月夜のMelody
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王様と兄上さまと灰色狼4(緑土なす二次創作Twitterログ)

「命さんちょっと手を貸してもらえますか?」
「はい、どうぞ」
兄は命の手を握った
「ありがとう。温もりさん、ちょっと手を…」
「は、はい!」
兄は温もりの手を握った
「……?」
「どうされました?」
「なぜかレシェの手に触れる時だけ、手が熱くなるのです」

★★

兄はため息をつく
「命さん、レシェが…おれのこと寝台に繋ぎ止めてしまいたいって言うんだ」
「はい(昨夜の閨言ですね)」
「おれ…何か悪いことをしたのかな?」
「いいえ!まったくご心配いりません。もし縛られたとしても怖くありませんからね」
「……え?」
命は微笑んだ

★★

風が強く吹いていた
「あ、目が…」
「レシェ擦ってはダメだ。見せてみろ」
顔を寄せる兄の唇に王は吸い付いた
「な、何をするんだ」
「美味しそうだったので、つい」
「いきなりするのはやめてくれ」
「じゃあ、してもいい?」
「…」
王に見つめられ兄は、こくりとうなずいた

★★

嵐の夜、王は兄にしがみついたまま離れない
「レシェ嵐が怖いのか?」
「怖いのは兄上です」
「どうして?」
「山と畑を見に行こうとしてたでしょう?」
「……少しだけ」
「ダメ!絶対ダメ!」
嵐が収まるまで、兄は寝台で王の楔に繋がれる…
激しい夜の話…

★★

「兄上さま。昨夜は、風の音がうるさくはございませんでしたか?」
「いいえ、まったく。そんなに酷い嵐だったのですね」
気がつかなかったと兄は言った
「しがみついてくるレシェを剥がすのが大変で」
「それはそれは」
「嵐の度にこれでは困りますね」
兄は幸せそうな笑顔をみせた

★★

「レシェ、やっぱり三日に一度あれをするのは多すぎると思うんだ」
「そんなことありません!」
兄は疑い命に確認する
「命さん、多いと思いませんか?」
「いいえ。何もおかしくはございません」
「そうなのか…」
(命!よくやった!しかし兄上がわたしより命を信頼している……)

※この後公式から中四日が良いと発表がありました

★★

「一進、手!」
王は差し出された一進の手を握る
「余の手は冷たくないか?」
「い、いいえ!」
「よし、このまま兄上のところに行く」
「はいっ!」

★★

一進はこっそり命に冊子を手渡した
「兄上さまが最近琵琶を練習されているとお聞きしまして、偶然教本が手に入ったので」
「ありがとうございます」
「あと、私からですといろいろお気にされるかもしれないので、命さまからということにしてください」
返答を待たず、一進はそそくさと立ち去った

★★

「兄上のお体はどこもまろやかな優しい甘さがあり。果実のように蜜を湛えた唇。赤く染まった耳はお餅のように柔らかく、瞳から零れる雫はどんな美酒より酔わせてくれます。ねえラフォス。そろそろ下の蜜を…」
兄は王を押し退けて身を起こした
「お腹すいたから休憩しよう」
「えー!」

★★

「兄上はそこにいるだけで、息してるだけでいいのですよ」
「…レシェは口を塞いでおれの息を止めようとするじゃないか」
「どんな風に?ちょっとわたしにやってみてください」
王は目をつぶった
「えっ!あっ…///」
「兄上、はやく」
「ううっ…」
狼(兄上さまがんばれ)

★★

くすぐったさに目が覚めた
わたしの髪を指に巻き 
遊ぶあなたが笑ってた
もう少しだけ寝たふりを
まぶたの裏が陰ったら 
期待をしてもいいですか?
今日はじめての口づけを……
「おはよう、レシェ」

★★

「寒い夜はくっついて寝ると温かいでしょ」
王は兄の寝台に潜り込む
「ああ。老人もそうしてた」
「…!」
「レシェ?何か怒ってるか?」
「怒ってません!でもこれからはレシェ以外としないでください」
「そうか…じゃあ寒い夜は一緒に寝よう」
「…!」
冬の間、兄が一人で寝る日はなかった

★★

言葉もなく熱い吐息だけが夜を揺らす。視線を交わしながら深く体を繋げ、兄は気づいた
「静かだ…」
「雪が降っていますから音を消しているんでしょう」
「雪?」
いつの間にか降り始めていたらしい
「レシェが熱すぎて気がつかなかった」
王は微笑み唇を塞ぎ兄の言葉を奪った
ある雪の夜

★★

『御足の痛みで兄上さまの眠れぬ夜があると聞く。明日にでも命さまに足湯を進言してみようか。湯殿よりご負担がかからないだろう。桶に湯を注ぎ御足を掌にお乗せいただき』
そこまで書いて、水明は筆を置いた
「兄上さまのおみ足…」
感触を思い出すかのように水明は掌を見つめ口元を緩ませた

★★

「一進も、余が兄上の元に通う頻度が多すぎると思うか?」
「いえ」
「今までお一人だった兄上を、もう一人にしてはいけないのだ。寂しかったのだと気づかせてはならぬ。文句ならいくらでも受けよう。それで過去を忘れてくださるなら」
「それに……余も楽しい」
王は高らかに笑った

★★

「おはようございます兄上。朝御飯をご一緒してもよろしいですか?」
早朝、王がやってきた
「おはようレシェ…」
兄の掠れた声に王は焦る
「兄上!声が!風邪でもひかれましたか?熱は?」
「昨夜レシェが元気すぎたせいだ」
王は幸せそうに口元を緩ませた
「待て、思い出すんじゃない!」

★★

後日談
「レシェ、もう朝だ」
「いいえ、まだ夜です」
「鳥の声が聞こえる」
「夜鳴き鳥です」
「いいや、あれは朝鳥だ」
「まだ夜です!もう一回だけ!お願い!」
「……ううっ」
宮殿の夜は、なかなか明けない

★★

「皆さんお忙しそうですね。何かおれにお手伝いできることありませんか?」
「あります!」
命は美しい衣装を取り出して言った
「これをお召しになって陛下とお食事してください」
「……」
「兄上さまにしかできないことです」
「……うぅ」
兄上が了承するまで、もうひと押し

★★

長官室
「兄上さまはなかなかお望みを言ってくださらない」
「陛下には、お心を打ち明けておいでのようですが」
「閨ならば本心もあかされるか…。命、兄上さまのお言葉をもらさず報告せよ」
翌日
「昨夜は何かご要望をおっしゃらなかったか?」
「陛下がしつこい、と」
「陛下がしつこい……」

★★

「兄上ー」
早朝畑から帰ってきた兄を王が背後から抱き締めると、兄は身を捩って避けた
「ダメだ、レシェ。おれ冷えてるから冷たいぞ」
王は笑って上着を脱いで兄に被せるとその上から抱き締めた
「お前が風邪を引いてしまう…」
「ふふ、わたしが冷えたら兄上が温めてください」
そんな冬の朝

★★

寝間着の裾が捲れ、緩やかにほどけそうなほど開いた胸元から桃色に染まった素肌がのぞく
ぼうっとさ迷わせていた視線が、自分を見つめる弟を捕らえた
「レシェ…こっちにくるか?…」
床に寝転がっていた弟は、誘われるままゆらりと立ちあがり湯上がりの兄を寝室へさらうべく手を伸ばした

★★

「兄上すごくお似合いです」
新年の正装をした兄を迎え王は褒め称えた
「この服、すごく重いんだ。式が終わったら脱いでいいか?」
「もちろん!私が脱がせるつもりでいました。式が終わったらすぐに」
「…おれは服を脱ぎたいと言っただけだぞ」
「兄上からお誘いいただけるなんて嬉しい」

★★

「レシェ…」
新年の挨拶の長さに、兄は堪えきれず王の服を引っ張った
「疲れましたか?後はわたしが引き受けますから先に部屋に戻ってもかまいませんよ」
服の重みと終わらない祝辞に限界の兄は頷いた
「うん。先に脱いで待ってる」
「っ!!」
王の顔を隠すべく、一進はそっと扇を差し出した

★★

今夜は無理を聞いてもらおうと王は兄に言ってみた
「兄上、余興で王様遊戯というものがあるんです。王様の命令は絶対という」
「?命令なんてしなくても、おれはレシェの願いを叶えたいよ」
兄はにこっと微笑む
「ううっ」
王は目を覆ってうずくまった
「レシェ!?」
「兄上が…眩しくて…」

★★

「一進さま!少し目を離した隙に陛下がどこにもいらっしゃいません!」
「小鳥、落ち着きなさい。大丈夫です」
一進は息を整えると細い目をカッと見開いた
「見えました。陛下は兄上さまの湯殿をお覗きになっておられます。すぐにお手伝いを」
「はっ」
王付侍従長に探せないものはないという