| 1989年/西友 | |
| 監督 | 熊井啓 |
|---|---|
| 原作 | 井上靖「本覺坊遺文」 |
| 脚本 | 依田義賢 |
| 美術 | 木村威夫 |
| 音楽 | 松村禎三 |
| 出演 | 奥田瑛二、萬屋錦之介、加藤剛、三船敏郎 |
萬屋錦之介が亡くなったというニュースを聞いて、思わず見直してしまった。
公開当時、松竹の「利休」と競作になり、あちらがかなり派手だったせいもあって、この作品はやや地味にとらえられているが、どうしてなかなか重厚な作品で、個人的には近年(といっても、もう8年も前の作品なのだが)の日本映画の中ではベスト5には入るであろうと思っている。
井上靖の原作があるので物語自体はその原作にそって語られているわけだが、利休がなぜ秀吉から死を賜ったのか、ということについて利休の死後、弟子の本覺坊や織田有楽斎などが過去を回想しながらその真実について迫っていこうとする話である。
現代の茶道の世界とは異なる利休の創造した戦国の世の侘茶の世界。ここに迫っていこうとする物語が、興味をそそって最後まで飽きさせることなく釘付けにする。
また、画面が非常に美しい。自然の風景もそうだが茶室をはじめとした美術も素晴らしい。それからなんといっても役者である。見終わって気付くのはこの映画には男優しか出ていないことである。実はこれが画面に重みを与えている気がする。主演の奥田瑛二も頑張ってはいるが、脇を固める人達がとにかく素晴らしい。筆頭は利休役の三船敏郎。最後、茶室で秀吉と二人で対峙する場面は、己の道を突き進む利休の強い意志を見事に演じきっており貫禄勝ちである。
そしてやはり次は織田有楽斎を演じた萬屋錦之介であろう。死を誓い合っていた利休、古田織部、山上宗二にあわせるように幻の刀で腹を切るその演技は鬼気迫るものである。なお萬屋錦之介はこの映画が最後の劇場用映画出演となってしまった。本当に残念なことである。ご冥福をお祈りいたします。
89年度(第46回)ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞受賞。日本映画を見直したい人にはまさにお奨めの一本。
<MK>
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