姉貴よ千の風になって(富良野、美瑛)


 
 


う〜む、姉貴もなかなか面倒な命題をわしに託して去ってくれたものじゃなあ〜

わしに病院で書いた日記の短歌を載せて欲しいという。といっても内容はセレクトする必要がある。 こいつは困った。(>_<)

姉貴の希望に添えるかわ〜らん。まあとにかく出来るだけの事はやってみよう。

八月の事だった。

姉貴から電話が入る。「もう抗癌剤の点滴を打つ事はやめる事にする。痛みも 引かないし、効果も分からないし、医者も何もいわないので。」

どうやらあまり容体がよくないらしい。 簡単に、もうじき死ぬなんていうもんだから、わしは御見舞いに、すこしでも 延命工作をと考え、横山光輝のマンガ、三国志と、水滸伝を持っていった。

三国志は全60巻、水滸伝は確か20巻だったかな。 これだけの量だと手持ちのバックでは不可能、よって登山用のザックに 詰め込んで持って行った。ところが-------

「なんで、こんなに持ってくるのよ〜」「ちょっと、困るわよ。持ち帰ってよ。」 「これ全部捨てちゃっていい?」

わし、「-------」 「捨ててもいいけど、捨てるんだったら、読んでから捨ててよね。」 (姉貴の馬鹿)(>_<)

が、その数日後、姉貴から電話が入る。「今は、公明の持って来てくれた三国志を 読む事だけが、楽しみ。ありがとね」

こちらは、そのつもりで持ってきたのである。たく、姉貴は短気だぜ。(>_<) 怪しい霊感者によると姉貴の性格は短気、仕方心(やりっぱなしという意味 らしい。)という事になっているが、この短気というのは120%当たっている。

そもそもわしが三国志を読んだのは姉貴からの影響、「軍師孔明はねえ〜」 「だから公明という名前はとてもいい名前なのよ。」 (漢字は全然違うが。)

姉貴が三国志を読んだのはNHKの人形劇をやっていた頃である。ちなみにこの DVDはわしも3年近く前に買って見た。 という訳で、マンガはその御返しである。

御見舞いにいったときの姉貴の激やせぶりから、確かに助かるはずもない 事を見てとった。。・゚゚・(>_<;)・゚゚・。

三日前の事、土曜日、再び、病院に行く。北海道の画集を用意して。 姉貴の顔面は、マスクを冠り、鼻から空気を送り込まれている。 あの画集では重いので用紙をホルダーから抜いて一枚一枚見せる。

富良野の四季彩の丘等は、「どうだこの世の天国だろ。」と言いたかったが 余計な事はいわなかった。「日本画よりも油絵のほうが合うかしらね。」 姉貴は女子美出身、日本画の個展もやっている。

三国志は52巻まで読んだそうな。ゲントクは、とっくに死んでいる頃だな。 後は孔明がモウカクと対決するビジュアルシーンを見てもらいたかったが そこまでいったかな?

8/20(月)ついに姉貴は亡くなった。。・゚゚・(>_<;)・゚゚・。

亡くなる二日前に姉貴に見せた富良野の画集、花に包まれたいいイメージを

思い描いて旅立てますように。


 


    
     
    
    
    
    
    
    
    
    


素人もインターネットの情報で告知の前に癌と分かりて。
内視鏡我ものぞいてただならぬ、黒きぶよぶよ癌と思いし。
癌病みて、短歌俳句と詠んでみる。心模様や旅の思い出。

泣きながら短歌俳句と指数え、眠れぬ夜をやり過ごしけり。
癌手術、その傷痕を眺めつつ我が人生を省みてみる。
追い込まれ、我が行く路は何処かと神に聞きたし易で知りたし。

お化けにも武者にも見える浮雲は我の心の映し絵に似て。
神経の過敏になりてもてあます我と我が身と諸々のこと。
いつか行かむ旅への夢に心馳せ暗き思いに蓋をせんとす。

キャスターに点滴つけて散歩する患者の姿我も真似して。
投げやりと暗きの心を叱咤する我が友のあるを嬉しき。
何事も人生ゲームと思えば苦しきことも超えられるかも。

それぞれの思いできしむベッドから衣着替えて春つみに行く。
(病院を出て御茶ノ水駅周囲散歩)


 


う〜む、実際に癌を患われてる方がこのページを見たら悲観にくれるばかりの姉貴の書き残しはまずいかもしれない。(>_<)困ったなあ〜(>_<)

早期発見があれば癌は助かるものであり、余命三ヶ月と診断された方でもある事がきっかけで癌の侵攻が止まり、 その後現在(2008)まで(8年以上か)生き延びている方も最近のテレビ番組で知った。

姉貴!、クールに処理するぞ。!


   
    
      
    
    
    
   
    
    
    


車内にて高校生のアツアツのラブ見せられて、目は点になる。
芸術は1+1にならずして人の好みに左右さりけり。
騙されてると思いつつ買いしゲルマニウムプレス夫と私に。

開運の守り札一枚900円思わず買いし夫と私に。
閻魔様観音様とぴったりの守り札買いし病みたる故に。
籠の鳥なる鶯の朝早くから泣き泣きて、声美しくも哀れなり。

鶯の焦りておるか笛吹くごとく泣き続けており
軽々と歩いて見える人生も底に苦悩を秘めているやも。
病院で、待たされてなかなかこない順番に気の遠くなるや待合室

じっと堪え順番を待つ人々の心やいかに思いてみる。
待ちわびてとうに四時間過ぎており退屈まぎれに短歌読みけり
かの人が人気の医師と知りてみる。りりしき顔にさもありなんと。

人事と思いていたり癌手術我が身にふって来るとは思わず。
冴え冴えと水に映りし鉄橋を渡る電車も走りてゆきぬ。
開発に押し流されてアーケード、通る人なく廃墟と化しぬ。

フルートを吹くがごときの鶯の美しけれど籠はあわれで。


 
  


静かなる池に投げ込む石のこと波紋広げて両家の見合い。
見合いせし二人の男女の胸の内、はかりかねてる仲人は。
世話したる友の娘の行く末に我の与えし影響いかに。

見合いさせ、人の行く末左右する。そは傲慢か思い上がりか。


    
    
    
    
    
    
   
    
   
    


新聞を声はりあげて読んでみる。脳活性化にいいと知りて。
ドラマ見て涙あふれるヒロインのかかえる不幸我が身に思え。
文鳥の籠に入らずまいかけの中に入りて餌やる真似す。

三日間留守して帰る文鳥は鳴きさえもせず手にも乗らずに。
文鳥のまいかけの中糸屑やティッシュ集めて巣ごもりの真似
毛糸編むその糸の先文鳥が、口ばしくわえ引っぱりおりて。

人生はささいな事に幸ありとやっと悟りし病の後に。


 
 


ささいな事に幸ありと、この最後の短歌だけは姉貴の最高傑作のように思う。これはわしも好きだな。(最初の癌で退院したとき)




続き