6月6日は、生物多様性基本法制定記念日

 

 生物多様性基本法(平成20年法律第58号)は、日本の生物多様性政策の根幹を定める基本法で、200866日に公布されました。

 

 12年前のこの日、衆議院では、このような質疑がされていました!

 

注:第186回国会 衆議院 環境委員会 第9号 国会会議録より抜粋!

 

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186回国会 衆議院 環境委員会 第9号 平成26(2014)66

 

河野正美

○河野(正)委員 しかし、日本がこれら国連の環境条約の中で長年批准を行っていない条約がございます。それが、移動性野生動物の種の保存に関する条約というものであります。一九七九年にドイツのボンで採択されたことから、通称ボン条約とも呼ばれ、一九八三年に発効しているわけであります。もう三十年以上たっているということになります。

 当然ですけれども、野生生物、動物には国境がありません。地球上を広く移動する野生の動物種を関係する国が連携して保護を図るための条約がこのボン条約であります。現在、百十九カ国が加盟をしているというふうに聞いております。

 我が国がなぜこれを批准しないのか、疑問に思っているところでございます。ボン条約に加盟しないのはなぜなのか。これまでの交渉過程、経緯、批准しない理由をお示しいただけますでしょうか。

 

香川剛広

○香川(剛)政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のとおり、ボン条約につきましては、一九七九年に採択されて、一九八三年に発効しております。

 本条約につきましては、条約が定める規制対象種等において、ワシントン条約初め我が国が既に締結した関連条約との関係で重複もございますし、その整理が必要だという判断でございまして、本条約の締結によって我が国が新たに負うことになる義務と、これら既存条約によって我が国が既に負っている義務との関係について十分に整理を行った上で本条約を締結するか否か決定をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。

 

河野正美

○河野(正)委員 検討ということで、今もう三十年たっているわけであります。

 例えば、渡り鳥やウミガメなどの種が、ある季節を東南アジアで過ごし、再び日本に移動するような場合、双方の国が保護努力を払わなければ種の保全というのは図れません。そういったことから、条約による取り決めのもとで国内での保全を進める一方、その動物が移動する国々が持っている制度や情報、保全のための技術、方法、これを共有することも極めて大切な要素になってくるんだと思います。

 特に、太平洋の移動ルートにも位置する島国である我が国において、そうした移動性の動物たちにとって重要な餌場や繁殖場所を提供しているという点を鑑みますと、この条約をできるだけ早急に批准することも重要ではなかったのかと感じております。

 さらに、私自身、医師としての立場から申し上げますと、昨今の、野生動物のもたらす、国を越えて伝播している伝染病予防などのためにも、事前の情報を共有しておくこと、これは有効かつ重要な問題ではないかと考えるわけであります。

 そこで、本日は、環境省、農林水産省、外務省の方々にお尋ねをいたしたいと思います。

 まず、環境省として、ボン条約の批准に向けてどう取り組んできたのか。批准が実現しなかった理由についてもお尋ねしたいと思います。

 

星野一昭

○星野政府参考人 我が国がボン条約を批准していない理由につきましては、平成二十四年九月に閣議決定した、生物多様性国家戦略二〇一二—二〇二〇、これに記載しているとおりでございまして、「本条約で捕獲が禁止される動物について意見を異にする部分があるため、」ということでございます。

 なお、ボン条約への締結及び関連する協定、覚書への参加につきましては、その締結等により我が国が負うこととなる義務と、我が国が締結済みの他の条約により我が国が負っている義務との関係について十分な整理が必要であることから、慎重に検討しているところでございます。

 

河野正美

○河野(正)委員 実際、環境省がこれら移動性の野生動物の保全を推進する上で、この条約に加盟することで生じるデメリットというのも、今ちょっとお話しいただいたんですけれども、改めて具体的にお聞かせいただけますでしょうか。

 

星野一昭

○星野政府参考人 平成二十四年九月に閣議決定した国家戦略に書いてあるとおり、政府として、こういう認識のもとに現時点で締結しておりませんけれども、現在、この条約に基づく義務、さらには関連する条約の義務等について検討しているところでございまして、そういうことでお答えとさせていただきたいと思います。

 

河野正美

○河野(正)委員 先ほどお話にありましたように、生物多様性国家戦略には、ボン条約については「継続的な情報の収集に努め、必要な場合には、本条約または関連する協定・覚書への対応も検討します。」というふうに文言が書かれているかなと思います。

 この対応状況について、改めて、これは外務省さんでしょうか。どちらかお願いします。

 

香川剛広

○香川(剛)政府参考人 お答え申し上げます。

 このボン条約の規定につきましては、締結から時間がたっておりまして、見直しが行われておりますし、他の条約についても見直しが行われて、新たな規制とか、導入されているところがございます。

 そうした各協定の動向を十分見定めながら、先ほど申し上げましたように、我々が負うことになる義務、他の条約との関係というのを引き続き整理して、検討しているということでございます。

 

河野正美

○河野(正)委員 引き続き検討がもう既に三十年たっているわけですから、その点で疑問に思って、きょうは質問させていただいているところであります。

 次に、農林水産省の方にお尋ねをいたしたいと思います。

 ボン条約が対象としている野生動物について、農林水産省としては、具体的に、どこがどのようにデメリットとなると判断されているのかをお聞かせいただきたいと思います。

 

香川謙二

○香川(謙)政府参考人 このボン条約の附属書1には、ウミガメ、海鳥、それから鯨類の一部が掲載されておりまして、締約国はこれらの採捕が禁止をされるということになっております。

 我が国は、小笠原諸島でウミガメ類を漁獲しております。一方、また、ウミガメ類等は定置網漁業、マグロはえ縄漁業で、海鳥はマグロはえ縄漁業でやはり混獲をされております。

 我が国は、ウミガメ及び海鳥の混獲回避措置を推進しております。これは、いわゆるFAOの措置あるいは地域漁業管理機関の決定に従って行っているものでございます。

 私どもとしましては、これらの資源、既存の漁業条約との関係を整理する必要があると思っておりますし、一方、また、本条約に加盟した場合、混獲の関係、それから将来の商業捕鯨との関係で実施が困難になるという可能性も懸念しているところでございます。

 

河野正美

○河野(正)委員 ウミガメ、海鳥、鯨ということを言われました。

 具体的に、改めてお伺いしますけれども、どの種が一番問題となっているわけでしょうか。

 

香川謙二

○香川(謙)政府参考人 まず、本条約附属書1に掲載されておりますアオウミガメにつきましては、小笠原で漁獲をされております。また、附属書1に掲載されております全てのウミガメ類、それから、海鳥ではアホウドリ、ハワイシロハラミズナギドリ等は、定置網及びマグロはえ縄漁業で混獲されております。

 鯨類につきましては、附属書1掲載種のうち、イワシクジラとマッコウクジラが商業捕鯨の対象種となり得るところでございます。

 

河野正美

○河野(正)委員 三番目に鯨というふうなあれでしたけれども、一般的には、鯨が問題になってこの条約が締結されないのではないかなという声が大きいんじゃないかなと思います。

 この点、ボン条約では留保という選択肢がございます。留保は、加盟国で資源利用などする種に関して、条約の適用を除外される措置であると思いますけれども、こういった措置をすれば、鯨というのが仮に問題であったとしても、留保をしておけばいいのではないかなと思います。実際に、同じ捕鯨国でもありますノルウェーは、捕鯨対象種を留保した上で批准をされているわけでございますけれども、この点について、障壁となる可能性、あるいは、こういった留保ということを使って批准をするという可能性について御見解をお聞かせいただきたいと思います。

 

香川謙二

○香川(謙)政府参考人 ノルウェーが捕鯨対象種を留保して本条約に加盟しているという事情は、事実は承知しておりますが、その理由等を私どもは完全に承知しているわけではございません。

 農林水産省といたしましては、我が国においては、捕鯨だけではなくて、先ほど申し上げましたウミガメ漁業が存在していること、それから、定置網及びマグロはえ縄漁業におけるウミガメ類及び海鳥類の混獲問題を抱えているということがございます。それから、一方において、既存のFAO及び地域漁業管理機関においては、このような混獲に関する削減措置が既に決定されているという状況がございます。

 したがいまして、私どもとしましては、既存の漁業機関との関係を整理するとともに、我が国漁業に対する影響も踏まえて、これらの種を留保して本条約に加盟するかどうか、慎重に検討する必要があるというふうに考えております。

 

河野正美

○河野(正)委員 続きまして、外務省の方にお尋ねをしたいと思います。

 ラムサール条約や生物多様性条約、気候変動枠組み条約など、我が国が積極的に貢献している条約は幾つもあるのではないかなと思っております。こうした貢献が、国際社会において我が国が地球環境保全に力を入れているということを内外に示すとともに、我が国の信頼を高めているものだと思っております。逆に、それらの条約に加盟していることによって我が国が受けているデメリットがあるとすればどういった点でしょうか、お聞かせください。

 

香川剛広

○香川(剛)政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生がお挙げになりましたラムサール条約、その他のさまざまな条約がございます。そうした条約に国際社会とともに、関係国とともに取り組んでいくということについての意義は高いものがあるというふうに考えております。

 ただ、外交上どうメリットがあるのか、デメリットがあるのかというのは、それぞれの条約を十分検討した上で判断していくものだというふうに考えておりまして、外交上の意義については、国際協力を進めていくという意義は十分あるというふうに考えておりますけれども、具体的には、さまざまな条約との関係、国内担保措置とか、さまざまな観点から総合的に判断していくものだと考えております。

 

河野正美

○河野(正)委員 では続きまして、ボン条約について、先ほど来お話があるように未加盟なわけですけれども、この未加盟なことによって外交上不都合な点、我が国にとってデメリットはあるでしょうか、外務省さんとしての見解をお尋ねいたします。

 

香川剛広

○香川(剛)政府参考人 ボン条約は、移動性の野生動物種の保全を国際協力、国際社会とともに取り組んでいくという趣旨でございまして、そうした意味では一定の外交の意義があることはもちろんでございます。

 ただ、本条約を締結する際の我が国の対応としては、先ほど来申し上げているように、既存の条約等の整理から検討してまいりたいということでございます。

 

河野正美

○河野(正)委員 引き続き、検討、整理をずっとされているということなんですが、過去、この条約を取り上げた国会審議というのも幾つか見られます。平成五年四月二十七日火曜日に開かれました衆議院外務委員会、気候変動枠組み条約、生物多様性条約審議におきまして、当時、川島実委員が質問されております。

 政府は、ワシントン条約、ラムサール条約とボン条約の対象に重複があること、ボン条約締結により発生する義務と既存条約による義務との整理が必要なので、十分に整理し、慎重に検討するとの趣旨で答弁をされておられます。これは平成五年でございます。

 これまで、どのように整理し、慎重に検討、相当慎重に検討されていると思いますけれども、いかがでしょうか。

 

香川剛広

○香川(剛)政府参考人 先生が御指摘いただきました衆議院外務委員会での答弁のとおりでございまして、引き続き、このボン条約を締結した場合の影響について検討しているということでございます。

 

河野正美

○河野(正)委員 三十年前の条約で、平成五年の外務委員会から相当慎重にされていると思いますので、今度はもっとスピード感を持って検討して、早急に結果を出していただきたいものだと思います。

 前後しますけれども、渡り鳥についてお尋ねをしたいと思います。

 条約となっております野生生物のうち、渡り鳥については、二国間で協定を結ぶことでその保護を図っていると聞いております。これらの具体的な状況について環境省さんの方に教えていただきたいと思います。

 

星野一昭

○星野政府参考人 我が国では、アメリカ、オーストラリア、中国及びロシアとの間で、渡り鳥やその生息地等の保護に関する二国間条約、協定を締結しており、これらの枠組みに基づき、渡り鳥の捕獲規制や希少種に係る共同調査などを行っているところでございます。また、韓国との間でも、日韓環境保護協力協定に基づき、渡り鳥の保護等に係る協力を行っているところでございます。

 加えまして、東アジア、オーストラリア地域を飛来する渡り性水鳥とその生息地の保全を図るために、我が国とオーストラリア政府が中心となって、関係する国、国際機関、NGO等から成る国際的な枠組み、東アジア・オーストラリア地域フライウェイ・パートナーシップを設立し、その保全活動の促進を図ってきたところでございます。

 

河野正美

○河野(正)委員 しかし、二国間の渡り鳥条約は、今お話がありましたけれども、機能していない例も見られるということであります。

 シマアオジというものは、日本では北海道に渡ってくる夏鳥で、越冬地は主に中国南部というふうにされております。この鳥は環境省のレッドリストにも掲載されており、越冬地である中国での保護活動が極めて重要な問題になってくるんだと思います。しかし、にもかかわらず、中国で大量捕獲ということが指摘されております。

 渡り鳥条約では、一方の国で保護対策を行う対象となっていれば、相手国に通報し、協力を求める条項がございます。しかし、中国との条約にはその規定がないため、保護を進める有効な手段がないということであります。

 日本がこうした通報を受けた種は、種の保存法の国際希少種に指定されます。

 このように、二国間で結ぶ渡り鳥条約が種の保全にとって役立たない例もあり、しつこいようですが、ボン条約を締結することが有意義ではないかと思いますけれども、こういった問題についてはいかがでしょうか。

 

星野一昭

○星野政府参考人 日中渡り鳥保護協定では、日中両国におけるシマアオジを含む渡り鳥の捕獲を禁ずるとともに、その生息環境の保護及び管理のため、適正な措置をとることなどが求められております。また、中国とは、定期的に会議を開催し、協定に基づく渡り鳥の保護の推進を図っているところでございます。

 シマアオジに限らず、日本に飛来する渡り鳥を保護する上では、二国間条約等の相手国だけではなく、渡りの経路上に位置する東南アジア諸国等との協力も重要となります。

 そのため、先ほど申し上げましたフライウェイ・パートナーシップなどの取り組みを積極的に進めてきたところでございます。

 

河野正美

○河野(正)委員 次に、調査捕鯨について伺いたいと思います。

 調査捕鯨につきましては、現在、国際的にいろいろ言われているところであります。また、ことし三月末の出来事でありますけれども、国際司法裁判所が、南極海における我が国の調査捕鯨の中止を命じました。

 事前の予想に反して、日本の完敗といった報道もございます。事前の予想に反してということですから、どのように予想されていたのか、そして、完敗と言われる理由について見解をお聞かせ願いたいと思います。

 

五嶋賢二

○五嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 政府といたしましては、あり得べき判決の内容につき種々検討を行い、あらゆる可能性を排除せずに判決に臨んだところでございます。

 その上で、判決において、裁判所は、第二期南極海鯨類捕獲調査、JARPA2が国際捕鯨取締条約第八条一の規定の範囲にはおさまらないと結論づけておりますが、その理由として、JARPA2の計画及び実施が、表明された科学的な目的を達成するために合理的であることを証明していないとの指摘がございました。

 我が国といたしましては、政府関係機関が一体となり、また内外の有力な専門家の全面的な協力を得まして、ICJの裁判に誠実かつ真摯な姿勢で臨み、日本の立場と考えを全力を尽くして明確に主張したつもりでございますが、結果的には、説得力が不足していたことが敗因の一つではないかと考えております。

 今後、外務省といたしましては、日本が国際約束に基づいて実施する措置や事業が、その当該国際約束や関連の国際法と整合的にあるかについて、より高い意識を持って関係当局と協議をし、また、関連の情報収集それから分析を入念に行っていくよう努めてまいりたいと思っております。

 

河野正美

○河野(正)委員 この報道によりますと、最強の布陣をもって臨んだ、そして、最低でも数千万円単位の弁護報酬を使ったというふうに報道されております。

 一体幾らぐらいかけたのか、お答えいただけますでしょうか。

 

五嶋賢二

○五嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十二年度から二十五年度の四年間にわたる本件の裁判の関連費用でございますが、全体で約三億三千五百万円となってございます。

 

河野正美

○河野(正)委員 三億三千五百万かけて完敗をしてしまったということで、しっかりと今後は頑張っていただきたいと思います。

 改めまして、調査捕鯨は科学目的であるという点をしっかりと主張していかなければならないんだと思います、そうしないと国際社会で理解を得られないというふうに考えておりますが、調査捕鯨は科学目的であるという点についてどのような認識をされているのか、お聞かせいただきたいと思います。

 

香川謙二

○香川(謙)政府参考人 我が国は、鯨類は他の水産資源と同様に重要な食料資源であるということで、科学的根拠に基づき持続可能な形で利用されるべきとの基本的認識に基づきまして、商業捕鯨の再開を目指して、そのために必要な科学的情報収集を目的として鯨類捕獲調査を実施してきたところでございます。

 裁判におきましては、政府関係機関が一体となりまして日本の立場と考え方を全力を尽くして明確に主張いたしましたが、判決においては、第二期南極海鯨類捕獲調査が国際捕鯨取締条約第八条一、これは科学目的のための捕殺の規定でございますが、この範囲にはおさまらないというふうにされたところでございます。

 主な判決の指摘といたしましては、目標サンプル数の根拠が不十分であるということと、非致死的手法の実施に対する検討が不十分であるということは指摘をされたところでございます。

 私どもといたしましては、四月十八日に、その後発出されました農林水産大臣談話で述べられておりますように、農林水産省としては商業捕鯨の再開を目指すという基本方針を堅持しつつ、平成二十七年度以降の南極海鯨類捕獲調査については、本年秋までに、判決で示された基準を反映させた新たな調査計画を国際捕鯨委員会科学委員会へ提出すべく、関係府省連携のもと、全力で検討を進めることとしているところでございます。

 なお、国際司法裁判所の判決は、第二期北西太平洋鯨類捕獲調査の中止は求めておりませんが、いかなる将来的な特別許可の発給に際しても、本判決に含まれる理由づけ及び結論を配慮するということを期待するとする部分がございます。

 したがいまして、私どもといたしましては、本年度の北西太平洋鯨類捕獲調査については、判決に照らしまして、目的調査を限定するなどして、規模を縮小して実施しているところでございます。

 

河野正美

○河野(正)委員 調査捕鯨は科学的根拠に基づいているという点を確立した上で、国際社会でしっかりと発信していただきたいと思います。

 今回、誤解されていらっしゃる方も少なくないのではないかなと思いますが、中止命令というのは、あくまで南極海での調査捕鯨についてであります。にもかかわらず、北西太平洋など、南極海以外でも中止論が出てきたと思います。実際に、出航直前まで政府の考え方が示されなかったがゆえに、現場の方々が大変に苦慮、困惑されておられました。実際に、その方々のお声も聞きました。

 我が国の外交姿勢に関しては、辛辣な言い方をすれば、弱腰ではないかという方もいらっしゃるかと思います。南極海の中止命令で、ほかの地域もやめておこうかといった、こうした姿勢についてはいかがなものかと思いますが、政府見解をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

 

香川謙二

○香川(謙)政府参考人 三月三十一日の国際司法裁判所による南極における捕鯨訴訟の判決を受けまして、政府において、具体的な対応につきましては、判決の内容を慎重に精査した上で真剣に検討を行ったところでございます。

 委員御指摘のとおり、今回の判決は、第二期南極海鯨類捕獲調査についてなされたものでございますが、その判決の中では、条約第八条一のもとで、いかなる将来的な許可を与える可能性を検討する際にも、本判決に含まれる理由づけ及び結論を考慮することが期待されるという部分がございます。

 このため、私どもといたしましては、北西太平洋における調査捕鯨の実施計画を決定するに当たりまして、判決において示された基準を考慮した内容となるよう慎重に検討を行った上、計画を策定し、実行しているところでございます。

 

河野正美

○河野(正)委員 若干話題がそれるかと思いますけれども、ウナギというのも保護について議論があるのかと思います。我が国に限らず、ウナギというのは食文化として大変重要な種であると思いますが、この点について、今後食文化が守られていくのか、現状の御認識をお聞かせいただきたいと思います。

 

香川謙二

○香川(謙)政府参考人 今漁期のシラスウナギの採捕量は、昨年漁期を上回ったと承知しておりますが、長期的に見ますと、八〇年代以降低水準で、かつ減少基調にございます。

 シラスウナギの採捕量は、年ごとの海流などの海洋環境の変動により増減するものと考えられており、今漁期、漁模様が良好であったということをもって、直ちにニホンウナギの資源が回復したと判断すべきではないと考えております。

 委員御指摘のとおり、ウナギは日本の重要な食文化でございます。そのためにも、将来にわたって持続的利用が図られるよう、引き続き、国内外での資源管理対策の取り組みを進めていく必要があるというふうに考えております。

 

河野正美

○河野(正)委員 ウナギは、御承知のように、稚魚を育てるという形でシラスウナギをとってきて、養殖が行われるというふうになっていると思いますけれども、根本的に、一〇〇%養殖をするということは技術的に可能なんでしょうか。技術あるいは研究開発の状況を教えていただけますでしょうか。

 

香川謙二

○香川(謙)政府参考人 シラスウナギの人工生産につきましては、平成二十二年に独立行政法人水産総合研究センターが、委託プロジェクトの研究の成果として、実験室レベルでの完全養殖、これは子供から親、親から子供を生産するという完全養殖に成功したところでございます。

 さらに、平成二十五年には、新たに開発した大型水槽、これは約一トンのサイズでございますが、ここでのシラスウナギの生産にも成功しております。

 しかしながら、シラスウナギの人工種苗の大量生産実現のためには、抜本的な省力化や省コスト化を図る必要がございます。このため、本年度から、給餌システムの改良、飼育水の効率的な交換等の実証試験を開始したところでございます。

 今後とも、シラスウナギの大量生産システムの早期実現に向けて全力を尽くしてまいりたいと考えております。

 

河野正美

○河野(正)委員 ぜひ、よろしくお願いいたします。

 時間もありませんので、最後の質問に移りたいと思います。

 ことし五月九日の信濃毎日新聞夕刊に、環境省が生態系保全のために重要海域を設定するという見出し記事がございます。海に生きる多様な生物を守るため、環境省の有識者会議は、日本の排他的経済水域内で生物学や生態学の観点から重要な場所を重要海域として初めて選定したということであります。沿岸域で約二百八十カ所、沖合は表層と海底に分けて約五十カ所に上るということであります。海域の具体的区域や特徴などの説明を完成させた後、ことしの夏に公表する方針ということでございますが、そろそろ季節的には夏も近づき、暑くなってまいりました。現時点での進捗状況がわかりましたら、教えていただきたいと思います。

 

星野一昭

○星野政府参考人 環境省では、平成二十三年度に専門家による検討会を設置して、平成二十五年度までの三年間をかけて、生物多様性の観点から重要海域を抽出する作業を行ったところでございます。

 現在、環境省におきまして、公開することで違法な採取等が起こる可能性のある希少種等の情報について精査しているところでございまして、こうした点を整理した上で、この夏ごろには公開をしたいと考えております。

 

河野正美

○河野(正)委員 ありがとうございました。結果は夏ごろ発表されるということでございますので、それを待ちたいと思います。

 きょうは、ボン条約、調査捕鯨についても含めてお尋ねをしてまいりましたけれども、やはり三十年来放置されている条約があるということは非常に問題があるのではないかなと考えておりますし、しっかりと早急に検討、相当慎重に検討され続けておりますので、結果を出していただきたいなと考えております。

 最後になりますけれども、我が党が提出しておりますごみ屋敷禁止法案、しっかりと審議していただけますようお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。