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段ボール時代のゆっこの脳裏には、 ペン君のペの字も存在していませんでした。 が、しかし、 ある日ゆっこは、部屋の片隅に潜んでいた段ボールの存在に気が付きました。 『あ!!』 ゆっこの記憶の中に、ペン君たちの姿が蘇ったのです。 実に3年ぶりの再会でした。 でも、これは、ペン君にとって新たな試練の始まりだったのです。 |
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段ボールから出た瞬間、にゃも君は『にゃもく〜ん』と泣き続け、 くま君は、狂ったようにゆっこの顔を連打しました。 その姿に胸を痛めたゆっこは、にゃも君とくま君をぎゅっと抱きしめました。 しかし、ペン君はというと 外の世界の涼しさに感激していて、ゆっこを責める事はしませんでした。 皮肉な事に、そんなペン君はゆっこにとって、ただのおとなしい無表情のぬいぐるみとしか見えなかったのです。 少しわがままで出来の悪い子の方がやはり可愛く感じたのです。 ゆっこは、にゃも君くま君を溺愛しました。 にゃも君に負い目を感じる事情を持っていたゆっこは(Q9)、ことのほか、にゃも君を可愛がりました。にゃも君はとてもいい子なのですが無類のやきもち焼きでいばりんぼだった為、ゆっこの寵愛を受けると益々同じ鳥のペン君につらくあたりました。『お前、空飛べるか』というにゃも君の言葉はペン君にとっては致命傷でした。にゃも君は水の上も泳げるし、空も飛べる、同じ鳥なのに、どうして神様は差をつけたのか、ペン君は悲しみました。(Q16) たまにゆっこがペン君をだっこしても、ペン君は恐縮してしまい、喜びを表現することが出来ませんでした。なので、ゆっこはペン君がいつまでたっても慣れない子だと次第に他人行儀になっていったのです。 ゆっこの心が離れ、にゃも君くま君の溺愛を横目でうかがい、夏がくれば暑く、、、ペン君は益々無口になっていったのでした。 |
知りたい 知りたくない