるから、初めてのサーキット走行といえども余裕で走れるだろうと、変にプライドのようなものを持ちつつコースインしていきました。しかし実際はまったく違っていて、余裕どころか、たかが2速全開程度のスピード域にすぎないのに足がブルブル震えてくるわ、旗は見えていないわ、メーターチェックやバックミラー確認なんて意識にすらない状態で、何がなんだか分からないうちに走行が終わってしまうというものでした。

 運転免許を取得してから何年にもなるというのに、これまでのことが経験値としてほとんど役に立たなかったというのが初めてサーキット走行を体験したあとの感想です。だからといって、そのことでがっかりすることはまるでなく、むしろ嬉しいくらいでした。というのは、言い換えれば、サーキット走行にはこれまで経験したことのないような世界が待ち受けていることが、その瞬間に証明されたことになるからです。

 クルマ好きの人にはサーキット走行を趣味にしてしまうことをお勧めします。サーキット走行というと何か特別なことのように受け取ってしまいがちですけど、あくまで日常ドライビングの延長線上にあるものととらえて差し支えありません。ただ、スピード域は高くリスクが付きまとうことは覚悟しなければなりません。また、これまで経験したことのないクルマの挙動に戸惑うことがあるかもしれません。しかしこれもクルマの動きなのです。
 ドライビングは個人的なもの。きっかけは人それぞれでも、せっかくクルマに興味を持ったのなら、華麗なドライビングを目指すのは健全な姿といえましょう。そこまで大げさに考えなくても、サーキットで愛車を目一杯走らせてみることは心から楽しいものです。
 一度参加してみると意外と敷居は低かったりすることが分かります。


【どんなふうに参加するのでしょうか】
 走行会参加の仕組みを簡単に説明します。
 参加資格ですが、普通運転免許証とクルマの2つがあればOKです。サーキット走行ということでJAFのライセンスが必要と思われる方がいるかもしれませんが、これはいりません。走行会は時間単位でコースを占有しているため、いわば貸し切り常態になっているからです。
 主催者には様々なものがあり、チューニングショップ、クルマ雑誌、自動車メーカー、タイヤメーカー、ドライバー個人、サーキット自体、などが主催者となって数多くの走行会を開催しています。走行会を探すには、クルマ雑誌の「イベント欄」を見てみるとか、インターネットで検索してみると見つかると思います。

 走行会の案内を見つけたらその内容を調べます。まったくの初めてでも参加してよいかどうかの確認を取ります。というのは、場合によっては断られることがあるからです。「ビギナーはだめ」という走行会があったとしてもそれは意地悪でそうしているのではなく、限られたコース占有時間をより多くのドライバーが有効に使うには、対象者を絞るほうが都合がよかったりするからです。
 それと「初めて」ということに引け目を感じる必要はまったくありません。たとえば主催者に電話で問い合わせするときなど、その旨をしっかり伝え、快く受け入れてくれるような雰囲気が感じられないようでしたら申し込まない方がいいです。

 経験から言うと、はじめはスクール形式の走行会に参加するのがいいようです。最初にきちんとした講義を受けることでステップアップの見通しがつきやすくなるし、それにスクールですと疑問に思ったことをその場で講師に質問できるという特権があるからです。ちょっとしたアドバイスが大事なヒントになることだってあります。また、同乗走行をしてもらえるものがあります。
 良さそうな走行会が見つかったら申し込みをします。主催者によって手続きのやり方はまちまちですから、間違えないように注意します。気を付けないといけないのが、費用の支払方法と参加受理に関してです。分からないことがあれば主催者に聞くのが一番です。


【走行会のために準備しておくもの】
 服装は、長袖、長ズボン、グローブ、ヘルメット、ドライビングシューズの着用が必須です。走行会に参加する人たちの多くがGパンにトレーナー姿で、靴はスニーカーです。この程度でOKなのです。
 クルマに関しては、タイヤ、ブレーキ、オイルなどの整備を行っておきます。
 当日持参する小物類としては、ビニールテープ、ガムテープ、ハサミ、エアゲージ、空気入れ、保険証などがあります。また昼食込みでない走行会ならサーキットへ向かう途中で弁当を買っておくといいです。


【趣味の一つとしてのサーキット走行】
 クルマ好きを自認する人は数多くいても、サーキット走行好きを自認する人はまだまだ少数のようです。私自身、興味を持っていたにもかかわらず、とても敷居の高い別世界のことのように考えていたし、馴染みの薄い理由が分からなくはないです。周りにやっている人がいなかったことが一因かもしれないけど、情報が少なく、どういうものなのかよく分からなかったというのがもっともな理由のようです。

 スキーなどの趣味と基本的には変わらないなというのが、走行会に参加するようになって1年あまりになる私の実感です。
 道具の面でいえば、1BOX車やオフロード四駆は除くとして、普段使っているクルマで走ることができます。サーキット走行というとチューニングを連想するかもしれませんが、当面は必要ありません。走ってみて、不満や不具合があればそれを改良していけばいいと思います。たとえばブレーキ性能に不満が出たら、耐熱性能の高いスポーツパッドに交換するといった具合に対応していきます。
 私の場合、ブレーキパッドとブレーキフルードの交換が初めにやった改造で、次にやったのが4点式シートベルトの装着です。他にやったことといえば、バネ&ダンパーの交換と体格にあわせてシートの座面を低くしたことくらいです。これで約30万円の出費です。サーキット走行を続けてくとなるとこの程度の費用は考慮すべきでしょうけど、言い換えれば、このくらいの予算があれば十分に楽しめるクルマになるということです。

 人それぞれに好みがあるように合う合わないということはあると思いますが、もしサーキット走行に面白さを見出せたなら、これを続けない手はありません。
 何故かって? 理由は簡単。

 「趣味は何ですか?」
 「はい、サーキット走行です」

 なんて言えたらカッコいいじゃないですか。 (^^)


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