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開催についての問題点

 小学校の校舎内に外部者が出入りすることとなるため、自主的に作成した利用基準を学校側に提出して了解を取りつけました。内容は、あらかじめ参加者名簿(氏名・住所・電話等)を学校側に届けておく。必ず写真入りの名札を着用し、来校時と退出時に学校警備主事に申告する。上履き(スリッパ又はスニーカー)は各自携行する。毎回、終了時に利用状況報告書を学校長あてに提出する、、などを取り決めたものです。

 パソコン室内での問題としては、利用するハードとソフトを限定しました。ハードウェアはパソコン本体・ディスプレイ・プリンタ。ソフトウェアはWindows98・一太郎8・ATOK11とする。ハードディスクには新規にソフトウェアのインストールは行わない。自分史ファイルは参加者各自のフロッピーディスクに保存する。消耗品のうち印刷用紙は持ち込み、インクカートリッジは現物を先渡しする。故意または過失により故障発生の場合は賠償の責を負う、なども決めました。

 講座の参加者は定員8名にしました。この当時、小学校のパソコンは11台、教師用1台に生徒用10台という編成でしたが、NECキューハチの旧機種なので1〜2台は動作不良が発生するかもしれないと考えて常時稼働を8台と見込んだのです。高齢者を対象とするために、教室スタイルの一斉授業方式よりは寺子屋スタイルのマンツーマン方式が望ましいとと考えたのも理由の一つでした。

 会場が公立の施設ですから、参加者の募集については自治体の広報に掲載して広く住民に告知を行う予定でした。しかし、学校側との話し合いが成立したのは11月末のことでした。1月初めの開講には日程的に間に合わなくなって公募形式を変更せざる得なくなりました。区の健康生きがい部生きがい推進課と相談した結果、区立勤労福祉会館内に開校している高齢者大学校・グリーンカレッジの受講者から募ることにしました。

 募集の条件としては、(1)区内在住で年齢65歳以上、(2)パソコン・ワープロ経験のないこと、(3)全日程に出席できること、としました。年齢制限は、戦中戦後の激動期を体験した世代を優先しようと考えたからです。未経験の人たちに限定したのは、参加者のレベルをそろえたかったためです。レベルがそろわないと超初心者が落ちこぼれる心配があります。結果的に、脱落者もなく参加者相互間の親密感も急速に高まったように思います。

 1月の開講を前に、抽選で決定した参加者8名に集まってもらいました。年末も押し詰まったときでしたが、区立社会教育会館でオリエンテーションを実施したのです。お互いの自己紹介、小学校に出入りする際のルールの徹底、自分史の書き方、などについて話し合いました。自分史をどう書くかについては制約しない、随想形式でも、年表形式でも、俳句・短歌を中心としてもいい。自分の好きなように書こう、ということにしました。

 パソコンの操作、たとえば日本語の入力変換についても規制はしない方針です。ローマ字入力でも、かな入力でも参加者が好きなほうを選択するようにしました。結果的には、かな入力したいという人が多かったようです。高齢者はキーボードの文字キー配列に違和感があるのです。それでも「自分史を書く」という目標があるので、比較的スムーズに慣れ親しむことができたように思います。

 当初は予期しない事態もありました。下見をしたときには一太郎8を確認していたつもりなのに、ほとんどは一太郎6.3のままでバージョンアップしていなかったのです。小学校の授業ではワープロソフトを使う機会は少ない。電子紙芝居のような教育ソフトが主体です。クラブ活動で学級新聞を作るようなときだけ一太郎が登場するようです。ハードディスクはいじらない約束でしたが、無理にお願いしてバージョン8に統一させていただきました。

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